かぐヤチ『あなたの傍にお仕えを』彩葉『ええ……』   作:レントン

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仮契約のお話。


かぐヤチ『お世話は任せてね!』彩葉『超上位存在がお世話してくれる件について』

拝啓、天国のお父さん。お元気ですか?私はすこぶる元気です。昨日、とんでもない存在に会った上にその存在から、

 

『『式神にして♡』』

 

と懇願されたような気がするのですが恐らくは夢でしょう。そんな一昔前のなろう系みたいな展開が現実に起きるはずがないのです。ほら、今日も目を覚ませばボロアパートの天井が見える。幸い今日から三連休。二度寝と洒落込むべく身体を横に向ければ。

 

「す~……す~……」

 

金髪の超可愛い女の子が私の視界を独占した。

 

「ひぃ」

 

思わず大声を出さなかった自分を褒めたいくらいである。なにこの子誰だよめっちゃ可愛いなおい推せるぞいやそれどころではない取り敢えず視線を外そう。

凡そ一秒にも満たない時間でそんなことを考えつつ一先ず緊急避難として反対側へ身体を向け視線をずらした。

 

「むにゃむにゃ……」

 

銀髪の超可愛い女の子が私の視界を独占した。

 

「おふぅ」

 

またも大声だけは耐え抜いた。偉いぞ私って言うかこの子も誰だよ洒落にならないほど可愛いなおいやはり推せるぞいや待て待てそんなこと考えてる場合じゃねぇよ。何とか視線を天井に向け直したがさてどうするよおい。

 

ぎゅう

 

「うひゃあ」

 

考えてる間に何か両側から抱き締められる感触。いやもう何かとか誤魔化すのも無理だよねうん超可愛い女の子二人が私を挟んで両側から抱き締めてるねうん。

 

「ひぃぃぃ」

 

ここまで来ればさすがに理解もしようと言うもの。この女の子二人、昨日の玉兎のお二人様ですね。あれやっぱり夢じゃなかったかぁ……

 

「「すやらすやら……」」

 

……なんか寝息がわざとらしくないか……てか、本当に何となくだが気配で分かる様な気がしないでもない様なそんな様な。

 

「……起きてるよね?」

 

びくんと肩が跳ね上がった。次いで、ゆっくり目蓋が持ち上がり、四つの眼が私を捉える。

 

「あははは……お、おはよ~いろは~♡」

「よ、よくねむれたかにゃ~♡」

「うんまぁ。で、なんで二人は私を挟んで寝てるのかな……?」

 

質問すればあからさまに視線を泳がせる二人。そんな仕草もまた可愛いな。別に怒ってる訳じゃないんだからそんなに挙動不審にならんでも。

 

「あやかしって、別に実体化しなくても休めるんじゃないの?て言うか実体化しない方が良く休めるんじゃないの?」

「そ、そりはその~……ね?」

「い、彩葉の隣で寝たくって~……ね?」

 

ね?と言われましても……そう言うものなの?スキンシップってやつ?私は残念なことに今まで式神を使役したことが無かったからその辺は詳しく知らないんだけれど。

 

「そ、そ~そ~!スキンシップ!決して疚しい考えじゃないんだよ~?」

「やっぱりほらさ、新しい関係を構築するに当たってさ、触れ合いって大事だよね~って!」

 

そ、そうなんだ。やっぱり私はまだまだ知識不足だな。もっと実践的な知識も身に付けないと。

 

「そう言うことなら……ん」

「「ん?」」

 

……何さ?スキンシップが重要なんでしょ?なら遠慮しないで抱き着いてきて良いんじゃないかな。

 

「……良いの?」

「……マジすか?」

 

どうぞ?

 

「ひゅ~♡」

「お邪魔しま~す♡」

 

こうして暫しの間、私は二人からのぎゅ~を受け入れるのであった……ほんとに必要な行動なんだよねこれ?

 

─────

 

「は~い♡お待たせ彩葉~♡」

「ヤッチョとかぐや特性の朝ご飯だよ~♡」

 

限りなく薄っぺらなせんべい座布団に座りボッロボロのちゃぶ台に向かう私の前に、見るも旨そうな食事が並べられていく。え?何?うちの冷蔵庫にあった食材でこれが作られたって?はは、あんなしなっしなな野菜と賞味期限ぎりぎりのお肉くらいしか無かったと言うのに?すっげぇなおい。

 

「……って違う違う!?そうじゃないって!?なんで二人が私の為の朝食作ってんの!?」

「え……?だ、駄目だったの……?」

「彩葉の為に、頑張って作ったんだよ……?」

 

やめてその泣きそうな顔。罪悪感で死にそうになるから。駄目と言ってんじゃないのよホントマジで。

 

「駄目じゃないんだよね?良かったぁ!てっきり何か嫌なことしちゃったのかと思ったぁ!」

「それじゃあ彩葉はご飯食べちゃっててね?かぐやがお洗濯、ヤッチョが料理の後片付けしとくから♡」

 

だから待てと言うのに。

 

「あのさ、二人はその、玉兎なんでしょ……?こんな一般落ちこぼれ式神遣いにそうやってお世話焼くの、大丈夫なの?」

 

なんせ月から来たと言う玉兎の、それも1000年妖怪様だぞ?それが私程度に対して召使のような行動。他の式神遣いが見たら仰天するって言うか、私自身が仰天しかねないのだが?

 

「ノンノン!彩葉はかぐやたちの主様なんだよ?」

「そうそう!仕える主に尽くすのは当然なのです~!」

 

そ、そうなんだ……でも、ねぇ?

 

「……あのさ、間違いじゃなければなんだけどさ~……」

「あ、ほらほら冷めちゃうから食べて~?」

「さ~て、後片付けしちゃうぞ~!」

 

……なんで話逸らそうとするかね?良いからちゃんと話聞きなさいっての。

 

「まだ私と二人って、キチンとした契約結んでないよね?」

「ぐふっ」

「がはっ」

 

血を吐くようなモーションと共に床に倒れ込んだ二人。何でそんなダメージ受けるよ。当たり前のこと言っただけでしょうが。

そう、色々思い出したわけなのだが、私は二人と契約を結んではいないのである。昨日のあの後はなんやかんやで家に帰ってきた後疲れ果てて眠っちゃったし。その前に契約云々についてやってないし。

 

「さっきからやたらハイテンションだし、なんか必要以上に尽くそうとしてくるしさ。ひょっとしてあれ?少しでも気に入られて契約を結ぼうってそう言う話?」

「……はい……」

「……ごめんなさい……」

 

だからなんで謝るかね。別に怒ってないっての。まぁそれはそれとしてむやみに契約を結ぶ予定はないけれど。

 

「え~っ!?」

「そんな~っ!?」

「いやだって契約に際しての条件とか確認してないし。むやみやたらな契約を結んで自滅したって言う式神遣いの話は偶にだけど聞くよ?」

 

式神遣いは契約に際し、あやかしと使役の対価や扱いについて取り決める必要がある。それが高位のあやかしであればあるほど、対価は大きかったり難しい物だったりする。強いあやかしととにかく契約したくてその辺を疎かにした結果、なんもかも奪われるなんてことは稀ではあるがあり得る話なのだ。

 

「むむ、慎重かつ思慮深い……」

「そう言うところもまた素敵♡」

「そ、そうかな……って、話逸らさないの。え~……二人が私と契約を結ぶに際して、私への要求や対価は何かな?何が望みなの?」

 

正直な話、こんな高位のあやかしとの契約なんて聞いたこともないのでどんな要求をされるのか想像もつかない。寿命を寄越せとか言われないだろうか。その場合は流石に契約を結ぶことは出来ない。二人の事は好ましいがそれとこれとは違うのだ。

 

「あの、その~……彩葉のお世話、させて欲しいな~って……」

 

……んん?

 

「さっき言ったの、別におふざけ全部って訳じゃあないんだよ?本気で彩葉の傍に居たいの」

 

おお?

 

「そ、それはそれは……そこまで思われるのは嬉しいけれど……えっと、それが望みって……全然使役される対価にならなくない?」

「ううん、対価になる」

「彩葉の式神になって、彩葉の生活全部お世話したいの」

 

……あの、それって……

 

「よ、嫁入りって言うか……そう言う感じになってない……?」

「うん、そう」

「彩葉のこと、嫁にしたいし、彩葉の嫁になりたい」

 

……うわぁ……どうしよう……思った以上に純情な気がするぞこの二人……いや、一途と言うべきか?とにかくそんな感じ。

 

「……えっと……い、いきなり本契約はちょっと怖いし……仮契約で、どうかな?」

「え!?良いの!?」

「契約してくれるの!?」

「か、仮だよ仮!本契約じゃないよ!?」

 

本契約後に条件の変更はないと思うが……高位過ぎるあやかしだ、何かあってもおかしくはないし。

 

「良いよ良いよ♡やったぁ♡これで彩葉の式神を名乗れる♡」

「いと嬉しき♡果報者です♡」

「そ、そんな喜ばれると思わなかったよ……」

 

何はともあれ、これで二人と仮とは言え主従の関係になる訳だ……あれ?そう言えば仮契約結ぶって簡単に言っちゃったけれど、実際にライン(式神遣いとあやかしの魂と霊力及び妖力のつながり)ってどう結ぶんだろう。あやかしに応じて方法が違うって習ったけれど……

 

「それじゃあ早速♡」

「安心してね彩葉♡優しくするから♡」

 

……は?なんで服脱いだ?なんでそのままじりじり近づいてくる?待った!?おかしい!何かお互い認識に齟齬がある!仮契約やっぱ無し!

 

「一度言った言葉は覆せないよ♡言霊ってやつだね♡」

「痛くしないから♡身を任せてくれれば大丈夫だよ♡」

 

嘘でしょタイムタイム待って服脱がさないで撫でないでそんなとこさわんないで……あ、あ、あぁぁぁ……

 

─────

 

「……けだものめ……」

「ご、ごめんなさい!ちょっと興奮しすぎちゃいましたぁ!」

「お、怒んないで?だって彩葉が可愛すぎるから……ね?」

 

涙目で布団を被る私に二人が必死に言葉を重ね謝罪したり言い訳したり。世の式神遣いがこの光景を見れば目を疑うこと請け合いだろう。

 

「……初めてだったのに……これ以上は無理って言ってんのに……全然止まってくんないし……二人ともなんかめっちゃ上手だったし……すっごいおっきかったし……ううぅぅぅ……」

「あ、あわわわ……と、止まれなかったんだもん……」

「許してぇ……あの、契約切るとか無いよね……ね?」

 

……まぁ、別に本気で怒っているわけじゃないけどさ……式神遣いがそう言う契約の仕方があるってのも勉強になったし……でも私だって女の子だし……普通にムードとか、初体験への憧れとかあったんだけど?その辺についてはどうお考えで?

 

「あ、えっと、つ、次!次はもっとムード作るから!」

「素敵なホテルとか用意するから!」

 

さり気なく次を予定しようとしているし……あーあ、かぐや様もヤチヨ様も、ただエッチしたいだけだったんですね~。

 

「違うよ!?彩葉だからだよ!後様付け止めて!?」

「ほんとごめんなさい!敬語も止めて!?」

 

……ふふふ。なんか可愛いな。超高位存在なのに、こんな風に私に嫌われまいとあたふたしている姿……って、もう十分絆されてんのかな~。

 

「もう良いよ。別に本気で怒っているわけじゃないし。でも……今日はちょっと動けなさそうだよ……お世話、してくれるんだよね?」

「っ!?勿論!隅から隅までお世話しちゃうからね!」

「まずはお風呂入ろ!綺麗にしてあげるよ!」

 

ならまぁ、良いや。取り合えず仮契約は継続ってことで……これからよろしくね、二人とも。

 

「うん♡改めまして、幾久しく♡」

「末永くお傍に♡」




これから始まる愛の……愛とは一体……?
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