捕手へのこだわりはある、でもチームの為・自身の試合出場の為なら別ポシションでも・・・
そんな葛藤を持ちながらも時は止まることを待ってはくれない
そんな中、試合後に一軍で動きがあったらしく・・・?
【青道高校 グラウンドへ続く道路 】
「ふ~ん、丹波さんエース降ろされたんだ・・・」
降谷・沢村・白銀でキャッチボールを行ってから1週間が経った
白銀塾に新たに降谷が加わったことで6人に増えた白銀塾
少し走るのは苦手なのか参加に消極的なのだが白銀が「走ったらまた今度キャッチボールに付き合う」と言うと目の色が変わったかのように積極的に取り組むようになった
(白銀は「案外ちょろいな・・・」と思ったのは内緒の話である)
お昼ご飯も食べてこれから始まる午後練のためグラウンドへ続く道を白銀と春市は歩いていた
その中での話題は先週行われた市大三高との試合である
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 青道 | 8 | 1 | 0 | 2 | 1 | 2 | 1 | 1 | 0 | 16 |
| 市大三 | 1 | 3 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 10 |
センバツベスト8の市大三に対し16点を取る猛攻を見せたのだが、同時にその貯金を吐き出すように3年生エースの
何とか勝ったものの、あわや大量リードがひっくり返される危険のある乱打戦になったのである
「あれ・・・ブンちゃん反応薄いね・・・」
「そりゃそうだろ・・・故障明けとは聞いていたけど出られるから登板したんだろ?」
「16点の大量得点が水の泡になる可能性もあったんだからな・・・野手からしたらやる気失せるて・・・」
白銀はそう言いため息を一つ吐いた
「そういや・・・投手は昼イチからブルペンで投げるって聞いたけど春ちゃんはどんな感じなん?」
「いや・・・今日は午後練の時間使って投手のブルペンを視察するって言ってたから野手はフリーかな・・・まぁ何も言われていないし・・・」
春市は午前の終わりに監督が言っていたことを思い出しながら白銀に話す
今日の午後練から新入生の実力を確認するようで、まずは投手陣の確認を行うとのこと
その為東条・金田・降谷はこの場にいないのだ・・・それにあと一人・・・
「はえ~なら久しぶりに二人でのランニングになるか・・・あ、沢村忘れてたな・・・」
「ふふっ、沢村君のことだから陰からブルペンを見てるんじゃない?」
「そんな『家○婦は見た』のようなことするんかいなアイツ・・・」
たわいもない会話をしながら倉庫に着いた二人はその中にあるウエイトベストを持ち出して、いざ昼からのランメニューを行おうとした時だった
「白銀・・・少し聞きたいことがあるのだが・・・」
「あ、丹波さん・・・どうしました?」
後ろから声をかけられたので白銀が後ろを振り向くと長身で細身の青年・・・
先ほど話に出ていた丹波が立っていた
その手にはウエイトベストを持っていた
「このウエイトベストというのは服を着るように着ける感じで良いのか?」
「そんな感じで大丈夫ですよ~!」
「あぁ、ありがとう・・・」
丹波は白銀にお礼を言うとウエイトベストを取り着け、ランニングを行い始めた
「びっくりした・・・ちょうど丹波さんの話をしていたら・・・話聞かれたかな・・・?」
「まぁ、あの時周りに人いなかったから大丈夫じゃないかな?」
「でも、丹波さんの目は前を向いていた・・・周りが心配するほどではないんじゃないかな・・・」
白銀は冷や汗をかいている春市とは対照的にニカッと歯を見せて笑っていた
「・・・と、かっこつけて言ったけども、どうやら来客が来たようだな・・・」
「えっ?それって・・・ってあれ、あの子は・・・」
白銀は不敵な笑みはそのままに意味深なことを言い出したので、春市がその真意を問おうとした時に二人の前に一人立っているのを見えた
・・・白銀に対して人一倍敵対心を燃やしている金丸だった
「おうおう?どうした金丸さんよォ~そんなに睨まなくても良いじゃないっすか~?」
「ぬぐぐぐぐ・・・うるせぇよ!今日はおめぇに用があってきたんだ!」
「へぇ?どういった要件ですかいな?」
「お・・・」
「お?」
「俺もそのウエイトベストを使ったランメニュー・・・混ぜてください・・・」
「・・・そんな敬語で話さなくても・・・俺たち
「う、うるせぇよ!!!」
突然の加入宣言・・・それよりも敬語でお願いされたことに白銀は若干引いたのか一歩後ずさりながら言ったため、顔を真っ赤にしながら怒鳴る金丸
「まぁまぁ照れるなって・・・取り敢えず時間も時間だし、ウエイトベストの着け方を教えるべ」
「話は後で聞くよん・・・ほれほれ」
「あ、あぁ・・・」
「ふふっ・・・(断られると思ったのかな・・・?)」
あれだけ敵対心を燃やしていた金丸からの誘いに断ることなくウエイトベストの着け方を教えようとする白銀に呆気にとられる金丸
春市はそんな金丸の顔を見て噴き出すのを耐えているのであった
【金丸視点】
『片岡監督を漢にするために来ました』
『打つことに関しては誰にも負けない自信はあります!』
初めて会ったとき、監督と親しく話していた姿を見た後に新入生紹介でそんなことを言っていた時から
その後、寝坊して謝らなかった同じクラスの
金丸の印象はそんなところであった
勝手にドロップアウトしてくれた・・・そう思っていた・・・だが
「ブハッ・・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「お~う、金丸・・・無理すんなよ、何ならタイヤ抜きでも良いからな・・・」
「いやっ・・・このまま・・・走りぬくっ・・・!」
「ほっほっほ・・・む、無理しないで・・・ね」
こっちが必死になってウエイトベストとタイヤのダブルパンチの負荷に耐えているのに、白銀は走り慣れたおかげか苦しそうではあるが俺を気遣うくらい位に余力を残してやがる
・・・いや、白銀だけじゃねぇ・・・小湊も同じような状態だ
(くそっ、走り始めの頃はへばっていたじゃねぇか・・・1ヶ月も経っていないのに・・・差をつけられた感じがして嫌だ・・・)
・・・いや、『差をつけられている』って認めたくないのかもしれない
先に白銀とともに走っていた東条も金田もここ最近余裕を持って走れるようになっていたのを自分の目で見ていた
明らかに成長しているって感じる姿をこの目で見ていたはずだ・・・
『ははは、あいつら見習いの奴らと走ってら』
『そんなことして監督の評価が上がる訳じゃないのにな』
『しかも東条たちもあっちに参加してら・・・アホちゃうか?』
それなのに
いや、同じ松方シニアの
やらされているだけ、言われたことをしているだけの自分らとは違って奴らは「ランニング」という一つの手段から全身鍛える事が出来ないか・・・
練習効率を徹底的に洗い出して果てにはメニューまで作り上げていた
俺が白銀の立場だったら・・・そこまで考える事が出来たのだろうか・・・
奴は・・・いったいどんな見方をしているのか
『グラウンド内のみならずグラウンド外で出来る事ってあるかな・・・』
『校外を走るのどうかな?』
『いや・・・それだと周りの目があるし監督が許してくれないだろ』
『それなら校内でペース走するのはありじゃない?』
『おぉ!校内一周やグラウンド一周を一定のペースで走るのとか良いんじゃね?』
『良いね・・・』
夜、誰もいなくなった食堂でランメニューについて話し合いをしていた6人(一人は目を閉じかけていたけど・・・)を見ていて、本能的に「やばい」と感じる事が出来て良かったのかもしれない
今の時点でははるか遠く・・・自分とはかなり離れているかもしれ・・・・
いや、まだ追いつける・・・置いて行かれてたまるか!
(待ってろ白銀、その余裕そうな表情・・・すぐに崩してやるからなッ!)
プライド・・・?
成長する同級生に追いつくためなら・・・プライドなんていらねぇ!
自分のため・・・そしてその先にあるレギュラーという狭き門をつかみ取るため
金丸は走り続けたのであった・・・
【金丸視点 終】
「はぁ・・・ふぅ・・・よ~し、お疲れ様・・・」
「ぜえっ・・・ぜえっ・・・お、お疲れ・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
一通りのメニューを終え、その場に座り込む3人
息は切れているが、余裕を感じさせる白銀
お疲れと一言返すのが精いっぱいな春市
何も言えない金丸
(全身やべぇ・・・筋肉痛になる・・・)
初めて走った金丸はそんな感想を抱いていた・・・だが達成感と同時にいつもの練習では得られないこの感触は新鮮であった
「お~い金丸・・・初日だったけどどうでしたか?」
「ぐぅ・・・ふぅ・・・すげぇ達成感がある・・・もっと早くにやれば・・・」
白銀がニヤニヤしながら聞くと金丸は体を起き上がらせて、正直な後悔を口にした
「・・・遅くはないさ、これからだぞ金丸」
「えっ?」
「いずれ本格的に練習に参加するようになったときにこのウエイトベストのメニューで鍛えた成果が出てくるはずさ・・・」
「『何もやらなかった事への後悔』じゃなくて『これからの積み重ね』が大事だと思うよ」
「・・・・」
白銀の発言に言葉を失う金丸と春市
どんなことを普段から考えていたら高校1年生でそんな考えが出来るのか
「・・・白銀・・・ホントにタメか?」
「うん・・・今の発言、相当年を重ねていないと言えないことだよ?」
「うえっ!?なんでそんなこと言うのさ!おいらはぴちぴちの高校1年生だぞ?」
まさかの留年疑惑ともとれる発言に白銀はショックを受ける
「(・・・なんか俺がガキみてぇだな・・・アホらしいし恥ずかしい)」
普段からあからさまに敵対心出していた白銀の大人っぽさ、器の大きさに自身の子供っぽさを恥じる金丸
「・・・これから・・・よろしくな」
「お~う、人数が多くなると楽しいからね~よろしく!」
「うん、僕もよろしくね」
「・・・おう」
白銀と春市からとびっきりの笑顔で歓迎され、若干顔を赤くして照れる金丸であった
カネマール、白銀塾へ入校で~す
いつも本小説を見て頂きありがとうございます
おかげでたくさんの方に登録・評価を頂いております
舞い上がらず、丁寧に書き上げていきたいと思います
試合回、あと少しかな・・・お待ちくださいね
登録・評価・感想の方お待ちしております!