ダイヤのA~気迫のFull Swing~   作:フリュード

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2回表、何とかチャンスを作りたい1年生チームだったが三者凡退に抑えられてしまった

そして、ついに沢村が出場するが・・・投手ではなく外野での出場だった

落胆する沢村を励ましながらファーストに就く白銀とともに出場を果たす

【白銀の成績】
左本②


【挿絵表示】



第20話 1年VS2・3年 紅白戦⑥

チーム123456789
1年生20 2
2・3年生4 4

 

チャンスを作りつつ同点に持ち込みたかったが、三者凡退に終わった1年生チーム

 

1北村
2長峰
3高津
4白銀
5金丸
6沢村
7長岡
8谷内
9田中山

 

この回から投手・外野が交代となり以上のように1年生のオーダーが変更となった

 

「この田中山って誰だ・・・聞いたことないなぁ・・・?」

 

「凄い平凡な名前だなぁ・・・名前も「太郎」だし・・・」

 

「中学はバス停前中学校って・・・野球部弱い所じゃなかった?」

 

次の回から東条に代わり田中山(たなかやま) 太郎(たろう)がマウンドに上がるのだが、あまりにも平凡な名前と顔つきもパッとしない風貌に観客は首をかしげていた

 

「誰だアイツ・・・あんな奴1年生にいたか?」

 

「さぁ・・・部員が多すぎるから顔がまだ分かっていないんだよなぁ」

 

「・・・・・・」

 

3塁側の2・3年生チームのベンチでは次に登板する田中山を見て、存在を知らなかったのか首をかしげながら話し始める

 

一方で無言で腕を組みながら田中山の投球練習を見ていたのは3年生の滝川(たきがわ)・クリス・優である

その瞳には何を感じているのか、言葉を発さないので読み取れないが・・・若干懐かしさを感じる表情でもあった

 

(・・・まさか、同世代では有名な東条君の次に投げるなんて)

(取り敢えず、白銀君が言っていたように持ち味を出していかないと・・・そんなにこれというものは無いんだけど)

 

若干自虐が入りつつも田中山はロジンバッグで滑り止めを施してから投球練習を行い始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・フッ!」

 

 

バシッ!

 

「ストライク!」

 

B●

S●●

O●

 

「・・・くっ!」

 

9番は投手の丹波だったが、小野(おの) (ひろし)が代打として出場する

 

その小野がボール球に手を出してしまい、2ストライクとなる

 

「くっそぉ~振ってしまった・・・」

 

ブツブツ言いながら小野がバッターボックス上で構えると同時に田中山が投球モーションに入る

 

(おいおい・・・早すぎるだろ!?)

 

「・・・ッシ!」

 

テンポの早さに驚く小野だがタイムを取っていないため投球は継続される

 

ノーワインドアップでグラブを左足の太ももに当ててからスリークォーター気味に投げた田中山のボールはゾーンから外れ打者の顔と同じ高さに浮いてしまった

 

「ボール!」

 

B●●

S●●

O●

 

当然判定はボールである

 

(テンポは速いのにコントロールがばらつく・・・的が絞りずらいな)

(これにフォークがあるんだよな・・・この回の先頭もそれで空振り三振に取られたし)

 

一旦バッターボックスを外した小野は本職の捕手らしく、田中山の投球スタイルを分析する

 

コントロールはばらついているが、スピードも130km/h後半出ているのに加え下方向に落ち空振りが取りやすいフォークが投げられる

前の8番打者はテンポよく投げられ情報がまとまらない中でフォークを振らされて空振り三振となっている

 

(自分の間合いに引き込みたいんだがなぁ・・・)

 

小野はちらっとマウンドを見ると、田中山がすでにノーワインドアップで投球準備をしており、プレイ再開のコールが掛かればいつでも投球可能という状態であった

 

(徹底してやがるな・・・)

 

田中山の状態を見て苦虫を噛んだような表情になる小野だが、何時までも待たせるのは良くないためバッターボックスに入り構え始める

 

「プレイ!」

 

片岡がプレイ再開のコールを行うと同時に田中山は投球モーションに入る

 

(やっぱり・・・!)

(どれが来る・・・ストレート?フォーク?)

 

読み通りコールと同時にモーションに入るのを見てやはりかという表情になる小野だが、まだ投げるまでに考える時間はある・・・狙い球を定めようとしていたのだが

 

(・・・同じタイミングでは投げないよ~だ)

 

田中山は内心ほくそ笑むと同時に本来上げる左足を上げずにそのまま捕手方向へまっすぐ出した

 

所謂「すり足投法」というものである

 

「なっ・・・!」

 

ここへきて投球フォームを変えてきた為脳内はパニックになる小野

 

「・・・シッ!」

 

田中山が投じた一球は今回は運よく内角低め(インロー)へと向かっていく

 

(やばい・・・左足を上げると思っていた・・・!)

(差し込まれる・・・)

 

考える時間もなく投じた一球に完全にタイミングを外された小野

それでも流石バットを振り込んできたからかフォームは崩れているが本能的にバットを振る

 

ガギィ!!!

 

しかしバットの根元で打ったため三塁方向へボテボテのゴロとなった

 

「くっそ・・・深めに守っていたから捕るまでに時間が・・・!」

 

しかしそのボテボテのゴロが1年生チームの定位置である後退守備が仇となった形となり、慌てて深めに守っていたサードの金丸が全速力で捕りに行く

 

(くっそ・・・微妙な所に)

 

捕手の谷内もサードの守備位置を確認し、慌ててボールを追いかけようとする

 

「OKOK!僕が捕る!!!」

 

その時、田中山が一際大きい声を出して三塁方向に転がっているボールを捕りに行く

 

投げ終えてから捕りに行くまでが流れるようにスムーズな動きであった

 

「やばっ、変なタイミングで捕っちゃった・・・」

 

捕りに行ったはいいが、バウンドするかしないか微妙なタイミング(ショートバウンド気味な感じ)でボールを捕球してしまった田中山

 

(上から投げるには時間がかかる・・・ここは!)

 

一瞬の判断で田中山は捕球してすぐにアンダースローでファーストに投げる

捕球から送球までが非常に早く、「当て捕り」にも見えるほどだった

 

「(おおっ、良い送球が来たっ・・・!)」

 

捕球体制が悪かった中でストライク送球が来たため白銀が田中山の投手らしからぬ動きに感心しつつ精一杯足を限界まで開いて捕球を行う

 

 

 

バシッ!

 

「・・・アウト!」

 

際どいタイミングとなったが、判定はアウトとなる

 

「・・・ふぅ~何とか捕球できた」

 

白銀は久しぶりのファーストだった中で、良い送球が来たため一瞬緊張が走ったからか胸をなでおろしていた

 

「おおお!ナイスフィールディング!」

 

「あの投手すげぇ!」

 

よく言えば平凡、悪く言えば地味な風貌から繰り出された華麗なフィールディングに観客から称賛の声が上がる

 

「田中山ナイス!」

 

「サンキュー、マジで助かった・・・」

 

谷内と金丸もすぐさま田中山の元へ駆け寄り感謝の言葉をかける

 

「いやいや大丈夫だよ・・・何とかアウトに出来て良かった」

 

田中山は笑顔でそう答えたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すげーなあの投手、あの身のこなしは内野手並みだな・・・」

「でもなぁ・・・どこかで見たことあるんだよなぁ」

 

もはや観客となった御幸は田中山のナイスフィールディングに感心していたが、それと同時に田中山に見覚えがあったのか記憶から引っ張そうと奮闘していた

 

「あれだけ平凡な風貌だと分からんなぁ~はっはっは・・・」

 

思い出すのを放棄したからか、かなり失礼なことを言っている御幸であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「投球時はばらつくのにストライク送球って矛盾してるな・・・いや、先輩にも一人いたな・・・」

 

小野は脳内で「シャオラァアア!!!」と叫びながらプレーを行う先輩を思い浮かびながらベンチへ戻っていった

 

彼もまた投手時代はコントロールが定まらなかったが、外野に転向してからはストライク送球を連発している

 

・・・活躍するポジションが違っただけの事だろう

 

 

 

 

 

しかし片岡も先ほどの田中山のプレーには目を見張るものがあったのだろう

 

(さながら内野手だな・・・ショート辺りで試しても良いのかも知れないな)

(しかし投手としても140km/h近いストレートにフォーク・・・変化球を覚えたら化ける)

(・・・フッ、今年の投手は良い選手が揃っているな・・・)

 

 

【バックネット前の小屋】

 

「田中山くん、良いプレーでしたね~!!」

 

「えぇ・・・失礼ですが雰囲気がパッとしない感じだっただけに、驚きましたね」

 

太田・高島も先ほどのプレーには驚いていた

 

「しかしバス停前中学ってお世辞にも良い所ではないですよね?」

 

「えぇ・・・なので彼も降谷君と同じく一般入試で青道に来たんですよね・・・え?」

 

1年生の名簿を見ながら二人は田中山の経歴について話し合っていたとき高島が田中山のある経歴を見て驚く

 

「小学校時代は丸亀リトルに所属していたんですね・・・」

 

「えっ!?確かクリスと同じチームじゃないですか?」

 

「えぇ・・・あとでクリス君に聞いてみましょうかね」

 

思わぬところで判明した事実に2人は後で確認を取ることにしたのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「沢村ぁ~!内野ゴロでファースト・セカンドに送球が来るときはカバーに入ってくれ~」

 

「えっ!?カバー!?」

 

白銀が先ほどのプレー時に気付いたことをライトの沢村に伝えていた

 

「そうそう!悪送球が来た場合を想定してファースト・セカンドの後ろに回って悪送球したボールをライトが代わりに捕球するんだわ~」

 

そう、ライトは外野に来た打球を処理するだけでなくファースト・セカンドの後ろに行くような悪送球をカバーリングに行く作業も行わないといけない

その為レフトよりも負担というのが大きくなってくるのだ

 

「えっと、白銀やセカンドの後ろに行けばいいの?」

 

「え~・・・俺たちの真後ろに立つ訳じゃないからな?ファースト・セカンドが捕れないくらいに後ろに逸れたボールを捕れるくらいの距離だぞ!」

 

「りょ・・・了解!」

 

「落ち着いて行けよ~基本的にはエラーはしないようにするから悪送球だけ頭の中に入れておいてくれ~!」

 

やったことのないライトの守備なだけに沢村はパニックになるが、白銀が落ち着いて冷静に指示を出す

 

(いやぁ~・・・沢村君のところには打たせたくないけど次は・・・)

 

その様子を見ていた田中山は不安要素でもあるライト沢村の様子を見て出来る事なら打たせないようにしたいが・・・

次の打者は左打者である1番セカンドの木島(きじま) (れい)

 

(ふ~ん・・・ライト(沢村)の動きが少しぎこちないな・・・)

(引っ張り警戒のシフトに徹底したインコース攻めは変わらないけど、穴になりそうだな・・・)

 

木島もそれには気付いており、ライトが穴だと断定する

 

(どうしような・・・谷内君・白銀君はどう判断するか)

 

田中山も従来通りのシフトではライトに打球が飛ぶ可能性があったため、マウンドのプレートを外して二人の様子を確認する

 

「沢村~もう少しライン際に寄って良いぞ~」

 

「こ、ここか!?」

 

白銀が沢村に細かく守備位置の指示を出す

 

「お~そこそこ~センター・レフトも気持ちライト寄り守って~」

 

『了解!』

 

沢村の守備位置が決まるとセンター・レフトをライト側にかなり寄せる指示を出す白銀

 

「なら・・・金丸・高津も少し後ろ下がってレフトのスペースをカバー出来る感じにしてくれるか!?」

 

それを見た谷内がサード・ショートの二人にもう少し後ろに下がるよう指示する

 

「おいおい・・・そんなに下げて大丈夫なのかよ!?」

 

「大丈夫、田中山のフィールディングならある程度の範囲であれば大丈夫!」

 

「えっ?」

 

田中山のフィールディングなら大丈夫と判断したが、当の田中山は置いて行かれている状況だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして十分にライトのカバーを固めた1年生チームだったが・・・

 

カァン!!!

 

「き、来た!?」

「どっちだ・・・後ろ?前?」

 

流石2・3年生チーム、きっちりライト方向へと飛ばしてきた

 

初めて飛んできた打球にライトの沢村があたふたする

 

「落ち着け沢村!!!打球が伸びるから後ろに下が・・・」

 

白銀がそう叫ぶが・・・沢村はバンザイの体制のまま打球を後ろに逸らすのであった

 

「だぁあああああ沢村ぁああ!?!?!?」

 

白銀が心の底から大声を出したのである

 

「うわぁあああ、バンザイだぁ~~~!」

 

「あれは相当恥ずかしい・・・というか青道でバンザイする奴なんて初めて見た!!!」

 

観客からそう笑われる沢村の顔は・・・恥ずかしさとふがいなさからか、顔を真っ赤にして半泣きであった

 

「沢村!ボール三つ(三塁)だ!!!」

 

白銀は周囲を確認しつつ逸らしたボールを捕りに行く沢村に指示を出す

 

バッターランナーである木島は沢村がもたついているのを確認し、2塁ベースを蹴り3塁へ向かっていた

 

「くっそ・・・だから俺は外野なんてしたことないって・・・くそがああ!!!」

 

恥ずかしそうにしつつも逆切れしながら投げた沢村の送球はまっすぐ3塁へと一直線に向かっていく

地肩は強い沢村が投げた送球の球筋はさながらレーザービームのようだ

 

「おぉ!レーザービームだ!!!」

 

(ま、まずい・・・この軌道・・・)

 

観客はその送球にどよめきが起こるが沢村の球質(ムービング)を知っている白銀は嫌な予感がよぎる

 

案の定、送球の軌道が逸れていき木島の背中に直撃した

 

「ぐふぉおおお!?」

 

木島は腹の底から絞り出すように叫びその勢いのままヘッドスライディングで三塁を陥れた

 

「セ、セーフ・・・」

 

3塁塁審はセーフを宣告した

 

「あああ・・・やっちゃった・・・」

 

白銀は恥ずかしそうにミットで顔を隠した

 

「お、おい・・・今バッターランナーの背中に向かっていくように送球の軌道が変わらなかったか・・・?」

 

「バンザイさせられた報復か!?」

 

「恐ろしい悪魔のような一年が現れたぞ!!!」

 

一部始終を見た観客から笑い声が聞こえ始めた

 

ば、馬鹿な!?!?

 

またしても何も知らない沢村は笑い声が出始めたことにおかしいとおどおどし始める

 

くっくくく・・・腹いて~

 

「へ~・・・面白いねあの子、送球は良かったけど・・・手元で動いている感じなのかな?」

 

(・・・草野球か!)

 

御幸は腹を抱えて笑い転げ、一塁側ベンチから見ていた少年は感心しつつも球質に気付いた感じである

片岡はこめかみに青筋を立ててピクピクさせていた

 

 

 

「うげ~痛そう・・・良い送球だったんだけどね~」

 

田中山は背中をさする木島を見ながら顔をしかめると同時に沢村の送球に感心していた

 

「ま、どうであれ・・・あと1アウト、落ち着いていきますか」

 

沢村同様、弱小校で鍛えられたからかピンチになっても動じる素振りは見せない

 

そう、ピンチになってもやることは変わらない

残りの1アウト、しっかりと捕ればいいのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

2アウト3塁となりチャンスが訪れた2・3年生チームだったが・・・

 

ブゥン!

 

「ストライク!バッターアウト!!」

 

続く2番打者を持ち前のテンポの良さであっさりと三振に仕留めて3アウトチェンジとなる

 

「ナイス田中山!」

 

「いやぁ~OKOK、落ち着いてアウト取れたよ~」

 

谷内と田中山はハイタッチを行い労をねぎらう

 

 

 

いやぁ~沢村君?後でお話ししようか~~~

 

「は、はい・・・」

 

こめかみに青筋を立てながら笑顔を見せる白銀に沢村は顔を真っ青にしながらそう答えるしかなった




フリュードです

東条の次に登板したのは投手能力は平凡だが野手能力が異様に高い田中山くんです

彼には内野手兼投手として頑張ってもらいます()
あの異様に高い野手能力をどう表現しようか考えた時にこういう設定もまた良いんじゃないかなという事で・・・

丸亀リトル→バス停前中学→青道高校という経歴にしました

・・・えっ?これだけ投手増えたら沢村の出番はどうするかって?
タグ通り原作沿いに行くので沢村と金田には頑張ってもらいます

金田と田中山が投球スタイル一緒なんでね、これからキャラ強化でどこまでしていくか
あまり青道ばかり強化するとライバル校はどないすんねんって言われるんで、そこもまた考えていきます・・・

・・・このスコアは原作じゃないという突っ込みはNGでオナシャス
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