仮面ライダーフローラー   作:禍津日

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すっかり日の落ちた夜半。遠くの山の方では梟が唄う静かな街路。
そんな明かりも無い歩道を一人の女性が歩いている。
彼女の耳にはコードレスのイヤホンが嵌められており、仮に何か物音がしても音楽がかき消してしまうだろう。
───そう、例え怪物が彼女の命を脅かそうと、物陰から忍び寄って来ていたとしても。
 "それ"は闇の中に紛れ込むように慎重に移動していた。怪物らしい、と言うべきかやはりシルエットは人間のそれとは異なり、街灯に照らされ、一軒家の石塀に浮かび上がる影は正しく異形のそれである。
 今、女性が家屋の角を曲がろうとしている。そしてその背中に怪物の魔手が伸び───。


「・・・やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「ぐおぉ─────ッ!?」

───刹那。
横合いから飛びかかってきた紅い影に突進され、人気のない場所まで一息に吹き飛ばされてしまう。ターゲットの女性は自分が今しがた命を狙われていた事に気づいた様子はない。
 まさか自分の背後で暗闘が行われていたなどとは夢にも思っていないだろう。だから日常に潜む闇に気づく事もなく、いつものように歩き去って行く。
 チッ、と怪物は舌打ちをする。もちろん、獲物を狩るのを邪魔されたからだ。
誰だ、一体自分の邪魔をしようと言うのは・・・。
 何者かの突撃を受けて近くの公園の砂地に投げ出された怪物は、一瞬の困惑から我に返ると、体勢を立て直す。ザリ、と砂礫が剥き出しの足を擦る。そして見る。街灯に照らされてこちらにゆっくりとにじり寄る、不気味な何かを。

それは怪物と同じように人の形をしている。しかし、人間ではあり得ない。月光に透かされキラリと光るのは赤と緑色をした鎧のようなものだ。奴から発せられる"気"のようなものから、限りなく()()()()()()()なのだと直感で分かる。つまり、自身と()()の筈である。
・・・では、何故。こちらが攻撃されなければならない?

「お前・・・、何者だ?」
「・・・・・・」

荒い息を吐きながら怪物は問うた。しかしその影は応えぬ。
ともすると言葉を解さぬのかも知れない。そう怪物は思いかけて、すぐに否定する。
 先程あの人影──目の前のこれを人と形容して良いのならば、だ──は鬨の声を発していたではないか。暫しの間。二人の間に冷たい夜風が吹き抜けていく。
何も言わず、紅い影は少しずつ間合いを詰めてくる。一歩、また一歩・・・。
 ヒタヒタと言う影の黒い脚が地面を踏みしめる足音。それが次第に自分の元へ近づくにつれ、本能的に怪物は恐怖を煽られる。影が迫っているにも関わらず一向に距離が縮まらないのは、言うまでもなく怪物自身が後退っているからに他ならない。
・・・あり得ない。怪物は心中で否定する。
自分は、人間を超える力を手に入れたのに。何故、こんな奴を恐れなければならないのだ。
 怪物は産まれながらの怪物ではない。そう、彼は選ばれ、人間を"超えた"のだ。

瞬間、影が跳躍し、怪物に躍りかかる。その刹那、怪物は見た。
風に靡くマフラー。深紅に煌めき、燃えるような双眸。
 "何か"に圧し掛かられ、堪らず怪物は地面に倒れ伏す。刺すように鋭い、紅い複眼が怪物を射抜く。ここに来て、ようやく影は言葉を紡ぎ始める。いや、吐息なのか。
鉄仮面のようにも見えるマスクの口部から絞り出すような吐息が漏れ聞こえてくる。見た目にそぐわず声音は高い。にも関わらず、ズシンと腹の底に響く圧迫感があった。
 怪物は抵抗するが、足の裏で腹を押さえつけられているため動けない。
影は拳を振り下ろす。したたかに顔を何度も、何度も殴りつけられ、久しく感じてこなかった痛みと共に怪物は気づく。

「・・・覚悟しろ。おまえに手向ける花は、ない」

──狩られる側はこちらなのだ、と。


序幕『萌芽』

金髪の少女『早蕨 加奈』の一日は、腕の中で眠る少年の寝顔を眺める所から始まる。

 時刻は午前7時30分。本来なら枕元の目覚まし時計が鳴るまでにあと30分程余裕がある。

にも関わらず自然と目が覚めるようになってしまったのは、間違いなく加奈の胸に抱き着いて眠っているこの少年のせいだった。

 

───コイツはまた、と少年のふわふわした(純白の)髪を指で梳きながら苦笑する。

少年が眠るための布団は加奈の隣に敷いてあるというのに、気づいたら加奈の布団に潜り込んでいるのだから困ったものだ。

 

心の中ではそう不満を口にしているものの、裏腹に加奈の頬は緩んでいた。

事実、加奈はこの少年──『咲人』の事を愛しいと感じていた。

咲人は見た目だけならば9歳か10歳くらいの子供だ。綿毛のようなふわふわ髪の色は雪景色よりも眩い白。第二次性徴を未だ迎えていない事もあり、目元が長い前髪に覆われると少年にも少女にも見える中性的な容姿だ。

 

──今までの自分ならば、こんな気持ちになる事なんて無かった。変われたのは、変わろうと思えたのは、間違いなくこの咲人と出会えたお陰なのだった。

 

「・・・まあ、夕べは()()()()()()()()()

 

布団の中は加奈と咲人の体温とが混ざり合って熱が籠り、外は真冬の寒さだと言うにも関わらずまるで真夏のようだ。心なしかシーツも寝汗で湿っている気がする。

 たっぷり10分、咲人の身体を抱きしめてその温もりを堪能すると、加奈はそっと布団から抜け出した。もちろん咲人を起こさないよう注意しながら、である。

 ほんのり冷たい床に足先をつけ、部屋の端まで歩く。この狭く埃っぽい部屋では昼も夜も無く、微かに調度品の輪郭が薄闇の中に浮かんでいるのみ。

 

──何故なら部屋の照明は点いておらず、窓際には窓を封印するかの如く分厚い暗緑色のカーテンがピッシリと引かれているため、部屋の中に日光が漏れる心配もない。

 そうしないとならない事情が、()()()はあるのだ。

 

次第に目が暗闇に慣れてくると、ややあって遠慮がちにドアを叩く音がする。

軽くノブを引く。隙間から漏れる冷気に心の辺りがキュッとなる。

ぶっきらぼうな、最近また一人増えた居候の「飯だぞ」という声。

 

「今行くからちょっと待って」

「あんまり遅れンじゃねぇぞ。玲子さんにどやされるのはオレなんだからな」

「はいはい」

「・・・あと」

ドアが閉まる・・・かと思われたが、その寸前で再度ノブに手がかけられる。

 

「今日の朝飯はお前がガキん頃から好きなスクランブルエッグだから、冷める前にガキ起こして来いよ。・・・ったく」

 

何でオレが、と文句を言いながら階段をギシギシ軋ませる音が遠ざかっていく。それを聞き届け、加奈はベッドの中で一人眠る()()()を起こしに向かった。

 咲人は眠りがとても深いのか、ちょっと身体を揺さぶった程度ではピクリともしない。

 

「ほら、咲人。起きなってば」

「ん~・・・んむぅ」

「ったく、もう。なかなか起きない悪い子には、こうだぁ~」

 

布団を全力で引き剥がし、もこもこのクマさんパジャマに素早く手を潜り込ませると、母直伝必殺こちょこちょの刑。軽くすべすべなお腹の辺りをくすぐってやると、たちまちぴくぴくと咲人の白い睫毛が震え出す。

 ──もう少しだ。加奈は意地悪くニヤリと笑った。

キュッとした可愛らしい形のおへそをそーっと撫でると、咲人の身体がぴくん、と跳ねた。

 

「あぅ、あふ────っ!?」

「やっと起きたのか~?」

「ん、んん・・・・・・」

 

咲人が瞼を開け、辺りをキョロキョロと見回す。朝の日差しさえも届かない暗い闇の中、幼子は誰かのことを探そうとしていて。その横顔はどこか寂しそうで、加奈は思わず咲人の頬を優しくなぞる。

 

「ぁ──────」

「・・・おはよ、咲人。今日も良い朝だよ」

 

コツ、と自分の額を軽く小さな額に重ねてやると、その咲人の白い眼の中に柄にもない笑顔を浮かべる加奈が映っていた。

咲人は加奈の──"母"の温もりを感じ、大輪の花が咲くようなとびきりの笑顔を向ける。

 

「おはよう、おかあさん」

 

 

 

 

 

*****

 

「・・・あぁ~、やっとダルい授業が終わったぜ。なあお前ら、飲みに行こうぜ飲みに」

 

終礼が済むや否や周囲の友人に開口一番にそう言い放った青年『香椎 亮介』の頭にスパンと丸めたノートが叩きつけられ、どっと教室じゅうに笑いの渦が広がった。

 それを見て加奈は隣の席に座る友人と苦笑するしかない。

 

「・・・香椎、貴様いい度胸だな。私の目の前でぬけぬけと()()()()()などと」

「やべ」

 

亮介は頭を叩いた下手人─プラスチック製のネームプレートには『佐伯 美紀』と書かれている─が額に青筋を立てているのを見て顔を引きつらせる。

 

「さ、サミッキーはどうすかこの後一軒?俺の馴染みの店なんすけどけっこういけるんすよ」

「誰がサミッキーだ。私は世界一有名なあのネズミか」

 

再度頭を叩かれてその場に蹲る亮介。

佐伯教師ははぁ、と呆れたようにため息を吐きながら丸めたノートでコツコツと自分の肩を叩いた。

 

「生憎私はこの後残業だ。・・・そして私は教え子と盃は交わさない主義だ。たとえ教え子が()()()()()()()()()()()な」

「かーっ、それは言わない約束っしょ。先公が()()()()()の、地味に気にしてんすから」

 

亮介はそう言うと無精髭の剃り残しが目立つ顎を撫でた。加奈や友人が私服であるのに対し、この自称三十手前らしい男はヨレヨレのワイシャツに袖を通していた。亮介はどちらかと言えば生徒である加奈より、胸周りが非常に窮屈そうなパンツスーツに身を包む佐伯教師に近い立場─詰まる所大人─に見えるのだが、立場としては加奈やこの教室に集まる面子と同じ"生徒"なのだった。

 教室を見渡してみても、席に座す面々の服装は作業着姿だったり私服だったりと千差万別である。

 

──市立春原高校。

 

この高校は市内で唯一定時制を採用している高校として評判だ。

そして今現在、時刻は夜九時を回っている。窓の外に見えるのは太陽ではなく、コインのように丸く輝く満月。加奈は訳あってこの高校の定時制の部に通っていた。

 だから生徒と一口に言ってもその顔触れは性別どころか年齢層すら異なる。

加奈より少し年上の者もいれば、子供を育てながら勉強する親や、亮介のような昼間は会社員として務めている者も少なくないのだ。

 

「生徒同士の交遊にとやかく言う趣味はないが、未成年の生徒もいるのだから発言には気を付けるように」

 

佐伯教師はそう締めくくると教室から去った。

教師がいなくなって安堵の吐息を零しながらどかりと椅子に座り込む亮介の姿はとても自分より一回り近くも年上の男とは思えない。

 亮介は加奈の前の座席なので、必然何かとつるむ機会も多いのだが、つい同年代のような感覚で接してしまう。

 例えば──顔の前で両手を合わせて拝む仕草などはかつて通っていた高校の級友のそれを思い起こさせる。その程度には亮介は若く見え──もとい子供っぽかった。

 

「なあ加奈っちよ、頼むから数学のノート写さしてくんねーか?」

「えー。居眠りしてるアンタが悪いんでしょ?加奈に頼むのは筋違いじゃない?」

 

つっけんどんに言ったのは加奈の隣の席の『榛 香織』。年齢は加奈より二つ上で、メイクもネイルもバッチリ決まったパンギャ系なイマドキ女子、といった風貌だ。人付き合いの得意でない加奈にも気さくに接してくれる頼れるお姉さん的な存在である。

 

「けっ、俺ぁ昼間はクソ上司にいびられながらも真面目に仕事してんだぜ。ちったぁ授業中に居眠りするくらい罰が当たらないと思うがね」

「いや、普通に問題でしょ。留年するっしょ、留年」

「だからそれを回避するために勉強しようとしてんだろうが!この女狐!」

「何よこの落ち武者!!」

 

顔を突き合わせて睨み合う香織と亮介。この二人は波長が合うのか合わないのか、口を開けば低レベルな言い争いを繰り返している。年の差も相まって兄妹のようだ、というのがクラスでのもっぱらの評判だ。窓際の席に座る細面の藁科もクツクツと笑声を漏らしていた。

 そんな二人を見て、加奈はため息を吐かずにはいられなかった。

鞄を開き、ノートを差し出す。

 

「・・・亮介君、ほら、これ」

「マジでか!?うぉぉ、恩に着るぜ加奈っち!!今度奢るから飲みに行こうぜ、飲みに・・・ってアイタッ!?」

「もう、アンタはこの・・・バカ!!JKを飲みに誘うとか捕まりたいワケ!?」

「うっせ!ジョークだろジョーク!!・・・にしても、加奈っちも随分変わったよなぁ。前はいけ好かねぇナマガキだったのによ、すっかり更生しちまって。前の加奈っちなら」

 

腕を組んでしたり顔で頷く亮介の横顔が随分と大人らしく見えて──実際大人なのだが──加奈はどきりとした。普段がいくら()()でも、やはりその何気ない仕草一つ取ってみてもきちんとした大人なのだと分かる。けれどそれはそれとして黒歴史を言いふらされそうになって慌てて、

 

「とっ・・・、とにかく!!今度使う時に返してくれればいいし!あと最初の方のページ見たらマジでぶん殴るから!じゃね!!」

 

それだけ言うと逃げるように教室を後にする加奈。

腕と脚を同時に動かすロボットの如き加奈の高速離脱を呆気に取られたように見ていた香織と亮介は意味深に顔を見合わせると、呟くのだった。

 

「ほんと、あの子、変わったよね」

「あぁ。・・・守りたいもんができると、人間強くなるんだよ」

「カッコつけんな三枚目」

「うっせぇ」

 

 

 

 

 

*****

 

「変わった、か・・・。んな事はアタシが一番、分かってるっての・・・」

 

自嘲するように夜風に独り言を溶かしながら、加奈は背中を丸めて夜道を歩いた。

変わったと言われるのもま、なるわな。と加奈は思う。

 

何故ならつい数か月前までは、学校に顔を出す事すら稀な不良生徒だったのだ。

 

理由もなく何かに苛立って、何となく似たような境遇の同年代の少年少女とつるんで無為に時間を浪費する日々。

 あの頃は何をするにも息苦しかった。どこへ行くのにも罪悪感が胸の中でわだかまっていた。

そんな非日常から、自分を日常に連れ戻してくれたのは他の誰でもない、咲人だった。

 

あの指で触れれば消えてしまいそうな、儚い少年と出会ったその日から──。

少しずつ自分の中で、何かが変わり始めていた。

このままではいけないと、そう思えた。

 

 

「あ、雨・・・」

 

感傷に沈む思考を現実に引き戻す涙滴。

それは頬を濡らす雨粒。見上げれば、夜の底から糸を垂らすような細い雨が降り始めていた。

ヤバ、と加奈は口だけでそう形作ると、慌てて走り出す。

雨脚は次第に強さを増し、お気に入りの服が濡れて黒く滲む。

傘、持ってくるんだったかなと鞄を傘代わりに頭上に掲げて走りながら思う。

 

古いアパートの曲がり角。加奈はそこを横切ろうとして、飛び出してきた誰かにぶつかった。

 

「あ、ごめんなさ・・・ッ!?」

 

若い男の身体が()()()()()()()()()()()()()()()。男の体重を支え切れず、加奈は下敷きになる形で雨に濡れたアスファルトに倒れ込む。

 冷たい。その感覚が脳髄を突き抜ける。雨曝しになる自分も──そして自分に覆い被さる男の身体も。死んでいる。直感でそう思った。

 さして恐怖も驚愕もない。・・・そう、これは珍しくもない光景。

 

──この街では、もう随分と前から死神が嘲笑を零していた。

 

ピシ、と男の身体に亀裂が入ったのはその直後の事だった。

 見れば、男の背広から伸びる手が不自然に干からびている。まるで吸血鬼に生き血を啜られた犠牲者のようだ──そんな思考の刹那、男の全身が砕け散る。

 後には何も残らない、完全なる消滅。

 

「・・・ッ」

 

今倒れた男だけではない。よく見れば周囲に何人か身体のひび割れた死体が転がっていた。

 それはまるで戦国乱世の戦場のように。

 

間違いない・・・近くに、いる。

 

 

「・・・お前も、人間か」

 

掠れた声質の声が加奈の耳朶を打つ。

見れば、一本の街灯の根元に怪人が立っていた。滝のように降る雨粒に塗れ、暗緑色の体表が毒々しい輝きを発する。その怪人は以前歴史の授業で見た武士の鎧兜を想起させる出で立ちだ。

全身にハリネズミのように鋭い棘が生え茂り、特に両肩は大きく天に向かって刺棘が屹立している。その手には日本刀を模した外見の武器が握られていた。

 

そして胸部に咲くのは、禍々しく群生する白と黄の小ぶりな()()

 

奴らは人間ではない。人の知性を持ち、人の姿を取っていても騙されてはいけない。

その本質は正しく怪人(バケモノ)である。

人の身を喰らうように咲き誇る異形の花々。それが奴ら──『移植者(プランター)の本性だ。

 怪人──ソーパルメット・プランターは唸るように声を出した。

 

「人間は・・・一人残らず始末する。それが、『組織』の意向である故」

「『組織』の意向・・・ねぇ。アタシにはアンタが人殺しを愉しんでいるようにしか見えないけど」

 

加奈がそう皮肉ると、怪人がヒュウヒュウと呼気を漏らす気配がした。

笑っているのだ、と遅れて理解する。

 

「人間とは儚い生き物よ。その脆弱な肉を切り裂き、迸る血潮・・・。あぁ、やはりこの身体はいい。流石は人間を超える存在として造られただけの事はある。さぁ、お前も我が刀の錆となるがいい」

 

瞬間、怪人が大きく前に踏み込んだ。加奈がその一閃を避ける事ができたのは奇跡としか言いようがない。とにかく体が勝手に動き、鞄を前に投げて咄嗟に横に大きく転がる。

 

剣閃。

 

残像。

 

数瞬遅れて両断された鞄から中身の教科書やノートが雨に濡れたアスファルトの上に投げ出され、ポチャンと音を立てる。

 大事な勉強道具が・・・などと嘆く暇もない。

続けざまに返す刀が振るわれ、浅く加奈の肩を抉った。雷光がその箇所を貫通するが如き激痛。

 

「ぐ・・・う、うぅ・・・ッ」

 

加奈がこうして命を狙われるのは一度や二度の事ではない。

・・・が、今日この時ばかりは最早助からないな、と思ってしまう。

不思議と命を奪われそうになっているのに、死ぬことには驚く程恐怖心がない。

避けられぬ死を前にして、加奈の心は酷く凪いでいた。

 

 

けれど───。

 

「咲人・・・」

 

怖くない?いや、怖い。けれど本当は怖い。怖いものは怖い。

 

そう、咲人を──自分の子をこの世界に一人遺していなくなる事だけは、自分が死ぬ事よりも恐ろしくて堪らない。

 ふざけるな、と加奈は自分で自分を叱咤する。そして一瞬でも生を諦めそうになった自分を恥じた。

 

あの日───。燃え盛る古い建造物の中、咲人を胸に抱いた時。

アタシは誓ったはずだ。この腕の中の温もりを、絶対に手放したりしないと。

たとえ命尽きるとも、最期の一瞬まで咲人を守る。そんな人間に──"母"になると。

 

「・・・クソッ!!」

 

裂けた肩口から鮮血が流れるのも気にせず走る。走る走る走る。

逃げるんだ。一刻も早く、一ミリでも先へ──。

 

「無駄だ」

「ガハッ・・・!?ぅ、ぅぅ」

 

一瞬の内に回り込んだ怪人が加奈の前に立ちはだかり、拳で腹を打ち据える。何度も、何度も。

胃がひっくり返るような重たい灼熱。地面に力なく倒れ込んだ加奈は明らかに弱っていた。

 その身体に凍えるように冷たい雨が降り注ぐ。加奈はか細い吐息を咳をするように繰り返しながら身を捩らせる。たとえ抵抗できずとも、少しでも怪人から離れようとして。

 

「く・・・っ、あた・・・しは、さくと、」

「ただの人にしては良く耐えた。その()()()()に敬意を表し、彼の世へと送ってやる」

 

怪人が加奈の腹部を踏みつけながら、刀を高らかに掲げた。それで一息に加奈の肉体を刺し貫こうというのだろう。加奈は藻掻いた。まだ、まだ。自分には死ねない理由があるから。

 だから叫ぶ。声を出す度に血反吐を吐きそうになっても、何度だって。

 

「その・・・ッ、ただの人にだってさぁ!!生きたい理由とかがあんの!!アンタたちは上位種とか言うけどそんなの関係なくて、マジアンタたちの都合とか知らないよ!ただ、人の人生邪魔する資格なんてアンタらにあんのかよ!?」

 

まさか反論されると思ってもみなかったか、怪人が顔もないのに眉根を寄せた──加奈にはそう思えた。その緑色の腕は怒りに震えていた。ズン、と一際強く腹を踏まれ加奈の呼吸が止まる。

 

「・・・不愉快なり。死ね、愚かで惨めな人間」

 

断頭台から振り下ろされるギロチンのように刀が迫る。

それが酷くスローモーションに感じられる。

 

刃が自分を貫くまであと何秒・・・?咲人は自分がいなくなって悲しむだろうか。亮介君に貸したノート返してもらわないと。

そんな事をぐちゃぐちゃと考えた。

 

 

 

────その時、正義を叫ぶ鋼の騎馬(バイク)が高らかに啼いた。

 

 

「おかあさんからっ、・・・はなれろぉッ!!」

「何───ぐぉ!?」

 

高速で質量体がぶつかってくる衝撃に、流石の怪人も跳ね飛ばされた。

キュロロロ・・・と管弦楽器の澄んだ音のようなスキール。夜闇を眩く照らすヘッドランプ。

そこに立っていたのは、寝間着に着替えていた咲人だった。

 

「・・・咲人、アンタ、何で」

「よかった、間に合った。おかあさん、だいじょ・・・あ、血」

 

何で咲人がここにいるのかは分からない。けれど、もう会えないと思っていた我が子の顔を見て加奈の心から恐怖が消えた。

 咲人を抱きしめる。咲人は恐る恐る、という風に加奈の肩の傷に触れる。

 

「すごい、傷・・・。いたい、いたいの・・・?おかあさん」

「ふふっ、アンタの顔を見たら吹っ飛んじゃったよ」

 

加奈は虚勢を張った。そうしないと咲人が悲しむと思ったからだ。ポンポンと頭を叩いてやると、咲人が嬉しそうに頬を胸に寄せてくる。

・・・うん、アタシは今、上手く母親をやれている。

ひとしきり甘えて満足した咲人は加奈の身体をするりと解くと、耳元で加奈に『すぐ終わらせる』と囁いた。

 

その瞳は今、いつもの淡い白から燃えるような紅へと色を変え、その小さな体に不釣り合いな程の怒りを宿していた。

 

「何なのだこのガキは・・・!?それにそのバイク・・・貴様運転免許は持っているのか!?」

「・・・めんきょ?さぁ、ぼく、こどもだからよくわかんない」

 

加奈の耳に『あたし坊ちゃんに運転させないように頑張ったすからね~。あーねむねむ』とバイクが喋る声が聞こえたが・・・加奈は聞こえないふりをした。

 怪人が苛立ち紛れにゴミ箱を蹴る。そんな子供が見たら大号泣しかねない恐ろしい光景を目の当たりにしても、咲人は恐れない。それどころか怪人を不敵に煽る余裕すらあった。

寝間着のボタンを一つ外し、首に巻かれた鎖を露わにした。

 鎖からは紅い鍵と蒼い鍵、二つの鍵がぶら下げられており、それぞれに薔薇の花とヒヤシンスの花を象ったレリーフが施されている。

 

「・・・ロゼ」

『OK、マイ・ダーリン♪』

「何だ、どこから声が・・・いや、お前は一体」

 

咲人は鎖から紅い鍵を一本引き抜く。そして腰に巻き付けられた拘束具(ベルト)を露出した。

ベルトは横倒しにした花瓶のような形状で、至る所に何らかの植物の蔓が絡みついており、とても有機的な印象を受ける。

 レリーフを一回押し込み、花弁を開かせる。すると周囲に薔薇の香りが漂い始めた。

《RED ROSE 》

 

「おかあさんは・・・母さんは、絶対におれが守る。変身」

 

咲人は掛け声を発すると、花瓶の口に紅い鍵──『ローズライドフラワーキー』を装填した。

《RED ROSE BLOOMING》

ベルトを中心に眩い閃光が迸り、咲人の身体が紅と緑の光に包まれる。

二重螺旋のようなフォトン、それが完全に収まったその時には、咲人の身体は既に"変わって"いた。

 

全身が硬い茶色と黒の外殻のような装甲──花で例える所の花開く前の"蕾"──で覆われた姿。

その名は、仮面ライダーフローラー・ブゥトンフォーム。

シャッターのようなバイザーの奥で、紅い光がチラリと瞬いている。

 

「お前は、もしや我らと同族か・・・?いや、まさかな。だが、姿が変わったとて、それしきの鎧・・・我が刃の前に敵ではなし!!」

 

数瞬変身に怯んだ怪人─ソーパルメット・プランターが躍りかかり、フローラーを八つ裂きにせんと白刃を振るう。だがフローラーは動かない。いや、()()()()

 この姿では機敏に動くという事が極めて不可能に近い。だから避ける間もなく、怪人の魔刃が身体を切り裂き───

 

「何だと・・・刃が立たん!?」

 

刃はフローラーの装甲を傷つける事すらできず、弾かれるのみ。

再度の斬撃。これもフローラーは受ける。今度はピシ、と亀裂の入る音が鳴り響いた。

 

 

──怪人の刀から。

 

「馬鹿な・・・!?」

 

武器が折れ砕けた事に驚愕した怪人が堪らずバックダッシュで距離を取ろうとする。

だが、それを読んでいたフローラーはそれよりも先に重い拳を怪人に叩き込んだ。

 

「フン!!」

「ぐおぉぉっ!?」

 

吹き飛ばされた怪人がブロック塀に叩きつけられて沈む。フローラーはゆっくりと歩き、首根っこを掴むとその鼻面を殴りつける。殴る。殴る。殴る───。

 いっそ苛烈なまでの攻撃に堪らず怪人は呻いた。

 

「母さんに酷い事をした仕返しだ」

「むぐっ!?・・・わ、笑わせるな。あの人間が貴様の母親だと」

「そうだ。母さんはおれが守るんだ。母さんを傷つける奴は、許さない」

「そうか・・・、ク、ハハハハハハ!!!!!!!」

 

怪人は突如哄笑したかと思うと、棘を周囲の地面──フローラーの足元に向けて投擲する。咄嗟に飛びのいたフローラーは怪人を離してしまう形になる。

 

プランターは新しく生やした刃でブロック塀を粉々に切り裂いた。

そして狂ったように笑いながら叫ぶ。

 

「貴様が何者かは知らんが!!私の邪魔をするならもう容赦はしない!!満開(フルブラスト)ォォォォ!!」

「・・・ッ、本気で来るということか」

 

瞬間、ソーパルメント・プランターの身体に変化が起きた。ソーパルメント──ノコギリヤシの鋭い葉が次々と鱗が剥がれるように抜け落ち、花弁が全身を覆い尽くしていく。そしてそこに新生した怪人は無数の葉が羽のような花弁に覆い隠され、天使を思わせる外見に変化していた。

 

プランターは植物の遺伝子を体内に宿しており、満開(フルブラスト)、つまり花の命が最も燃え上がる瞬間を疑似的に再現することで二段階目──更なるパワーアップを可能にするのだ。

 

「遊びは終わりだ。・・・粉微塵になるまで刻んでくれる」

 

獲物の刀は最早日本刀の形状を保っていない。幾重にも棘が重なり刀身が肥大化し、青龍刀の如き大きさに至っている。

 

「ぬぅん!!!!」

 

重い突き込みをフローラーは肩の鎧で受ける。破砕音。見れば、刀身の直撃を受けてフローラーの堅牢な装甲がただの一撃で破壊されてしまっている。

 ──これを身体に直に受けたらまずい。

その焦りが徐々に形勢をプランターの方へと傾けていた。

 

「フン!!どうした!!先程までの!!余裕は!!!!ほらほら、避けないと死ぬぞぉ!」

「く・・・!」

 

プランターは鬼神の如き勢いで刃を振るい続ける。最小限のステップでそれを凌ぐフローラーだったが、反撃の糸口が見えない内に次々と装甲を破壊されてしまっていた。

 

「ハハハ・・・取ったぁ!!」

 

そして遂に、大上段からの一撃を受け止めきれずフローラーが片膝をついた。

肉厚な刃が身体を切り裂かないよう押さえ込むフローラーと、体重をかけて肩口から袈裟切りにしようとするソーパルメント・プランター。

 その均衡は容易に崩れた。徐々にフローラーの肉体に凶刃が潜り込んでいく。

いくら戦士に変身しているとはいえ、その中身は年端もいかない少年でしかないフローラーでは、怪人の筋力に敵わないのだ。

 愉悦の笑みを浮かべながら、怪人は謳うように叫んだ。

 

「さぁさぁ、貴様を斬り刻んだら次はお前の()()だ!!お前の死体を見せて絶望した所を一思いに首を撥ねてやろう!!」

「────何だと」

「む・・・?」

 

不意に、フローラーから発せられる圧力が濃いものになり、ピタリと怪人の手が止まる。

ほんの一瞬だったが、フローラーの身体が大きくなったように見えたのだ。

気のせいか、とばかりに更に腕に力を込めるが、突然腕が動かなくなる。

 

いや、違う・・・。ソーパルメント・プランターは即座に思い直した。

自分の手が止まっているのではない。

 

「そんな事、絶対にさせない────!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ありえん・・・どこにこんな力が・・・だが!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

 

一気に形勢がフローラーに傾き始める。だがあと少し足りない。

 

 

何か、何かあともう一押し─────。

 

 

 

 

 

「・・・負けんな咲人ぉぉぉぉ!!!!頑張れぇぇぇぇぇ!!!!」

「!!」

 

 

 

聞こえた。加奈が・・・母が応援する声が。

 

 

 

「ぬぅぅ・・・、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

「何・・・ぐわぁぁぁっ!?」

 

気合いの咆哮。逆に刀の柄を掴んだフローラーが、そのままプランターを投げ飛ばした。

よろめきながらも立ち上がった戦士はベルトの花瓶を左右に一回転させると、ローズの鍵を捻って()()()()()()

 

《RED ROSE FULLBLUST》

 

瞬間、フローラーの半壊した装甲が全て砕け散り、限界という殻を脱ぎ捨て、新たな姿のフローラーが現れる。

 マスクに突き立つ二本の(アンテナ)。緑色のスマートなスーツ。胸部装甲は紅い薔薇を思わせる形で、そこから燃え上がるような蒸気が周囲に噴き出し雨粒が弾ける。

 

それは人を、遍く命を守る正義の花の使者。

 

その名は仮面ライダーフローラー・ローズブルーム。

 

腰を低く落とし、その鬼火が宿る双眸が怪人を冷ややかに見据えた。

 

「・・・覚悟しろ。お前に手向ける花はない」

 

フローラーは右手を引き、怪人に向けた。右手には腕を完全に覆い隠す程大きな鋏のようなガントレット『ブルームクラッシャー』が装着されており、フローラーが弓を絞るように弦を引き上げると、その刃が仄白く輝いた。

 

「それが貴様の満開(フルブラスト)という訳か・・・!貴様もやはり同族のようだな!」

「・・・それは、どうかな!!」

 

交錯。剣戟。大鋏と青龍刀が激突し火花を散らす。

腰を溜めて放たれた神速の突きを跳躍して躱し、フローラーは左手を天に向けて広げた。

戦士フローラーの力、それは植物の秘める力を己の物として習得する事にある。

 

ローズブルームとなったフローラーの力が、今ここに発揮される。

手から伸びたロープ状の物体──それは薔薇の茨でできた有刺鉄線──を電柱に巻き付け、さらにフローラーの身体が大きく浮き上がる。

 

「な・・・何と!!」

 

その曲芸の如き軽業にプランターは反撃できず、たたらを踏むばかり。その隙を突いて、背後から音もなくフローラーが襲撃した。大鋏を構え直すと、キーを一度捻る。

《ROSE BREAK》

 

怪人の肉体を上空から一息に切り裂く。

深々と肉を抉られ、ノコギリヤシの花弁が白い血飛沫のように飛び散った。

 

「ハァッ!!」

「グゥゥ・・・!」

 

そして、遂に倒れたのは───ソーパルメント・プランターだった。

フローラーは怪人を無言で見下ろすと、ローズキーを複数回捻り、必殺技を発動させる。

《ROSE STRIKE》

 

「その・・・ベルト、その力・・・貴様はまさか、我らの・・・()。何故、何故・・・貴様が、人間を」

 

虫の息のプランターの身体が不自然に硬直する。何かに絡め取られ、身動きができない。

呆然とソーパルメントが自分の身体を見下ろすと、自分の全身を有刺鉄線──フローラーの操る薔薇の茨──がいましめている事に気づく。

 

そして───身体が自然と前方へと引き寄せられる。

 

その先には必殺技の準備をするフローラーが手ぐすねを引いて待っていた。

 

動けない。このままでは倒されてしまう。───死ぬ。

 

今まで己が刀の錆にしてきた人間のように呆気なく。人間である事を捨て、更なる高みに至った筈の自分が。

 

こんな事認められない。認める訳には・・・・・・。

 

「・・・終わりだ」

「や、やめろ─────」

 

吹き荒ぶ紅薔薇の花弁がフローラーの首筋から迸り、さながら紅いマフラーが風に靡くが如く。

そして────フローラーが溜めた右脚を一気に振り抜いた。

 

直撃。

 

破壊的なエネルギーの奔流が体内を駆け巡り、細胞の一つ一つを灼いていく。

ソーパルメント・プランターは自分の身体がひび割れていくのを知覚した。

 

「あ、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──────っ」

 

断末魔。

 

命尽きたプランターの身体が()()()()()。雨によってバラバラに崩れ、一際強い風が横から吹きつけた後、そこには何も遺ってはいなかった。

 フローラーは仮面の奥で悲し気な表情を浮かべた。

これが人である事を捨て、超常の力を得た改造人間・プランターの辿る末路だ。

 

───そして、いつの日かは自分も

 

 

「咲人」

「・・・母さん」

 

背中に感じる、確かな温もり。加奈がフローラーの──咲人の身体を抱きしめていた。

 

「・・・ごめんね。本当は、アンタが戦う必要なんてないのに、アタシは母親だから、アンタを守らないといけないのに」

「母さん・・・。母さんのためなら、おれは」

 

その時、変身が急に解除されて咲人は元の子供の姿に戻った。

変身している間は背の低い成人男性程の背丈があったのに、今では加奈の腰程の背丈しかない。

加奈はニイ、と笑顔を作ると、咲人の頬を指先でつついた。

 

「ふふっ、子供のくせにナマイキだぞー」

「むぅぅ。おかあさんの、いじわる」

「・・・冗談だよ。ありがと」

 

加奈は咲人の手を引いて鞄の残骸と教科書を拾い集めると、「あちゃー」と頭を抱えた。

教科書に至っては完全に水没して見るも無惨な有様だ。これはどうやって言い訳したらいいのか。

それに全身がボロボロで、傷が痛む。

だが、まあいいかと笑い飛ばすと、ヘルメットを被りバイクに跨った。

 するとバイクが不満げに喋った・・・気がした。

 

『えー、また走るんすかぁ?あーし眠いんすけどお嬢』

 

それを無視して咲人の頭にもヘルメットを被せると、加奈は思い出したように言った。

 

「そういえば、よく咲人はアタシのいる場所が分かったね?・・・ってかあーあ、咲人もびしょ濡れだよ。お風呂にもう一度入んなきゃじゃん。絶対玲子さんにどやされるやつだよ・・・」

「・・・シンスおねえちゃんのおかげだよ。間に合って、ほんとによかった」

「そっか。んじゃ、帰って一緒にお風呂に入ろっか」

「うん!」

 

 

 

加奈はハンドルを握ると、バイクを走らせる。

一人の母親と一人の息子の姿は夜の闇の中に紛れ、そして見えなくなった。

 

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