赤尾の忘れ物   作:節足甲殻

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中の喋り方あるキャラとダダ被りしてる⋯⋯。
投稿のモチベーションになるので是非とも感想や評価などよろしくお願いします!


最終試験

 カモメが鳴き、さざ波が立つ日本の何処かの南の島。その海岸に、変態が二人いた。

 

「⋯⋯⋯⋯カメラが壊れた」

 

「⋯⋯⋯⋯マイクも逝った」

 

 カメラは海水に落ちてしまったせいで火花をあげている。マイクは音を拾わなくなった。

 

「「生きてる意味なんてない⋯⋯⋯」」

 

 どうかそのままくたばっていてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

「えーっとこれじゃない⋯⋯」

 

 多量の鼻血で貧血になって数分間気絶したヒロムは目を覚ましてすぐ何かを探しているようで、残骸となった飛行機の荷台をを漁っていた。

 

「違う⋯⋯あ、あった!」

 

 ガレキの中から引っ張り出したのは自分たちの荷物。ところどころ汚れているが破れたりはしていないようだ。

 

「大、丈夫だな」

 

 中身も無事なことを確認すると、荷物を持って焚き火を囲っている晶たちと合流する。

 

「晶ー!荷物無事だよ!」

「わ、よかった〜」

「2、4、6⋯結構減ったすね。これまだ試験中なんでしょうか?」

「ねぇシンくん〜ヒロムくん〜。あの映画ヤローども探し出して殺そうぜ〜」

「「ヤダ」」

 

 ビチャビチャになった服も無事乾いたようで、それぞれ大きな怪我もなし。この調子だったら続行できそうだ。

 あれだけいた受験生は合計24人まで数を減らし、どれだけ凄惨な状況だったのかがうかがえる。

 

「⋯⋯!」

 

「?晶どったの」

 

「その⋯皆さん無事でよかったって⋯!私、正直生き残れたことが奇跡です⋯!こうなったら皆さん!一緒に合格して、お…おんなじクラスになりましょう!

 

 晶はプルプルと細かに震えて、生き残った喜びを噛み締めているのだ。そして改めて試験に合格すると決意を口にした。

 

「いいじゃん!みんなでいろんな授業やりたい!」

「別に言われなくても受かるつもりだし」

「同じクラス…そうか、学祭とかあんのかな」

「あるぞ。体育祭や修学旅行もある…」

「「へー!」」

 

 さらなる試験を前に、その先のことを思い描くヒロムたち。彼らの実力ならよほどのことがない限り大丈夫だろう。

 

「おーいお前ら!さっきそこで銃弾拾ったんだ!これで俺も二次試験突破だ!」

「シンくん誰あの人?」「お前知ってる?」「さあ」

「一緒にパラシュートで落ちてきただろ!」

 

 

 

 

 そう、よほどのことがない限り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべぇよ⋯⋯人減りすぎだよ⋯⋯」

「まぁ編入試験なんて毎年2〜3人受かればいい方だし⋯⋯」

「ちょっと次の試験はさぁ…、あんまり死なないやつにしない?」

「そうね…」

 

 それから少し経ったころ、島の隅っこのほうで試験官たちがこそこそ話していた。なんでも一次二次で人が減り過ぎたらしく、今後の試験に支障が出るほどらしい。そのため、次は命を奪わなくてもいい内容にするそうだ。

 

「宇佐美試験官長。向こうの人たちもぼちぼち来るそうです」

 

「まじか助かったー。ほいじゃ、次いきますか」

 

 CAの試験官から伝達を受けた宇佐美は他の試験官を引き連れて受験生の前に現れる。

 

「え〜受験生の皆さん、お待たせしました。これから最終試験をはじめる前に⋯追(・)加(・)メ(・)ン(・)バ(・)ー(・)を紹介しまーす」

 

「は⋯?」

「追加⋯」

「メンバー?」

 

“ブオオオオオオン“

 

「わっ」「うっさ」

 

 宇佐美の声に反応するかのように一隻の船が無人島に上陸する。

 

「えーめっちゃ雰囲気ガチだね!てかガラ悪くてこわわわ!」

「うるせぇ⋯キンキン声で喋るな」

「⋯」

 

船から降りてきたのは男2人と女1人。

 

「えーこの3人は最終試験から参加してもらう推薦組の⋯⋯

 

加耳(かじ)くん」

 

厚手の上着にヘッドホン、フライトキャップを被った大柄の男。

 

「虎丸(とらまる)さん」

 

 学生服にキーホルダーをつけたリュックを背負い、白いグラデーションを入れた少女。

 

「軟柔(しなや)くんでーす」

 

 タクティカルジャケットとゴーグルを身につけ、ツンツンと尖った橙色の髪をした無気力そうな少年。

 

「えー緊張ー」

 

彼らが新たに加わり、最終試験が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「推薦組⋯?」

「えー最後だけ受けりゃいいのズルくねー?」

 

 突如現れた3人の受験生。たしかにその辺の受験生よりは強そうだけどアレをスキップできるのはいいなぁ…。

 

「ふざけるな⋯⋯」

 

 お、中年さんもそう思っているのか。にしては怒りすぎじゃない?

 

「納得できるかよ!!俺たちは死ぬ思いでここまでやってきたんだ!それを途中参加だと⋯?舐めてんじゃねぇぞクソガキ!」

 

「「「そうだそうだ!」」」

 

 中年さんの後ろにいた人たちもそう思っているのか、彼を筆頭に10人くらいが抗議している。

 まあ確かにいいなぁとは思うけど言い過ぎじゃないか?推薦って言ってるぐらいだし、彼らは何か特別な事情があるのだろう。

 

「ちゃらちゃらキーホルダーなんてつけてよ!」

 

「!」

 

「だいたいこんなガキどもに⋯“ドンッッッ”」

 

 唾を飛ばしながらキレていた中年さんを長斧を使って一瞬で制圧する少女。⋯強いな、素手だとしんどいかも。

 

「えめっちゃ怒鳴るじゃん!どーした?一旦落ち着こ!」

 

「あー言い忘れてたけどコイツらはなー、現役のプロや殺し屋会社から推薦を受けてここにいる。まぁ実力は折り紙つきってことだ。みんな仲良くするようにー」

「へーい」

「お、いい返事」

「ヒロくん⋯」

 

 先生のように説明する宇佐美さんに返事をしたら褒められた。晶には呆れられた。げせぬ。

 

「虎丸さんも。これ以上人が減ったら困るので急に殺そうとしないでね」

 

「だって先生!私の推しのサカモトキーホルダーバカにされたんだもん!」

 

「坂本って伝説の殺し屋の?」

「今確か懸賞金かけられているって…」

「たまにいるよな殺し屋のファン」

 

 へ〜。アイドルみたいに殺し屋にもファンっているんだ⋯⋯⋯ん?

 

「あれ、サカモトってタロさんの名字と一緒じゃないですか?」

 

「⋯⋯⋯ああ」

 

 やっぱり。シンくんが坂本さんって言ってたし。

 

「そういや髪色とか髪型とか、メガネとか似てますね」

 

「た⋯たまたまだろ」

 

「そーですかね?」

 

 シンくんもタロさんにもはぐらかされている。顔見ないし、メガネ割れて汗をかいてるし。⋯⋯⋯まさかな。

 

「⋯あの「はーいおしゃべりはそこまで。みんな移動するよー」⋯⋯⋯はーい」

 

 先生に邪魔されて最後まで聞けなかった。ちぇっ。

 

「ねぇ、その坂本って人に何かあるの?」

 

 不貞腐れていると晶が話しかけてきたので笑みを浮かべてはぐらかす。

 

「まー、ちょっとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、三次試験はチーム戦です」

 

 移動を開始してしばらく。オレたちは木々に囲まれた森の中にいた。

 

「各自、銃弾を一個選んで開けてください」

 

「なんかハチマキが出てきた⋯」

「俺も⋯」

「私は赤です」

「オレ青」

「赤」

 

 銃弾を開けるとそれぞれハチマキが一枚出てきた。色はそれぞれ違うようで、マフユくんとシンくんは白、晶とタロさんは赤、オレは青色だった。

 

「それではそちらをいまから指定する場所につけてください」

 

 指示に従ってハチマキをズボンの中に3割ほど入れ、残りをダランと尻尾のように垂らす。

 

「なにこれ⋯?」

「なんか猫みたい」

「ちょっと違くない?」

 

「えー皆さんにいまからしてもらうのは⋯

 

チーム対抗Tale Tag(テイルタグ)です」

 

「テイルタグ?なにそれ?」

 

「Tale Tagとは!相手の尻尾を互いに奪い合うゲームで、運動神経・頭脳・チームワークなど様々な能力が問われる新感覚スポーツなのだ!」

 

(((ただのしっぽ取りじゃねーか!)))

 

「チームは7色」

 

 は?

 

「制限時間は二日。範囲はこの森半径10キロ⋯⋯」

 

 後に続く言葉が聞こえない。

 

「敵チームからしっぽを取られた人はその時点で死亡とみなし失格となります」

 

「なんか急にマイルドになったな⋯」

「フン⋯なるほどな」

「え?」

 

「このゲーム、児戯に見せかけてその実…プロの任務を想定したチームサバイバル訓練ってとこか……。腰にハチマキを巻くのは動きの起点となる腰椎を守れということだろう。おそらく米軍の訓練、「SERT」をベースにした殺し屋育成プログラムだ」

 

「「「ッ⋯⋯⋯!」」」

 

 メガネの人の考察で受験生たちは息を飲む。

 

「フン⋯察しがいいのがいるな」

 

(本当は前の試験で人が死にすぎて困ってるだけだけど⋯⋯なんか、いい感じにおさまったな〜)

 

「お前らの試験適当すぎなんだよ!」

「てか、これ⋯⋯」

「あー」

「太郎さん⋯」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

(坂本さんと⋯)

(ヒロくんと⋯)

(⋯晶と)

 

(((敵同士⋯!)))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤダーー!」

 

 

 

 

 緊張した空気が流れているがそんなもん知ったこっちゃないと言わんばかりにヒロムは泣き叫んだ。

 

「晶と敵チームなんてヤダよオレ!ねえ先生チーム組み直させて!」

「ごめんね。運が悪かったとしか⋯」

「うわあああん!」

「おい!ピーピーうるせえぞ!そんなに俺達とのチームが嫌なのか!?」

「すぐ死にそうなモブAとBみたいだもん!」

「「殺すぞ!」」

「晶の敵になんてなりたくないよー!ねぇタロさんか中年の人どっちか交換してー!」

「ヒロくん落ち着いて!」

「はーいそこ静粛に〜」

 

 

 

 

 

「あきらぁぁぁぁぁあ⋯⋯⋯」

 

 晶がなだめることでなんとか落ち着いたヒロムだが、やっぱりイヤなのか晶の腰にしがみついている。

 

「だ⋯大丈夫だよ!太郎さんだっているし、私もしっかりやるから!」

「他チームと結託できたりするから、元気だせ」

「クソッこのメンツか⋯俺が頑張るしかないな!」

 

赤チーム・・・坂本、晶、中年(キルベイビー)

 

「それとこれとは話が別⋯」

「生意気すぎんだろ⋯⋯」

「クソガキが⋯⋯」

 

青チーム・・・ヒロム、町田、陳野

 

「筋金入りだな…」

「どんだけ好きなんだよ」

(すごいな)

 

白チーム・・・シン、真冬、加耳

 

 そのほか四チームは割愛して、それぞれ3人ずつのチームができた。

 

「言い忘れてたけど、武器の使用は自由!制限時間以内にできるだけ多くの尻尾を獲得してください」

 

 ルール説明が終わったところで、各々最終調整に入る。

 

「真冬。仕込み武器は大丈夫か?」

「スペアがあるから平気」

「あきら⋯絶対生き残ってよ⋯。太郎さんはともかくそこのシモヘイヘさんは見捨てていいから⋯」

「キルベイベーだっ!偉人と一緒の名前にしないでくれ恥ずかしいから!」

「大丈夫、絶対生き残るから!ヒロくんも生き残ってね!」

 

「それではよーい⋯

 

スタート!」

 

 JCCに入るため、最後の試験が幕を開けた。

 

「森林戦では地の利が命だ。丘に拠点を作り、罠を仕掛けるぞ」

「「了解」」

 

 状況に適応し、相手を狩るために動く黄色チーム。

 

「え〜なんか体育祭みたいなノリで楽しい〜♪紫組、優勝!的な?」

((かわいい!))

 

 お気楽な空気を醸し出す紫チーム。

 

「あの、シナヤくん⋯だよね?」

「⋯⋯⋯」

「無口なんだな!」

 

 独特な空気が流れるオレンジチーム。

 

「作戦どうする?」

「まかせるわ!」

「サーチアンドデストロイ!」

「「最高!」」

 

 見境なく駆け回る緑チーム。

 

(シン)

(!)

(とりあえず、川の上流付近で落ち合うか)

「⋯坂本さん。今は俺たち敵同士です」

(む?)

「いざとなったら、遠慮は無用です」

 

「俺も全力で行きます!」

(そうか)

 

 自分たちの目的を見据えた上で、戦うことを選んだ赤、白チーム。

 どの行動にも正解はない。最後に生き残り、合格したものが正義なのだ。

 

 

 

「あああ晶ぁぁぁぁぁ⋯⋯」

「チッ、うざってえ⋯」

 

 スタートして数分、ヒロム達青チームは開始地点から未だに動いていなかった。

 

「おい、いい加減にしろよ……ずっとメソメソメソメソしやがって!他のチームはもうどっか行ったぞ!」

「こうしてるうちにもドンドン狩られてんだろ!?」

「わかってるよぉ⋯」

 

 荷物を抱き抱え、涙目のまま晶の名を呼ぶヒロム。当然だがそんな姿を見て、怒りを露わにする青チームメンバー。

 

「別にもう会えないわけじゃないからいい加減シャキッとしろよ!?俺たちも赤チーム見つけたら教えてやるから!」

「はあ!?なんでこんなガキにそんなことしてやらなくちゃならねぇんだよ!」

「俺だってめんどくせぇしやりたくねぇよ!けどコイツがいないと何かと困るだろ!?」

「いらねぇよこんなやつ!後そんなデケェ声出すなよ!見つかっちまうだろ!?」

「あー⋯⋯⋯ねえちょっと」

 

 流石に悪いと感じたのか謝ろうとするも、ヒートアップしてしまった彼らは止まる気配がない。

 

「もういい!俺は行く!一人でも合格してやるからな!」

「そうかい勝手にしろよ!俺も勝手にするからな!」

「ちょごめんって!オレも言い過ぎたし引きずりすぎたから!協力しようよ、これチーム戦だし⋯」

「うるせえんだよクソガキ!だいたいテメェの色恋沙汰とか知ったこっちゃねえんだよ!」

「なんでテメェみたいな奴があんなカワイイ子と仲良くなれんだよ!俺にも出会いが欲しいんだよー!」

「いや知らんし!」

 

 売り言葉に買い言葉。陣野と町田はヒロムの謝罪に耳を貸さず、引き留める彼を無視して2人は別々の方向へ走っていってしまった。

 

「ああ⋯⋯やっちゃった⋯⋯⋯」

 

 ポツンと深い森のなかで1人取り残されたヒロム。とりあえず現状を理解してシガレットを口にしながら反省する。

 

(いっつも、こうだな。晶のことになると冷静さをなくしちゃう。いやモチロン晶のことより優先することなんてないけど、あの人らもこの試験に命賭けてたんだろうな。やらかした⋯⋯それに)

 

「自分のせいとはいえ、流石に1人はしんどいなぁ⋯」

 

 過去の自分に憎み口を叩きながらブラブラと歩く。

 

「できれば合流して謝りたいけど⋯⋯」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ、調子狂うぜ」

 

 俺の名は陣野。伝説の殺し屋坂本太郎を超えるような男になるため、JCC編入試験に受験した29歳。

 狙った獲物は逃さない、孤高の殺し屋だ。

 

「おっ?」

 

 長かった試験も最後。その内容は平たく言えばしっぽ取り。複数人でチームを組み、相手チームのしっぽをとにかくたくさん集めるというものだ。

 

「⋯ンくん、いいの?」

「どのみち固まってたら標的になりやすいだろ」

 

 もちろん俺にも仲間はいた。だが、方向性の違いで俺は1人を選んだ。しかし後悔はない。

 

「やっぱ1人を選んで正解だったぜ⋯!」

 

 お陰様で獲物が見つかったからな!

 

「それに⋯」「おしっ!まずは1本もらいー!!」

 

 

 

"バシッッッ!!"

「ぐへっ!!」

 

 

 

 

 へ?

 なんだ?

 なにをされた?

 完璧な奇襲だったハズだ。

 襲う時以外音を立てずに忍び寄ったのになんで気づかれた?

 あれ?なんかあの木の枝血ついてない?

 

「頼りっぱなしじゃ強くなれねぇだろ」

 

 あっハチマキ取られた。俺死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だ、いやだいゃだ、ゃだ!」

 

 ドクドクと肩口から液体が流れ出ていく。血と気力がなくなっていく。顔も涙と汗と鼻水でぐちゃぐちゃだ。

 

「なして!なんでぇ!」「えーそれ聞いちゃう?」

 

 俺の腕を奪ったその女はいたずらが成功したように笑みを浮かべて獲物を構える。

 

「青って、かわいくない?」

「ヒッ」

 

 

 

 

 

 

ヒヤァァァ!

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯⋯あの人らは死んだと思って動いたほうがいいな」

 

 青チー厶、残り一名。

 

「⋯晶に会いたい」

 

 図々しい奴だ。




はい、一人ぼっちです。自業自得なんだけどね!
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