外も雪が降り始め、寒さに包まれた12月
ラブライブ!北陸大会を控える中、職員室には不穏な空気が流れていく
明人「ネット禁止令……よりにもよって今かよ」
『ネット禁止令』
長きに渡り、蓮ノ空の中で少しずつ協議されてきた一つの問題。長年に渡る蓮ノ空の伝統を守りたいいわゆる規制派。時代の流れに合わせて変換していく考えをもつ容認派。この二つの対立。それが今になって急に頭角を現した
明人「このままいけば、来年度にはネットを禁止。もしくは……沙知みたいに……。っダメだ。どうにかっ」
◇
花帆「あたしたち、今署名活動をしているんです!」
一年生3人が外でなにかをしているのを見て来てみれば、意外な言葉が飛び出てきた
明人「署名って、『ネット禁止令』の?」
さやか「多くの署名を集められれば、もしかしたらと思って」
瑠璃乃「流石にこの量集めればいけるよね?」
明人「取り合えず瑠璃乃は廊下を段ボールで移動するのやめような?」
瑠璃乃「むり。げんかい」
明人「そ、そうか、頑張ったな……。で、それを今から沙知のところに?」
花帆「はい。見てください、こんなに集まったんですよ!」
三人で分けてなんとか持てる量の紙を見せつけてくる
明人「す、すごいな……」
花帆「えっへん」
明人「ま、まあ、見せてこい」
花帆「はい!いくよ、さやかちゃん!瑠璃乃ちゃん!」
さやか「はい!」
瑠璃乃「おー」
◇
花帆「ダメでした……」
明人「だろうな」
生徒会室から出てきた三人ががっくりと肩を下げる
瑠璃乃「ルリの充電、なんだったの」
さやか「ほ、ほら!生徒会長も喜んでくれましたし!」
明人「あはは……。ほれ、練習戻れよ」
花帆「はい!明日は次の作戦を決行します!」
明人「まだあんの?」
◇
明人「なあ、なに、あの放送」
花帆「そ、それは〜……」
さやか「すみません、わたしのせいで……」
梢「あ、謝らないでさやかさん!私が悪いの!」
花帆「そんな、梢センパイが機械オンチなの忘れてた花帆のせいですよ〜……」
梢「花帆さん!」
昼休みに校内に響いた放送。成績優秀な梢と村野のネットを使った勉強法を紹介するための放送。だったのだが、梢の機械音痴が発動してグダグダのまま終了、という結果に終わった
明人「あのな?あんまりやりすぎると俺も怒られるげん。やめてくれ」
花帆・さやか・梢「はい……」
◇
花帆「決めました!」
明人「なにを?」
廊下で日野下に声をかけられたと思うと、急に大きな声を出す
花帆「あたしたちがラブライブ!北陸大会で優勝して、『ネット禁止令』を撤廃するんです!」
明人「……それがどうしてそうなるんだ?」
花帆「配信をするんです!リモートで参加して、ライブを配信する。そして優勝すれば、ネットは大事なんだーってわかってくれるはずです!」
明人「……取り合えず、北陸大会に集中するってことでいいんだな?」
花帆「はい!」
日野下が胸を張って答える
明人「わかった。運営には俺から連絡しておく」
花帆「お願いします」
◇
明人「なんでそうなるんですか!」
机を叩く音が響く
「決定事項です。生徒の勉学の妨げにならないよう、もうすでに学内のWi-Fiはほぼ撤去しました」
明人「スクールアイドルクラブはどうなるんですか!ラブライブ!が目の前なんですよ!あまりにも横暴だ」
「大会は会場で行われるはずですよね。少なくとも、今年はいけるはずです」
明人「蓮ノ空スクールアイドルクラブはリモートでライブを行います。このクラブの強みを最大限活かす。だから配信で参加するんです。去年のように、不戦敗になれと?」
「会場で参加してください」
明人「それだけはしません!彼女たちが決めたことです。……絶対に成功します。絶対です。きっと、去年のようにはなりません」
そう言って部屋を後にする
ほつれてきているミサンガに軽く触れる
明人「……あれ?この感覚ーー」
瑠璃乃「アキくーん!」
慈「私たち街で協力者集めてくるからー!」
明人「……へ?」
みらくらぱーく!の二人が声をかけてきたと思ったら、嵐のように走り去っていった
明人「が、頑張れよー……?」
◇
花帆「や、やっぱり、もう一周してこよ!」
夜の寮近く。聞き慣れた声が聞こえてくる
明人「日野下?」
花帆「センセイ!?なんでここに」
明人「規制が多くなって、生徒がなにかしでかさないように見回りしなくちゃいけなくてな。おかげで帰るのが遅くなりそうだ」
花帆「そ、そうなんですね。って、あたし脱走しようとしてないですかね!?」
明人「別に疑ってないからな。……自主練か?」
花帆「はい。そのっ……じっとしてられなくって」
日野下の顔は、どこか暗い。いつもは日野下の方から合わせてくるはずの目線が合わない
明人「そうか。日野下は、北陸大会を優勝したいか?」
花帆「っはい!それはもちろん!」
明人「あんまり自主練も身が入ってないみたいだけどな」
花帆「えっ!?そ、そう……感じますか……?」
明人「ああ。……なんか嫌なことあったか?あ、『ネット禁止令』か」
花帆「それもイヤですけど……それとは、違うんです。すみません、あたしもよくわかんなくて……」
明人「なんか怖いのか?」
花帆「怖い……んですかね。あはは……。でも、全国には、みんなでいきたいなぁ……」
明人「そうか」
日野下の表情が一気に暗くなる
明人「同じだよ」
花帆「えっ……」
明人「んじゃ、俺は見回りに戻るから。早めに寝ろよ。体調崩したら元も子もないからな」
そう伝えてその場を後にする
◇
明人「っ……!だからっ……なんで」
翌日、急に伝えられたのは『外出禁止令』だった
その名の通り、外出を禁止する。本格的な生徒への締め付けだった
本来はもっと協議を行う必要があった。なのに、また強硬手段を取られた
明人「慈?瑠璃乃と、綴理も」
前を歩いて来たのは慈と瑠璃乃、綴理の三人だった
慈「アキ君、ごめん。今構ってらんない」
明人「ちょっ、そんな顔してどこ行くつもりだよ!」
慈「校長室に殴り込みだよ!『ネット禁止令』と『外出禁止令』を撤廃しろーって!」
綴理「流石にボクたちも、黙っていられない」
瑠璃乃「ルリも。こればっかりはもう限界だよ!」
明人「落ち着け!校長室に殴り込みに行ったって、なににもならない。逆に問題扱いされてクラブが活動出来なくなるぞ」
慈「っでも黙ってるだけなんてーー」
えな「あっ瑠璃乃ちゃん!」
慈の声をかき消すように瑠璃乃のクラスメイト三人が走ってくる
瑠璃乃「えなちゃん?びわこちゃんに、しいなちゃんも」
えな「か、花帆ちゃんが!」
三人によると、日野下が急に青い顔をして飛び出して行ったらしい
瑠璃乃「っルリ、さやかちゃんに伝えてくる!」
慈「梢に言ってくる!綴理、アキ君と一緒に花帆ちゃん探してて!」
綴理「うん」
明人「綴理、いくぞ」
それぞれが駆け出していく
◇
あれからしばらく、日野下を探して学校中を駆け回ったが、一向に見つからない
一度合流しようという話になり、中庭に集まる
瑠璃乃「いた!?」
明人「ダメだ、寮の方にはいない」
瑠璃乃「校舎の方もダメ」
梢「花帆さん……」
慈「ちょっ、梢泣く!?」
梢「な、泣いてないわよ!」
綴理「かほ、見つけたって。さやから」
梢「っ急ぎましょう!」
綴理の案内で日野下の所へ向かう
校門の近くまで行くと、日野下と村野が見えてくる
瑠璃乃「花帆ちゃーん!青い顔で走っていったって聞いて、探したよー!ごめんねぇ!」
慈「……ごめん、不安なのはみんな一緒なのに、大人げなかった。ほら綴理も」
綴理「ボクも悪かったです」
明人「悪い。止められなかった」
花帆「みんな……」
梢「また作戦の練り直しね。花帆さんも一緒に考えてくれる?」
花帆「はい!もちろん!」
日野下はいつも通りの笑顔で答える
瑠璃乃「でも、中でネットが使えなくなるし、外にも行けないんじゃ、もう縮こまってるしかない亀じゃん……。手も足も出ませんだ……」
さやか「そうですね……。せめて、30分でもいいから、ネットに繋げられたら……」
花帆「ーー!そうだよ、さやかちゃん!さっきの!」
なにか思いついたように、大きな声を上げる
さやか「えっ?」
花帆「とにかく!ーーみんながいれば、大丈夫!」
◇
さやか・梢・綴理・瑠璃乃・慈・明人「『テザLink!ライブ』?」
部室に日野下以外の素っ頓狂な声が響く
花帆「そうです!さっきさやかちゃんが、自分のデータの通信量をくれたおかげで、スクコネをネットに繋ぐことができたんです!」
日野下は自慢げな顔で続ける
花帆「だったら、同じことをもっともっとたくさんの人とやれば!」
さやか「そんな、30分ですよ……!?」
慈「単純計算で、ええと……ひとり10秒だとして、18人?」
綴理「180人」
瑠璃乃「全校生徒の、半分じゃん!」
それぞれが期待と困惑の混ざった声を上げる
花帆「うん、足りてる!」
さやか「そんな、無茶苦茶な……」
慈「そもそも実現可能なの?180人でテザリングって」
瑠璃乃「テザリングはわかんないけど……。確か、データ通信量を1か所に集めるのとはできるとかナントカ、聞いたことはあるかも……?」
慈「そうなんだ……。ってかアキ君のスマホは?」
明人「教師側も業務用端末は無理だ。制限がかかってる。私用のやつは非常時じゃなきゃ業務中は使えない。鍵の付いた金庫に保管されてるんだ」
慈「じゃあむりかぁ……」
慈はがっくりと肩を落とす
梢「……仮に、技術的な問題がクリアーできたとして。それだけの人数が、スクールアイドルクラブに協力してくれるのかしら」
花帆「それならーー」
花帆がなにか言いかけた瞬間、部室の扉が開く
しいな「わわわっ」
えな「わぷっ」
びわこ「す、すみません!真剣なお話の最中!」
瑠璃乃のクラスメイトたちが入ってくる
しいな「さっきはごめんねえ〜。花帆ちゃん〜」
びわこ「そのお話、私たちにもぜひ協力させてください!」
梢「あなたたち……」
えな「私たちもほら、ネットが使えないままってのは、不便ですし!ね、みんな!」
びわこ「うん!」
花帆「うまくいきますよ、梢センパイ!ぜったいに!」
梢「ふふ……そうね。きっとうまくいくわね。ねえ、水瀬先生」
明人「……あ、俺?」
呼ばれると思ってなかったせいで気の抜けた声が出る
さやか「ここに先生はひとりしかいないですよ」
明人「いや、なんか決まった雰囲気だったろ」
梢「いいんですか?私たちがやろうとしていることは、抜け道みたいなものですよ」
明人「容認派の俺が言うことじゃないな。それに、テザリングはスマホの機能だ」
瑠璃乃「こずパイセンが聞きたいの、そういうことじゃないと思うな!」
さやか「少しは顧問らしいこと、してもらいますよ」
明人「今まで通りだろ」
綴理「必要だよ。アキが言わないと」
慈「必要かどうかは分かんないけど、そっちの方が部活っぽいでしょ?」
花帆「ですです!ほら、センセイ!」
次々に急かされ、全員の視線がこちらに向く
明人「……はぁ……お前らは勝手に仲間判定か」
綴理「?」
明人「理論としては結構ぶっ飛んでるぞ。それでもやるんだな?」
花帆「もちろんですっ!」
瑠璃乃「ここまできたら、やるっきゃないっしょ!」
さやか「失敗はしません」
慈「むしろ燃えてきちゃうねっ」
梢「次は、必ず全国へ進んでみせます」
綴理「やるよ。次は、諦めない」
全員、期待に満ちた顔をしている
未来を見ている
なにもわからないのに、前を見ている
ーー去年とは、違う
明人「相変わらずわっかんね」
綴理「アキ、わからないことはみんなで考えるんだ。きっと、見つかるから」
少しだけ、去年の始めを思い出す
明人「……らしいな。あーあ、今になって約束思い出したんやけど」
軽く、ミサンガに触れる
花帆「約束?」
明人「だよな、ちゃんと見てないとだよな。日野下」
花帆「はい?」
明人「頼むぞ」
花帆「はい!任せてください!」
日野下の返事を聞き、視線を元に戻す
その先では、梢と綴理の頰が緩んでいた
慈「よっし!そうと決まったら私も、このアイディアを実現できそうな子に声かけてみるか!」
瑠璃乃「さっすがめぐちゃん!座右の銘は学力よりコミュ力!」
さやか「配信の問題さえ、クリアーできれば……!」
綴理「あとは、勝つだけ」
梢「私と綴理だけの頃じゃ、きっとここまでたどり着けなかった。……繋がる力ね」
花帆「はい、繋がる力です!」
期待に満ちた声が部室を駆ける
突然、日野下がなにか考える仕草をする
花帆「繋がる力……?」
綴理「今、軽く計算してみたら……。配信だともしかしたら、通信量はもっと増加するかもしれない」
慈「え!?だめじゃん!」
部室に一瞬、緊張が走る
綴理「だから、こういうのはどうかな。蓮ノ空だけじゃなくて、世界中の人に手伝ってもらうのは」
瑠璃乃「それって……。データ通信量を、寄付してもらえるようにするってことですかい!?ハカセ!」
さやか「そんなことできるんですか!?」
綴理「生徒から集めるのと、やることはそう変わらないと思う。そうだよね?」
綴理がまっすぐとした目で聞いてくる
明人「そっち系専門じゃないぞ、俺。……どう言おうとやるんだろ」
綴理「うん。道は、それしかないから」
明人「それ言われて止められると?」
綴理「ううん、止めない。アキだから」
明人「はいはい」
慈「二人が頭良さそうに見える……!」
綴理「理数と情報処理は、割と得意」
明人「一応これでも教師な」
慈「片方現国0点だろ!って、もう片方はその現国の先生だった!?」
慈のどうでもいい話を流し、梢に視線を向ける
梢「なんだか、途方もない話になってきたわね……」
慈「でもこれで、3ユニットのひとつでも北陸大会を制覇することができれば!」
綴理「うん。スクールアイドルクラブの未来を救える」
結果も見えない、可能性も低い
なのに、少しずつ希望が溢れてきている
瑠璃乃「やっぱり、あれなの……?」
そんな中、瑠璃乃は酷く落ち込んだ声を出す
さやか「3ユニットのうちふたつは、北陸大会で敗退となります」
瑠璃乃「そんなはっきり……!さやかちゃんは、いいの?」
さやか「……本番というのは、練習の成果を発揮する場だと思っています。私、ユニットとして磨き上げた実力を試してみたい。綴理先輩と一緒に」
綴理「ボクはさやと出る。今はDOLLCHESTRAが、ボクの芸術だから」
それとは裏腹に、DOLLCHESTRAのふたりは決意を固め、まっすぐとした答えを出す
瑠璃乃「めぐちゃぁん……」
慈「そんな顔しないの、るりちゃん!私そういう顔に弱いんだから!ていうか、るりちゃんだって、ほんとはみらくらぱーく!でやりたいんでしょ?」
瑠璃乃「うん……」
慈「優しいから、誰かが負けるのは嫌なんでしょ。私だってわかるよ。わかるけど……今回は譲りたくない。私もみらくらぱーく!が好きだもん」
瑠璃乃「好きだよ!めぐちゃんとの楽しいおもちゃ箱が、ルリはとびっきり大好きだけど……」
梢「……目指せ、ラブライブ!優勝……!」
重たい空気と声が、少しずつ部室を支配し始める
花帆「そういえば、昨日の夜……あっ」
日野下がなにか思いついたのか、勢いよく顔を上げる
花帆「ああ、そっか……繋がる力……そう、繋がる力だったんだ!みんながユニットで出場して!みんなで北陸大会を通過するための方法!繋がる力ーー!」
梢「か、花帆さん?」
慈「えっ、なになに?」
日野下の発言に、全員が身を乗り出して次の言葉を待つ
花帆「テザリングでのライブで、繋がる力……!そして、その集まった力を、あたしたちでもーっと響かせるんです!」
日野下は太陽のような笑顔でそのまま続ける
花帆「大丈夫です、あたしたちならできます!みんなが大満足して、誰も悲しい気持ちになんてなりません!そんな、夢のようなライブが!」
瑠璃乃「花帆ちゃん、それって……!?」
綴理「夢のような、ライブ……?」
誰も、日野下の考えをわかっていない。でも、どこか心が踊るような、そんな感覚になる
花帆「できます!その名もーー蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ!Link!Like!メドレー!です!」
日野下の言葉に、全員が目を見開いて驚く
花帆「ぜったいにこれで!みんなを花咲かせちゃいますよ!」
◇
明人「よしっ、カメラオッケー」
えな「音響いけまーす!」
びわこ「照明も大丈夫です」
しいな「ギミック問題ないです!」
ついにやってきた、北陸大会当日。なんとかデータ通信量を集めきり、今ライブが始まる
慈「アキ君、こっちこっち」
明人「慈?」
慈に呼ばれ、舞台袖まで行く
花帆「あっ、遅いですよー!」
舞台袖では、5人が円陣の形を作って待っていた。ちょうど、2人程度が入りそうな間を作って
さやか「ほら、円陣始めますよ」
梢「全員いないと、締まらないでしょう?」
綴理「みんなでやろう」
瑠璃乃「ほら、ふたりとも」
慈「いくよ!」
明人「ちょっ……!」
慈に引っ張られ、円陣の中に放り込まれる
明人「円陣は6人でやれよ……。俺はーー」
慈「やーっだね」
綴理「アキもいないとって、めぐが聞かないんだ」
慈「ちょっ、言い出したのは綴理でしょ!?」
瑠璃乃「あははっ、真っ先に呼びに行ったのめぐちゃんじゃん!」
慈「るりちゃんまでぇ!ええっい!梢、早くやろ!」
梢「ふふっ。ええ、やりましょう」
そう言って6人は順に手を中央に出していく
花帆「センセイ!」
明人「……今日だけな」
右手を前に出す
慈「ミサンガ……。まだ付けてたんだ」
明人「悪いか?」
慈「……ううん」
慈は小さく、短く返してくる
梢「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。今この瞬間を大切に、Bloom the smile!」
花帆・さやか・梢・綴理・瑠璃乃・慈・明人「Bloom the dream!」
手を挙げた瞬間、ミサンガが切れて肩にかかる
◇
ライブが無事終わった
ギリギリだった。本当にギリギリの中、大成功を納めた
花帆「終わった〜!」
さやか「やりきりましたよ、わたしたち!」
瑠璃乃「ぐおー疲れた〜。でも、楽しかった!」
綴理「いいライブだった」
梢「やりきったのね、私たち」
明人「お疲れさん。飲み物とタオルはこっちで準備してある。ゆっくり休め」
各自がそれぞれの休憩を取っていく
慈「ちょいちょいキミたち!まだ結果は出てないんだからね!気を抜きすぎない」
瑠璃乃「ルリたち、何番目なんだっけ?」
さやか「えっと……後ろから三番目ですね」
花帆「もうちょっと休憩させてください〜」
梢「いいのよ慈。そんなに気を張らないで」
綴理「そうだよ、めぐ。ライブは大成功なんだ。きっと大丈夫」
慈「そうだけどさぁ〜!」
慈は結果が気になって仕方がないのか、ずっと動き回っている
そんな慈に後ろからタオルをかけ、頬に冷たいペットボトルを当てる
慈「ふみゃっ」
明人「落ち着け、慈。なるようになるんじゃないのか」
慈「そうだけど……」
そのまま慈を連れてパイプ椅子に座らせる
各自がゆっくり、ライブの余韻に浸っていく
明人「さて、結果出るぞ!」
そう呼びかけると、全員が集まってくる
業務用のノートパソコンを開き、特設サイトへ飛ぶ
瑠璃乃「だ、大丈夫……だよね」
さやか「ライブは成功しましたが、絶対、は言い切れません」
梢「……」
綴理「大丈夫、大丈夫だ」
慈「お願い……!」
花帆「っ……」
明人「……いくぞ」
マウスをクリックする音だけが響く
いつもは気にしない、少しのロード時間すら永遠のように感じる
花帆「!」
画面の一番上。北陸大会優勝校に出てきたのは
『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!』
蓮ノ空の名前だった
梢「ーー!」
誰も声は出ない。出ない、けど声にならない喜びが溢れ出してくる
花帆・瑠璃乃「っやったー!」
さやか「やった……やりましたよ、綴理先輩!」
綴理「うん。優勝、したんだ」
慈「っふぅ……よっし」
梢「勝った……勝ったのね。私たち……!」
明人「……よかった。本当に」
蓮ノ空は、ラブライブ!決勝へと進んだ