さやか・梢・慈「ごちゃまぜユニット〜!?」
瑠璃乃「そう!ごちゃまぜ!」
2月の始め、瑠璃乃からの急な提案があった
シャッフルユニット。ユニットのメンバーを入れ替え、少し時間を空けてお披露目ライブをする、というものだった
梢「ええ。面白いんじゃないかしら」
梢のオーケーサインが出たことで、話は行う方向に進んでいく
瑠璃乃「いよっしゃー!梢先輩、あざまーす!!」
梢に一言礼を言い、瑠璃乃は慈の方を見る
瑠璃乃「……めぐちゃん」
慈「なに」
瑠璃乃「失敗なら失敗で、ルリが間違ったってなるなら……それでもいい。でも、今譲るつもりはないから!」
慈「ふーん!あっそ!あとで泣いたって胸は貸してあげないよーだ!」
瑠璃乃「要るか!花帆ちゃんに借りるわ!」
花帆「巻き込まれてる!?」
明人「あいつら喧嘩でもした?」
梢「さあ……」
ふたりの空気感を見て、疑問に思ったことを梢に聞いてみる
明人「折角1月のFes×Liveが成功したってのに……。まあいいか」
梢「ずいぶん適当なんですね。ふたりのこと、もう少し心配してもいいんじゃないですか」
明人「ふたりとも、喧嘩なら割としょっちゅうしてたからな。めっちゃ小さいのだけど。それがたまたまデカくなっただけだろ」
梢「失敗を考えないんですか」
明人「危なくなったら梢止めるだろ」
梢「自分でも動こうとしてください……」
明人「そこまでいけばな。でも慈の癇癪に巻き込まれるのは先月で十分だ」
梢「私たちも巻き込まれたのだけれど……」
梢の文句を軽く流して、慈と瑠璃乃に視線を戻す
慈「はぁ……ごめんねみんな。るりちゃんのわがままに付き合わせちゃってさー。組む相手はどう決めるの?じゃんけん?」
瑠璃乃「クジ。作ってきた」
瑠璃乃の取り出したクジを、それぞれが引いていく
花帆「あっ!あたし慈センパイとだ!」
慈「よろしくね、花帆ちゃん」
さやか「わたしは……梢先輩とですね」
梢「いいものにしましょう」
綴理「るりとだ」
瑠璃乃「綴理先輩、おねしゃーす!」
慈と日野下、梢と村野、綴理と瑠璃乃でメンバーが決まる
明人「ライブはいつやるんだ?」
瑠璃乃「2週間後っす!」
梢「なら、それまではこのメンバーで練習にしましょう」
花帆・さやか・綴理・瑠璃乃・慈「はい!」
◇
明人「8時間配信とか正気じゃないだろ……」
シャッフルユニットが決まりすぐ、慈と日野下が8時間配信をやってのけた
慈「できちゃうからいいでしょ!」
花帆「ですです!」
明人「なんでできちゃうかな……。まあ、うん。いいよ。よく頑張ったな……」
花帆「えっへん」
胸を張って自慢してくるふたりを、頭を抱えながら褒める
明人「あっ、慈」
慈「んー?」
明人「瑠璃乃となんかあったのか?」
慈「……べっつにー、なんにもないですけどー」
明人「うっわ、なんかあった人の言い方……」
いきなり顔をしかめて不機嫌オーラを撒き散らす慈に思わず2歩ほど後ずさりしてしまう
慈「るりちゃんなら元気に綴理と宣戦布告しにきたよーっだ」
花帆「あれは宣戦布告じゃないと思います!」
明人「はぁ……。別に慈の考えが分かんないって訳じゃないんだけどさぁ……。まあいいや。ちゃんと見てやれよ」
慈「花帆ちゃんは意外とちゃんとしてますよーだ」
花帆「ふふんっ。……あれ?意外とって言いました?」
明人「いや違うんだけど」
慈「なに」
慈が目付きを鋭くし、ギロリも睨んでくる
明人「うへぇ……これだから荒れてる慈の対応は嫌なんだよ……」
慈「……なんも聞いてくれないのはるりちゃんの方だし」
明人「……もうそれでいい。ほれ、頑張れよー」
そう言って部室の扉を開ける
花帆「慈センパイ!今、意外とって言いましたよね!?どーいうことですか!」
慈「めぐちゃんしっらなーい。ほら、花帆後輩。ライブをしないとだぞ☆」
花帆「慈センパイ!!」
日野下の嘆きを聞きながら部室を後にする
明人「不器用なやつめ……」
廊下に出て、軽く呟く
花帆「あの、センセイ!」
部室から少し離れた辺りで日野下から声をかけられる
明人「ん?日野下?どうした、慈に文句言わなくていいのか?」
花帆「それはっ、そうですけど!」
明人「……なんかあったか?」
花帆「その……慈センパイは、瑠璃乃ちゃんに失敗してほしくないって言ってました」
明人「……大丈夫、わかってるよ」
花帆「えっ、そうだったんですか!?でも、慈センパイなにも話してなかったですよね」
明人「いや、慈が瑠璃乃に対してあーなのは昔っからだし。まあそれが行き過ぎんだろ、今回は」
花帆「そう、なんですか」
明人「だからな、日野下」
花帆「あっ、はい」
明人「今は少しでも慈を楽しませてやっておいてくれ」
花帆「はい!花帆に任せてください!」
明人「おう」
日野下が自信満々に胸を張るのを見て少し笑いが溢れる
◇
レッスンルーム、そこでは梢と村野が練習を行なっていた
梢「どうかしら、さっきと比べて」
さやか「今の方が安定していると思います。たぶん、立ち位置の関係ですね。具体案があるわけじゃないですが、少し別の振りを挟むのはどうでしょう」
梢「そうね、なら……この音で合わせてみましょう」
さやか「あ、良いですね。それなら綺麗に通ると思います。やってみましょう」
ふたりは何度も話し合い、振り付けを完成させていく。その姿をただぼんやり見つめる
明人「あっ、合った」
梢「さすがはさやかさんと言ったところかしら」
さやか「いえ、梢先輩のアイディアあってこそです」
さっきの慈と日野下のような生き当たりばったり感はなく、真面目なふたりだからこその落ち着いた雰囲気での練習が流れる
明人「にしては……」
梢「いつもの練習と違うから」
梢・明人「物足りない?」
明人「……あ」
ふと口に出た言葉が梢と被る
さやか「あ、いえ……そんなことは」
梢「少し、休憩にしましょうか。水瀬先生もご一緒にどうです?」
明人「俺?……頼む」
梢の言う休憩、それすなわちお茶会である。さすがに紅茶とお茶菓子の甘い誘惑には教師も勝てないのだ
明人「ふぅ……」
部室に戻り、梢の淹れた紅茶を口に含む
隣のふたりの会話に少し耳を傾ける。なんとなく課題の方はどうにかなりそうな雰囲気をしていたので気にせず、お茶菓子に手を伸ばす
瑠璃乃「わー!優雅なお茶会開催中だ!」
綴理「美味しそう」
部室の扉が開き、瑠璃乃と綴理が入ってくる
さやか「あ、綴理先輩。瑠璃乃さん。お二人も休憩ですか?」
瑠璃乃「え、いや、休憩じゃなくてその」
綴理「てーさつ」
綴理が自信ありげに答える
梢「あら、それなら新作のフレーバーティーの味も、偵察してもらおうかしら」
そう言って梢は手際よく紅茶を淹れ、ふたりに出す
瑠璃乃「なにこれめっちゃ美味しい!」
綴理「おかわり」
明人「飲むのはやっ」
梢「……気に入ってもらえて嬉しいわ」
さやか「お茶菓子もありますからね」
村野の勧めでふたりはお茶菓子にも手を伸ばし、部室には緩い空気が流れる
瑠璃乃「みんながすっごく楽しい感じで盛り上がれるようにーー」
もし瑠璃乃がお菓子パーティーを開催したら、の話を始めた途端、気まずそうな表情を浮かべ出す
瑠璃乃「……あー、やっぱそう思います?」
梢・さやか・明人「?」
瑠璃乃「や、なんてゆーか……いえー!って盛り上がるのが正しいと思います?的な?」
明人「あー……」
瑠璃乃の発言に、少しだけ見えてくる
慈と瑠璃乃のみらくらぱーく!は楽しいが一番!だからそこ、だろうか
梢「シャッフルユニットを提案してくれた時から思っていたけれど、瑠璃乃さんは自分のこれからに悩んでいるのかしら」
瑠璃乃「あ……えっと」
梢「ごめんなさい。先に言っておくけれど、私には正解はわからないわ。そこで呑気に紅茶を飲んでいる水瀬先生も……わかってても教えてくれないから気にしなくていいかしら」
明人「ねえ酷くない?」
お茶菓子を摘みながら梢に文句を投げる
瑠璃乃「アキ君わかる……?」
明人「やっとこうなった理由が分かり始めたところなんだけど……。まあ、どっちの考えも分からないことはない。でもーー。いや、俺だって答えは知らないぞ」
瑠璃乃「ですよねぇ。こちらこそルリの言い方が雑でして」
瑠璃乃は申し訳なさそうに頭を掻きながら謝ってくる
瑠璃乃「……これまで間違ってたとか思わないけど、これだけが正解なのかなって思っちゃって」
明人「取り合えず充電がゴリゴリ削れる音するから紅茶飲んで落ち着け」
瑠璃乃「あいあいさー。……ふぃー」
瑠璃乃は紅茶を飲み、少し落ち着いた様子に戻る
明人「俺は仕事戻りまーす。梢、村野、ごちそうさん。美味かったです」
そう言い残して部室を出る
◇
綴理「釣りに行ったんだ。楽しかったよ」
シャッフルユニットが始まってしばらく、休憩中の綴理が話しかけてくる
明人「急やね」
綴理「るりが連れて行ってくれたんだ」
明人「瑠璃乃が?珍しいな」
綴理「そうなの?」
明人「釣りはひとりで行ってるイメージだなあ。で、釣れたか?」
綴理「うん」
明人「それはよかった」
それを聞いた綴理はどこか嬉しそうな雰囲気を出しながら空を見つめている
明人「なんか嬉しいことあったのか?」
綴理「るりがね、るりのスクールアイドルを見せてくれたんだ」
明人「ほー」
綴理「だから釣りなんだって」
明人「釣りが?……魚系スクールアイドルでも目指してんの?」
綴理「ちがうよ」
明人「よかった……」
綴理の無慈悲な否定に胸を撫で下ろす
綴理「楽しいが一番!なのはそうだけど、楽しいになれない人もいる。るりはそう言ってた。一人ひとり、楽しいの準備はちがうんだ」
歌詞の書いてあるであろうノートをギュッと抱きしめながら続ける
綴理「誰ひとり置いていきたくない。るりらしいよね」
明人「……確かにな」
瑠璃乃「つづパイセーン!」
綴理「ん」
向こうでギターを持った瑠璃乃が綴理を呼ぶ。それを聞いた綴理は短く返して立ち上がる
綴理「いい曲ができたんだ。アキにも聞いてほしい」
明人「楽しみにしてるよ。ライブ」
綴理「うん。それがきっと、るりのスクールアイドルだから」
いつにも増して明るい声で返事をした綴理は、すぐに瑠璃乃の方へ向かっていく
◇
シャッフルユニットのお披露目ライブ。反応は全員の予想を超え、多くの人が集まっていた
花帆「やりたいことだけ突っ走れ!そんな感じでお届けしました!」
花帆・慈「かほめぐ♡じぇらーと、でした!!」
慈「かわいいの全力、受け止めてくれたかな♡」
日野下と慈のユニット、かほめぐ♡じぇらーと。慈の可愛いと日野下の楽しいを最大限詰め込んだ、最初にもってこいのユニット
梢「以上」
さやか・梢「蓮ノ休日でした」
さやか「わたしたちのこれまでを……表現できたでしょうか」
梢と村野のユニット、蓮ノ休日。優雅さと、奥に秘めた熱さを感じるふたりにらしいユニットに仕上がっていた
明人「さて、綴理はどんな曲を作ったんかねー」
沙知「あれ、明人先生知らないんですか?」
明人「ライブまでのお楽しみにしてたんだよ」
沙知「へえ。気にかけてますね。ふたりのこと」
明人「綴理がいい曲できたって自慢しに来たんだよ。瑠璃乃も堅い感じ抜けてたし。慈には悪いけど、正直一番楽しみだった」
沙知「あっはは、明人先生そういうの弱いからなあ」
明人「うるさいげん」
沙知と軽口を飛ばし合っていると、ふたりがステージ上に上がってくる
瑠璃乃「ほいじゃあ最後にーー」
瑠璃乃が始めようとするが、それを止めて会場を見渡している
沙知「あれ、始めないのーー。ああ、そういうことか」
明人「……ペンライトの色か」
ステージ上での、マイクを通していない状態でのふたりの会話は聞き取れないが、その内容はなんとなく予想できた
瑠璃乃「それじゃあ、今日の最後!ルリがみんなに伝えたい気持ち、綴理先輩が形にしてくれたんだ!だから良かったら……聞いてって」
元気だった瑠璃乃の声が、優しく静かになる
綴理・瑠璃乃「Colorfulness」
曲が始まる。決して、盛り上がる曲調ではなかった。でも、ゆったり安心させるような音で、瑠璃乃と綴理の歌声がそれを響かせる
明人「……いい曲作ったな、あいつら」
沙知「綴理がこんな曲つくるなんてなー。4月からじゃ考えられない」
明人「原因」
沙知「あっはは……耳が痛い……」
沙知に対してのジトっとした目線をすぐに外し、ステージに目を向ける。本当に、楽しそうに歌うふたり。そして、曲が終わっていく
瑠璃乃「これが……るりのとゆかいなつづりたち、の全力だぜっ。今日は最後まで付き合ってくれて、本当にありがと!」
綴理「こっちのライブも……楽しかったね。みんなも、そうだよね」
瑠璃乃「……だれひとり、今日を嫌な気分で終わることがないように、ルリは祈ってます。あ、座っていいよ。まずルリが座る」
綴理「じゃあボクも」
瑠璃乃と綴理がステージ上で座ると、それに応えるように会場の全員が座っていく
そこから、瑠璃乃と綴理が観客とコミュニケーションを取っていく。瑠璃乃の思いを伝えながら
明人「慈どうなるかなぁ……これ」
沙知「もしかしてそれ結構ヤバい方のじゃ……」
明人「さあ?ヤバくなったら、そこは瑠璃乃に一任する」
沙知「この人前より酷くなってないか!?」
沙知は小さな声で大きく驚く
明人「いや、心配ではあるぞ?動く時は動くし」
沙知「いや、まあそうですけど」
明人「大丈夫だよ。多分だけどな」
◇
シャッフルユニットの期間が終わった。それぞれが元のユニットに戻って練習を再開していく
明人「ひっでぇ顔……」
屋上で練習する慈を静かに見つめる
踊りなれているDream Believersの動き。やりなれている。なのに、顔だけが酷い
他のユニットはシャッフルユニットを経て、成長していってる。でもみらくらぱーく!だけは
瑠璃乃「……めぐちゃん?」
踊り終えた慈の元に、瑠璃乃がやってくる
それを見て、中に戻りレッスンルームへとまっすぐ向かう
明人「梢ー、やっぱみらくらぱーく!だけおかしい」
梢「やっぱりですか」
綴理「かほー」
花帆「はい?」
綴理「ちょっとおさんぽ。来る?」
花帆「はい!行きたいです!」
話を聞いていたのか、聞いていなかったのか、綴理は日野下を連れてレッスンルームを出ていく
明人「……あいつ、気使ったのか」
梢「さあ。ふふっ」
梢は村野と練習に戻っていく
◇
瑠璃乃「やっばーい!!」
綴理と日野下が戻ってきたあと、少し遅れてレッスンルームにきた瑠璃乃が、慌てた様子で入ってくる
さやか「どうかしました?」
瑠璃乃「め、めぐちゃんが……!!」
花帆「これってーー」
瑠璃乃の掲げた紙切れを見て、全員が顔を見合わせる
花帆・さやか・梢・明人「寮出した!?」
綴理「めぐが逃げた」
瑠璃乃「っルリ、寮探してくる!」
花帆「あ、あたしたちは校舎探してるね!」
梢「水瀬先生、車で駅まで行ってもらえますか?慈がいつ出たかわかりませんし、もしかしたらもう駅まで行ってるかも」
明人「了解」
梢に言われた通り、車を出す
明人「なんで寮出なんて考えになるんや……」
呆れと困惑でため息と一緒に言葉が出てくる
明人「どっかで対応ミスったか……?でもやりすぎると……。だって今までなら……。あぁ、瑠璃乃が関わると面倒なんだった……」
文句と後悔をぶつぶつ呟きながら車を走らせる
そうやって校門の近くのバス停を通った時だった
慈「私がずーっと、夢中にしてみせるから!」
少し開けていた窓から慈の声が入ってくる
すぐに車を止め、その方向を見てみれば、慈が瑠璃乃とふたりで笑い合っている姿があった
慈「ね!ふたりで」
瑠璃乃「うん、ふたりで」
慈・瑠璃乃「世界中を夢中にしよう!!」
ふたりの決意が聞こえてきた辺りで、車の向きを変え、校舎の方に走り出させる
明人「なんや、大丈夫やったか」
サイドミラーに写るふたりを見ながら、小さく笑う
◇
慈・瑠璃乃「……ごめんなさい」
慈と瑠璃乃が調子を取り戻して早々、屋上からチョコを降らせるという行動に出てしまった。今はその件で生徒会室にふたりして呼び出されている
沙知「屋上からチョコってのは面白い考えなんだけどさぁ……。まあ、これ以上の説教はちゃんと教師から受けてもらわないとねぃ。じゃ、あたしは行くとこあるからー」
そう言って沙知は出ていく
慈「ちょ、沙知先輩!それって……」
明人「慈、瑠璃乃」
慈「ひぃっ!?やっぱいるだけじゃなかった!?」
瑠璃乃「あれ、アキ君なの?なんか怖くなさそう」
ビビっている慈とは正反対に、瑠璃乃は素っ頓狂な声を出す
慈「そりゃ怖くないけど!怖くないけど梢より長いんだよ〜」
瑠璃乃「おー……こずこずパイセンに怒られたことないからわっかんねー……」
慈「おのれ梢めー!」
明人「……ふたりとも」
慈・瑠璃乃「はい……」
目の前でわちゃわちゃしだすふたりに一声かけて静止させる
明人「はぁ……部活もあるから長くする気はない」
慈「よっしゃ」
明人「慈」
小さくガッツポーズした慈だったが、すぐに肩をすくめて小さくなる
明人「たしかに、沙知の言う通り面白い考えだとは思う。でもな、上からチョコが降ってくるなんて危ないだろ?」
瑠璃乃「う゛っ……」
明人「今回は怪我人はでなかったからよかったけど、もしもがあったら困るのはふたり……いや、スクールアイドルクラブなんだぞ」
慈「それは……」
明人「次は絶対やらないこと。ちゃんと反省もすること。怪我人も出なかったし、今回だけは注意で収めてやる。でも、他の先生がなにか言ってきても俺は助けないからな」
瑠璃乃「あ、ありがてぇ……」
慈「反省文はもうこりごりだからね……」
ふたりは手をすり合わせて最低限の反省の意を見せてくる
明人「……俺からはこれくらいにしよう。ほれ、練習行ってこい」
慈「……るりちゃん」
瑠璃乃「うん、めぐちゃん」
説教を終えたふたりは鞄からなにかを取り出してくる
瑠璃乃「せーのっ!」
瑠璃乃・慈「はい!」
ふたりが差し出してきたのは、星の形をしたチョコだった
明人「……これは」
瑠璃乃「みらくらぱーく!特製!バレンタインチョコ!」
慈「義理チョコ以上、本命以下!私たちからの愛を召し上がれ♡」
明人「……あんやと」
チョコを受け取り、短くお礼を伝える
明人「ほれ、練習行った行った。梢にドヤされるぞ」
慈「あー、照れたー!」
瑠璃乃「おー?アキ君も照れるんだねぇ」
明人「あーあー、うるさいげん。さっさと行かんね」
慈「はーい。いくよ、るりちゃん」
瑠璃乃「うん!あっ、ならさっき来れなかった子たちにチョコ配りながら行こっ」
慈「それあり!よっしゃ、いっくぞー!」
瑠璃乃「おー!」
瑠璃乃と慈は説教後とは思えないほど騒がしく生徒会室を出ていく
明人「ったくあいつら……ん……」
ふたりが出て行った後、小さく文句を吐きながら、惜しい気持ちを押し込んで、チョコを一口かじる
明人「……美味い」