宇宙は空にある。 作:ペペロンチーノ大好き
目が覚めた。森に居た。いや何処だよここ。一旦落ち着いて記憶を辿るか。そう、仕事、宇宙飛行士になって初めての仕事行く時、
確か─仕事行く途中赤信号無視してきた車にぶつかって、あーそっから記憶ないな。だとしても目が覚めるのは病院の筈...なぜ森。
どうすっかなこれ。あー財布...は...俺全裸じゃね?あとなんかツノ生えてね?というか肌色人間じゃなくね?紫?ええこれやっぱ死んでね?天国かここ。
いや、にしては感触が生々しい気がする。どういうことなんだ、まるで意味がわからん。ん、今なんか物音が...うわっ、犬いるやばい逃げねば────────
死ぬかと思った。なんか勝てたからよかったが、このまま森に居ると多分死ぬ。だが今俺は全裸なので下手に人前に出ると(社会的に)死ぬ。
そもそも人は居るのか。何もかもわからんがとりあえず森を出ねば。
...それはそれとして腹減ったな。クソ、これ食うしかないのか、犬かぁ。いや待て生食はまずい。火を起こせるものは、ないな。空気は湿っぽいし多分火も付かないだろう。畜生め。
もう空腹も限界だ。...殺した直後なら大丈夫だろ。多分。きっと。死体放置してたらクマとか湧くしな。うん。
とりあえず内蔵は避けて腹回りの肉だけ食べよう。...イけるな。...何してんだろうな俺。ただ...あそこにいきたかっただけなのに。あの信号無視野郎め。しばらく呪ってやる。ああ、俺はガガーリンが見た景色を見れなかったよ母さん...まだ諦めるべきでもないか。まだギリここが現実世界という可能性は...1パーくらいしかないな。でも諦めない。それでも見たいのだ。
ごちそうさまでした。二度と食べないよ、犬。
...森を出よう。
───結構進んだんだけど。全然森を出られる気配がないが。ん、あれ人じゃね?...人だ!第一村人発見!助けてくださぁぁぁぁい!
────────────ありがてぇ、ありがてぇ、こんな具もほぼないシチューが今は死ぬほど美味い。第一村人さんに言葉は伝わらなかったようだが、ただならぬ雰囲気を察してもらい事なきを得た。後一つまずいことは俺も相手の言葉がわからんことか。
そう、全くわからんのである。俺が知っている言語の中で1番近いのはラテン語だろうか。発音がそれっぽい。
後時代が信じられないぐらい昔。多分紀元前あたりの発展具合だと思われる。ここは教会っぽいかな?古代ギリシャあたりでこんなんあった気がする。
...とりあえず言語を理解しないと色々と話にならん。しょうがない、ここはかつてアイヌの言葉を解読するときにしたことするか。すいませーんこの本らしきものってなんていうんですか────────
...数年かかったがなんとか会話できるぐらいには上達したぜ。仕事も持ってたし...まあ教会のお手伝いさんみたいな感じだが。
ここ数年で色々知った事がある。まずこの教会はどうやらとある女神を信仰してるらしい。しかも天地創造の女神やら全知全能の女神やら大層な二つ名が付いている。まあ何処からどう見ても一神教だ。
つぎにこの世界魔法が存在している。最初は不可解に感じたがまあ、ここは前世とは違う世界なのだから別に不思議でもないだろう。異世界転生モノに魔法がないことの方が珍しいし。魔法は普通の魔法と女神の魔法とに分かれている。女神の魔法は僧侶系で普通の魔法は実に多岐にわたる種類の効果がある。ありすぎて覚えられない。
よく知らんのは俺の種族。わからん。多分魔物とか居たからそれの派生種族かもしれん。だって人間に対してとんでもない害意湧いてるし。その本能以上に別の欲望があるおかげでなんとかなってる。まあこれはいつかほぼなくなるだろう。別の欲望は日増しに強くなってるし。あー、あとなんか空飛べる事が判明した。速度はゆっくりだし、高度限界あるけど歩くみたいな感じで自然に出来る。教会の人たちは女神が起こした奇跡だとか言ってたので多分女神様のおかげ。女神スゲェ。
あとついさっき言った魔物とかいう化け物が各地に居る。普通に教会の外れの森にも居る。なんならこっち来た。シンプルに強かった。で、コイツらと戦闘した時に飛行魔法以外に自分が使える魔法がある事に気がついた。
『
教会の人にそう名付けられた。実際意味わからんぐらい硬くなる。耳たぶで釘打てるし魔法かける前から硬い角に至っては大岩割れるぐらい硬くなる。試しに打ちつけたら普通に割れた時は戦慄したね。
色々あったがまあ楽しかったわ教会。
ちなみに今は大陸の北の方の山で空飛ぼうとしてんだよね。なんで突然そうなったか?いや一週間前はまだ教会の手伝いしてたのよ。
ただ数年間ぐらいこの世界で過ごしてたら宇宙への渇望がアホほど増えた。
ほんでとうとう晴天の日の夜空を見上げた時
思い出せ、俺は宇宙、宇宙にいくのだ、そうだガガーリンであれ。そう俺の心はアポロ11号だ。だから...行くか!ってなったのね。
ほんで教会飛び出した。
さて飛び出したはいいがどこ行くか、とりあえず人がいないところに来てなって今ここ。
別に考えなしにここに来たわけじゃない。まず宇宙に飛び立つ方法として俺に1番馴染み深いのはロケットだがとてもじゃないが今の文明の発展具合では無理だ。あとこっちの世界にロケット作りに必要な素材が存在していない可能性もある。そう考えるとこの世界の既存の技術、魔法を活用する方がよほど堅実である。
というわけで魔法を使って宇宙へ行くことにしたのだ。それと北の山に行くのとになんの関係があるのかって?
それはだな、まず魔法は基本飛行魔法を使うことになるじゃん。ほんでこの魔法このままだと宇宙行くための出力に全然届かないのね。そんなら魔力を魔法式に込めまくって出力上げればよくねってなった。で、今のままだとそのための魔力全然足りないのよ。んで魔力は体力と似た要素があっていっつも使ってると自然と伸びるの。
ほんで思いついたトレーニングが山の上からその日出せる魔力出力の全力を飛行魔法にかけて限界まで飛び、『
これ、今習得してる魔法を一番有効活用して魔力を消費できるし、何回も使用することで魔法の質が良くなるし、ついでに衝撃にも慣れられるしでいい事尽くしなんだが、まあ危険。着地点に家があったら家がお陀仏だし人間は言わずもがなだろう。だから周りに人気がない、そして高度がある北の山が良かったんですね。
ちな今日のセットは終わった。もう魔力ほぼない。...しばらくはこれをして過ごすかな。宇宙行くためには呼吸とか大気圏突入時の熱とか色々課題あるけどとりま大気圏まで行かんと話にならんし。
...にしてもこの時間暇だな。飯はついさっき熊食ったしなぁ。...体鍛えるかぁ。...寿命来るまでに宇宙行けるといいなぁ。
────────
...なんか寿命長くね?もう50年ぐらい経ってるのに老化の兆候すらないんだけど。ま、まあ魔物とかそれに近しいモノはそういうもんか。時間あるに越したことないからな。
────────
やっぱなげぇな寿命。あー100年経ったかな。わからんわもう。体の鍛錬のし過ぎで筋肉ダルマになって空気抵抗で飛びづらいし間違った方向に全力疾走してる気がする。
───────────────
寿命長すぎィ!500は確実にすぎたろ。老化どころか身体能力の低下すらしてないんだが?筋肉のつけすぎで筋肉が自重で縮こまって元の体型に戻ったからいいんだけど。ようやっと成層圏まで行けたし。これ以上行くとなると熱をどうにかしなきゃだな。魔法の高度限界を無理矢理突破する以上速度落とせないし。しかも速度上げすぎると大気圧縮で俺が燃え尽きる可能性あるしな。
こーれは熱を断ずる方向性で一旦考えるか。しかしそういう魔法あるんかな。ないなら作るか。...しゃーないひっさびさに人里降りるかぁ。魔法については何もわかってないからな。
角はフードで隠して、肌は、どうしようもないな。まあ厚着しときゃ誤魔化せるやろ。さて...飛ぶか。
なんか魔物増えてるのかな最近。下の高原に大量発生してる、キモ。うじゃうじゃやん。北ってもしや修羅の大地?あ、人里だ。あんま文明進んでないな。
さて、色々と情報収集するか。えっと街の名前は、読めねぇ。こーれ言語違います。おいおいまたアイヌ式言語解読法するか?...くそ、ワンチャンかけて話かけてみるか。
「あっ、すいませんそこの人。」
そう話かけられた名も知れぬ通行人は迫真の困惑顔をしていた。
何か言っているようだが何もわからん。やっぱ駄目か───
「失礼、それって南部あたりの古語ですよね」誰ぇ!?なんか横から湧いたぞ!?
「南部から来た商人の者です。懐かしい言語が聞こえたもので。」そういった商人の耳は尖っていた。エルフかお前。
「はあ、やっぱり古語、というか死語なんですか。」
「ええ死語です。確か300年ぐらい前に死にましたね。というかここ北部ですよ。南部に近い方ですけど。」
そんなんわかってるよ。言語通じないのも薄々察してたし。ただ...
「...時が経つのは早いですねぇ。」
「...よくわかります。そうですよね、やっぱ早いですよね。」
なんか気が合いそうだな。
「...どうです最寄りの酒屋で一杯。奢りますよ。」まじで?
「いいっすね行きましょう。で何処です酒屋。」
「案内します。着いてきて。」
絶対いい人だこの人。クソッこんないい人殺そうとすんな本能、帰れ。...帰ったな。
「...どうされました?」
「いえ何でも。内なる魔物と戦ってたていうか。」
「はぁ...?あ、着きました。」
お、普通の...机がねぇ...うーん紀元前。まあいいや。
「普通にビールでいいですか?」「あるんすか?」
「え、普通にありますが。というか一般的では?」
こ、こっちの世界でも一般的なのか。まあ素晴らしい事だ。
早速ビールが木のジョッキと共に来た。
「...突然ですが質問いいですか?」「どうぞ。」
「貴方何処から来たのです?言語は南部古語ですが、ここは最北端の町ですし。」
「あー、それはですね、うーんどうしようかな。」
まあ、話してもいいか、前世と出自だけ伏せて話そう。
「えっとですね、元々南部の教会出身だったんですが─────
「面白い、つまり空の向こう側に行きたいと?」「そゆことです。...てっきり笑われるか引かれるかと思ったんですが。」
「夢がデカいってのはいいことですよ。いや、面白い話を聞いた、報告書に書こう。」
酒も入って話が非常に盛り上がり、完全に出来上がった二人が誕生した。
「報告書?」
「あぁ、実は最北端の町の調査をしろとかいう指令が商会から出てて、それを書かにゃならないんですよ。」
「そいつぁ大変ですねぇ。」
「まあ必要事項かいたらある程度自由に書いていいので楽っちゃ楽です。今回は魔物の発生状況調査と魔族の出現の真偽、町の出生率でしたかね。」
んーちょっと待てい。魔族って言ったな今。俺じゃね?
「...魔族って?」
「なにやら魔物が進化した者らしいです。詳細は分かりませんが南部でも一部被害が出てるらしく...。何が知ってたら教えていただけると。」
何か目光り始めたなこの人。
...どうしよっかな。一応元人間のよしみとして教えておくか。
「そうですねぇ...俺が魔族です。」フードを剥がし角を見せる。
「へぇ...ん?え?...は?」
「ですから恐らく俺が魔族です。見た目がそれっぽいでしょう。」
「????いや、まあ確かに報告に上がった姿と一致してる部分はありますがね、えぇ...。」
「何、奢ってもらってますから、情報ぐらいはね。ああ、あと魔族の事は好意的に書かない方がいい。」
もしこの世界が俺の予想通りの場所だとしたら、魔族はいずれ人類の害獣となる。いやもう害獣だろうか、被害出してるし。...教会の女神様のビジュ見た時気付けたはずなんだがなぁ。
「ほう、それは何故?」
「魔族は人の言葉や感情を理解できず、かつ本能的に人を襲う本能があるから、と言っておきます。報告もそのまま書けばいいでしょう。」
「...嘘は言ってないようですね。...ではあなたもそうだと?」
「...んまあさっきはちょっと本能が滲み出ましたが待って構えないで落ち着いて、ね?今はもうないから、戦う気はないんですよマジで。」
だから落ち着いて、ね?周りの人見てるから。頼むでマジ。あっ降ろしてくれたありがとうございます。
「では何故私に話したのです、答えなさい。言っておきますがウソかどうかは分かりますからね。」
もしや目光ってんのって...
「...魔法ですか?」
「質問に質問で返さないでください。」
仰る通りです。許してください、出来る範囲で何でもしますから。
「...魔法です、使うと眩しくてしょうがない。次はあなたが答える番です。」
あっ答えてくれた。この人は魔族と戦うの向いてないだろうな。
「元人間って言ったら信じます?」
「...嘘は、ないようですね。...よかった、個人的に殺したくはなかったですからね。」
血の気多いな、やっぱ魔族と戦うの向いてるかもしれない。
「元人間ということは、魔族は人が変容して生まれるのですか、魔物ではなく?」
「いや俺が特異なだけです。普通に魔物が変容したやつです。俺の魂がこの身体に居着いてるんです多分。」
「うーん、一切魔法が反応しないので嘘じゃないのはわかるんですがね...。情報提供感謝します。」
よかった穏便に済んだ。助かった。
「ところでどうやって報告書に書きましょうかねコレ。そのまま書いても信じてもらえる気が...。」
「俺に襲われた体で書いてみては。」
「いいんですか。大分名誉に関わると思うんですけれど。」
「いや別に、容姿と元人間であることさえ控えてくれればどう書いてもいいですよ。」
本当にどう書かれてもいい、目的にも大した影響はないだろう。お、雪降ってる。
「じゃあ遠慮なく。...雪降ってきましたね。帰りどうしようかな。」
「何できたんです?」
「足で来ました。」
「...送りましょうか?案内さえしていただければ背中に乗せて飛びますよ。」
「ああ、そういえば飛べるって言ってましたね。ではお言葉に甘えて。」
さて、エルフさんから貰った地図から考えると、うーん30分ぐらいか。飛ばすか。なんかエルフさん静かすぎないか、やっぱおんぶは駄目か?
「エルフさーん。乗り心地はどうです。」
「......。」
「エルフさーん?」
「ウッ...。吐く...。」
乗り物酔いかぁ?大丈夫かな。
「速度落とします?」
「............。」
エルフさん?
「ヴォエッ」
「ファッ!?ちょっと待ってここで吐かないでぇ!」
俺の一張羅が死ぬ!まずい!
とりあえず降りなければ!
「大丈夫ですかぁ?」一張羅はギリギリ死なんかった。危ない。
「...ええ何とか、速度は落としてください。死んでしまいます。」
「了解でーす。」
──────
お、あれじゃね。
「...あの街ですか。エルフさん」
「あ、あれですね。ありがとうございました、降ろしてください。」
結構遠かったな、交易街ヴァルム。未来だと都市だった気がするが、結構デカいではないか。あとやはりこの世界、葬送のフリーレン世界ではないか。...まあどうせやることは変わらん。宇宙へ行くだけだ。
「あーエルフさん。行ってしまう前に聞きたい事があるんだが。」
「何でしょう。」
「魔法とか研究してるところってある?」
「んー、まあありますがここからだとちょっと遠いですかね。地図貸してください。...ここです。」
まあちょっと遠いが行けないこともないか。どうゆうとこなんだ。
「紹介しといてなんですが、あなたはここには今行かない方がいいかもですね。」
「まさか魔族関係で?」
「はい。...エルフの町なんですがね、魔族、魔物の被害がちょっと出てましてピリピリしてます。」
ほな無理やんけ。えーどうしよっかなぁ。魔導書とかもまだないわけだし、うーむ。
「魔法を習得したいのだったら、自分で作るしかないんじゃないですかね。」
やっぱそうかぁ。しばらくこもって魔法の研究するかぁ!帰るか...無駄足だったな。
「ああでも魔法のことが書いてある本ならありますよ。要ります?」
「いいんすか?マジ?」
「私には要らない物です。エルフの町の人たちからもらってるんですがね、捨てるのもどうかと思って持て余していたので。家にあります。」
やったぁこの人やっぱいい人だぁ。
「...多くないですか?」
「...あの町の人たちは魔法狂いで、日々こうして成果を記録しているんです。が、すべての人類が魔法が好きだと勘違いしているらしくこのようになんとしても布教しようと大量に送ってくるんです。一応、為にはなるんですがね、魔法はからっきしで。」
ええ...。何この量、部屋の4分の1ぐらい埋め尽くしてるじゃん。
「...断った方がいいんじゃないですか。」
「彼、彼女らが何だか嬉しそうに勧誘してくるので断るに断りきれなくて...。好意を無下にするのも...。」
そうゆう時は断ってもいいんですよ。でも彼女の性格的に断り切れないんだろうなぁ。悲しいなぁ。せめて持っていって彼女の負担を減らすか...。
「....大きめの布ってあります?」────────────────────────────
「そろそろ帰ります。えっと、お名前は?」
「そういえば、ちゃんとした自己紹介はしてませんね。改めて、商人のヴァルヌンクと申します。」
「ヴァルヌンクさんね。いい名前じゃないですか。」
結構名前厳ついな。ネームドじゃなさそうだし。マジでどのくらい前なんだろう。
「じゃあ、色々ありがとうございました、ヴァルヌンクさん。次会う時にはもう敵かもしれませんがね、では。」
「待ってください。あなたの名前を聞いてません。」
俺の名前...?何だっけ、前世の名前も覚えてないわ。適当に考えるか。
「えっとですね。俺の名前は───────────
────────────────────────────
勇者ヒンメルの死から27年後
中央諸国
交易都市ヴァルム
────フリーレン様のことだから変な骨とか薬を買うと思っていましたがアクセサリーならまあ別に...よかった、手分けして買い物をしようなどと言った時はどうなることかと思いましたが─
「ここら辺に美味しいスイーツのお店ってある?」
─流石にずるいですよフリーレン様。私だって何ヶ月食べてないのに。
「ああ、ならこの酒場で聞くといいよ。」
「ありがとう。」
これは尾行続行ですね...。
「ここか。」
ごろつきがたくさん...。
いやいや明らかにスイーツについて聞ける雰囲気じゃないでしょうフリーレン様。
「ああ?スイーツの店だぁ?」
「ナメてんのか?へっへっへ、
この街には美味いスイーツが山程あるぜぇ。」
聞ける場所なんだ。
「じゃあ一番美味しいところを紹介して。」
「そうだなぁ、やっぱヴァルヌンクだな。」
「ああ、あそこのプリンとパンケーキに勝るもんはねぇ。あれは俺たち冒険者にとっちゃ麻薬だぜぇ。」
冒険者だったんだ...。
「ヴァルヌンク...久しい名だね。」
え、老舗なのかな。
「なんだ知ってたのか。じゃあ別の場所を紹介するか?」
「いや、そうじゃない。ヴァルヌンクとして知ってるのはエルフの方だよ。」
人名だったんだ...。
「ヴァルヌンク、そういえばこの街の発展の立役者だったか。ずっと前に死んだらしいが、あんた知り合いなのか?」
「1000年前にお世話になってね。ああ、スイーツ店のこと教えてありがとう。」
ヴァルヌンク...ハイター様が昔語ってくれた御伽噺の中で聞いたことがある気が...
「おう。店を出て右手の階段を上がったらすぐだからなぁ。たんと味わえよ!」
──あ、フリーレン様が出ていってしまいました、追いかけないと。
このままスイーツを食べに行くのでしょうか。───あれ、あっちは宿の方では...戻るつもりかな?あ...買い出し全然終わってない────
「フリーレン様、疑ってすみませんでした。」
まさか全て私の誕生日のためだとは...。
「...何の話?」
「...いえ。」
───────
パンケーキ美味しかったですね...。髪飾りも貰えましたし......。
........やっぱり気になりますね、あの事。
「フリーレン様、突拍子のない事を聞いてもよろしいでしょうか。」
「どうしたの、フェルン。」
「ヴァルヌンク様という方は何者なのでしょうか。」
「....フェルン、どこでその名前を?」
まずい、酒場まで尾行してたなんて言えない...
「...ハイター様が話していたのをふと思い出して...。」
自分で言うのもなんですが、かなり苦しい言い訳ですね。
「.........まあ、この街は彼女と関わりが深いから何処かで彼女の事聞いた可能性もあるか。いいよ、話そう。」
よかった、押し通せたみたいです。
「彼女はこの街の大商人で、私よりも前に生まれたエルフだった。」
「フリーレン様よりも前に...?それは原始時代の域なのでは?」
「さあ、もしかしたら本当にその時代に生きていたかもしれないぐらいの長生きなエルフだったのは確かだ。」
そんなに長く...。
「彼女には師匠と共にお世話になってね。物資を支援してもらっていたりしていたんだけど...。」
「...?どうしたんですか、フリーレン様?」
「いや、話そうか迷ってね。ちょっと衝撃的な話でフェルンには刺激が強いかなって。」
「...子供じゃないんですから。」
「わかった、話すよ。彼女、ヴァルヌンクはね...500年ぐらい前かな、自殺したんだ。体には数々の自傷の後があり、周りの壁には意味不明な字が血で書かれていた。」
「え...。」
「...彼女は街を発展させた商人という側面と、あと一つの側面を持っていた。最初の魔族の観測者、だ。そして彼女によって書かれた原初の魔族についての報告書は大切な資料として今でも保管されている。...彼女が自殺した時現場には複数枚、とある魔族について書かれた報告書が散らばっていた。
「その...魔族とは?」
「脳に瞳を宿した魔族、その名を───────────
─────ヒルン。」
葬送のフリーレンの女神様って多分上位者だよな?