なんかプロット考えてたらできちゃったので上げときます。
本編が追いついたら細かい表現とか訂正しつつ統合するのでそれまでは雰囲気を楽しんでもらうということでよろしくお願いします。
ダンスパーティーが始まった。
周りの男女のほとんどの狙いは2人だ
そう真司と深雪である。
しかし真司は開始が宣言されるやいなや深雪のもとに向かう。
「深雪」
深雪が真司を見る。
「しん…」
真司の名前を言い始めるよりも前に深雪の前に右ひざを床について片膝立ちになる真司。
その所作には優雅さが宿っていた。一朝一夕に身につくものではない雰囲気があった。
周りの空気が止まり静寂になっていく。
そして真司は左腕を自身の背中の腰に当て、右手で深雪の右手を取る
「右手失礼します。」
まるでおとぎ話のような一幕に周りの人が息を呑む。
真司は深雪の右手の中指の第一関節辺りに軽くキスを落とし、続ける
「我が姫、あなたの騎士である私と一曲踊っていただけますか?」
クリティカルだった。深雪も周りの女子も全て。
まさに理想を現実とする空間がそこに広がっていた。絵になる2人が絵になることをしている。それは嫉妬など1ミリも引き起こさないほどの芸術だった。
深雪は少し停止していたがなんとか再起動して真司の問いに応える。
「はい…喜んで…我が騎士」
その瞬間真司はたちあがり深雪を抱き寄せ踊る体勢になる。突然のことで深雪は頭が沸騰している。体は動いていたから踊れてはいた。しかし停止した頭では処理が追いついていなかった。
2人は踊り続ける。しかし周りは誰も動けなかった。結局深雪と真司が踊り終わるまで物音1つしない静寂が2人を包んでいた。
踊り終わったあと、最後に真司は
「我が姫、ありがとうございました。騎士の誉れでございます。」と優雅に礼をして下がる。
最初から最後までまるでおとぎ話のようだった。
少しして少しずつ皆の硬直が解けて喧騒が戻ってきたがさっきの光景が皆の頭の中に残っていた。
ダンスパーティが続く中、次に真司が目を付けたのはほのかと雫だ
二人にはいつも仲良くしてくれてるし仲の良い女子だという自負があったので
応じてくれるだろうと思っていた。
ほのかと雫は真司が近づいてきてるのに気づいて体が硬直した。
先ほどのようなおとぎ話に出てくるような理想の光景を見せつけられたら固まるのは当たり前である。
二人が覚悟を決め切る前に真司は言い出す
「ほのか、雫ここにいたのか。よかったら二人とも俺と踊ってくれないか」
先ほどのような誘いではなかったのでほっとした。羨ましい誘い方ではあったがあんな心臓に悪い誘い方されれば注目の的である。
「真司さん私は構いませんよ」
「私も」
「そうかよかったなら」
そう言って区切りほのかの前に立ち前屈みで左腕は腰に当て右手を差し出し一言
「麗しのレディ、この私と一曲踊っていただけますか」
先ほどの衝撃はなかった。しかしこれはこれでまるで何度もそういうことをしてきたような手慣れた優雅さがありほのかは一瞬停止した。
「よ、よろこんで」
真司はほのかと一曲踊った。その間雫は自分もほのかのように誘われるのかと思うと緊張していた。北山家のパーティなどで何度もこういう誘われる経験はある。しかし真司のそれはそんなパーティで見たようなものなどをはるかに超えた優雅なものであったからだ。
ほのかとのダンスを終え戻ってくる。ついに来たと思った。
「淑やかなレディ、私と一曲踊っていただけますか」
誘い方はほのかと同じだ、でもレディの形容詞が違った。覚悟を決めたのになぜかフリーズしてしまうほどの衝撃だった。
「はい、喜んで」
雫と踊った真司はほのかのもとに戻り一言挨拶をしてから二人の元を離れたが二人はフリーズしかけていた
この間深雪もそしてこの二人も真司と踊ったがために壁の花になる。
周りの男子は真司を越えるほどの誘いができる自信がなかったのである。
途中、給仕のエリカが寄ってきて注目の的だねーってにやにやしてくるけど真司がエリカもどうだって冷静に誘う
でも私給仕だしって断るけど
「今からでも制服に着替えてきたらどうだ。それともそのまま給仕服で踊るか?
俺は一向にかまわないそ、エリカにもいつも仲良くしてもらってるからな、俺で良ければ一緒に踊ってくれ」
天然がゆえにぐらっと来る言葉を投げかけてくるがもしこの誘いに乗れば給仕服で踊ることになり深雪並の注目を浴びることになる
それだけは絶対に避けたかった
「遠慮しとくわ」
「そうか、残念だ。もし気が変わったらいつでも声をかけてくれエリカなら優先するからな」
そういって飲み物を飲み終えて離れていく
遠目で「次はどの花を取りに行くかな」
と聞こえてきてこいつ手慣れてやがると思ったエリカだった
エリカと別れた真司は一回深雪のもとに向かう。
深雪は真司と踊ってから誰にも誘われてなかった。しかし深雪にとっては真司とのあの夢のような至福の時間を
何度も繰り返し思い出すのに都合がよかったし真司と達也以外と踊れなくてもそれでよかった。
真司が近づいてくるのに気づいて心の中のゆるみを戻す。
「真司さん、いかがされましたか。」
もう一度あのような誘いをしてくれないか、ほのかに期待していたが真司の話は別のものだった。
「深雪、達也をダンスに誘ったらどうだ。あいつは新人戦モノリスコード優勝の立役者だ。いい加減二科生だのごちゃごちゃ言い出す前にさっさと引き摺りだしてやれ。」
達也に関するものだったので意外だなと感じたが、内容は当然のものであった。深雪自身もそうだと思ったからだ。
「お前が誘えばあいつは断れないだろうし、あいつもおまえも一回誰かと踊ればもう少しお誘いも来るだろうしな。」
「ほのかなんかは誘いたがってると思うし深雪が誘ってやればあいつらも誘いやすくなるだろ」
深雪には達也に対する真司の気遣いがとてもうれしくてすぐに行動に起こすことにした
「真司さん、お兄様のことは任せてください。必ず日のもとに連れてまいりますので。」
真司の方が苦笑いだった。そこまでやる必要はないと思ったが達也のためを思えばこそなので何も言わなかった。
真司は深雪を別れた後、ほのかと雫のもとにも行き、同じような話をして達也を踊りに誘うように頼んだ。
自分と踊ったせいで壁の花になるなんて深雪にもほのかにも雫にも失礼だと思ったから周りの人間が少しでも誘いやすくなるようにした。
ついでに自分は、とか行き過ぎた謙遜をしてるあのバカに喝を入れるためにも。
深雪、ほのか、雫に達也のことを任せたあと、真由美、摩利、十文字先輩の三巨頭のところに向かうことにした真司
楽しく談笑していたであろう三人はパーティーの冒頭で全員の注目を集めた真司が近づいてきたことで話をやめ少し警戒した。
真司は三人に挨拶をする。
「七草先輩、渡辺先輩、十文字先輩、九校戦お疲れ様でした。三連覇おめでとうございます。」
「葭葉か、九校戦ご苦労だったな。」と十文字先輩が
「真司君、あんなことするなら最初に相談しておいてくれない?クラウドボールといい心臓がいくつあっても足りないわよ。」と真由美が
「真司君、実にいい劇だったよ。」と摩利が応える
三者三様の反応にとてもうれしく思う真司。
「実はご迷惑をおかけしたお詫びと言っては何ですが、七草先輩と渡辺先輩にダンスのお誘いをと思い来ました。」
真由美と摩利の体に一瞬で緊張が走る。このパーティでずっと注目を集めてるのは三連覇を果たした自分たちではなくあの最初の幻想的ともいわんばかりのダンスの誘いをした真司なのだ。
今でもずっと周りの多くの参加者は真司の一挙手一投足を注目している。こいつはそのことに気づいているのだろうかと疑うレベルだった。
しかし新人戦含めて三連覇に貢献したと言っていい後輩の真司の誘いを断れないのは明白だった。
二人は覚悟を決める。
「そうね、お願いできるかしら」
「誘ってもらえるとは嬉しいね」
その返事を聞いた真司はまず真由美を誘うことにした。
ほのか、雫にしたように左腕を腰に当て右手を差し出し優雅に誘う。
「艶やかなレディ、この私めと一曲お相手をしていただけないでしょうか」
これまたほのか、雫と異なる誘い方に真由美は衝撃を受けた。あの二人はこんな衝撃を味わっていたのかと思う一方深雪さんはこれ以上の衝撃だったのかと
七草家の意地として動揺を見せるわけにはいけないと思い、優雅に応える
「喜んで、よろしくお願いしますね」
真由美の様子を見た摩利はいつもならからかうが次は自分が誘われる番なのだ。からかう余裕なんてなかった。
しかもほのか、雫の時と真由美に対する誘い方を変えている以上自分も別の誘われ方になるのは分かり切っていた。
恋人の千葉修次相手ですらここまでの緊張をしたかどうか思い出せないほどであった。
真由美とダンスを終えた真司が戻ってくる。次は自分だ、いったいどんな誘い方で来る、とても気構えていた
「たおやかなレディよ、この私と一曲、踊ってはくれないだろうか」
全くの別物だった。まるで演劇のような大げさな手振りで左腕を大きく広げ左膝を地面につけ右手を差し出してくる。
さっきの劇という言葉に感化されたのか、これまでのほのか、雫、真由美とは大きく異なり深雪とも異なった誘い方だった。
ふざけたような誘い方だが、真司はいたって真剣であり堂に入った所作だったからだれも大げさとさえ思わなかった。
摩利は衝撃は確かに受けただが思ったよりは少ない、しかし周りから注がれる視線の圧は別だ。真司のこれまた違った誘い方に会場は静まり注目の的であった。
なんとか立ち直った摩利は誘いを受けダンスを踊ったが、あとで生意気な後輩を〆なければと考えていた
最後に真司は明智・エイミィ・ゴールディと里美スバルのもとに行った
九校戦の練習などが始まるまではほとんど話してこなかった二人だが九校戦を機に仲良くなった。
とても付き合いやすい二人でとてもよくしてくれたと思ってる。達也に対する偏見がないのも評価すべき点だ。
二人は他の一年の女子と一緒にいるようだった。
エイミィは明るい笑顔で出迎えてくれたが、スバルは引き攣った笑顔だった。
真司は気づかないがこれまでの流れを考えれば予想はつくからだ。
「やっほー、真司君何か用?」
「やあ、真司君何か用かい?」
内容は同じだが表情は真逆の二人。
真司は笑顔で答える。
「エイミィ、スバル、君たち二人には九校戦を機にとてもよくしてくれたからね。あ誘いでもと思って」
「もしよかったら、一緒に踊ってくれないかい」
二人の予想通りの内容に少し緊張する
「私はいいけどスバルはどうするの?」
「私もかまわないよ、少し怖いけどね」
同意を得たと思ったので早速ダンスのお誘いをすることにした真司。
もちろん、この二人には他の四人同様にアレンジが加わっている特別待遇だ。
まずはエイミィを誘う真司。
「愛らしきレディよ、どうかこの僕と踊ってくれませんか」
まるでお辞儀をするかのように誘う真司
祖母が英国の貴族であるエイミィですら見たことないような貴族らしい所作と優雅さを兼ねたお誘いにビックリした。
「にゃはは、いいよ踊ろうか」
「光栄です、レディ」
そういって踊り始める二人。
踊りながらエイミィは真司の耳元で話しかける。
「びっくりしたよ、英国で何回かパーティに参加したことあるけど見たことないぐらい優雅で貴族らしかったよ」
「そうかい?、お褒め頂きありがとう。エイミィも可憐でかわいいよ。」
「さすがの私でも照れるなあ」
装飾の無い純粋な誉め言葉だと分かるが故に両頬を赤らめるエイミィ。
そんな会話をしながらダンスを終える二人。
二人が向かう先には、おそらく真司がダンスをお誘いをしたなかで最も緊張していると思われるスバルが待っていた
スバルからすれば深雪の想い人で過去例を見ないほどのイケメンである真司にお誘いしてもらえるなど
今後の人生を見てもあるかどうかわからないほどの幸運と感じていたからだ。しかもどんな女性に対してもレディとして扱ってくれる真司に期待しないわけがなかった。
少し緊張が強いように感じたスバルに気づいた真司は少し小声で声をかけることにした。
「お嬢様、少しお顔が固いようですね。なにかお手伝いできることはございますか」
これまた女性に対する殺し文句だった。一気に顔を赤らめるスバル。
あれ?対応間違えたかなと困る真司。
エイミィがすかさず助け舟を出す。
「スバル緊張してんの?女は度胸だよ?頑張りなよ」
その言葉で再起動したスバルは覚悟を決めた。
その様子を見た真司はお誘いの言葉をかける。
「凛としたレディよ、どうか我と一曲ダンスはいかがかな?」
摩利の時と同じように少し演技がかった動作でお誘いする真司。
少し趣が違ったことでスバルも少し楽になった気がした。
踊り終える二人。無事に踊り終えたことに胸をなでおろしてるスバルとそのスバルをほめてるエイミィと一年女子。
その様子をほほえましく見てた真司だが他の一年の女子にも声をかけようとしたが全力で断られてしまったので諦めた。
そうしてパーティは終わりの時を迎えようとしていた。
深雪は達也、一条などとダンスを終え最後にもう一度誘ってもらえないかと真司を探していたがみつからなかった。
探し回るうちに達也から真司なら庭にいるぞと聞いた深雪は中庭に向かう。
そこでようやく探し人を見つけた深雪は声をかけた。
「真司さん、ここにいらっしゃったのですね」
深雪の言葉に気づいて振り返る真司。深雪が真司のところまで進み横に並ぶ。そして一緒に月を見上げる二人。
「どうされたのですか?」
深雪の真司を心配する言葉にハッと我に返る
感傷に浸っていた真司は深雪に伝える
「実は社交界にはあまりいい記憶がなくてね」
まさかの言葉に内心驚愕する深雪
こんなにもパーティの中心で注目を集めた真司がそんなことあるのかと。
だが真司の次の言葉を待つ
「初めて出席したパーティでは未熟だったが故に大恥をさらしてしまってね、すごく両親に迷惑をかけたんだ」
深雪はそういって初めてのパーティでの失敗をいろいろ語ってくれる真司のことを見つめながら話を聞く
「そのあともどうしても慣れなくていつも社交界やパーティでは失敗してないか怖いんだ」
そういって悲しそうな表情をする真司に胸が締め付けられる深雪
ここは私が励ます番だ、そう決心して真司に語り掛ける
「真司さん、少なくとも私は今までに真司さんのエスコートで失敗だなんて思ったことはありませんよ」
「私で良ければいくらでも練習に付き合ってあげます、私は真司さんの失敗を笑ったりしませんしバカになんてしませんからいくらでも迷惑かけてくださいね」
そう微笑んだ深雪を見て真司は感極まり深雪に無言で近づき抱きしめる。
深雪の体に緊張が走るが次第にほぐれていく。
耳元で深雪に感謝を伝える。
「深雪にそういってもらえてとてもうれしい」
しばらく抱き合っていた二人だが遠くから舞踏会の最後の曲が流れてきているのが聞こえて、ハッとして離れる二人。
そして深雪は今度は自分から誘うことにした。
「私の騎士さん、どうか一曲踊ってくれませんか」
そういって右手を差し出す
その言葉を聞いた真司は所作など気にしない動作で膝をつき手を取り
「よろこんで、姫様」
そう言って月明かりの中踊る二人はまるで幻想的な雰囲気を醸し出していた。
その光景を会場のベランダから達也やほのか、雫、エリカが見つめていた。
補足
達也が深雪と真司を見つめていたら達也を探しに来たほのかや雫が合流してそこに暇になったエリカも合流して二人のことを見ているという感じですね
所作を気にしないというのがバカにしない迷惑かけていいですよっていう深雪に対する信頼ですね、パーティの時の周りを気にする怖さを深雪には見せなくなったっていう信頼の動きを意図してます