ダイヤのA~気迫のFull Swing~   作:フリュード

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1回裏、2・3年生の攻撃
あっという間に逆転されてしまったが、最後に東条が投じた手元で沈む謎の球で麻生を打ち取ったことで4点で留めた東条であった

【白銀の成績】
左本②


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第19話 1年VS2・3年 紅白戦⑤

チーム123456789
1年生2 2
2・3年生4 4

 

立ち上がりの1回を何とか4点で食い止めた1年生チーム

 

「くっそ・・・」

 

サードゴロに倒れた麻生は悔しさをにじませながら帽子とグラブを持ちレフトへと向かう

 

(徹底した引っ張り警戒にインコース攻め・・・そこまで徹底されると野手陣も引っ張り打ちを強要されてしまう)

(自分が何とか打てたものの、「1年から何点取れるか」という事しか考えていない今のチームだと足元をすくわれる可能性があるな・・・)

 

サードへ向かう増子はベンチへ引き上げる一年生たちを見つつ現状の2・3年生のベンチ内の状態を見て危機感を覚えるのであった

 

 

 

 

 

(へぇ・・・最後の球はツーシームじゃねぇか?)

(真っすぐに強い麻生があれだけどん詰まりのサードゴロ、手元でかなり動いている可能性があるな・・・)

 

御幸は最後に投げた東条の球を見て真横からではあったが、球種の特定に成功していた

 

 

 

 

【試合前 1塁側ベンチ前】

 

『東条君や、良かったらでいいからさ・・・()()を試してみて』

 

試合前、東条とキャッチボールをしていた白銀は突然東条の元へと駆け寄ったかと思うとボールの握りを見せて試合で投げてみて欲しいと言ったのである

その握りというのは並んだ2つの縫い目に人差し指と中指を置き、フォーシームの握りと同様に親指と薬指・小指で支える感じの握りだった

 

『これって・・・確かツーシームの握りだっけ?』

 

『おぉ~流石東条、知っていたのね・・・』

 

その握りに見覚えのあった東条は記憶を確かに白銀に聞くと白銀は首を縦に振った

 

ツーシーム」・・・正式名称は「ツーシームファストボール」で、先述の握りでストレートと同様に縦回転を掛けて投げることで手元で打者方向(右投手なら右打者の方向)に沈むように変化するストレート系の変化球である

 

ちなみにこの握りでサイドスピン*1を掛ける事でツーシームとは異なる変化をするのが面白い点だ

 

『東条って持ち球はスライダーとカーブだよね?』

 

『あぁ、そうだよ』

 

『東条は変化球も良いしストレートも申し分ない』

『それにコントロールも良いからさ、ゾーンに投げるってなった時に手元で動かすボールがあればゴロも狙って投げられる』

『今後どこまで球速を増やせるかわからないけど、制球力が良いってなるとクレバーな投球って言うのが体現できると思うんだ』

 

『それって・・・状況に応じて球種を変えて打たせて取る事が出来るという感じかな?』

 

『そそ、東条ならできると思うよん~』

 

『ふふ、嬉しいなそこまで言ってくれるのは・・・』

『・・・ツーシームってどんな感じで投げるの?』

 

『ん?この握りでストレートと同じように縦回転を掛けて投げるだけだよ~』

 

『なるほど・・・今試してみてもいい?』

 

『お~う、良いよ~!』

 

白銀に褒められて思わず頬を緩ませる東条

その後、握りと投げ方を確かめた後短い時間だがキャッチボールで感触と握り、回転の掛け方などを確認したのであった

 

 

 

 

 

 

【1塁側 1年生チームベンチ】

 

「ふぅ・・・最後の最後でモノに出来た感じだったな」

 

ベンチに座った東条は手のひらを見ながらぽつりとつぶやく

 

「ナイスピッチ東条!」

 

「白銀・・・サンキュー」

 

白銀が東条の元へ駆け寄りグータッチを行う

 

「・・・最後のツーシームだろ?良い感じだったな」

 

「あぁ・・・最後の最後で良い感じに動いてくれた」

「・・・出来る事ならもう1イニング投げたい」

「ツーシームの感覚がまだあるうちに投げたい・・・けど」

 

そう言うと東条は握り拳を作りながら俯いてしまう

 

「まだ決まったわけじゃないが・・・まぁ交代だろうな」

「ゾーンに投げられていたけど、フルカウントまで粘られているシーンもあったから球数が40球近くになっている」

「それに汗も尋常じゃないくらい出ているからな・・・」

 

東条の「投げたい」という思いは白銀も痛いほどわかる

だが、それで抑えられるほど青道打線は甘くはない

 

ツーシームという武器が増えたとて、2イニング目は下位打線とは言え簡単に抑えられるとは限らないのだ

 

「・・・そうだよ、ね」

 

東条も分かっているのだが、受け入れられないだけに返す声も小さい

 

「・・・ここで終わりじゃないからな東条」

 

「・・・えっ?」

 

「これからもたくさん実戦は行われる・・・何も今日だけじゃない」

「諦めない限り、いくらでも投げられるチャンスはある」

「それに・・・いつでも言ってくれれば自分が受けるよん」

 

「白銀・・・」

 

「ま、起用は監督が決めることだからもう1イニング投げるかもしれないし・・・」

「とりあえず1人でも出たら打順、回ってくるから打つ準備はしておいた方が良いかもね?」

 

「あ、そうか・・・ありがとう、忘れていたわ」

 

「いえいえ・・・もう1イニング投げたい姿勢をきっちり監督に見せることが大事だよん」

 

白銀は東条に笑顔でそう言うのだった

 

「・・・うん、ありがとう」

 

何から何まで世話になっている・・・

 

白銀には感謝しかないと内心思いながら打席に立つ準備をする東条であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシッ!

 

「ボール!」

 

B●●

S●●

O●●

 

「ふぅ・・・あっぶね」

 

「・・・チッ」

 

アウトコースに投じた5球目をバットが出そうなところをギリギリ見送った8番の谷内

 

この一球で仕留めたかったのか舌打ちをする捕手

 

 

 

点差は2点という事で何とか追いつきたい1年生チームの2回表の攻撃だったが・・・

6番牧野はファーストフライ、7番長岡はサードゴロと共に凡退に倒れあっという間にツーアウトになってしまった

 

だがバッターボックスの後ろに立つ作戦が効果を発揮しているのか、この回はバットに当てて凡退となっており三振が無い状態である

とは言え・・・結果に結びつくわけでもなくアウトになってしまっている状況である

 

「フゥ・・・」

 

一旦バッターボックスから外していた谷内は左バッターボックスに入り、バットを肩に乗せて深呼吸を行い精神統一を行う

 

谷内も際どい所は全てカットをしており、何とか塁に出ようとしぶとく粘っている状況である

 

「・・・プレイ!」

 

バッターボックスに入り、打つ構えに入ったのを見た主審の片岡がプレイ再開のコールを行う

 

コールを聞いた丹波はサインを交換した後、振りかぶり投球モーションに入る

 

「・・・ふしっ!」

 

声を出しながらボールを投げる丹波

 

投げたボールはアウトローに構えていた捕手のミットに向かっていく

 

(ちと微妙なところ・・・当たるかっ・・・!?)

 

キィン!

 

「ファール!」

 

B●●

S●●

O●●

 

ベース上に入っていそうな際どいコースに投じてきた為、谷内も必死にバットに当ててファールにする

 

「おっしゃー!見えてるぞ谷内ぃ!」

 

「ナイスナイス!」

 

一塁側のベンチから谷内へエールが飛ぶ

 

「よし、見えている・・・簡単に三振しないために一球一球粘っていく・・・」

 

持っている金属バットのロゴマークを見て集中しながらブツブツと呟く谷内

意地でも三振をしないように軽くスイングを行いイメージを脳内で組み立てる

 

(・・・東条への声掛けだってホントは俺がやるべき仕事なのに・・・)

(全然自分の事で精一杯な中であいつ(白銀)は周りが見えている)

(同じ捕手として尊敬するし・・・かと言ってこのまま置いて行かれたくない)

 

脳内に浮かぶのは谷内と同じ捕手を本職としつつ、この試合レフトで出場している同期の白銀

 

(・・・今回入部した捕手陣の中では唯一の左打者なんだ)

(丹波さんのボールはしっかりと見えている、後はコンタクトのみ・・・)

 

谷内は打席内に入ると、今まで両足のつま先がバッターボックスのラインと平行になるスタンダードスタンスだったのを左足を後ろに下げてオープンスタンスにした

 

(ここまでインコースに来ていないからこそ・・・窮屈にならないようにしつつ粘っていく)

 

ここまで真ん中から外での配球が多かった2・3年生バッテリー

谷内は前の回で高津が窮屈に三振をしていたのを見て、足を開いてインコースへの対応を強化する

 

中学時代はクリーンナップを任されていた谷内

持ち味である打撃を存分に生かそうと谷内なりに考えた対策である

 

(ほぉ・・・ならお望みどおりに)

 

捕手は谷内のバッティングフォームの変更に気が付いたのか、インコースにカーブのサインを出す

丹波も首を縦に降り、投球動作に入る

 

(あとはコースに気を付けつつ・・・ストライクゾーンに来たボールを振っていく!)

 

「・・・んっ!」

 

丹波はインコースに構えている捕手のミットにめがけてボールを投げる

 

(上に上がった・・・カーブだ!)

(まだ溜めろ・・・曲がり終えてゾーンに来たところを・・・打つ!)

 

カキィィィィン!

 

「おぉ!久しぶりにフェアゾーンに上がったぞ!」

 

谷内の打球は内野の頭を超え、外野の方へと延びていく

その打球を見て観客も歓声を上げる・・・が

 

「くっそ・・・」

 

力ない打球が外野に上がっていくの見て谷内は自身の悔しさが声となって表れる

 

 

パシッ!

 

 

「あぁ・・・ライトフライ・・・」

 

観客も久しぶりに外野へ行った打球がライトフライになったことで落胆の声が上がる

 

何とかチャンスを作りたかった1年生だが、三者凡退となり攻守交代となる

 

「・・・」

 

ネクストバッターズサークルにいた東条はヘルメットを外し、投球練習の為に準備をしようとしたところを片岡に声を掛けられる

 

「東条、交代だ」

 

「・・・監督、もう1イニング投げさせてく「駄目だ」っ・・・」

 

まだ投げたい東条だったが、監督から有無も言わさない感じで降板を告げられる

 

「・・・白銀に言われなかったか?」

 

「・・・1イニングで40球以上投げているのと、汗の量が尋常じゃないって言われました」

 

「そうだ・・・出来る事なら打席も見たかったが、無理して投げて身体を壊してしまっては意味がない」

「それに2・3年生相手にこの時期で1回4失点は十分だ」

 

「監督・・・」

 

「後は自分の課題とどう向き合うか・・・日々の練習に活かすんだ」

 

「・・・はい!」

 

東条は片岡からの熱い言葉に返事を返す

その顔には先ほどまでの悲痛な表情は消えていた

 

 

「丹波・・・お前も交代だ」

 

「えっ・・・?」

 

次に片岡は丹波に声をかける

 

「白銀にホームランを打たれたが・・・あとの打者をしっかりと抑えてくれた」

「夏までに状態をきっちり上げて欲しい・・・だがな」

 

片岡はそう言うと丹波の方へ顔を向ける

 

「初回のホームラン・・・何故打たれたのか、しっかりと考えろ」

「考えたうえで、今後の練習に活かすんだ・・・分かったな?」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ・・・監督も優しいね」

 

「うん?どうしたの白・・・っ!?」

 

沢村は白銀が準備をしながらボソッと何かをつぶやいたので白銀の顔を見た瞬間、凍り付く

眼のハイライトは消え、明らかに怒っている雰囲気を醸し出しているのだ

 

「理由はどうであれ、この2年間変化球を増やすという努力を怠った3年にまだチャンスをあげるんだ・・・」

 

「し、白銀さん・・・?」

 

「ん?あぁ、沢村のことを言っているわけじゃないから安心してくれい・・・今のところはね」

 

「い、今のところは!?」

 

あのハイライトのない怖い顔が自分に向けられると思うと・・・沢村は背筋がぞくっとした

 

「・・・3、4球種」

 

「え?」

 

「投手は・・・ストレートを含めて最低3、4球種は身に着けて欲しいって思っている」

「中学野球ならツーピッチでも良いんだけど、高校ではそうはいかない」

「ましてや一発勝負の高校野球では次は無いからな・・・真っ向勝負も大事だが、日頃から勝つための投球を考えて欲しいかな」

 

打者のレベルが上がっている現代において、やはり狙ったコースに意図した通りの球を投げる「コマンド能力」というのが求められてくる

その為、変化球が少ない投手というのは1イニングのみのリリーフ投手なら悪くは無いのだが、選手の枠も多くない高校野球に於いてロングリリーフというのがマストになる

最低限はストレート含めて3球種は使えるようにしておかないと高校野球では通用しなくなっている昨今である

 

「勝つための・・・」

 

白銀の持論に沢村は反復するようにつぶやくのと同時に片岡から選手交代が告げられる

 

「よーし、投手と一塁手と外野3人を交代する!白銀、お前はファーストへ入れ!」

 

「ウイッス!」

 

「!!!」

 

白銀は返事を行い、黒のファーストミットを持ち守備に就く準備をする

 

一方、投手も交代と聞いた沢村は片岡に「俺ですか?」と自分を指さしてアピールする

 

「ふん・・・良いだろう!お前も守備につけ」

 

「おっ・・・」

 

「!!!!おおおおおお!!!!ありがとうございます監督様~~~!!!」

 

沢村はそれを聞き嬉しくなってつい号泣してしまった

 

周りの同級生は何事だとざわざわし始める

 

御幸は沢村の出番に小さく声を出す

 

「良かったな沢村・・・後は頼むよ」

 

東条は沢村にエールを送るが、一方でしぶーい表情をしているのは白銀

 

「沢村・・・言っておくが監督は「守備につけ」と言ったのであって「投げろ」とは言っていないからな」

 

「えっ!?そ、それって・・・」

 

白銀は先程の会話から読み取った違和感を沢村に伝えると沢村の表情はみるみる変わっていく

 

「そうだ・・・お前はライトに入ってもらう」

 

「へ、へ!?ら、らいとぉ!?」

 

「まぁ・・・そういう事だ、グラブ持っていくぞ」

 

「そ、そんな・・・俺ライトなんてやったことないよォ・・・」

 

「そのためにファーストに俺がいるんだろうが・・・指示は出すから安心しろ」

 

やったことない未知のポジションに震える沢村に白銀が安心させようとサポート役を買って出る

その為のファーストへのシート変更なんだろうか・・・とも思う白銀である

 

「お、おう!頼みます白銀先生!!」

 

「先生じゃねぇって・・・ま、その意気だぞ沢村・・・さ、行くか」

 

そう言うと白銀と沢村は意気揚々とグラウンドへと駆け出して行ったのであった

 

 

 

 

 

「おぉ~さすが白銀君、選手を鼓舞してチームを引っ張る姿は中学時代から何も変わらんなぁ・・・」

 

その姿を見て中学時代と変わらないなぁと一塁ベンチで座りながら微笑む少年がいた

*1
利き手の手のひらを一塁側・三塁側に見せるように上から横に回転を掛けるように投げる事




フリュードです

漸く出来ました・・・そして最後に出てきた少年とは・・・?

あまりオリキャラを出すと既存のキャラが出られなくなる可能性もあるため、あまり出さないようにはしていきたいですが・・・どうでしょうか?

せっかくパワプロタグも着けているので、山道とか田中山とか個性がありつつ渋い選手を出したい・・・少し考えます

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白銀のパワプロ能力を作成いたしました
これを作ったことで冒頭のプロフィールのお話をどうしようか迷うこの頃()

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