「いや〜疲れた〜」
夏期講習終わり机に突っ伏していると芦花が近くに来た。
「真実授業中寝てなかった?」
「ギリギリ寝てないよ〜」
欠伸をしながら眠い目を擦りながらそう答える。
「ホントかな〜」
「そういえば彩葉は〜?」
周りを見渡してみるが彩葉の姿が見当たらない。
「かぐやちゃんと予定あるらしくてさっき帰ったよ」
「そっかぁ〜......大丈夫?」
「ん?なにが?」
芦花がミルクティーを飲みながらそう聞き返してくる。
「最近彩葉がかぐやちゃんに取られちゃってるから」
私がそう言うと芦花が咽せて口を塞いだ。
「ングッ......!なんで」
「親友の私が気付かないとでもお思いで〜?」
芦花の彩葉に対する恋心を気付けない私ではない。なんせ長い付き合いなんだから。
「そんなに分かりやすいかなぁ」
芦花が顔を赤くしながらそう聞いてくる。
「分かりやすいというか〜、あれで分からないのは彩葉ぐらいというか」
見たままの事実をそのまま伝える。
「......え"、他のみんなにもバレてるの?」
裏返った声でそう聞いてくる。
「クラスの8割ぐらいは気づいてるんじゃない?」
なんであれでバレてないと思ってたんだと思いながらそう伝える。
「上手く隠せてると思ったんだけどなぁ......」
「彩葉は人の好意に気付きにくいからね〜仕方ないよ〜」
「そうなんだけどね......そういえば、真実は最近彼氏くんとどうなの?」
芦花が話を逸らすように私の話に切り替えてきた。
「え〜、昨日デートしてきたりとかかな〜?」
「いいじゃん、どこ行ってきたの?」
「スカイツリーと水族館と〜。あと〇ら寿司行ってきた〜」
「いいじゃん、写真とかないの?」
「あるよ〜」
そう言って水族館の写真数枚と彼氏の写ってる写真を芦花に見せていく。
「やっぱり彼氏くん垢抜けしたよね〜」
芦花がそう言ってくる。
「だねぇ〜出会った頃と比べたら結構変わったよね〜」
「まぁ、あの時彼氏くんから相談を受けた時はビックリしたけどね〜」
芦花が笑いながらそう言う。
「私も芦花から連絡来た時ビックリしたよ〜」
__________
1年ぐらい前__
「綾紬さん、お願いがあるんですけど」
芦花が一人で廊下を歩いていると真実の彼氏が声をかけてきた。
「?あれ?真実の彼氏くんじゃん。どうしたの?」
そう言うと彼氏くんが気まずそうに頭を下げてきた。
「ちょっと垢抜けしたくて手伝って貰えないかと思って」
その言葉に芦花の頭には疑問が沢山湧いていた。
「垢抜け?なんで急に、それになんで私?」
「いや、諌山さんってグルメインフルエンサーやってるじゃないですか。それでなんかコメントとか見て彼氏が陰キャって書き込みされてて自分がそう言われるのはいいんですけど、諌山さんがそう言われてるのはちょっと嫌で......。それでどうせなら美容系インフルエンサーやってる綾紬さんに手伝って貰えたらって」
インフルエンサーと付き合うと言うことはこういうことが多々あるものという部分はある。ガチ恋勢だったり色々いる中で付き合っている相手の悪口が書かれていたりとかそういうのも無限にある。
ただ、真実の彼氏にはそれが割り切れなかったのだろう。
「あ〜、コメント見ちゃったんだぁ。真実はこのこと知ってるの?」
芦花がふと気になって聞いてみる。
「伝えてないですね......」
「なら真実にそれ伝えて真実がいいよって言ったら手伝ってあげる。彼氏くんは真実の彼氏くんなんだから真実通さないでそんなことしたら真実が嫌がると思うし」
そう言いながら芦花がスマホで真実にメッセージを送る。
『真実〜、今から教室の前まで来れる?』
『すぐ行く〜』
そのメッセージを確認した後にスマホをしまう。
「それもそうですね......」
真実の彼氏がそう呟いてるとこちらに駆け寄ってくる足音が聞こえた。
「芦花〜呼んだ〜?」
その声に気付き、真実の彼氏ざ振り返る。
「あ、諌山さん」
真実の彼氏が気まづそうな顔をしながら顔をしてそうな顔をする。
「私が呼んどいたんだ〜。それで彼氏くんが真実の動画についてるコメント見て垢抜けしたいから手伝ってくれって言ってきたんだよね、真実が良ければ手伝うけど、どうする?」
「あ〜、見ちゃったんだ。気にしなくてもいいのに」
真美が気まづそうに頬をかく。
「付き合ってて諌山さんが悪く言われるような要素とかは消しときたいから」
「ん〜......なら芦花手伝って〜?買い物行く時とかは私も着いてくし」
真実の彼氏が真っ直ぐ真美を見て言う。
「いいよ〜。ならとりあえず美容室行こうか〜ある程度信用できる美容師の所で私が予約取っとくね」
「お、お願いします。じゃぁ俺そろそろ教室1回戻りますね」
そう言いながら真実の彼氏がそう言いながら教室に向かう。
「......ちゃんと好かれてるね〜」
芦花がそう言うと真実が恥ずかしそうに笑う。
「ビックリしちゃったよ〜」
「嫌じゃなかった?」
「ん〜ちょっと見た時はモヤッとしたけど全部私のためなんだってわかったから。ありがとね?」
「どういたしまして〜」
____________
「まぁ、あれからコメント気にしなくなったし、本人もちょっと自信持てるようになったみたいだし良かったかな〜」
「よかったね〜」
「ただ、最近困り事があってさ〜」
私がそう言うと芦花が興味深そうにこっちを見てくる。
「なになに?」
「彼氏が襲ってくれないんだよね〜」
そう言うと芦花が思いっきり咽せた。
「ゲホッコホッ......一個確認だけど、付き合ってどれぐらい経ってる?」
「1年はもう経ってるね〜」
「それは大切にされてるからじゃない?」
「とは言ってもだよ?私も色々調べて誘ってみたりとか色々試行錯誤してるけど襲ってくれないのはどうなの?ってならない?」
私がそう言うと芦花が急いで口を塞いでくる。
「真実?ここ学校だよ?声大きいよ?」
「でも芦花もそう思わない?」
私がそう言うと芦花が苦笑いする。
「いや......まぁそれはね?」
「でしょ〜?だから最近彼氏が私で興奮しないのかとかそういうこと考え始めちゃってるんだよねぇ」
「それはぁ、無いんじゃない?流石に。大事にされてるってことじゃん?」
「そうなんだけどさぁ......でも、それでもじゃない?」
「まぁねぇ......彼氏くんには言ったりしないの?」
「なんか私からは言いたくないというかなんというか...... 」
「......真実から襲っちゃえば?」
「それで嫌われたら嫌じゃん」
「それはないと思うけどね〜」
「わかんないじゃん?彼氏が好きなタイプがもしかしたらシャイで襲われ待ちの女の子の可能性だってあるじゃん?」
「解像度高いねぇ〜。彼氏くんのこと大好きじゃん」
「......それはもちろん......」
「まぁ頑張りな〜」
「頑張る〜。あ、あとそれとさぁもう一個別で相談があるんだけどさ〜」
「なに〜?」
「今度買い物付き合ってくれない?」
「いいけど、何買いに行くの?」
「ちょっと服をね〜」
「彼氏くんと買いに行かなくていいの?」
「いや〜、ちょっと新しいの買ってビックリさせたいっていうかなんと言うか〜」
「そういう事ね。いいよ、彩葉とかぐやちゃんも誘う?」
「そうだね〜誘おっか」
「じゃぁ私から誘っとくよ。服どんなの欲しいの?」
芦花がそう言うとスマホを開いて気になってる服の写真を見せる。
「一応こんなのもありかな〜とは思ってるんだけど、実際に合わせてみないとなんとも言えないよね〜」
「それはそうだねぇ。そういえば今日は彼氏くんと帰るの?」
「今日は向こう部活だから別かな〜」
「なら帰りス〇バでも寄ってく?」
「あり〜」
そう言いながらスマホで彼氏にメッセージの送信をする。
『今日芦花と一緒に帰るね〜』
『わかった。部活終わったらまた連絡するね』
『りょ〜かい』
連絡が終わりスマホをしまうと荷物を纏める。
「さて、じゃぁ行こっか〜」
芦花にそう言って私たちは教室を出た。
____________
「暑い〜」
ハンディーファンで風を浴びながら道を歩く。
「暑いね〜」
「そういえば今度さ彩葉とかぐやちゃんも誘ってさ〜、海行かない?」
ふと思い芦花にそう提案する。
「ありだね〜。彼氏くんも誘う?」
「彼氏とは今度別で二人で行ってくるから大丈夫〜」
「そっか、それなら夏期講習ない日に泊まりで行っちゃえば?」
「あ〜それもありだけど、ダメって言われそう〜」
「親に?」
「彼氏に〜」
家族が心配するからとか、高校生だからとかでダメって言いそうなのが想像が着く。
「あ〜、まぁでも言うだけ言ってみたら?」
「それもそうだね〜。あ、着いた。芦花何飲む?」
「ん〜、ゆずシトラス&ティーのパッションティー変更のはちみつ追加かなぁ」
「りょーかい。相談乗ってもらったしここは私が出すよ〜」
「いいの?ありがと」
そう言って芦花の分と自分の分の新作のサンシャインパインフラペチーノを注文し、ふじゅ〜ペイで支払う。
「やっぱス〇バは混むね〜」
「そりゃス〇バだもん、いつでも混んでるよ」
「それもそうだねぇ......そういえば彼氏がロリコン疑惑あるんだけどどう思う?」
脈絡なしにそう言うと芦花がまた咽せる。
「ゴホッ......突発的に何?って言うかどう言うこと?」
「昨日水族館行ったって話したじゃん?その時にペンギンの事私っぽいって言ってさ」
「うん」
「ペンギンってなんか子供っぽいって印象あるじゃん」
「うん......うん?」
「それでロリコン?って聞いたら違うとは言われたんだけどさ。それでロリコン疑惑がね〜?」
そう言うと芦花が苦笑いする。
「さ、流石にロリコンはないんじゃないかな〜?」
「だといいんだけどねぇ......あ、呼ばれた」
受け取りカウンターに行って二人分のドリンクを受け取り片方を芦花に渡す。
「はい、これ芦花の分。ご査収くださ〜い」
「ありがと、どうする?外で飲む?席空くまで待つ?」
そう言いながら店内を見渡す。
「いや〜、外でいいかなぁ。多分この様子だとしばらく空かなさそうだし」
「じゃぁ近場のベンチあるところで飲もっか」
「そうだね〜」
そう言って店を出て二人で近くのベンチに向かった。
__________
ベンチに座りセミの鳴き声が鳴り響く中二人でス〇バを飲む。
「この新作のやつ美味しい〜」
「ホントに?私にも一口頂戴?」
「いいよ〜」
そう言って芦花に私の分を差し出す。
「あ、ホントだ、美味しい」
そう言いながら二人でのんびり飲み進めている。
セミの五月蝿い鳴き声と真夏日の日差しに汗が滴る。
「そういえばかぐやちゃん来てから彩葉変わったね」
しばらく飲み進めていくと芦花がポツリと呟く。
「そうだね〜。複雑?」
芦花の恋心を知ってる私はそう聞く。
「ちょっとね。私が彩葉のこと支えてあげられればみたいに考えてた部分もあるけど、でもあそこまで彩葉が変れたんだったらかぐやちゃんが来てよかったとは思うよ」
そう言う芦花は少し寂しそうな顔をしていた。
「素直に言えばいいのに〜」
「好きな人に嫌われたくないでしょ?」
私の言葉に芦花がそう言う。彼氏に嫌われたくない私にはその言葉がよくわかる。
「それもそうだけどね〜。あ、かぐやちゃんからメッセージだ」
通知音がなりスマホを開く。
『真実〜今度タピオカ二郎系ラーメンってやつ食べに行きたいから付き合って!』
『いいよ〜いつ行く?』
『明日は?学校お休みでしょ?』
『いいよ〜じゃぁ明日行こっか。家の前まで迎えに行けばいいかな〜?』
『わかった!待ってる!』
そう言ってスマホを閉じてしまう。
「なんだって?」
「明日タピオカ二郎系ラーメンを食べに行きたいんだって〜」
「そんなのあるの?」
「あるよ〜ほら、これ」
そう言って写真を芦花に見せる。
そこにはちゃんと二郎系ラーメンにトッピングとして色とりどりのタピオカが添えられていた。
「これ凄いね......美味しいの?」
味の反応がつかないからだろう。芦花が困ったようにそう言う。
「それは食べてからのお楽しみってものじゃない?」
「それもそうだね、この後どうする?」
「ん〜......どうしよっか」
そう言いながら時間を見ると午後16時だった。
「彼氏くんに会いに行かなくていいの?」
「まだ向こう部活だよ」
「学校戻って宿題でも進めとく?」
「あり〜」
そう言って私達は学校の図書館に戻った。
____________
カリカリとペンの進める音が耳に鳴り響く。
夏休みと言うこともあり図書館には学生が未だに沢山いる。
紙の捲る音、蝉の鳴く声、エアコンの風が出る音が静かな空間に鳴り響く。
そんな中でスマホのバイブ音が響く。
確認すると彼氏からだった。
『今部活終わったよ』
「彼氏くん?」
「うん、部活終わったって」
「彼氏くんと一緒に帰る?」
「そうしようかな〜」
「なら私は先帰るよ」
「わかった、またね〜」
「バイバ〜イ」
芦花を見送ってから彼氏にメッセージを送る。
『今学校の図書館いるか一緒に帰りたいな〜』
『あ、そうなの?なら校門で待ってるよ』
『わかった、すぐ向かうね〜』
スマホをしまい荷物を纏めて図書館を出る。
__________
「お待たせ〜部活お疲れ様」
「今来たところだよ、ありがと」
そう言いながら彼氏が私の手を握ってくる。
「今日彩紬さんと何してたの?」
「スタバ行って新作飲んできた〜」
「あ〜そういえば新しいの出てたね。美味しかった?」
「美味しかったよ、甘さも控えめだったから多分飲めるんじゃない?」
「なら今度飲みに行こっか」
「うん、あ、そういえば私明日友達とちょっと出かけてくるね?」
「彩紬さんか酒寄さん?」
「ううん、彩葉の従兄弟の子〜なんか今彩葉の家にいるんだって」
「女の子?」
「そうだよ〜」
「そっか、楽しんできてね 」
「ありがと」
そう話しながら私と彼氏は帰路に着いた。
ご査収ください