魔法科高校の劣等生 深雪と達也の心を救う者   作:ネギ王子

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入学編 3話

2095年4月5日

 

 

駅から第一魔法科高校までの通学路

 

いつも通り穂波さんと家で別れ、達也・深雪と一緒に登校する。駅で待ち受けていたエリカ・レオ・美月と会い、6人で第一魔法科高校への道を歩いていた。

 

しばらく歩くと七草真由美が達也の名前を叫びながら後ろから向かってくる場面に出くわす。

 

真司「達也、聞き覚えのある声で呼ばれてるぞ」

達也「聞き間違いじゃないのか」

真司「入学式の日からロックオンされてるだろ、お前に」

 

真由美が6人の前に来る。

真由美「達也くん、オハヨ~。深雪さんも、真司くんもおはようございます。」

 

真由美と達也が会話している中、真司と深雪が話す。

真司「明らかに達也だけ態度違うよな」

深雪「そうですね」

真司「達也ってトラブルメーカーだよな多分」

深雪「真司さんも、あまり人のこと言えないと思います」

真司「……まだ高校ではなにもしてない」

深雪「高校では、ですね。ふふ」

 

話の矛先が深雪に向く。

真由美「深雪さんと少しお話したいこともあるし…ご一緒してもかまわないかしら」

 

深雪「はい、構いませんが、生徒会の話ですか?」

真由美「ええ、一度ゆっくりご説明したいと思いまして。お昼はどうするご予定かしら」

深雪「食堂でいただくことになると思います」

真由美「達也くんと一緒に?それとも真司くんかしら?」

深雪「あの、兄とはクラスが違いますけど、真司さんは…」

真司「自分は深雪とお昼は一緒に食べたいと思ってます」

深雪「真司さん!」

 

真由美は真司の助け舟に反応する深雪を微笑んで見守る。

真由美「変なこと気にする生徒も多いですものね」

- 美月はウンウンと頷いている

- 達也は生徒会長の真由美がそれを言うのは問題発言なのではと思っている

- 真司は生徒会長が少なくとも差別を容認する立場ではなさそうな点を評価していた

 

真由美「じゃあ、生徒会室でお昼ご一緒にしない?ランチボックスで良ければ、自配機があるし」

深雪「…生徒会室にダイニングサーバーが置かれているのですか?」(流石の深雪も驚いて問い返す)

 

真由美はダイニングサーバーが置かれている理由として遅くまで仕事するときがあるからと説明し、深雪への勧誘を続ける。

 

真由美(一瞬人の悪い笑顔に変わって)「生徒会室なら達也くんが一緒でも問題ありませんし、もちろん真司くんと一緒でも構いませんよ」

 

達也が副会長の服部を理由に断ろうとするが、服部は部室でお昼を取ると言われ逃げ道をふさがれる。さらに真由美はエリカたち3人にも誘うがきっぱりと断られる。

 

真由美「じゃあ深雪さんたちだけでも」

達也「……深雪と真司の3人でお邪魔させてもらいます」

真由美「そうですか、よかった。じゃあ詳しい話はその時に」

 

- 達也は真司の了承を取っていないように見えるが、真司は深雪と一緒にいるのがデフォなので深雪が行く前提で自分が行っても問題なければ断らないのは明白

- それを分かっているからこそ達也は真司に確認を取っていない

 

真由美は軽い足取りで学校へ向かう。それを見送る5人は足取りが重たいが真司だけは平然としていた。

 

 

 

お昼休み

 

深雪と真司は達也と合流して生徒会室へ向かっていた。朝と打って変わって足取りは軽い深雪と朝と変わらぬ真司、そして足取りが重い達也。三者三様である。昨日は周囲に気を遣っていた深雪は真司と気兼ねなくお昼を食べられることにとてもうれしそうだった。中学3年間ずっと一緒に真司とお昼を食べてきた深雪にとっては習慣化したものであり、真司との時間が何より大事だったからだ。

 

4階廊下の突き当り、そこに生徒会室はある。招待を受けた深雪がドアホンを鳴らし入室許可が出る。達也がドアを開け、真司は深雪を半身で庇う。何も起こらないと分かっているが、いつもの3人にとっての習慣化された行動だ。

 

「いらっしゃい。遠慮しないで入って」正面、奥から入るように促される。

 

深雪は深夜から仕込まれた礼儀作法のお手本のようなお辞儀をする。真司もまたお辞儀をする、まるで何百回もこのような場に招かれたことがあるような優雅さだった。達也にはこういった礼儀作法は仕込まれなかった、真司も同様である。だが真司には別の意味での秘密があった。

 

そんな深雪と真司のお辞儀に面を食らった真由美は少し動揺し、他二人は空気に飲まれ、摩利は何とかポーカーファイスを保っている状態だった。

 

「どうぞ掛けて。お話は、お食事をしながらにしましょう」

 

上座から深雪・真司・達也の順に座る。深雪は上座に真司か達也のどちらかに座ってもらって間に挟まりたかったが主賓が自分であることを理解して上座に座った。深雪から無言の圧により、真司が深雪の横に座り達也が下座に座ることになった。

 

お肉・お魚・精進三つの選択肢がダイニングサーバーにある。達也と深雪は精進を選んだが真司は悩んでいた。

深雪「真司さん、私に合わせなくて構いませんよ。真司さんの好きなようになさってください」

真司「わかった」

真司はお肉を選んだ。真由美と摩利はこの二人のやり取りに密かに注目していた。

 

真由美から生徒会室にいる3名が紹介される。上座から会計の市原鈴音・風紀委員長の渡辺摩利・副会長の中条あずさ、そしてこの場にはいない副会長の服部が紹介される。

 

ダイニングサーバーから食事が出てくる。あずさが立ち上がるのを見て深雪が立ち上がろうとするが真司が制して配膳を手伝う。ダイニングサーバーの食事は6人分、摩利はお弁当を出していた。達也と摩利の会話を横目に、深雪が提案する。

 

深雪「真司さん、わたしたちも明日からお弁当に致しましょうか?もちろんお兄様の分もおつくりしますよ」

真司「深雪が手作りしてくれるなら、俺は嬉しいがどこで食べる?」

深雪「あっ、たしかにそうですね。食べる場所を探さないと」

真司「俺は深雪と一緒ならどこでも構わないと言えばそうだが」

 

まるで恋人同士のような会話が繰り広げられる。一応他人同士の深雪と真司の会話に茶化すような発言は出なかった。

 

「そろそろ本題に入りましょうか」真由美から本題が切り出される。

 

生徒会・風紀委員会の説明がなされ、新入生総代は通例として生徒会役員になる旨が説明される。真由美は深雪に生徒会入りを要請する。

 

深雪「会長は兄や真司さんの成績はご存じですか?」

達也は動揺したが、真司は深雪のしたいようにさせていた。

 

真由美は二人の成績を知っていることを話す。

深雪「成績優秀者、有能な人材を生徒会に向かい入れるのならわたしよりも兄と真司さんの方がふさわしいと思います」(達也の制止を無視して続ける)

深雪「デスクワークなら、兄の実技の成績は関係ないと思いますし知識や判断力が重視されると思います。真司さんもわたしより判断力も胆力も優れていますから」

深雪「わたしを生徒会に加えていただけるというお話については、とても光栄に思います。喜んで末席に加えさせていただきたいと存じますが、兄と真司さんも一緒というわけにはまいりませんでしょうか?」

 

珍しく深雪が相手を無視して一方的に話をする。

 

鈴音「葭葉君はともかく司波君に関しては残念ながら、できません」

鈴音から生徒会役員の選出は一科生のみであり現状の改正制度では二科生を入れることができないことが淡々と申し訳なさそうに話される。鈴音自身がウィード・ブルームの差別体制に否定的であることは目に見えた。

 

深雪もそれが分かったので素直に身を引いた。

深雪「……申し訳ございませんでした。分を弁えぬ差し出口をお許しください」

深雪は立ち上がり深々とお辞儀をする。真司は慰めるように椅子に座りなおした深雪の頭を無言で撫でていた。それを当たり前のように受け入れる深雪。先輩方からまた恋人らしい行動してるなという雰囲気を感じるが、これは真司の無意識下で繰り出されていた。

 

真由美「それでは、深雪さんには書記として今期生徒会に加わってもらうということでよろしいですね?」

深雪「はい、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願い致します」

真由美「それと真司くんには深雪さんからの推薦ということで同じく生徒会役員の書記として加わってもらいたいと思いますがよろしいでしょうか?」

 

てっきり真司は生徒会役員に加わる話はないのだと思っていたが、達也が入れないだけで自分は問題ないことは分かっていた。同時に深雪が少しうれしそうな顔をしていることにも気づいた。真司は深雪の側を離れる選択肢を自分から取ることはしないし、ある事情から生徒会役員に誘われることは利点があったので受けることにした。

真司「喜んでそのお話お受けしたいと申します。若輩者ですが以後よろしくお願いいたします。」

 

あずさと真由美のじゃれあいを挟んで——

 

真由美「深雪さんも真司くんも、もし差し支えなければ、今日の放課後から来ていただいてもいいですか?」

深雪「分かりました。放課後はこちらにうかがいましたらよろしいでしょうか?」

真由美「ええ、お待ちしておりますよ、深雪さん、真司くん」

 

あずさが真由美の深雪への「さん付け」と自身の「あーちゃん」呼びの差の疑問をスルーされる。風紀委員会の生徒会選任枠が一枠決まっていないことと風紀委員会には二科生の制限がないことに摩利が気付き達也を風紀委員会に入れようとする。

 

深雪「すごいじゃないですか、お兄様」

真司「達也、せっかくだから話だけでも聞いとけ。どうせいつかはお前の実力がばれる、その時のためにも持てる縁は作っておくべきだ」

 

達也は深雪からの期待のまなざしと真司からの提案に拒否しきれなかった。が、昼休みの終わりが近づいてきたため話の続きは放課後に持ち越されることになった。

 

 

 

 

 

放課後

 

1-Aの教室

 

真司「深雪、生徒会室に向かおうか」

深雪「はい」

真司「光井さん、北山さん、そういうことだから俺達2人は生徒会に向かう」

ほのか「真司さん、ほのかで構いませんよ。あと2人とも頑張ってね」

雫「わたしも雫でいい。2人とも頑張って」

真司「ありがとう2人とも、先に失礼するよ」

深雪「ほのか、雫、お先に失礼します」

 

真司と深雪はほのか・雫と別れてから一緒に教室を出て、途中で達也と合流してから生徒会室へと向かっていた。

 

お昼休みと違い、達也のIDカードをかざせば生徒会室の扉が開いた。すでに風紀委員として達也が登録されているらしい事実に達也は気が滅入っているようだ。

 

達也「失礼します」

真司・深雪「失礼いたします」

 

そう言って生徒会室に入るとコンソール前にいた男子生徒から鋭い視線が達也に飛ぶ。お昼休みにはいなかった、副会長の服部だろうと目星を付ける。

 

深雪と真司の前に近づいてきて

 

服部「副会長の服部刑部です。司波深雪さん、葭葉真司さん、生徒会へようこそ」

 

達也ほどではないが真司は服部から多少トゲのある視線は感じていたが、達也を完全に無視している形のほうが気になった。仮にも生徒会副会長という立場の人間が、生徒会へ招かれた下級生を無視するのはどうかと考えていた。敵意は隠さないにしても言葉ぐらいは取り繕うぐらいはできた方がいいと思っていた。

 

真由美と摩利からも挨拶がされ、摩利に促されて達也は風紀委員会本部に向かおうとしていた。それを服部が止める。彼は達也の風紀委員入りに反対しており、摩利と応酬を重ねる。摩利は達也の魔法を解析できる能力を理由に風紀委員入りを支持し、服部は二科生という能力不足を理由に反対していた。時折真由美から抜けた感心する合いの手が入るが二人は無視している。

 

深雪「待ってください!」

 

そこに深雪が差し込む。達也の実力不足という判断に不満を覚えたからだろう、間髪入れず深雪は続けようとする。達也は止めたかったようだが、真司は達也の実力を過小評価されている事実に異論があったため特に深雪を止めようとは思わなかった。

 

深雪「僭越ながら副会長、兄は確かに魔法実技の成績が芳しくありませんが、それは実技テストの評価方法に兄の力が適合していないだけのことなのです。実戦ならば、兄は真司さん以外なら誰にも負けません」

 

そう確信と自信に満ちた言葉に真由美も摩利も態度をあらためて深雪と達也に向ける。

 

服部「司波さん」

 

服部は深雪に身内贔屓に目を曇らせることのないようにと諭すようなことを話す。さすがに真司も少し言いたいことを言うことにした。

 

真司「副会長。先程の件について、お言葉ですが仮にも二科生とはいえ風紀委員として生徒会室に招かれた司波達也に対して生徒会副会長というお立場にいるあなたが無視するような態度をとることは生徒会の品位を下げる行為に当たるのでは?」

 

真司の正当な意見に服部は反論できない。真司が口を出したことに真由美も摩利も中条も市原も驚いた。

 

真司は深雪を見ずに手を握る。深雪は意図を察したようでクールダウンした。不満気な顔だったが口を噤む。

 

達也「服部副会長、俺と模擬戦をしませんか」

服部「なに⋯⋯?」

 

さすがの達也も二人にこのようなことを言わせてまで黙っていられる人間でもない。服部に模擬戦を提案する。まさかの達也の発言に真由美も摩利も呆気に取られる。服部の体が震え出す。

 

服部「思い上がるなよ、補欠の分際で」

 

真司は本性が出たなと思った。真由美を慕っているようだが少なくともこの差別意識が改善しない限り真由美が異性として見ることはないだろう。

 

そんなこと考えてる間に達也と服部の模擬戦の話は進んでいた。

 

達也「⋯⋯妹の目と親友の信頼が曇ってないと証明するためには、やむを得ません」

服部「⋯⋯いいだろう。身の程を弁えることの必要性を、たっぷりと教えてやる」

 

二人が合意したことにより摩利が模擬戦を正式に認める。時間は三十分後、第三演習室、非公開でCADの使用を前提とした模擬戦が決まった。

 

 

 

第三演習室

 

達也「入学三日目にして、早くも猫の皮が剥がれてきてしまったか⋯⋯」

深雪「申し訳ありません⋯⋯」

真司「一応隠す自覚はあったのか。バレなかったらいつまで隠す気でいたんだ」

達也「バレるにしても、できる限り遅い方がいいだろう」

真司「3年間平和に過ごせるわけがない。3年前から今までのこと考えたら巻き込まれる側だ、俺たちは。」

達也「⋯⋯」

 

真司の発言に思うところがあるのか、達也は反論できなかった。思い当たる節が多い、そう思っていた。三人は扉を開ける。

 

開けた先に摩利がいて話しかける。

 

摩利「意外だったな」

達也「何がですか?」

摩利「君が案外好戦的な性格だったということが、さ」

 

達也と摩利の会話が続く中、深雪と真司も会話していた。

 

真司「猫の皮というより化けの皮だと思うんだが、深雪はどう思う?」

深雪「その意見には同意できますけど⋯」

 

さすがの深雪も苦笑いで返す。さらに真司は続ける。

 

真司「猫被ってるつもりだったのか、あれで。猫被れるほど元々愛想良くないだろアイツ」

深雪「真司さん、そこまでにしましょう」

真司「否定しないってことは深雪もそう思ってるのか」

深雪「真司さん!」

真司「あははは、すまんすまん」

 

真司と深雪が話し合っている間にも模擬戦の準備は着々と進む。達也は銃型のCADを取り出し調整している。その姿を興味深く見ている生徒会メンバー。深雪と真司は慣れたものなので気にするほどのことでもない。摩利と達也のCADに関するやり取りを聞いて服部は慢心していた。

 

その姿を見て真司は勝負の世界で油断するやつがいるのかと思った。いや油断しているわけではないのかもしれないが明らかに下に見ているように見える。指導ならともかく普段から実戦と同じ想定つまり相手の力量が分からない想定で戦うことを意識している真司には相手の力量に応じて意識を変える意味を見いだせない。一言応援しておくことにする。

 

真司「達也、お前のこと見下して無視するようなやつけちょんけちょんにしてやれ」

 

その言葉に服部がピクリと反応したように見える。もしこんな言葉に反応して怒りに身を委ねるとしたら本当に笑い草だなと思った。

 

達也と服部は五メートルの距離に立つ。模擬戦のルールが説明される。そして模擬戦開始が宣言された。

 

摩利「始め!」

 

その言葉を聞くや否や達也は飛び出す。いきなりの動きに服部はついていけない。そのまま達也の動きを追いきれずに見失う。服部の背後から達也は魔法を繰り出し服部は気を失った。

 

摩利「⋯⋯勝者、司波達也」

 

達也の勝利が宣言される。魔法力で劣る相手と戦う場合、魔法以外の土俵つまり肉弾戦などの最低限の警戒すらしないから負ける、当然の帰結だった。

 

達也の体術に関する質問が摩利からされ、魔法ではないこと、純粋な身体能力であることが説明され、深雪も証言する。

 

深雪「わたしも証言します。あれは、兄の体術です。兄は、忍術使い・九重八雲先生の指導を受けているのです」

 

その言葉に摩利は息を呑む。真由美も立場もその名前は知らなくても、その技術に驚いていた。真由美からも達也の魔法に関する質問がされ、その説明を達也は行い、服部が倒れた原理を市原が推測する。その答えが当たっていることを達也は認め、市原はその手段を疑問に思う。その疑問に中条が達也のCADがシルバー・ホーンであることを見抜いた。

 

デバイスオタクの中条がトーラス・シルバーとシルバー・ホーン、ループ・キャストの説明を長々と行う。その姿を見て深雪は少し居心地が悪そうにしていたし真司は苦笑いで見ていた。中条は達也の使用しているモデルを見てさらに興奮していた。

 

ループ・キャストは全く同一の魔法を連続発動する技術。細かい調節をいれるなら術者が入れる必要がある。その事実に気付き、そしてそれらは実技試験の項目にはないことにも気付く。

 

達也「多数変化は処理速度としても演算規模としても干渉強度としても評価されない項目ですからね」

真司「基本的に魔法一つで勝負が決まる世界だから魔法の速度、大きさ、強さの三項目で評価するシステムが間違っているわけでもない」

 

達也の言葉に真司も反応する。達也の分解魔法から考えても、この三項目は間違ってない。むしろ真司はこの三項目では評価されないつまり魔法ではない土俵のほうが強い。実態は達也の方が一科生向きで真司の方は二科生寄りだ。だからこそ魔法科高校の実技試験では本質は測れない。真司はそう思っている。

 

服部が意識を取り戻し、達也の言葉に反応する。その姿を真由美にからかわれ、好きな相手にからかわれてタジタジになっている。

 

服部「司波さん」

深雪「はい」

服部「さっきは、その、身贔屓などと失礼なことを言いました。目が曇っていたのは、私の方でした。許して欲しい」

深雪「わたしの方こそ、生意気を申しました。お許しください」

 

服部は少し落ち着いた様子で今度は真司に話しかける。

 

服部「葭葉さん」

真司「なんでしょうか」

服部「あなたの言う通り、わたしの態度は生徒会の、生徒の代表に恥じる行動だったと思います。今後は気をつけたいと思います」

真司「こちらこそ差し出がましい口を出してしまい申し訳ございませんでした」

 

今度は意を決して達也に話しかける。

 

服部「司波さん。失礼な態度でした、どうか許して欲しい」

 

達也含めて真由美など生徒会メンバーは服部の謝罪に驚いた。達也はその謝罪を受け入れた。

 

その後は真由美の一言により生徒会室に戻ることになる。

 

達也はCADを事務室に預けに先に行き、集団の最後列で真司は深雪の横にいる。

 

真司「思ったより俺の話効果あったのかな?」

深雪「そうですね」

 

服部が達也に謝罪したことで深雪は上機嫌だった。

 

真司と深雪は中条からコンソールの使い方などレクチャーを受けていた。事務室から戻ってきた達也は摩利に腕を取られ風紀委員本部に連れて行かれる。それを黙って見送る深雪。真司が同じことされていれば反応しただろうが真司は横にいて一緒にレクチャーを受けていたので何も問題がなかった。

 

 

 

 

達也が風紀委員会本部に行ってしばらくしてから真由美も生徒会室を閉めることを伝えるため風紀委員会本部に降りて行った。真由美が戻ってきたのを確認してから真司は深雪に提案する。

 

真司「深雪、達也の様子と風紀委員会本部を見るために行ってみないか?そのまま一緒に帰らせてもらおう」

深雪「そうですね、いい考えだと思います」

真司「真由美さん、そういうことなのでこのまま風紀委員会本部に行ってから直接下校させていただいても構いませんか?」

真由美「ええ、構いません。2人とも今日はお疲れ様でした」

真司「お先に失礼します」

深雪「お先に失礼させていただきます」

 

真司と深雪が生徒会室から風紀委員会本部に降りると四人の人間がいた。達也と摩利、そしておそらく風紀委員のメンバーであろう二人の男子生徒だった。

 

真司「達也、様子見に来たぞ」

達也「深雪も真司も来たのか」

深雪「七草会長に許可もらってこちらに伺わせてもらってから下校することになりました」

摩利「ちょうどいい、辰巳、沢木、こちらの二人は新しく生徒会入りした司波深雪と葭葉真司だ」

 

摩利から自己紹介を受けたので真司と深雪は二人に挨拶する。

 

深雪「はじめまして、生徒会書記の司波深雪と申します。よろしくお願いいたします。」

真司「はじめまして、同じく生徒会書記の葭葉真司です。よろしくお願いします。」

 

辰巳「三−Cの辰巳鋼太郎だ。よろしく二人とも」

沢木「二−Dの沢木碧だ。よろしく司波さん。司波さんは新入生総代の子だね。司波ということは司波君の妹さん?」

深雪「はい、司波達也はわたしの兄です」

沢木「葭葉君もよろしく」

 

そう言って沢木が握手を求めてきたので真司は応えることにした。かなり強い力で握り込んでくる。これは返して良いのだろうか。

 

真司「達也、かなり強い力で握られてるんだが握り返していいのか?」

達也「俺もやられて握り返したから大丈夫だ」

真司「そうか」

 

そう言って沢木の手を握り返す真司。攻守逆転した。

 

沢木「イタタタ、葭葉君かなり力強いね。握力100超えてるのに握り返されて負けるとは思わなかったよ」

真司「お褒めいただきありがとうございます」

 

その様子を見て達也はそう言えばコイツはフィジカルゴリラだったなと思っていた。

 

深雪「お兄様はお帰りできるのでしょうか?まだご用事がございますか?」

摩利「もう風紀委員会本部も閉めることにしたから、先に三人とも帰って構わないぞ」

深雪「お気遣いいただきありがとうございます」

真司「ではお先に失礼いたします」

 

真司と深雪・達也は先に帰らせてもらうことにした。

 

沢木「葭葉君もかなり頼りになりそうだね」

辰巳「そこまでか?」

沢木「かなり鍛えられた体してると思うよ。摩利さんは葭葉君の力は確認してないのですか?」

摩利「ああ、葭葉の力は確認できてない。是非とも服部には試金石になってもらいたかったな」

 

そんな摩利の態度に苦笑いするしかない辰巳と沢木。そんな会話が繰り広げられていた。

 

周りの生徒はまばらだったので、さっき続きとばかりに真司は深雪の手を握る。突然のことに深雪はビックリした。

 

深雪「真司さん?⋯どうされたのですか?」

真司「さっき手を離したとき、残念そうだったから。今なら周りの人は少ないし見られる心配もないだろう?」

深雪「そうですけど、お兄様の前ですよ?」

真司「達也は例外だろ」

達也「相変わらずだな二人とも」

 

中学時代から変わらない、いつも通りの帰宅風景だった。

 

 

 

 

真司の自室

 

深雪「真司さん、お時間よろしいですか?」

 

深雪が真司の自室に訪ねてくる。

 

真司「深雪か?部屋の鍵開いてるから自由に入ってきてくれていい」

 

許可をもらって真司の自室に入る深雪。真司は無言で緑茶を入れる。深雪が真司の淹れた緑茶を飲んで一息ついたのを確認して声をかける。

 

真司「深雪、どうしたんだ?」

深雪「真司さんからいただいたCADに拘束魔法系を入れたいのですが」

真司「明日からの部活勧誘期間始まるならそのための拘束魔法か。デバイスの使い分けするのか?」

深雪「一応そうなります」

真司「達也に頼んだほうがいいんじゃないのかと思うんだが」

深雪「それはそうなのですが⋯その⋯真司さんになら肌を見せるのは構いませんが、お兄様に見せるのは少しためらってしまって」

真司「分かった、そこまで言われたら俺は何も言えない」

 

真司は部屋のクローゼットからリッチャーズ製のデバイス調整機械を取り出してくる。その上に真司が深雪の誕生日にプレゼントしたリッチャーズ製の深雪専用カスタマイズオリジナルデバイスシリーズ『フィスリール』のCADを置く。

 

真司「何か拘束魔法系の希望とかあるか?」

深雪「真司さんにお任せします」

真司「そう言われてもな。まあ怪我させにくいタイプを選んでインストールしておく」

深雪「よろしくお願いします」

 

しばらくしてインストールが終わる。真司は深雪に『フィスリール』を手渡す。

 

真司「じゃあサイオン流して、オートアジャスト機能展開して」

 

リッチャーズ製の深雪専用デバイス『フィスリール』には一般製品には搭載されていない完全独立型自動調整最適化機能が搭載されている。これはデバイスに登録された個人のサイオンや魔法資質などあらゆるデータを事前に記録し、その情報を元にその場で自動最適化する機能である。アシスタンスを必要としない新技術であり魔法技術者の仕事を奪う機能のため社外秘として扱われているものだが、深雪専用デバイスには標準搭載されている。

 

深雪はデバイスにサイオンを流し込む。サイオンが流し込まれることで、そのサイオン情報を元に記録された情報を引き出し解析魔法を通してデバイス側が使用者の深雪の現在情報に合わせて自動最適化されていく。

 

最初深雪はこの機能を説明されたときは驚いたと同時に達也には絶対言えない機能だなと思っていた。

 

サイオンの奔流が終わり最適化が終了する。

 

真司「深雪どうだ?まだこのデバイス渡してから二週間も経ってないし、実感はないと思うが最適化されてるはずだ」

深雪「大丈夫⋯だと思います。本当にすごい機能ですね。お兄様には絶対に言えない技術です⋯」

真司「それは俺も同感だが、俺は自分の調整できないし、達也に任せると社外秘の技術にアクセスしようとして外部装置もろともロックかけて警報鳴ったから下手に任せられないんだよなぁ⋯」

深雪「そんなことありましたね」

 

深雪と就寝時間が来るまで色んな話をして過ごした。

 

 

 

 

 

 

ifネタ・真司vs服部の模擬戦

 

達也と服部の模擬戦が決まったあと

 

摩利「真司君」

真司「なんでしょうか」

摩利「君もどうだい?服部と模擬戦するなら許可するよ」

真司「服部副会長が構わないのであれば、胸をお借りします」

摩利「そう言ってるが服部、どうする?」

服部「葭葉さんを相手にか?」

摩利「さっき、生徒会の品位がとか言われてたからな。生意気な口を、とか思ってないのか?」

服部「⋯⋯いいでしょう。後輩を分からせる良い機会です」

 

摩利は内心ガッツポーズした。達也だけでなく真司の力も測れそうなことになったからだ。真司と服部の模擬戦は達也と服部の模擬戦が終わった後に決まった。

 

達也との模擬戦が終わった後

 

摩利「では服部、いけるか?」

服部「葭葉さんとの模擬戦ですね」

摩利「そうだ」

服部「かなり回復したので、大丈夫です」

摩利「なら始めようか」

 

摩利「真司君、こちらに」

 

真司は摩利から呼ばれたので第三演習室の中央に服部と向かい合って立つ。達也と同様にCADを事務室から受け取りに行っていた。達也のシルバー・ホーンと違い真っ黒のボディに金字の装飾の銃型のCADをホルスターに入れている。手に持っていないことに達也と深雪以外は疑問に思っていた。

 

摩利「始め!」

 

その宣言と共に服部は指を走らせ三回ボタンを叩く。先程の達也のようにいきなり接近してくることを想定して構えていたが来ない。ならばと単純な移動魔法が発動し真司を後方に吹き飛ばしそれで終わると思っていた。魔法は発動したが真司には何も起こらない。干渉装甲かと周りは思ったが、干渉力だけ持たせた魔法式を投射している気配はない。再度服部は魔法を放つが真司には何も起こらない。

 

真司は詠唱する。

 

「顕現せよ、万物を断ち切る雷よ、我が指先より迸りて、敵を撃ち抜け」

 

CADによる高速発動が主流となった現代において詠唱魔法とは廃れた技術だ。真司はその廃れた魔法を使う。詠唱が終わると同時に服部に向けた真司の右手人差し指から稲妻が服部に走る。服部に稲妻が当たり背中から突き抜ける。その瞬間に服部はまるでスタンガンを当てられたかのように電流が全身を駆け巡り気絶した。

 

その光景を唖然として見つめる摩利と生徒会の真由美・中条・市原。達也と深雪は平然としている。

 

呆然としていた摩利が我に返り勝利を宣言する。

 

摩利「勝者、葭葉真司」

 

模擬戦が終わって戻ってくる真司に摩利が声をかける。

 

摩利「真司君、最初服部の魔法が効かなかったのも気になるが、その、詠唱魔法とは初めて見たよ」

真司「そうですか」

 

一言だけ返す真司に摩利はどう聞こうか悩む。深雪・真由美をはじめとした観戦者も寄ってくる。

 

真司「まとめて説明したほうが早いでしょう」

 

真司はそう言って解説する。

 

真司「最初に魔法が効かなかった件については単純に自分には直接干渉する魔法が効きづらいと思っておいてください。これについてはこれ以上語る気はないです」

 

そう言われたら深く個人の魔法の秘密を追求することはマナー違反とされる価値観から考えて周りの人間は追求できなかった。

 

真司「多分そっちより気になるのは詠唱魔法の方ですよね?詠唱魔法と一言で言えばそのとおりとしか言えません。起動式化できないタイプの魔法形態なので詠唱するしかない魔法です。一応条件さえ満たせば誰でも使えるタイプの魔法ではありますが、すみませんがこれに関してもこれ以上語る気はありません」

 

真司からそう言われたら誰も追求できない。達也と深雪もこの段階までしか説明されておらず、真司の魔法の効きづらさと詠唱魔法の秘密は明かされていない。皆の心に疑問を残したまま模擬戦は終了した。





最後にIFネタルートの話を載せてます
本編とは別でIFルートをいくつか予定してます
思い付いたら書く感じです


IFネタは本編と違って収拾をつける必要ないので盛大にやります
あと本編だけだと主人公の活躍の場面が少ないのでIFネタの方で少しずつ能力の秘密や設定の話を開示していくことになります

今回は
追憶編で先に出すはずだった詠唱魔法となぜ真司に魔法が効かなかったのか

魔法が効かない方の話はとても長い話になるので詳細な話はここではしません
高密度の霊子を纏っているから直接真司に干渉させる魔法が効きにくいという解釈だけ覚えておいてください

詠唱魔法は単純に魔法科世界で詠唱魔法使わせたいからオリジナルで考えて使ってます
もとはダンまち用に考えてた詠唱です
魔法先生ネギまとか読んで育った世代なので詠唱にロマンを感じてるタイプです
細かい設定があってなぜ詠唱なのかという設定も作ってあります
設定回でもいつか作って細かい設定は開示します

両方とも詳細な話は後日ということになりました
ここで書くにはめんどくさいのでもう少しいろんな設定が出てきたら開示します
九校戦のIFネタ話が区切りですかね
詠唱魔法の詳細はそこで話せるようになります
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