ダイヤのA~気迫のFull Swing~   作:フリュード

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ついに迎えた1年生対2・3年生の紅白戦

点差関係なく、自分たちの野球をしようという白銀に頷く一年生たち

今、1年生の気持ちは一つになり、試合に臨むのであった


第15話 1年VS2・3年 紅白戦①

【一塁側ベンチ横のブルペン】

 

「ちぇ~あんたと対戦出来ると思ったのになぁ・・・」

 

シュッ!

 

「はっはっは、100年はえーよ!ようやく練習参加が認められたのに対戦なんて早すぎ!」

 

パシッ!

 

円陣が解けた後、ベンチ横のブルペンの方に向かった沢村を歓迎したのはバットを持って今から練習に向かう格好をしていた御幸であった

投げる予定を聞かれ、最後の方かな・・・と話すと御幸がアップに付き合ってくれることになったので、キャッチボールを行っていた

 

「・・・とまぁ言ってはみたものの、俺もちょっと出られるかもって期待はしていたんだけどね」

 

「え?」

 

「俺も同じ捕手として白銀ともう一回対戦したかったなってね・・・去年、綺麗に飛ばされているからな」

 

「あっ・・・」

 

御幸の言葉に沢村が思い出したのは昨年の学校見学時の対戦

 

自分の中ではこれ以上ないボールだったのが綺麗な金属音とともに場外に飛ばされたことを思い出す

 

 

 

「・・・まぁ~あれだけ豪快に飛ばされたら悔しさなんて微塵もないけどな~」

 

「なにぃ~!?捕手としてその発言はどうなんだ!!!」

 

ミットで口元を隠しながらケラケラ笑う御幸に怒る沢村・・・だが次第に表情が真剣な表情になりボールを見始める

 

「・・・でも、俺の今の実力を知る事が出来て良かったって思えたのも一つあるかもっすね」

 

「お?お前そんなこと言えたんだ?」

 

茶化すな!!!これでも考えているんだ!

 

途端に真剣な表情でまともなことを言い出したのもあってか再度弄り始める御幸

弄られてまたも顔を真っ赤にして怒り始める沢村

 

おいおい、さっきから騒がしいな・・・って御幸さん!?」

 

流石にベンチにまで聞こえ始めたのか、若干青筋を立てながらブルペンを見に来た白銀が御幸の姿を確認すると驚く

 

「おぉ~っと主役の白銀が登場だ!」

 

「えぇ・・・どういう事っすか???」

 

「いやいや・・・こっちの話よ・・・てか白銀も今日の試合出るん?」

 

御幸が歓迎しながら先ほどまでの会話の続きで「主役の登場」と言い出したので状況が呑み込めない白銀は頭の上に「???」が出ている状態になる

 

それを察した御幸は即座に話題を切り替えた

 

「あ~そうっすね・・・最初はレフトで出ます」

 

「え?レフトで出るん・・・?それに最初って?」

 

御幸は自身が思っていた回答とは違う答えが返ってきたのと同時に、白銀の自己紹介を寝坊したことで聞いていないためか今度は御幸が頭の上に「???」が出始める

 

「あ、御幸さん自己紹介の時いなかったっすもんね・・・」

「自分、捕手のほかに一塁・三塁・外野が守れるんで、この紅白戦で守れる守備位置に入ることになってるんすよ」

 

「まじで!?親父さんが名捕手だったから捕手一筋だと思っていたわ・・・」

 

予想外のユーティリティ性に流石の御幸も驚愕する

 

「これはどちらかというと大空中学校の方針っすね・・・」

「監督からメイン以外に最低限守れるサブポジションを最低2つは出来る様にしておけって言われてまして・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『バッティングの進化に終わりはない・・・でも守れるポジションが少なければ争いに敗れることでその才能が埋もれることだってある』

『一つのポジションにこだわることも大事だし、ポジション争いも大事だ・・・でも自分の武器である打撃・走塁・守備を生かすために複数ポジション守れるようにしておくと出場できる可能性というのは高くなると思っている』

『守備が得意だという人はその守備へのあくなき向上心を全ポジション守れるようにしてやるという方向にも向けてくれたら嬉しいな』

 

これは白銀が入部した時に蒔田が白銀を含めた1年生に対して言われた言葉である

 

大空中学校は打撃、そして突き抜けた個性を武器とした学校である

 

3年間というのは長いようで短い

でもその中で自分の武器を生かせる可能性がメイン以外のポジションにあるのなら、最低限守れるようにして【試合に出場するための手札】を少しでも多くする

そうすれば試合に出られる可能性も多くなる・・・という考えから蒔田が大空中の監督に就任した時からずっと行っている取り組みの一つである

 

 

 

 

「なるほどね・・・」

 

「まあ捕手は貴方がいますからね~出られるチャンスがあるのなら、自分が出来るポジションで勝負するのみですよ・・・」

 

話を聞いた御幸が感心する中、ケラケラと笑いながら白銀はグラウンドの方を見る

既に投球練習を終えた2・3年生チームの先発である丹波が1年チームの先頭バッター、岡に対して第1球を投げるところであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(すっぽ抜け・・・ボールだろう)」

 

先頭、左打席に入った岡に対して丹波が投げた第1球、三塁ベンチの方へと向かっていると感じた岡が見送る姿勢を見せる

 

と、同時に急激に斜め方向に変化しど真ん中で構えている捕手へと吸い込まれた

 

「・・・・えっ?」

 

これだけ変化するとは思わず、岡は唖然とする

 

「おいおいバットは振らなきゃ打てないぜ~!?」

 

「・・・・!?!?」

 

それに加えて判定はストライク。しっかりとゾーンに入っていたのもあり岡は一瞬にして顔が青くなる

 

 

 

 

 

 

 

 

「カーブか・・・しかも縦に大きく割れる『ドロップカーブ』といったところか」

 

「おっ、さすが白銀・・・すぐに気付いたな」

「あれが丹波さんの代名詞、縦に大きく割れるカーブだぜ?」

 

ブルペン横から見ていた白銀はすぐに変化球を特定する

 

御幸はそれにニヤッとしつつ丹波の代名詞であると伝えた

 

右打者から見て右投手だと斜め方向に逃げるように変化する変化球である「カーブ」

比較的球速がストレートよりも遅い傾向にあり、また打者の視線もいったん上に上がるように浮き上がる感じの軌道を描くので、ストレートとの球速差で打ち取る目的で使用されるこの変化球

 

しかし、カーブから派生した多くの変化球があり、その一つが「ドロップカーブ」である

縦方向に大きく割れる変化球で、球速も比較的速いため打者としてはボールの下を振る傾向にあるこの変化球

 

「あれは初見で捉えるのは厄介だな・・・」

「でも問題はストレートとドロップカーブ以外に持ち球はあるか・・・春で滅多打ちは食らっているのならなさそうだけど・・・」

 

ブツブツと言いながら丹波を分析する白銀

すると不意に御幸の方を向くが御幸は×サインを出す

 

「・・・それは実際の打席で読み取るこった」

「さすがにぺらぺら話すわけにはいかないからな・・・」

 

「ですよね~・・・といったところで岡ちゃん三振か・・・聞いてみますかね」

「御幸さんあざっした~」

 

白銀は御幸に礼を言うとベンチの方へと戻っていった

 

「・・・恐ろしいな、あれだけ分析できるのはさすが捕手といったところだな・・・」

 

「お~い!置いてけぼりにすんなよ~~」

 

「はっはっは~そういうわけじゃねぇって・・・ほれ、もう少し投げなさんな」

 

すると空気になっていた沢村が再度顔を真っ赤にして起こり始めたので御幸は沢村とのアップを始めるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一塁側ベンチ】

 

「岡くんや、どんな感じだった・・・?」

 

白銀は三振して戻ってきた(おか) 健一(けんいち)に投球内容を聞いてみた

 

「あぁ白銀か・・・カーブの後にストレート、その後カーブで三球三振だった・・・」

「そのカーブもすっぽ抜けだと思った瞬間に急激に曲がってミットに・・・」

 

「了解・・・あれだけ変化するとなるとバッターボックスもラインぎりぎりの捕手寄りに立った方が良いかもしれんな」

「バッターボックスの立ち位置だけでも全然見える景色違うからやってみて」

 

申し訳なく言う岡に対して白銀は責めるわけでもなく、バッターボックスの立ち位置についてアドバイスを送る

 

「あぁそれは良いかも知れないな・・・変化し終えてからの方が捉えやすいのもあるな」

 

金丸もそれに賛同し、対戦時に備えて脳内でイメージトレーニングをしていく

 

「後は持ち球だな・・・」

 

白銀はそう言い続く二番、右打席に入った渡辺の打席を見守る

 

既に打席に入っていたためアドバイスが出来なかったのもありベースの前に立ち、丹波の第1球を待ち構える

 

第1球、先頭の岡と同様にドロップカーブを投げる

 

しかし外から食い込んでくる左打者の時とは違い、右打者から見たドロップカーブは体に当たりそうな瞬間に変化する

 

渡辺も例外ではなく、避けようとして派手に尻餅をついてしまう

 

しかしボールは変化し、しっかりとゾーンに入っている

 

「ストライク!」

 

球審の片岡監督がストライクのコールを行う

 

「おいおい尻餅ついてちゃボールは打てないぜ~?」

 

捕手は渡辺に対しても挑発をする

渡辺は顔が真っ青になっていた・・・が

 

「渡辺君~バッターボックスでの立ち位置、捕手寄りに下がって~」

 

「捕手寄り・・・?」

 

白銀の声が渡辺に届く

渡辺は白銀の方を見ながらジリジリと捕手寄りに下がる

 

「バッターボックスのライン踏むくらいね~はみ出ないくらいに!!!」

 

「えっと・・・ここくらいか?」

 

「OKOK!そこで良いよ~!」

 

打者から見て縦に引かれているラインを踏むか踏まないかくらいのところまで下げると白銀からサムズアップポーズが出る

 

(おいおい・・・下がりすぎじゃないか?下手したらボール捕りに行くときミットが当たるだろ・・・)

 

打者が捕手寄りに下がったため、かなり圧迫感を感じる捕手

 

しかしバッターボックスのラインははみ出ていないため守備妨害等の違反行為には当たらない

なので、この状態でもプレーをしていかないといけない

 

続く2球目も初球同様にドロップカーブを要求

 

丹波もそれに首を縦に振り、投球動作に入る

 

振りかぶり投げると、1球目同様に縦に大きく割れるドロップカーブが真ん中に決まる

 

これで0ボール2ストライク・・・だが、1球目と同じ軌道で曲がってきたのに見送った渡辺の表情は若干笑っているようにも見えた

 

 

 

(あれ?さっきよりも遠くに感じて怖さは感じなかったな・・・それにボールが見極めやすかったから打ちに行ったら前に飛んだんじゃないか?)

 

これがバッターボックスの捕手寄りに立つメリットの一つである

 

ホームベースから離れてしまうためゾーンは分かりにくく(?)なるが、それと同時にマウンドから離れる関係でボールをギリギリまで見極めやすくなる

 

丹波のドロップカーブで例えるとベースの前で立つと「ギリギリで変化が始まる」関係で当たる錯覚に陥るが、捕手側に下がることで「曲がり終わってミットに入る前」と見方が変わるためコースが見やすくなる

 

 

ただ無意識にベース前に立つのと捕手寄りに立つのとではこうも劇的に見方が変わるのだ

 

 

「・・・まぁ、当たるかはまた別の問題なんよね」

 

白銀もそこは分かっている・・・ましてや相手は青道のエースナンバーを背負っている選手だ

 

ボールの質など、中学生を卒業して間もない1年から見れば異次元の存在だ

 

「(ただ、しっかりと自分のスイングをすれば何かが起こるはず・・・)よ~し!次な次!しっかりと自分のスイングをしていけよ!!!」

 

白銀は渡辺にベンチからエールを送ると、渡辺もこくりと頷く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(くそが・・・一年如きに手こずる訳にはいかねぇ・・・)」

 

ドロップカーブで黙らそうとしていたのにムードはむしろ明るくなる一年ベンチに捕手は歯ぎしりをする

 

しかしカウントは0ボール2ストライクと渡辺が追い込まれている状況に変わりない

捕手はどのサインを出すのか・・・捕手のサインに丹波は頷く

 

(ストレートと見せかけて・・・3球続けてカーブ、無様にのけぞれ!)

 

丹波は投球動作に、振りかぶってカーブを投げる

 

3球続けて同じ軌道で襲い掛かるドロップカーブ

 

(3球続けてカーブ・・・自分のスイングを!!!)

 

渡辺はコースを見極め、スイングを行った

 

バチィ!!!

 

するとボールを打った音でもミットにボールが収まった音でもない、少し鈍い音が響いた

 

同時に捕手がミットがついている左手をブンブン振り回し痛がる素振りを見せた

 

「いってぇ・・・!!!」

 

捕手はあまりの痛みに情けない声を出す

 

(これって・・・バットがミットに当たったってこと?)

 

渡辺も徐々に状況が分かってきた

 

渡辺のスイングの軌道にカーブを捕ろうと腕を伸ばして捕球体制に入った捕手のミットが入り、結果としてバットとミットが当たったのだ

 

「主審!!!」

 

すぐさま白銀は主審の片岡にグーにした左手を右手で叩く仕草を見せると片岡も頷き、白銀と同様に左手の甲を右手でたたく仕草を見せる

 

「インターフェアランス!打者は一塁へ!」

 

捕手を指差してそう宣告すると打者の渡辺を一塁に進む権利が与えられた

 

「よ、よっしゃあ!ラッキラッキー!」

 

渡辺は喜びながら一塁へ向かった

 

 

 

 

「これって・・・打撃妨害すか!?」

 

突然の事態に沢村は驚きながら御幸に尋ねた

 

「あぁ、そうだな・・・打者が後ろに下がって振りにいった事でいつものように腕を伸ばして捕りに行ったところにバットが当たったんだ」

「この場合は打者はボールに対してスイングしに行くのは当たり前の権利だ・・・そこにミットを出しに行った捕手の責任になるから打撃妨害とみなされるんだ」

 

御幸は冷静にそう説明する

 

(・・・捕手側に下がることで打者にとってはボールをギリギリまで見極めやすくなるのと同時に、捕手にとってはミットが打ちに行ったバットに当ってしまうと打撃妨害を取られてしまう)

 

偶然か、あるいは・・・

 

ともかく、この打撃妨害を引き起こした要因を作った白銀のアドバイスにより思わぬ形で出塁することになった




フリュードです

え~・・・頭が追い付いていかないですね
お気に入り件数が気づいたら680件を超えており、総合評価も1000ptを超えまして・・・
何があったんだ状態です

それもすべて皆様に評価していただいたからこそ・・・この気持ちを忘れずにこれからも執筆していきたいと思います

初めての試合描写でした・・・もう少しルールも勉強しながら上手い具合に進行していきたいですね・・・

高評価と感想の方も、どしどし送っていただけると励みになります
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