目指せ野球星人   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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俊足3人組

 〜星野球児サイド〜

 

 俺達がピッチングをやっている間、他3名はキャッチボールを続けていた。

 

 あかりに聞いてみたところ、野球素人ではあるが、最低限の動きは覚えさせられているらしい。

 

 上林勇者は少年野球はやっていたからド素人ってわけでは無いけど……というわけで能力を把握するために色々テストを行うことに。

 

 守備力は俺達も含め、野口以外は悪いとしか言いようがないので省略するが、走力と肩力のテストを行う。

 

「じゃぁいきます」

 

 まずやるのはベースランニング。

 

 通称ベーラン。

 

 打席から走り始めて、一塁、二塁、三塁を周り、ホームベースを踏む速度を競う。

 

 塁間の距離が野球は厳密に決まっていて27.431m……90フィートとなっている。

 

 アメリカで野球は始まった(起源は複数あるが、現在の野球の基礎はアメリカで固まった)ことにより悪名高いヤード・ポンド法の面影が残るが、約27メートル×4で約110mのタイムになる。

 

 どうしても直線では無く、曲がる必要があるので、110メートルを真っ直ぐ走るよりもタイムは落ちてしまう。

 

 プロ野球選手で歴代でも最速クラスの選手が11秒を切るくらい。

 

 13秒前半でプロでも俊足と言われ、高校野球だと15秒、16秒台が強豪校の基準となってくる。

 

 というわけで俺達も走らされた。

 

「走ればいいんだろー」

 

「ああ、ベースを踏んで、ここのホームベースを踏んだタイムを記録するよ」

 

「ふーん」

 

 忍者ことチャラ男の服部は左のバッターボックスに立ち、バットを振り抜いた動きをしてから走り始めた。

 

「は、早い」

 

 シュタタと忍び走り……いや、ナンバ走法をやっている。

 

「ナンバか。手足を揃えて走ることにより体のねじりを最小限にして、ねじりによる体力消費の軽減や胸部圧迫軽減による肺の呼吸をしやすくする走りだね。彼はそんな長距離走の様な走りでも素早く動ける特訓を受けているんだよね。忍者だから」

 

 しかもベースを蹴るのが上手い。

 

 ベースを蹴るのに合わせて加速板の様に使うため、ベースを踏んだ後の1歩の距離が長くなっている。

 

 しかも頭が全然動かないから滑るように動いて見える。

 

 カチ

 

 ストップウォッチを押した赤星さんがタイムを発表する。

 

「11秒ジャスト」

 

「あー、もっと速くいけたな」

 

 走り終えてもケロッとしているし、息も全くきれてない。

 

 スタミナもめっちゃあるタイプだろう。

 

「じゃぁ次は僕がいきます」

 

 次を走るのは天狗の蔵馬。

 

 スタートすると服部より速いペースで走っていく。

 

「滅茶苦茶速い」

 

「ただベースの扱い方は服部の方が上手いな。蔵馬はベースを蹴るけどに減速しているように見える」

 

 それでも1周回ってタイムを計測すると、10秒6と言う数値が出た。

 

 プロ野球選手でもなかなか出せないタイムだぞ……。

 

 流石天狗……。

 

「お前やるなー」

 

「へへ、一応これでも天狗なんで……下っ端ですけど」

 

 続いて勇者が走り、タイムは13秒2。

 

 これでもプロでも速いタイムである。

 

 つまりこの3人は走力だけならプロ上位と言っても良い。

 

 続いて遠投を行う。

 

「よっと」

 

 勇者が軽くボールを放り投げると弾丸の様にボールが飛んでいき、野球場を覆っているネットの最上段に直撃した。

 

 ちなみにこの学園の野球場は両翼90mでセンター110m、ネットの高さは4mあるので、そのギリギリに直撃したとなると、勇者は120メートル近くを投げたことになる。

 

「これ、勇者が投手やった方が良いんじゃね?」

 

 俺がそう呟くと勇者をスカウトしてきた恋星さんが答えてくれた。

 

「勇者は確かに身体能力は凄いよ。それこそ現段階で投球フォームが固まってなくても140とか145キロは出るんじゃないかな? でも勇者は異世界帰還者って言ったじゃん。魔王との戦いで結構重傷とか負ってるから全力で投げ続けたらぶっ壊れちゃうんだよね〜」

 

 とのこと。

 

「まぁだから野球星人の技術で彼は野球のルール覚えるとかよりも傷を治すのに注力したから、今は普通に活動することはできるし、バッティングに関しては滅茶苦茶凄いから期待していいよ」

 

 らしい。

 

 いや、とんでもないメンバーが揃ってきたな……。

 

 他のメンバーも遠投してみたが、俺はビリから2番目の65メートル。

 

 ビリは野口だった。

 

「とまぁ、初日ということで、後は私達が教える柔軟体操やアップ、そしてクールダウンのやり方を覚えてもらいます! そしたら風呂、マッサージ、そして食事! 寮生活だから自主練もできるけど、素振りかシャドーピッチングくらいしか駄目ね。あ、ティーバッティングとかしたからったら私達呼んで! アドバイスするから」

 

 というわけで、マネージャーの野球星人の女子達を踏まえてクールダウンをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 カッポン

 

「風呂広! え! こんな広い風呂俺たちだけで使っていいの?」

 

「男子専用の風呂場だってさ! 今後を見据えてデカいの立てたらしいぜ」

 

 スーパー銭湯並みに広い浴場であり、洗い場も40人が同時に洗える様になっているし、それに伴って風呂場も滅茶苦茶広い。

 

 20人入れる広さの長方形の風呂が3つ連結されていた。

 

 それぞれ水を入れる蛇口が付いており、温度調整もできる。

 

「めっちゃ贅沢じゃんここ……いやぁこれだけでも入学して良かったって思うな!」

 

「僕もそう思う」

 

 体を洗って風呂に浸かりながら高校生が集まってすることといえば恋バナである。

 

「お前さんら、マネージャー達に惚れてここに入学したってのもあるんやろ? うちもそうなんやけど」

 

 忍者の服部がそう切り出した。

 

「確かにそれはある。皆顔面偏差値高いよな」

 

「水星さんだっけ? 彼女以外胸デカいよね」

 

 見た限りになるが胸の大きさ順は顧問>爆乳の壁>赤星さん=恋星さん>あかり>巨乳の壁>黒星>美乳の壁>>>水星さんとなる。

 

「顧問あれで20超えて魔法少女やってたはだいぶやべぇだろ。少年達の性癖ぶっ壊れるわ」

 

「日朝では流せない絵面だわな。絶対深夜帯だわ」

 

「夜の魔法少子だわな」

 

 で、確認し合ったところ全員付き合っては無いけど、好意を抱いている相手だって認識を共有できた。

 

「しっかし七星さんだっけか? 罪な女だよなぁ……惚れさせた男が3人もいるなんて」

 

「上林「勇者でいいよ」……じゃぁお言葉に甘えて勇者は異世界帰還者なんだから異世界で付き合ってた子とかいなかったの?」

 

「いやぁ……勇者討伐に行かされるようなメンバーよ。そりゃ皆屈強な男しかパーティーいなかったわ……」

 

 勇者のパーティーは歴戦の戦士、黒光りしている筋肉神父、そして参謀だった初老の魔法使いの4人パーティーだったらしい。

 

「いや、異世界は行くもんじゃねぇわ。滅茶苦茶辛かったし、何より生活環境が終わってた。現代人が中世の世界行ったら美味い飯はほぼ無いし、食文化も違うし、トイレとかも清潔じゃないし……」

 

 出るわ出るわ愚痴の数々……勇者は魔王を倒して速攻帰還を選んだらしい。

 

「で、魔王との戦いで結構無理やったから古傷が色々あるのよ」

 

「故障持ちってことかいな? そりゃあ無理はできんわな」

 

「忍者君そうなのよ」

 

「うち、服部って名前があるんやけど……まぁ忍者でもええけど」

 

「じゃ僕はあだ名天狗ね」

 

「野口は野口って感じだし、星野は球児でいいか?」

 

「いいよ、よく球児って言われるし」

 

「郷田はゴリラっぽいよな……あだ名ゴリラね」

 

「じゃぁ俺は狐か?」

 

「いや上杉謙信と同じ謙信って名前なんだから軍神とか毘沙門天とか色々あだ名つけられっけど」

 

「名前負けするわそんなん」

 

「軍神って感じでもないよな謙信は……兵長とかは?」

 

「下っ端じゃねぇか!」

 

 そんな会話をしながら風呂から上がるのだった。

 

 

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