ラブライブ!
それは、スクールアイドルの夢
スクールアイドルの憧れ
夢を現実に変える場所
歓声が鳴り響く、ラブライブ!決勝の舞台
残す2校は、蓮ノ空と瑞河
泉「やあ」
明人「……桂城か」
ステージを目前にした桂城が声をかけてくる
明人「本番前だってのに、どうした」
泉「なにか激励の言葉でも貰えないかと思ってね」
明人「俺は蓮ノ空の顧問だ」
泉「おや?セラスからは顧問さんも応援してくれていると聞いたんだけどな」
明人「廃校にならなければいいなとは思ってるよ」
泉「そうか。ならそれを激励の言葉にさせてもらうよ」
セラス「泉、そろそろ時間」
泉「ああ」
柳田から声がかかると、桂城の顔つきは一瞬で変わる
泉「私の使命は、ラブライブ!に優勝し、瑞河を廃校から守ること。セラスの、瑞河の夢を叶えることだ。今日ここで、全てを出し切ってみせよう」
身を翻し、衣装をなびかせながら柳田の元へと向かっていく
明人「っふぅ……」
高揚か、緊張か。それとも恐怖か。体の震えは止まらない。会場の熱気に当てられたのか、ひたり、と汗が流れる
慈「アキ君、こっちで一緒に見よー」
明人「……」
慈「アキ君?アキくーん?」
明人「悪い、ひとりで見る」
慈「……じゃあそう伝えとくね」
慈は日野下たちの方へと戻っていく
桂城のステージが始まる瞬間を舞台袖で待つ
やがて桂城がステージに上がり、曲が流れ出す
泉『此の命さえ捧げてもいい
覚悟を胸に気高くあれ』
その言葉が、そのパフォーマンスが。一瞬で会場を支配する
言葉は発さなかった。発せなかった
何度見ても魅了させる。圧巻のパフォーマンス。息をすることさえ忘れてしまいそうになる
明人「すごい。本当にすごいよ」
パフォーマンスが終わったとき、自然と口から溢れていた
視線をカバンに向ける。そこに結ばれている、リボンへと
明人「“今この瞬間を大切に”」
後ろを振り返れば、梢を先頭に歩いてくる9人の姿があった
梢と目が合う
梢「……」
しっかりと頷いた梢に、視線を返す
それを確認した梢は、8人を引き連れ、ステージへと上がっていく
明人「だから、負けないよ」
歓声が鳴り響く
そして、蓮ノ空のパフォーマンスが始まる
◇
アナウンサー「おまたせしましたぁー!」
全ての学校のパフォーマンスが終了し、アナウンサーの声が鳴り響く
アナウンサー「すべてのステージが終了し、そしていよいよ、結果発表のお時間となります!全国、スクールアイドルの頂点に立つのは、いったいどの学校か!」
ついに、ラブライブ!の結果が出る
泣いても笑っても、受け止めるしかない現実が始まろうとしている
アナウンサー「それでは参りましょう!まずは、5位から!」
小鈴「か、徒町……このプレッシャーに、息が絶えそうです……!」
さやか「し、しっかりしてください!」
アナウンサー「次は、第4位!」
まだ、蓮ノ空の名前は呼ばれない
アナウンサー「第3位!」
瑞河の名前も、上がらない
アナウンサー「そして、第1位と第2位は……最後に同時に発表となります!」
慈「えっ、まじ!?」
綴理「どきどきだ〜」
梢「……」
蓮ノ空か、瑞河か。それとも、別の学校か
心臓の鼓動が、周りにも聞こえそうなほどうるさくなる。全員、握る拳には力が入っていた
アナウンサー「なんと、第1位が2校!」
明人「えっ」
アナウンサー「同率1位は、蓮ノ空女学院スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!」
まず上がったのは、蓮ノ空の名前
アナウンサー「そして、瑞河女子高等学校Edel Noteだーーー!」
そして、瑞河の名前
その事実に、会場は強い歓声に包まれる
アナウンサー「本年度のラブライブ!全国大会決勝は!前代未聞!空前絶後!プレーオフとなります!」
花帆「えっ!?」
セラス「……!」
泉「……まさか、そんな」
梢「プレーオフ……!」
プレーオフ
蓮ノ空と、瑞河が、もう一度
花帆「ええええ〜!?」
◇
明人「プレーオフ、か……」
ラブライブ!決勝が終わり、ホテルでやっと一息つけた頃、その事実がもう一度こみ上げてくる
明人「あと、もう一回」
もう一度、あのステージを。いや、あれ以上のステージが見れることが嬉しいのもある。でも、あのステージでも勝てなかったことへの驚きも消えない
気持ちが、整理できてない部分もある
明人「負けない」
それでも、これだけはしっかりと言えた
何度やろうと、蓮ノ空は負けない
それだけは、はっきりしていた
◇
帰る時間になり、外で9人が来るのを待っているが、誰ひとりとしてホテルから出てこない
明人「……どうしたんだ?」
不思議に思いロビーに入って見ると、そこでは慈たちが桂城たちと話している姿があった
花帆「じゃあ、次のプレーオフが、瑞河にとって最後のライブになっちゃうの……?そんなの……!」
明人「!」
日野下の言葉が耳に入ってくる
まるで、瑞河が終わってしまうような、そんな言い方
明人「……どういうことだよ」
花帆「センセイ……!」
セラス「顧問さん……」
声をかけると、桂城と柳田は暗い表情で、日野下たちは助けを求めるような表情でこちらを見てくる
泉「……瑞河の、廃校が決まった」
明人「は?ちょっと待て、どういうことだよ。あのパフォーマンスで?」
セラス「言葉の通りです。私の夢は、私たちの挑戦は、これで終わり。でも、ほんとにいいステージだった。わたしの見た中でも、一番の泉だった。ありがとう」
吟子「ちょっと待って。その言い方じゃ、まるで……」
泉「瑞河女子は、プレーオフには、出られない」
小鈴「ええっ!?」
泉「廃校が決まったことで、部活停止令が下ったんだ。もう、スクールアイドル部を続けることはできない」
桂城の口から、その事実だけが淡々と告げられていく
泉「最後までやれなかったのは、私も残念だよ。おめでとう、蓮ノ空。あなたたちの、勝ちだ」
花帆「そんな……」
ふたりは、浮かない表情のままホテルの部屋に戻っていく
明人「っ桂城!柳田!」
ふたりは止まってはくれない
虚しい背中を見送ることしかできなかった
明人「……帰るのは、明日にしよう」
慈「えっ、ちょ、いいの!?そんなことしちゃって」
明人「このまま帰るなんて、できるわけないだろ……」
梢「そう、ですね……」
明人「学校には適当に言い訳しておく。悪い、それぞれ部屋に戻っててくれ」
そう言い残し、スマホを取り出しながら階段を登る
明人「すみません、瑞河のことなんですけどーー」
なにができるかは、分からない。でも、それでも
泉『私たちからの、挑戦状だ』
電話は終わり、スマホをポケットにしまう
明人「勝手に挑戦しておいて、勝手に逃げるなんて許さないからな」
◇
部屋の前に着く。桂城と柳田のいるであろう部屋の前に
ドアを軽く叩く
泉「どちらさまーーって、顧問さん?」
扉が開き、出てきたのは桂城だった
明人「ふたりともいるか?」
泉「ああ、いるけど……。セラス」
セラス「なに、泉。……と、顧問さん?」
部屋の奥から柳田も出てくる
明人「プレーオフに出ないってのは、本当なのか」
泉「本当もなにも、私たちは出られないんだ。もちろん、出たい気持ちもたくさんだよ。それでもーー」
明人「勝手に挑戦状叩きつけて、散々煽ってきた癖に、逃げるのかよ」
セラス「それは……」
泉「本当に、悪いと思っている……」
明人「廃校が決まったから、終わりなのかよ」
泉「終わりなんだよ。私は、使命を果たせなかった。瑞河を廃校から守る。その使命を」
明人「あいつらは、あれで終わらせようなんてしない。最後まで、見させてもらうぞ。瑞河のEdel Noteを」
それだけ言って、部屋の前から離れる
後ろかは、静かに閉まる扉の音がした
◇
次の日、帰る時間になり9人を待つ
梢「水瀬先生」
明人「……来たか」
9人の顔は、暗いものじゃなかった。それだけで、なにがあったのかも分かる
明人「目指すはプレーオフか」
花帆「絶対!絶対に開催させましょうね!」
梢「ええ。そのために、まずは蓮ノ空へ帰りましょう。瑞河に向かうためにも」
◇
翌日、瑞河に向かい話し合いを行った
問題は瑞河の廃校。というより、部活停止令。まずはそれを撤廃させる。一旦はそこを目指す形になる
話し合いの中、日野下の案により瑞河で新たな文化祭を開くことになった。文化祭で多くの人を呼び込み、瑞河のことを。廃校の事実のことを知ってもらう。それが、ひとまずの目標
明人「ええ、一旦はこの文化祭の実施を。プレーオフ開催のために、手伝ってもらえないでしょうか」
れいか「うんうん……いいですね!」
そんな中、梢と共に金沢へ帰り協力を募っていた
梢は蓮ノ空へ。俺は金沢の街へ。ひとりでも、多くの人を集めようと
れいか「私も色んな人に声かけておきますよ!これでも街では顔の広いほうですから!」
明人「ありがとうございます、れいかさん!」
れいか「いいんですって。私たちもプレーオフ楽しみなんですから!先生も頑張ってくださいね!」
近江町市場の人たちから始まり、ひがし茶屋街、金沢駅、金沢フォーラス、ゆのくに天祥。今まで蓮ノ空が関わってきた多くの人たちが、名乗りを上げてくれた
梢『はい。蓮ノ空の方でも多くの人たちが集まってくださいました。水瀬先生の方は?』
明人「けっこう集まった。みんな、プレーオフ見たいんだってさ」
梢『なら、必ず開催しないとですね。セラスさんには私の方から連絡しておきます』
明人「頼む」
◇
開催までたどり着くのは、そう難しくはなかった。ラブライブ!決勝の翌週には、瑞河と蓮ノ空との合同の文化祭が幕を開けていた
瑠璃乃「またシャッフルユニットでライブできるなんてねー!」
綴理「るりとふたりのライブ、久しぶりだね。たのしみ」
梢「さやかさん、準備は大丈夫かしら?」
さやか「はい。お任せください」
慈「やるよ、花帆後輩!久しぶりだからって、めぐちゃん直伝の盛り上げ方、忘れたなんてことないよね!」
花帆「もちろんです!みんなを笑顔にしちゃうんですから!」
せっかくだから、いつもと違うことをやろう
そうやって話が進んでいき、蓮ノ空のライブパートでは去年の2月にやったシャッフルユニットでライブをすることになった
明人「時間だぞ」
花帆・さやか・梢・綴理・瑠璃乃・慈「はい!」
ここまで大々的に開催をしてしまえば、マスコミなんてものは多く集まってくる。それも、今、話題沸騰中の蓮ノ空と瑞河の合同開催となれば。柳田のテレビ出演のこともあり、会場には多くのテレビ取材が来ていた
瑠璃乃「こっちこっち!瑞河の人の言葉を、聞かせてあげて!」
蓮ノ空によるオープニングライブも、3ユニットそれぞれが曲を披露し終わった頃。瑠璃乃に呼ばれ桂城と柳田のふたりがステージに上がる
セラス「……初めまして。わたしは瑞河女子高等学校、附属中学校の生徒です」
そこで柳田の挨拶が始まる。瑞河のことを、知ってもらうために
セラス「このまま不戦敗で終わる……。そんなとき、蓮ノ空から声をかけてもらったんです。最後まであがいてみようよ、と。だからわたしも、最後までもがいてみたいです」
柳田の目は、まっすぐとしていた。見据えているのは、文化祭成功だけじゃない。その先の、プレーオフ
セラス「そのおかげで、こうして、瑞河と蓮ノ空を繋ぐ文化祭。『瑞蓮祭』を、開くことができました」
柳田の言葉に驚かされる
名前なんて、決まっていなかった。蓮ノ空と瑞河の合同の文化祭、それだけだった。それでも、名前がついた
瑞蓮祭
それが、この文化祭の名前
セラス「だからあともう少し……皆さんの、力を貸してください。本日は、どうもありがとうございました!」
その言葉を締めとして、柳田と桂城はステージから降りていった
少し時間が出来た辺りで、ひとりステージを見ていた柳田の元へ行く
明人「瑞蓮祭。いい名前付けたな」
セラス「ああ、顧問さん。そうでしょう。閃いてしまったんです」
自慢げに声を上げてくる
明人「瑞蓮ねえ。めでたいな、それは」
セラス「我ながら自分のセンスが恐ろしい……!」
さっきまでの様子は何処へ。柳田はすっかりいつものテンションに戻っていた
明人「楽しそうでよかったよ」
ステージに視線を戻した辺りで、ステージに一年生組が上がってくる
姫芽「皆さ〜ん、盛り上がってますか〜?」
小鈴「皆さん楽しそうで、徒町大変嬉しいです!」
吟子「今日は蓮ノ空と瑞河の合同の文化祭、瑞蓮祭ということで、スペシャルなメンバーでライブさせてもらいます」
泉「蓮ノ空の一年生3人と、Edel Noteの、今回限りのスペシャルライブ。ぜひ、楽しんでいってくれ」
4人のステージが始まる
隣からウキウキとした気配を感じ、柳田の方を見てみる
セラス「やっぱりいいですね。スクールアイドルって」
明人「そうだな」
◇
「……」
瑞蓮祭も終わり、瑞河の部室では、張り詰めた空気が支配していた
小鈴「き、緊張感がぁ……」
さやか「セラスさんたちは大丈夫でしょうか。瑞河の理事長室に呼ばれてから、もう一時間は……」
本当に一時間経ったかは、わからない。三時間経ったような気もするし、30分程度な気もする。それだけの緊張感が、部室内には走っていた
そんなとき、部室の扉が開く
花帆「せっちゃん!どうだった!?」
部室に入ってきたふたりは、全員から見える位置に移動する
セラス「うん。部活動停止措置は……」
柳田の言葉に息を呑む。一瞬の間すらも、長く感じてしまう
そんな気持ちとは裏腹に、柳田の表情は明るくなる
セラス「一カ月延期。学校側も、認めてくれた。プレーオフ、できるよ」
花帆「や」
「やった〜〜〜〜!!!」
緊張感は一気に興奮へと変わり、喜びが埋め尽くす
さやか「やりました!やりましたね!!」
小鈴「おめでとー!泉さん!!」
これでついに、プレーオフの開催が決定
廃校は免れなかった。それでも、時間を得ることはできた。たった一カ月。されど一カ月。これで誰も、悔いることはない
明人「桂城」
それぞれが思い思いの場所へ駆け出していった後、ひとり残っていた桂城に声をかける
泉「顧問さん。ありがとう。あなたには、本当に感謝している。こんな言葉では、足りないほどだ」
明人「いいんだよ。さっき慈が言ってただろ。自分のためにやったんだ。勝手に挑戦状叩きつけられた身としてな」
泉「……そうか。なら、私も、自分のために。プレーオフで、最高のステージを見せることを約束しよう。あなたにとっては、最高のお礼だろう?」
明人「ああ。最高だよ」
泉「次こそは、必ず勝ってみせよう。瑞河の夢は、もう叶えられない。それでも、私はラブライブ!で優勝し、セラスの夢を叶えてみせる!」
明人「こっちにも負けられない理由があるんだ。夢を背負ってる。あいつらの、蓮ノ空の、金沢の」
泉「最高の舞台へ」
桂城から、手が差し伸べられる
明人「最高の、舞台で」
その手をしっかりと握り返す
◇
校門の前で別れの言葉を交わし、瑞河を出る
花帆「……」
吟子「花帆先輩?」
帰り道、日野下は浮かない表情で足を止めてしまう
花帆「夢……せっちゃんの夢……」
日野下はずっとなにかを考えるようにぶつぶつと呟いていた
瑠璃乃「どしたん?」
花帆「ねえ、みんな。ちょっと、お願いがあるんだけど」
さやか「どうしたんですか?」
花帆「あのね、えっとね、えっと……」
お願いがある、そう言ったのにも関わらず、内容を今考えているような仕草を見せる
花帆「例えばあたしなら……花咲きたいって夢……。さやかちゃんは、期待に応えたい。瑠璃乃と慈センパイは、世界中を夢中に。綴理センパイは、スクールアイドル」
さやか「そ、そうですけど」
瑠璃乃「?」
慈「なになに」
綴理「うん」
花帆「吟子ちゃんは金沢の伝統を世界に。姫芽ちゃんは、ゲームの布教。小鈴ちゃんは、なにものかになりたい……」
姫芽「どうしたんですか〜?」
花帆「梢センパイは、ラブライブ!優勝」
梢「花帆?」
日野下は急に、ひとりひとりの夢を確認し出す
花帆「センセイは……あれ?センセイの夢は?」
明人「今はいいだろ。どうしたんだ?」
花帆「あの……!知りたいんです!せっちゃんの、本当の夢を!それで、だから、どうやったら調べられるのかな、って」
さやか「プレーオフ以外の夢、ですか」
慈「廃校を救う、じゃなくて?」
花帆「それ以外の……たぶん、もっともっと、前の……」
日野下の言おうとしてることにひとつ思い当たることがあり、瑠璃乃と視線を交わす
明人「なら、探すか?」
花帆「えっ」
瑠璃乃「これは、どうかな。テレビに出て話題になってから、昔の瑞河の配信がネットにたくさんアップされてるんだよね」
瑠璃乃の言う通り、スマホにはずらりと瑞河の配信がアーカイブの並んでいた
花帆「そ、それだー!」
梢「大事なことなのね?」
花帆「たぶん!……いえ、すごく!お願いします、みなさん!手分けして……探すの、手伝ってください!」
そこから、とにかく瑞河の配信を見漁った。帰り道の途中だっていうのに、雪も積もってまだ寒いっていうのに
姫芽「う〜ん、セラスちゃん、あんまり配信には出てないのかな〜?」
吟子「正式な部員でもないみたいだしね」
小鈴「セラスちゃんの最初の配信とか残ってないですかね?」
明人「大体3年前か?」
それっぽいタイトルの配信はないか、画面をとにかくスクロールして探し続ける
花帆「あっ!これとかは!?」
そのとき、日野下がひとつの配信を開きながら大きな声を上げる
そこに写っていたのは、柳田だった
セラス『わたしは、瑞河女子のスクールアイドル部が大好きです。だから。瑞河女子の一員として、いつか、ラブライブ!のステージに上がるのが、私の夢です』
柳田の夢は、はっきりと言葉にされていた
瑞河のスクールアイドルとして、ラブライブ!に出る。それが、柳田の、最初の夢
花帆「せっちゃん……」
明人「……行くか?」
花帆「いいんですか?帰りの時間だって……」
梢「いいのよ、花帆。諦めたくないのでしょう、セラスさんの夢を」
花帆「っはい!」
日野下は来た道を走って戻っていく
◇
プレーオフまでに、時間はない
それでもみんな、柳田の夢を叶えたい。ワガママで、強欲で。みんながみんな、いい、なんて答えないのは分かってる
現実的に考えるなら、無理なのは当たり前
でも、それでも
ーースクールアイドルは、奇跡を起こすものだから
必要なのは、多くの署名。無茶をやろうとする勇気。誰かの夢を叶えたい。そんな強い想い
日野下の配信が、人の心を掴んだ
みんなで、その心を動かした
スクールアイドルだけじゃない。スクールアイドルを応援する人たちが、スクールアイドルが大好きな人たちが。その想いを、乗せてくれた
気が付いたときには、署名は集まっていた。集まり過ぎていた。でもそれが、スクールアイドルを愛する人たちの想い
たったひとりの、スクールアイドルを夢見る少女のために
花帆「それでは、メールを開き……ます!!」
ラブライブ!運営から届いたメール。みんなで、それを見届ける
花帆「プレーオフは……予定通りに行う……。ただし、もう一方の出場校である蓮ノ空女学院が認めるなら……特例としてーー」
ーーセラス・柳田・リリエンフェルトの参加を認める
花帆「……!」
その言葉はしっかりと刻まれていた
柳田の夢が、叶うと
花帆「やっ………たあああああーーーーーーーー!!」
その日、その瞬間。ラブライブ!に新たな伝説が刻まれる。特例による、中学生のラブライブ!参加
スクールアイドルの奇跡が、叶ったのだと