魔法科高校の劣等生 深雪と達也の心を救う者   作:ネギ王子

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入学編 2話

 

2095年4月4日

 

 

早朝

 

まだ日が昇っていない中、司波家はすでに動いている。

 

深雪「おはようございます、お兄様、穂波さん」

達也「おはよう、深雪」

穂波「おはようございます、深雪さん」

 

深雪はもう一人の姿を探すが見当たらない。

 

深雪「真司さんはまだですか?」

達也「お前が起きていて、あいつが起きてないなんてことはないはずだ。大方自室でなにかしているのだろう」

深雪「そうですよね。真司さんは寝ている姿見たことないほど起きていらっしゃる印象です」

 

深雪が起きたり目を覚ましたりしたときは必ず起きている真司が自分より遅く起きてくるなんて想像もつかない。そこに真司が降りてくる。

 

真司「みんなもう揃ってたのか。おはよう」

深雪「真司さん、おはようございます」

真司「深雪、あらためておはよう」

 

しばらくして真司は達也が支度し終えているのに気付く。

 

真司「達也、九重八雲さんのところに行くのか?」

達也「ああ、そろそろ出かけようと思ってる」

真司「そうか、深雪はどうする?」

深雪「わたしはお兄様とご一緒しようかと。朝食の準備も済ませてあります。」

 

深雪はバスケットを持っていた。おそらくサンドウィッチなどを用意していたのだろう。

 

真司「深雪が行くなら俺も行くか」

深雪「そうおっしゃられるのは分かっていましたから、真司さんの分もご用意してあります」

真司「流石深雪」

 

三人で身支度を済ませ向かうことにする。

 

真司「穂波さん、少し早いですが八雲さんのところに顔出して後そのまま学校のほうに直接向かいます。行ってきます」

深雪「穂波さん、行ってまいります」

穂波「三人ともお気をつけて行ってらっしゃいませ」

達也「行ってくる」

 

 

 

 

登り坂を移動魔法を使ってローラースケートで上る深雪。加速力と減速力を制御する魔法と上への上昇を抑える魔法を使い駆け昇る達也。二人の速度は時速60キロメートルに相当している。そしてその二人の横を魔法も使わずに身体能力のみで並走している真司。

 

達也「真司、お前相変わらずふざけた身体能力だな」

深雪「さすがのわたしでも、呆れますね」

 

二人から信じられない目を向けられる。どれだけ時代が進んだとしても生身で時速60キロという速度を出せるようにはならない。真司の肉体には大きな秘密がある。

 

真司「そうか?二人と並走するからかなり抑えてる方なんだが」

深雪「真司さん、本気を出せば一体どれだけの速度で走れるのですか」

真司「時速300キロぐらい?」

 

信じられない数値が出てきてさらに呆れる二人。

 

真司「二人とも言いたいことあるなら言ってくれて構わないぞ。人間辞めてるとか」

深雪「いえ、さすがにそれは」

真司「二人には事情話してある通り、異世界の記憶持ちの俺はこの世界にはないレベル概念を持ってるからな。レベルの上昇による身体能力上昇が加味されてるからこうなる」

深雪「異世界って全員がこんな感じなのですか?」

真司「レベルが高い存在はこんな感じだろ。高レベル帯だと高速戦闘が基本だしな」

 

そんな二人の会話を達也は横で聞いていた。

 

 

 

 

 

真司と深雪は達也が門下生と集団戦してる姿を見ていた。

 

真司「囲まれてるな。集団戦は全員を視界に収める位置取りが基本だけどあいつ目に頼りすぎなんじゃないのか」

深雪「そうなのですか?」

真司「うん。基本としては視界に収める位置取りする。囲まれてできないなら薄いところを突破して上手く全員を収める位置に移動するのが良い。敵に背後取られるぐらいなら後ろに壁がある方が楽」

深雪「なるほど、あえて囲まれて戦っているのでは?」

真司「素手の人間相手ならそれでもいいけど、重火器とか持ってる相手とか狼みたいな機動力ある相手とかだと意味ない技術だなぁ」

 

真司は深雪に集団戦の基本を教えたり会話している。そこに九重八雲がやってくる。本当は忍び寄ろうとしたがそうそうに真司に気付かれている。

 

八雲「真司くんは、参加しないのかい?」

真司「達也の修行ですから」

八雲「そうかい、それが第一魔法科高校の制服かい」

深雪「はい、昨日が入学式で入学のご報告を思いまして」

八雲「しかし深雪くんの制服姿綺麗だね⋯⋯これは萌えだよ」

真司「あまり変な気起こさないでくださいね、深雪にちょっかいかけるならこっちは本気で相手してあげますよ」

八雲「それはこわい」

真司「達也ー、お前の師匠が妹にちょっかいかけようとしてるぞー、どうにかしろー」

 

その言葉を皮切りに達也が八雲に飛びかかり二人の戦闘が始まる。

 

真司「いけー深雪にちょっかいかけようとしてるやつけちょんけちょんにしてやれー」

 

深雪はそんな抜けた応援をする真司と必死に八雲と戦う達也を笑って見ていた。

 

門下生はいなくなり達也・深雪・真司・八雲だけが場に残っていた。達也は八雲との修行が終わって座り込んでいた。深雪は甲斐甲斐しく世話している。

 

そんな姿を見ながら真司は八雲と会話していた。

 

真司「八雲さんはなかなか、お上手ですね」

八雲「何がだい?」

真司「真実を隠すのが。先日うちにちょっかいかけようとしたらしいですね。部下から報告ありましたよ。」

 

八雲の表情が険しくなる。黙りこくった八雲を見て続ける。

 

真司「下手打ちましたね。あなたのおかげでうちの諜報班があなたの裏探し回ってましたよ。おかげで良い情報知れました」

 

深雪がスカートについた土を魔法で綺麗にしている姿が見える。

 

八雲「それで僕を脅すのかい?」

真司「まさか。あまりちょっかいはかけないほうがいいですよ。うちの秘密暴こうとするならかなり痛い目覚悟しておいてくださいね」

 

それだけ言って深雪の元に向かう。残された八雲が何を思ったのかは分からない。

 

深雪「真司さん、朝食にしましょう。先生もよろしければご一緒に」

 

深雪はそう言ってバスケットを持ち上げる。四人で朝食の時間を過ごす。

 

 

 

お昼休み

 

深雪は真司と1-Aのクラスメイトたちを連れ、校内のカフェテリアへ向かっていた。

先に来ているはずの達也たちと昼食を共にするためだ。

真司はそんな深雪の少し後ろを歩き、彼女たちを見守っていた。

やがて深雪が達也たちの姿を見つけ、小走りで駆け寄る。

 

本来なら達也たち四人に真司を加え、皆で昼食を囲むつもりだった。

だが、席を立とうとしないレオに対し、1-Aの男子生徒が難癖をつけ始める。

達也は場の空気を察し、既に食べ終えていたレオを促して席を立った。

 

空いた席を見た深雪は、そこへ座ろうとはしなかった。

達也たち四人へ申し訳なさそうに目配せすると、小さく頭を下げ、そのまま後ろで見守っていた真司の元へ戻る。

「真司さん、こちらで食べましょう」

そう言って、二人は別の席へ向かった。

 

 

深雪は終始穏やかな笑みを崩さなかった。

しかし、機嫌を損ねていることは真司には伝わっていた。

それでも深雪は何も口にせず、真司の隣の席だけは誰にも譲ることなく、そのまま昼食を取った。

 

 

 

放課後

 

深雪「お兄様、真司さん……」

真司「深雪のせいじゃない、落ち着いてどっしり構えとけ」

達也「深雪は一厘一毛たりとも、お前の所為じゃないんだから」

深雪「はい、ありがとうございます。しかし……止めますか?」

真司・達也「「逆効果だろうなぁ」」

深雪「……それはそうですね。それにしても、エリカはともかく美月まであんな性格とは……予想外でした」

達也・真司「「同感だ(だな)」」

 

3人の目の前には二手に分かれて言い争いする一年生の集団がいる。真司と深雪のクラスメイトと達也のクラスメイト、エリカ、レオ、美月だった。3人はお昼休みと三年の専門課程の射撃場のことを思い返していた(達也が回想している体)

 

美月「いい加減諦めたらどうなんですか?深雪さんはお兄さんと真司さんと一緒に帰りたいと言ってるんです。他人が口出しすることじゃないでしょう?」

美月「一緒に帰りたいならついてくればいいじゃないですか。深雪さんは邪魔者扱いしてないですよね」

美月「何の権利があって、3人の仲を引き裂こうとしてるんですか」

 

真司「深雪、俺って深雪との仲引き裂かれるぐらい難癖つけられたっけ?」

深雪「いえ、私はそんな風に思ってません。むしろ真司さんとの仲は良いほうですよね」

 

真司も深雪も場の混乱に当てられてか見当違いなことを話していた。そんな2人と達也を横目に、目の前の集団の言い合いはさらにヒートアップしていく。ついにウィードとブルームの差別用語の話にまで達したことで、場は不穏な気配の方向に行き始めた。

 

美月「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点でどれだけ優れているというんですかっ?」

 

美月の挑発ともとれる発言が飛び出たことで、達也も真司も空気が変わったことに気付いて呆れる。

 

達也「……あらら」

真司(ため息)

 

2人の様子を見ていたのは深雪だけ。

 

美月の発言は正論だ。正論が故に、その制度に安心感を覚え、優越感に浸るものにとって感情論として反発が起こるのは必然だった。

 

「だったら教えてやる!」男子生徒の一人が特化型CADを抜く。流石にそれに黙って見ていられるほど真司も達也も抜けてはいない。

 

「お兄様、真司さん」深雪の呼びかけに反応する間も惜しいほど、2人は事態に対処するために行動しようとした。結果としてそれは必要ない行動だったが——エリカが男子生徒のCADを弾き飛ばしたからだ。

 

エリカとレオが漫才を繰り広げている間に、一科生側の女子生徒が汎用型の腕輪型デバイスを起動する。発動する前に彼方からサイオン弾が飛んで来て起動式を破壊する。起動式が破壊されれば、魔法は発動しない。

 

サイオン弾を放ったのは七草真由美だ。その隣には風紀委員長の渡辺摩利もいる。真由美は言い争いをしていた1-Aと1-Eの両方を連行しようとする。達也と深雪がそれを仲裁し取りなした。

 

いくつか達也と真由美、摩利の間で会話がされた後、真由美と摩利は立ち去った。

 

 

 

 

「借りだなんて思ってないからな」特化型デバイスを抜いた男子生徒(森崎)が言う。

達也「貸してるなんて思ってないから安心しろよ。決め手になったのは俺の舌先ではなく、深雪の誠意だからな」

真司「おいおいそれはないだろ、説得下手か」

 

そのあと達也と森崎、エリカやレオが会話する。

 

 

 

 

駅までの道

 

真司「深雪、そろそろ、達也促して帰ろう」

深雪「そうですね、お兄様、そろそろ帰りませんか?」

達也「そうだな、レオ、千葉さん、柴田さん、帰ろう。真司も世話かけたな」

真司「俺はなんもしてないけど。そんなこと言うなら、あとでなんかしてもらおうか」

達也は苦笑いを返す。

 

精神的に疲労していた3人はそのまま帰ろうとしたら、達也に食って掛かった女子生徒が打って変わって頭を下げてきた。

 

「光井ほのかです。さっきは失礼なこと言ってすみませんでした。」

達也も真司も深雪も驚いて面を食らっていた。

 

そのあと達也とほのかの会話があり、ほのかから「駅までご一緒してもいいですか?」真司も達也も深雪も、そしてエリカレオ美月も断る理由も道理もなかった。

 

美月「深雪さんのアシスタンスを調整しているのは達也さんなんですか?あれ同居している真司さんは調整されてないのですか?」

深雪「ええ、信頼できるお兄様に任せるが一番ですから」

達也「深雪は処理能力高いし手間取らないから楽だが、真司も処理能力高いけどこいつのは特殊だから」

真司「事情があって達也に任せられないんだよな。任せてもいいんだが」

達也「やめてくれ、一回お前のデバイスいじったらエラー出て困ったんだからな」

真司「お前が機密に関わる部分にアクセスしようとするからだろ?調整だけすればよかったのに」

 

デバイス・CADに関する会話からエリカの警棒型デバイスの話に移る。硬化魔法・刻印・兜割りのような秘術の話まで広がる。

 

美月「魔法科高校って一般人の方が珍しいのかしら」

雫「魔法科高校に一般人はいないと思う」

 

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