ラブライブ!北陸大会。蓮ノ空は勝利を掴み取り、再び全国への切符を手に入れた
明人「桂城泉。……流石のパフォーマンスだよ」
中部代表、瑞河女子高等学校スクールアイドル部。たったひとりで地方大会を勝ち進んだ、無敗の1年生
ーーEdel Note 桂城泉
画面越しでも伝わる会場の熱気。圧巻のパフォーマンス。絶対的な才能
明人「わざわざDVDに焼いてまで送ってくるんだ。楽しみにしてるよ」
◇
1月に入ってラブライブ!決勝も目前まで迫ってきていた
桂城泉のパフォーマンスに感化されたのか、クラブは熱気に満ちた様子で練習に励んでいた
明人「ここか」
そんな中、俺は蓮ノ空を、金沢を離れ、長野へとやってきていた
明人「……瑞河女子高等学校」
桂城泉のいる学校、瑞河女子へと足を運ぶ
理由は単純、桂城泉に呼ばれたから
あのDVDと共に送られた手紙。それに従い、ここまでやってきた
セラス「あなたが泉の言っていた顧問さん?」
明人「ああ、そうだけどーー」
校門に着いた辺りで、ひとりの少女に話しかけられる
どこか、見たことがあるような気がする
セラス「泉はこっちです。ついてきてください」
少女の案内で、校内にあるスクールアイドル部の部室まで案内される
セラス「泉、つれてきたよ」
泉「ありがとう、セラス」
扉の先にあったのは、桂城泉の姿だった
泉「ようこそ、顧問さん」
明人「……ご招待いただきありがとうございます」
そう返すと、彼女はにっこりと笑って返してくる
セラス「どうぞ」
明人「ありがとうございます」
椅子に案内され、そこに腰をかける。ふたりも向かい側の椅子に座る
泉「今日は来てくれてありがとう、顧問さん。どうかな、瑞河は」
明人「どう?」
泉「いい場所だろう。みんな、闘志に燃えている」
明人「……そうだな。そうだったよ」
ここまで来る途中ですれ違った生徒の顔を思い出す。なぜかは分からない。それでも、どこか闘志を感じる瞳をしていた
特に、案内してくれたあの少女に視線を向ける者は
明人「なんでここに呼んだ。わざわざ、顧問を呼んだんだ。なにを考えてる」
泉「その話もしないといけないか。でもその前に自己紹介をしよう。まだしたことがなかっただろう?」
そう言われると、しっかり自己紹介をしたことがなかったような気がする
泉「知っているだろうが、私は桂城泉。ここ瑞河の一年生だ」
明人「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ顧問、水瀬明人。どうぞよろしく」
泉「よろしく頼むよ」
明人「そっちの子は?どこかで……そう、写真に写ってた子だよな?」
セラス「写真?」
泉「ほら、中部大会を突破したときの」
セラス「ああ、それならわたしです。わたしは瑞河女子附属中学三年、セラス・柳田・リリエンフェルトです。いつも花ちゃんがお世話になってます」
明人「花ちゃん?」
セラス「日野下花帆。小さい頃からの知り合いなんです」
その話を聞いて、ふと日野下の話を思い出す
明人「……せっちゃん?」
セラス「とも呼ばれたりしてますね」
泉「ふふっ、せっちゃん」
セラス「追い出すよ」
泉「酷いなぁ。私とあなたの仲じゃないか」
セラス「早く呼んだ理由の説明しなよ」
泉「冷たいなぁ」
からかうような声を出し、軽口を叩き合い始める
明人「仲いいんだな」
泉「だろう?ほら、せっちゃん」
セラス「泉」
泉「そう睨まないでくれ。可愛い顔が勿体ないよ」
セラス「っ……」
柳田は急に下を向いてしまう
泉「どうかしたのかい?」
セラス「そうやってすぐ可愛いって言う……」
泉「ふむ……どうしたものか……。顧問さん、助けてくれないかい?」
明人「全面的に桂城が悪い。反省しろ」
セラス「わ、分かってくれるんですか……!」
柳田はパッと顔を上げ、嬉しそうな顔をしてこちらを見てくる
泉「おやおや、私は悪役かなにかかい?」
セラス「悪魔」
泉「ぜひあなたの中の私の印象を聞いてみたいものだよ……」
明人「えぇ……桂城、なにしたんだよ……」
泉「特に」
セラス「こういうところです」
柳田は酷く呆れた様子でこちらに訴えてくる
明人「桂城、養護できない」
セラス「どう泉。顧問さんはこっちの味方らしいけど!」
泉「別になにか争ってるわけじゃないんだけど……」
セラス「戦争だよ!わたしの!心の安全を賭けた!!」
泉「いつの間に始まってたんだい」
セラス「ずっと前から!」
加速する柳田の文句を、桂城はさらりと躱していく
明人「……そろそろ聞いてもいい?」
泉「ああ、すまない。すっかり忘れていたよ」
明人「オイ」
泉「ほらセラス」
セラス「はぁ……はぁ……き、今日はこのくらいにしておいてあげる……!」
泉「それはどうも。それで、顧問さんはなにを聞きたいのかな?」
明人「なんでここに呼んだか。それを聞きたい」
泉「それは簡単だ。私のライブを見てほしい」
明人「ライブ……?なんで俺に」
泉「それはその時になったら話そう。時間までは、この校舎でゆっくりしていてくれ」
そう言うと桂城は席を立つ
泉「私はライブの準備をしてくるよ。時間になったら体育館まで来てくれ」
桂城は部室を出ていく
セラス「ライブまで少し時間がありますけど、どうします?校舎の案内でもしましょうか?」
明人「……なあ、ひとつ聞いてもいいか?」
セラス「はい?」
明人「廃校になるって、本当か?」
セラス「!!」
その言葉を聞いた柳田は、大きく目を見開いて酷く混乱した様子を見せる
セラス「……どこで、それを」
明人「調べたら出てきたよ。ラブライブ!優勝したいのも、それと関係あるのか?」
柳田からの返答はない。俯いたまま、言葉を止まっていた
セラス「……だから。だから、なんですか?そんな理由なら、ラブライブ!優勝は諦めろと。そんなことーー」
明人「言わないよ」
セラス「えっ」
明人「別に。ラブライブ!で廃校を阻止する、そんな話を聞いたことあるだけだ。だからみんな必死なんだな」
セラス「……そうですよ」
明人「廃校なんてならないといいな」
セラス「そのための、ラブライブ!です。わたしたちは勝たないといけない。だから、蓮ノ空には負けません」
その瞳には強い闘志が宿っていた。燃え盛る炎のような、赤い闘志が
明人「蓮ノ空も負けられないんだ。叶えなきゃいけない夢があるからな。でも応援してるよ、瑞河のことも」
セラス「いいんですか?だって顧問さんは蓮ノ空の顧問なんですよ」
明人「いいんだよ。スクールアイドルクラブを応援したい気持ちもそりゃ沢山だけど。夢に向かってがんばるスクールアイドルを応援したい気持ちもある」
セラス「じゃあ、その応援で瑞河が勝っちゃうかもですね」
明人「それはどうかな?」
しばらく、静寂が室内を覆う
セラス・明人「ふっ……あははっ!」
その静寂は笑い声によってかき消されてしまう
セラス「泉から聞いてた通り、面白い人ですね。顧問さん」
明人「日野下から聞いてた通りだ。ずいぶん肝が座ってる」
セラス「ラブライブ!楽しみにしてますね」
明人「こっちこそ」
◇
時間になり、柳田の案内で体育館に通された
明人「……誰もいない?」
扉もカーテンも閉ざされ、電気もついていない。雪空のせいで外からの光すらない。暗闇の支配する体育館
その中には、他の観客の姿はひとりとして見えない。気がついた時には、柳田さえもいなくなっている
そのとき、ステージの照明でひとつの人影が姿を現す
泉「来てくれてありがとう、顧問さん」
桂城だった。衣装に身を包み、まっすぐとこちらを見てくる
泉「あなたしかいないことに驚いているようだね。そうさ。今日のライブは、あなたに贈らせてもらう」
マイク越しに言葉が紡がれていく
泉「廃校の話は、聞いているかな?」
その問いかけに、ゆっくりと頷く
泉「今日ここにあなたを呼んだのは、あなたが教師だからなんだ」
明人「教師だから……?」
泉「私たちが欲しいのは情ではない。全力のぶつかり合いの先ある勝利のみ!あなたなら、しっかりと見てくれると思ったんだ。私たちの決意を。この意思を」
一歩、また一歩と前へと歩んで来る
泉「だからこのライブは、私から、観客へではない。私から、あなたへでもない。“私たち”から、あなたへ贈る。挑戦状だ」
明人「っ……!」
言葉が紡がれる度に、桂城の存在感が強くなっていく
瞳の闘志が色濃くなる。桂城泉の世界へと、引き込まれていく
泉「負けるわけにはいかない。私たちは勝利のみを目指す!聞いてくれ。『Edelied』」
曲が始まる
その姿は
ーー敗北を許さない、孤高の騎士
◇
瑞河に足を運んだ日の翌日
昨日のパフォーマンスを思い返す。画面越しとは違う。もっと近くで、もっと強烈な。赤い、情熱
明人「強い。……いや、強すぎる」
圧倒的。あれ以上、この言葉が似合う存在を見ることがあるだなんて思ってもいなかった
明人「日野下?」
ふらりと廊下を歩いていると、浮かない顔で歩く日野下を見つけた
花帆「あっ、センセイ!こんにちは!」
明人「よ」
声をかけた瞬間、日野下は隠すように笑顔を作り挨拶をしてくる
明人「……どうかしたのか?」
花帆「な、なんでもないですよ〜」
笑って誤魔化してくるが、どうも違和感を覚えてしまう
明人「時間あるか?」
花帆「え?ありますけど……」
明人「ならちょっと付き合ってくれて」
日野下を引き連れ、音楽室に足を運ぶ
花帆「音楽室?」
明人「ちょっとな。座っててくれ」
適当な椅子に日野下を座らせ、奥からドラムを出す
明人「……とりあえず歌うか?」
花帆「急ですね!?あれ?これって、吟子ちゃんの言ってた……」
明人「ほら、歌いたい曲言ってみろ」
花帆「え、えっと……なら、水彩世界で」
明人「はいはい。好きなのか、その曲」
花帆「はい。だって梢センパイが私のために作ってくれた最初の曲ですから!」
さっきの浮かない表情とは裏腹に、曲の話をする日野下はずっと楽しそうな表情を浮かべていた
明人「ほら、いくぞ」
花帆「はい!」
日野下の歌い出しで曲が始まる
曲の合間に少し表情を見てみる。少なくとも今は、いつもの日野下のように思えた
花帆「っふぅ……。楽しかったー!ありがとうございます、センセイ!」
明人「ならよかった。……どうだ、最近はみんな気合い入ってるみたいだから様子を知りたいんだけどさ」
花帆「みんなすっごくがんばってますよ。あたしも、負けてられない……!」
また、日野下の表情に違和感を覚えてしまう
明人「……なあ、日野下は桂城のライブを見たんだよな」
花帆「はい。せっちゃんーー友達に呼ばれて」
明人「どうだった」
花帆「……すごかったです。あたしなんかより、ずっと……」
やっぱり、らしくない
明人「……俺もさ、見たんだよ。桂城のライブ」
花帆「そう、なんですか?」
明人「すごかった。あそこまで天才の二文字が似合うやつは中々いないよ」
花帆「……」
明人「でもな、楽しかったよ。すごいスクールアイドルのライブを目の前で見れたんだ」
なにを話しても、日野下の表情は沈んだまま。スクールアイドルの話すらも、日野下の顔を明るくすることはできなかった
花帆「あたしも、もっとがんばらないとですよね。優勝するために。勝つために」
その言葉で、違和感は確信へと変わった
今の日野下は、日野下じゃない
明人「らしくないぞ。そんなこと言うなんて」
花帆「! そ、そんなこと……」
明人「なあ、なにかあったのか?日野下がそんなこと言うなんて」
花帆「センセイも泉さんのライブ見たならわかりますよね。あたしには、なにかが足りてないんです!それを見つけないと……。梢センパイの課題、ぜんぜんわかんないよ……」
明人「日野下、なあーー」
花帆「もっと、もっと前から考えてたら……!すみません。あたし、もっとがんばらないと」
明人「日野下!」
勢いよく席を立った日野下はすぐに音楽室を出ていってしまう
明人「……違うだろ」
ひとりになった音楽室で小さく呟く
◇
あれから2日後、日野下に呼ばれ部室に顔を出す
花帆「あっ、センセイ!遅いですよ〜!」
明人「悪い」
部室に入って一番に話しかけてきたのは日野下だった。表情は前のように暗くはない
花帆「もうみんなに話しちゃいましたからね」
明人「話す?」
日野下の言葉に疑問を持ちながら、机の上を見てくる。見慣れない木箱、その中には1枚のスカーフが入っていた
明人「……それは?」
吟子「蓮ノ空が初めてラブライブ!で優勝したときのスクールアイドルが残した物だよ。寮母さんが渡してクレタの」
明人「蓮ノ空が、優勝した時の……」
“行こうよ!いまを頑張ることが楽しい!”
スカーフには、そう綴られていた。Dream Believersの歌詞。その言葉が力強く
花帆「センセイ。あたし、もう大丈夫ですよ!足りなかったもの、見つけましたから!」
明人「そうか。それならよかった」
花帆「えっへへ。あたしの夢は、花咲くこと!みんなを、花咲かせること!勝つことも大事ですけど、あたし、楽しいを伝えたいです」
明人「それだけ聞けたらもう十分だよ。よかったよかった。あのままだったらどうしようかと思ってたよ」
視線を机で作業するDOLLCHESTRAの3人に向ける
明人「リボン?」
さやか「花帆さんと吟子さんの案なんです。スカーフのように、わたしたちの思いをなにかに書き残せないか、と」
小鈴「できました!」
徒町の掲げたリボンを見る
綴理「“今この瞬間を大切に” それが、ボクたちの思い」
梢「なによりも大切な、今を生きる。昔、水瀬先生も言っていたでしょう?」
明人「いつの話だよ」
慈「めぐちゃんたちが1年生のときでーす」
綴理「ちゃんと覚えてるよ。アキ、珍しくカッコつけてたもんね」
明人「言わなくていいだろ!」
綴理「大丈夫。ちゃんとカッコよかったよ」
明人「そういう話じゃなくてな!!」
綴理に文句を言っていると、いつの間にか一年生と二年生の6人が目の前に集まっていた
花帆「これを」
日野下から、1本のリボンを渡される
淡いピンクのリボン
明人「これは……」
花帆「あたしたちから、センセイへ」
さやか「立ち止まったら、背中を押してくれる」
瑠璃乃「走りたいときも、休みたいときも、一緒にいてくれる」
吟子「一緒に居て、安心させてくれる」
小鈴「頑張りたいとき、ちゃんと見ててくれる」
姫芽「気持ちを、大切にしてくれる」
花帆「そんなセンセイとの、仲間の証。受け取ってください。一緒に行きましょう、ラブライブ!に!」
日野下の手から、リボンを受け取る
“今この瞬間を大切に”
そう綴られたリボン
明人「……あんやと」
そう言うと、6人は顔を見合わせて笑い合う
慈「いい教え子持ったんじゃん、アキ君も」
綴理「色を選ぶの、たのしそうだったよ」
梢「自分のユニットの色を推すものだから、時間はかかっていましたけどね」
明人「そりゃ見たかったよ。……スリーズブーケのやつの色とは違うんだな」
梢の持っているリボンと見比べて、少し色の違いを感じる
梢「蓮ノ空の校章の色です。ちょうどいい色を探すの、苦労したんですからね」
慈「まあそれ以上にピンクだけであんな色んな種類のリボンがあったことに驚いたんだけど……」
綴理「なんでもあるね、大倉庫」
明人「なんでもありすぎるから怖いよ。にしても、なんで急に。言われれば自分で作ったぞ?」
少し疑問に感じていたことを日野下に聞いてみる
花帆「だってだって!ずるいじゃないですか、センパイたちばっかり!」
梢「私たち?」
姫芽「なんかせんぱいたちとせんせ〜て、繋がってるって感じしますよね〜」
さやか「強い絆や信頼、でしょうか。本当に、強固なものを感じます」
花帆「だから花帆たちもなにか欲しかったのです」
4人で顔を見合わせる
慈「まあ、色々あったしね」
綴理「うん、たくさんあった」
梢「喧嘩したり、気まずくなったり、ね」
明人「喧嘩は慈と梢だろ」
梢「わ、私たちだけではないでしょう!?」
慈「んー……綴理と喧嘩した記憶ないや」
綴理「うん、めぐと喧嘩したことないよ」
梢「み、水瀬先生は!?」
明人「綴理とはないな」
慈「つまり、全員と喧嘩したことあるのは梢だけってわけだ。よかったね、梢。立派な称号だぞ〜」
梢「喜んでいいのか分からないわ……」
梢は困った顔でこめかみを抑えてしまう
花帆「あーん、そういうところですー!あたしも入れてくださいー!」
日野下は甘えるように声を出し、梢に抱きつく
瑠璃乃「ルリもー!」
小鈴「徒町もです!」
さやか「ふふっ、ならわたしも」
吟子「えっ?えっ?」
姫芽「めぐるり尊し……」
それぞれユニットの先輩に飛びついたり、困惑したり、拝んだり。いつも通りの賑やかな空気が流れ出す
花帆「ほら、吟子ちゃんも!」
吟子「あっ、ちょっーー」
梢「今日くらい、恥ずかしがらなくたっていいのよ?」
吟子「〜〜〜!!」
慈「ほーら、姫芽ちゃん。なにそんなところで拝んじゃってるのさ」
瑠璃乃「ひめっち!」
姫芽「はわぁ〜〜……!?」
ラブライブ!
それは、スクールアイドルの夢
スクールアイドルの憧れ
夢を叶えようとする少女たちが目指す場所
◇
時間はあっという間に過ぎていった。気づけば、会場に向かう日も目前に迫っていた
明人「ついに明日からラブライブ!の会場に向かうのか〜」
吟子「うん、明日から……」
吟子は神妙な面持ちで答えてくる
明人「不安か?」
吟子「……ちょっとだけ。だって、あのパフォーマンスだもん」
明人「そうだよなぁ。あんなすごいパフォーマンスするんだからなぁ」
吟子「花帆先輩から聞いたよ。お兄も見たんだよね、泉さんのライブ」
明人「見たよ。……ああ、見た。目の前で、しっかりと」
あの日のライブを思い返す。気高く燃える、熱い闘志。それが、あっという間にのみ込んでくる
明人「たしかに、桂城のパフォーマンスはすごかった。でも、吟子たちが負ける理由にはならないだろ」
吟子「お兄……。うん、そうだよね。弱気になってちゃダメだよね!」
吟子の表情がよくなった辺りで、部室の扉が開く
小鈴「吟子ちゃーん、一緒に帰ろー!」
姫芽「購買も寄ってこー」
吟子「うん、すぐ行く。じゃあまた明日ね、お兄」
明人「ああ、また明日」
吟子はカバン持ち、徒町たちの方へ行く
小鈴「明人大先生、さようなら!」
姫芽「さよならです〜」
明人「ああ。気をつけて帰れよ」
部室の扉が閉まる
3人が帰ったのを確認し、背もたれに体重を預けて息を吐く
明人「明日、ついに……」
セラス『私たちは勝たないといけない。だから、蓮ノ空には負けません』
泉『負けるわけにはいかない。私たちは勝利のみを目指す!』
ふたりの言葉が頭を過ぎる
明人「負けないよ。蓮ノ空も」