バシィ!
「ストライク!バッターアウト!!」
田中山のツーベースによりノーアウト2塁とチャンスを作った1年生チーム
だが続く1番北村・2番長峰と連続三振に倒れてしまい、あっという間に2アウトになってしまった
「あぁ・・・1年生チームもチャンスを作ったんだがもうツーアウトかぁ」
「ここまでヒット打ったのもホームランを打った
「・・・くっそ」
三振に倒れた長峰の耳に届いたのは観客の心無い言葉
自身の三振という不甲斐ない結果も相まって怒りに近い感情が長峰の中でふつふつと湧き上がるのを感じた
「どんまいどんまい!」
「・・・ごめん」
ベンチに戻った長峰は励ましの言葉を送る白銀に謝る
「・・・しゃーない、俺も右のスライダー投手は嫌いなんよ」
「え?そうなの?」
白銀から出た意外な言葉に長峰は防具もそのままに思わず聞き返した
「いやぁ・・・中学時代は外スラにくるっくるバットが回ってたからなぁ」
「・・・あんな前の打席で豪快なホームラン打ったのに何を言い出すのさ」
「おいおいそんな信じられないって顔で俺を見ないでくれ・・・」
ジト目で見る長峰に傷ついたように苦笑する白銀
「まぁ・・・ある程度は練習してきているし、外スラでの対応も研究はしている・・・つもりかな?」
「でも白銀くんならホームラン狙ってるんでしょ?」
「ん〜どうでしょう・・・」
「んなミスターみたいな言い方・・・」
「ははは、まぁ自分もホームランにはこだわりを持っているからもちろん狙うさ・・・」
「ただ中学時代のトラウマがどうなるか・・・かなぁ?」
「おいおい・・・(でもあの白銀くんでも苦手なものがあるんだな・・・)」
冷や汗をかきながら話す白銀に長峰は不安になるものの、あれだけ豪快なホームランを放った選手でも苦手なものはあるんだなと見方が変わった瞬間でもあった
(・・・でも自分は結局結果を残すことができなかった)
(白銀や田中山は打って結果を残しているのに・・・)
「まぁ長峰くん、大事なのは結果を残すことじゃないからな」
唇を噛み締めながらベンチに座る長峰に白銀は優しく声をかける
「・・・でも・・・」
「まぁ分かる、分かるよ・・・結果を残したい、監督に良い所を見せたい・・・そういう気持ちは誰だって持っている」
「でもな、結果は後から付いてくるものだ」
「!!?」
「試合前にも言ったよな?まずは自分の持ち味を、今の自分にできることを表現しようって」
「それをまずはマウンドで、打席で、フィールドで表現する」
「それの積み重ねが「結果」になって自分に返ってくるんだ」
「積み重ねが・・・結果に・・・」
白銀の言葉を反復する長峰
「とはいえ、正直この試合に限れば・・・1イニング・1打席しかチャンスが無い皆と違って最終回まで守る可能性がある自分が言ったところで説得力は皆無かもしれないけどね」
「そーそー、ずるいぞ白銀〜」
「ブーブー!」
「沢村、平井・・・お前ら・・・」
話を聞いていた平井・沢村からブーイングが飛び青筋を立てる白銀だったが、話を続ける
「・・・あんまり落ち込まんでも良いからね、切り替え切り替え!」
長峰に微笑むと白銀は打席に立つ準備をしに長峰から離れていった
「・・・アイツスゲェな」
「はは、変わんねぇよな・・・」
長峰は白銀の後ろ姿を見てそう呟くと、横からがっちりとした筋肉質な体形の少年が長峰と同様に白銀を見て笑みを浮かべていた
「大河・・・『変わんねぇ』って俺達白銀君と面識あったっけ?」
「え?中学時代に秋の東海大会かなんかでうちの中学と大空中、対戦したじゃん・・・」
「んん?そうだったっけな・・・」
長峰は中学時代からのチームメイトである少年・・・
どうやら中学時代に対戦経験があったようだ
「結果的に俺も白銀も2三振してたけど・・・すげぇスイングだったのは覚えてる」
「まぁ・・・大河はパワーあったけどバットに当たらない扇風機だったからな・・・」
「真顔でそう言うのやめて・・・普通に傷つく」
「まぁ、事実だし・・・それに白銀は初打席で結果残しているぞ?」
「・・・あぁ、同じ打撃スタイルだからこそ負けたくねぇ」
長峰が挑発するように鵜沼に白銀の結果を言うと鵜沼は好戦的な目を白銀の方へ向けていた
「まだ背中は見えている、だからこそ俺はここへ入ったんだ」
ぜってぇ、負けねぇ・・・
鵜沼もまた中学時代はミート力こそ低く三振が多かったが、強打の内野手で肩を鳴らした好打者
同じ東海地区で同じ打撃スタイルだった白銀と対戦して以降はずっと(一方的だが)ライバル視している
白銀へ挑戦するという意味でも鵜沼は進路で迷っていた親友の長峰を誘い青道へ来た
「・・・ふふ、まずは試合に出るまでに準備をしておかないとね」
「あぁ・・・そうだな」
長峰はそんな鵜沼の姿に保護者みたいな笑みを浮かべていたのだった
(おぉ・・・どいつもこいつもギラギラした連中が多いな)
その二人の様子を間近で見ていた平井は白銀にあんな好戦的な目を向ける選手がいることを知り、何故か気分が高まっていた
(あの二人も岐阜の名門「清流中学校」で3番・4番だった奴らだしな・・・さしずめ白銀関係で青道に来た感じかね)
そう推理する平井だが、平井自身『全国大会優勝』という実績を持っているのに白銀関係と推理する辺り自分は影が薄いとネガティブになっているのか・・・
(なんだかんだで自分らの代白銀以外に誰がいるのか気にはなっていたけど・・・)
(意外と粒が揃っているし、今後が凄くワクワクするなぁ・・・さっきの小湊君も雰囲気あったし)
(なんか一人がっつり寝てる奴いんけど・・・)
「平井?考え事してどうしたのさ?」
「いや~本職じゃない沢村が先に外野の守備に就いているからどう復讐しようかなって」
「いやいやいや・・・俺は俺でマウンドに上がると思っていたんだよ・・・」
「はは、冗談だって・・・」
白銀・金丸・高津・田中山・沢村・鵜沼・小湊春・(熟睡している降谷)・・・周囲を見渡しながらクセがありつつメンバーが揃っていることから2年後が楽しみになった平井
そしてちゃっかり本職の平井よりも先に外野で出場している沢村をイジるのであった
キィン!
「ファール!」
B●
S●
O●●
連続三振でツーアウトになった1年生チーム
ここで打席に立つのは前の打席は空振り三振に倒れた3番の高津である
(2回目のチャンスを頂いたんだ・・・このチャンスを絶対にモノにする!)
1年生の人数の関係もあって代打も覚悟していたが、そのまま打席に立つ事が出来た
前の打席は不甲斐ない結果に終わったことも相まって気合が入っていた
(さて、前の打席ではインコースへのカーブで三振を取ったけど・・・対策をしてきているな・・・)
片岡からボールを受け取った小野は川上へ返球した後に、打者の高津を見ながら次の配球を考えていく
前の打席ではインコースへのカーブに空振り三振を喫した高津だが、今回は捕手寄りに立ちつつベースから少し離れて立ちインコースへの対応を強化していた
(前の打席では窮屈なスイングになってしまったから・・・これで少しでもインコースに来てもゆとりを持たせたいところ)
高津も何も考えて打席に立っているわけではない
打撃という自分の持ち味を出すために前の打席での反省を少しでも生かそうとしているのだ
(でもそれでアウトコースへのシュート回転するストレートに対応できるかな・・・?)
そう・・・川上は左打者から逃げるように変化するサイドスロー特有のシュート回転するストレートを投げる
ベースから離れた時にそのストレートへの対応はどうしていくのか・・・まだ分かっていない状態である
1球目はインコースへのスライダーを見送りボール
2球目もインコースへのストレートを打ちに行きファールとなっている
(インコースに二つ続けたから、
(それに・・・チャンスでアイツに打席を回したくないって言うのもあるからな)
小野はちらっとネクストバッターズサークルで素振りを行っている白銀を見た
前の打席では先制ホームランを放っているだけに意識するなという方が無理である
(・・・まずは目の前の打者に集中しないとな)
小野は川上にサインを出すと、アウトコースに構える
川上は小野のサインに頷くと投球モーションに入る
(どのボールが来るんだ・・・そろそろアウトコースに来るか?)
投球動作に入った川上を見ながら高津は足を上げてスイングの準備動作を行う
サイドハンドから投げたボールはアウトコースへと向かっていく
(来た・・・アウトコースへのストレート!)
高津は上げた右足をベース寄りに着地させる
(やはり踏み込んできた・・・!!!)
小野はそれを見て想定内の対応だったため、焦ることなく川上のストレートの軌道にミットを構える
川上が投げたストレートは手元でシュート回転しながらアウトローに向かってくる
(届けっ・・・!)
高津はスイングを行い、ストレートの軌道にバットを入れる
ギィン!
バットの先に当たった打球はファールグラウンドをボテボテと転がっていった
「ファール!」
それを見た片岡はファールを宣告する
B●
S●●
O●●
(・・・くそ、バットの先で打ったから手が・・・)
バットの先で打ったせいで、ボールの衝撃が手に来てしまい痺れるような痛みが高津を襲う
(でも、意地でも塁に出てアイツに繋げるんだ・・・)
しかしそれで弱音を吐くわけにはいかない
後ろに控えている4番の白銀にチャンスで繋げる・・・
凡退すればその瞬間、スリーアウトでチェンジになってしまう
その為にもこの打席は意地でも出塁しないといけないのだ
一度打席を外した高津は素振りを行い気持ちを落ち着かせる
「ふぅ・・・よし」
手の感覚を確認した高津は打席に戻り、構え始めるのであった
(・・・手の状態も大丈夫そうだな)
(でもこれで追い込んだ・・・次は)
小野は高津の状態を確認した後、川上にサインを送る
そしてインコースに構えた
小野のサインに頷いた川上は再び投球モーションに入る
(考えすぎるな・・・相手は2球種しかないんだ)
(落ち着いて対応するのみ・・・!)
高津は足を上げてスイングの準備動作に入る
「んっッ!」
若干声を出しながら投げたボールはインコースに向かってくる
(インコースのストレート・・・!!!)
高津はコースを確認すると上げた右足を先ほどとは反対方向のベースから遠い方へと着地させた
幸か不幸か・・・先ほどバットの先に当たった影響かバットを持つ手に力がそこまで入らない状態になったこともあり連動して肩に余計な力が入らない状態になっていた
(あ、すげぇスムーズにスイング出来るかも・・・)
先ほどは逆に力が入りすぎていたのが、程よい(?)感じになったためかボールに対してバットがスムーズに出せる感覚を覚える高津
カキィィィン!
インコース低めに来たストレートをしっかりとミートすると、グラウンダーの強く早い打球が一・二塁間を襲う
(これは・・・飛び込まなあかん・・・!!!)
打球を確認したファースト前園は必死の思いで飛び込むも打球は一・二塁間を破っていった
「おおおお!!!!!」
一・二塁間を破るライト前ヒットが出たことで、盛り上がる一塁側のベンチ
「っし・・・よしっ!」
一塁ベースを駆け抜けた後、ヒットになった事に小さくガッツポーズする高津
これでツーアウトランナー1・3塁とチャンスが拡大した
(くっそ・・・しかもこれで・・・!)
ヒットを許してしまい、小野は苦虫を噛んだような表情になると同時にあの男にチャンスで打席に回ってしまったと恐怖を覚える
「繋いでくれたこのチャンス・・・結果を出さなきゃ漢じゃねぇよな」
チャンスの場面で迎えるは・・・4番の白銀一将
この試合、最大の局面を迎えるのだった・・・
フリュードです
一人一人にドラマが有りストーリーがある
あんまりモブキャラにフォーカスしないで先へ進んでくれと思う人もいるかもですが・・・ご了承ください
・・・とは言いつつもこの紅白戦、どこまで書こうかななんて思っているこの頃
原作同様に沢村が増子に本塁打を浴びつつも次の打者に投げるところで切ろうかと思っています
・・・え?先を言わないでくれ?
すみません、一応原作沿いで話を進めているので・・・許してクレメンス
といったところで・・・お気に入り件数も気付いたら980件を超えました
ひとえに皆様のおかげです・・・ありがとうございます!
お気に入り件数1000件越えが近いという事実に、モノカキを始めた当初は考えもしませんでしたね・・・
これからもよろしくお願いします!
さて、今回のパワプロ能力は田中山選手です!
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【追記】
誤字脱字、ありがとうございます!