『感情の墓標:ディストピア・ゼロ』   作:トート

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第4話:バグの産物(歪みし結晶)

「あはは! 次はどんな風に壊されたい?」

ループの管理端末の光の下、セリカは狂ったように笑い、何万回目かもわからない指を鳴らしました。時間が巻き戻り、カイの肉体が再生されます。

しかし、その瞬間のカイの瞳には、これまでのような恐怖や怒り、命乞いの光さえ消え失せていました。数万年分にも匹敵する凄絶な凌辱の記憶を魂に蓄積し続けた結果、カイの心は完全に摩耗し、ただ呼吸をするだけの「空っぽの人形」に成り果てていたのです。

「……ぁ……」

感情も、涙も失い、ただ床に突っ伏して虚空を見つめるだけのカイ。

その反応のなさに、セリカは急激な焦燥感と、狂気を上書きするほどの致命的な退屈さに襲われました。

「何よそれ……。つまんない、つまんないよ!! もっと泣いてよ! 私に触れられて、汚されて、絶望した顔を見せてよ!!」

セリカはカイの髪を掴んで激しく揺さぶりますが、カイは泥人形のように生気なく揺れるだけでした。

カイを蹂躙することだけで心の形を保っていたセリカの精神は、拠り所を失い、さらなる泥沼の暗黒へと転がり落ちていきます。

その時、彼女の胎内に、おぞましい痛みが走りました。

「……っ!? あ、ああ……あああああッ!!」

セリカはその場に崩れ落ち、腹部を抱えて絶叫しました。

それは、終わりのない殺戮と凌辱の輪廻の中で、セリカの脳内ナノマシンと、カイの中に眠っていたシステムへの深い怨嗟の因果が混ざり合い、強制的に実結した、エデンのルールすら無視した悍ましい妊娠でした。

「いやあああ! お腹が、お腹が裂ける!!」

時間の経過すら歪んだこのループ空間の中で、セリカのお腹はみるみるうちに膨れ上がり、わずか数分という超高速の苦痛を伴って、新たな命が産み落とされました。

それは、美しい赤ん坊などではありませんでした。

生まれた瞬間から、すでに10歳ほどの少年の姿をしており、その瞳はドス黒い虚無の色に染まっていました。親たちの愛など1ミリも存在しない、ただ無限の惨殺と、互いの尊厳を汚し合うことでしか繋がれなかった最悪の肉体の交わりの果て、その「エデンのバグ」そのものが肉体を得て誕生した、新世代の支配者の化身。

その子供(新たなラスボス)は、産み落とされた直後、自らの母親であるセリカを冷酷な瞳で見下ろしました。

「本当に愚かだね、母さん。父さんをどれだけ壊したところで、君の罪が消えるわけじゃないのに」

「あ……、あ……」

子供から放たれた絶対的な威圧感の前に、セリカは恐怖で身をすくめました。

子供が小さく指を鳴らした瞬間、セリカの脳内に、彼女の精神を完全に終わらせる「究極の絶望」が直接叩き込まれました。

それは、前世の記憶だけではありません。自分がカイに与えてきたすべての暴行、そして自分の肉体が彼を無理やり犯し、刺し違えさせたあの地獄のすべてを、「今度はセリカ自身が、完璧な被害者の視点で100%完全に体験させられる」という、魂の凌辱でした。

「ああああああああああああああああーーーッ!!!」

セリカは頭を床に叩きつけ、絶叫しました。

自分の肉体と心が、かつて自分が他者に与えたすべての凄絶な苦痛によって、内側から粉々にすり潰されていく感覚。自分がしてきたことの醜悪さと、逃げ場のない罪悪感が、彼女の魂を容赦なく抉り続けます。

「素晴らしい。これこそが、私を産み落とした因果の味だ。さあ、母さん。君が父さんに強いたように、今度は君たちが私の玩具になる番だ」

子供は冷酷に微笑み、完全に壊れてのたうち回る実の母親の頭を、容赦なく踏みつけました。

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