『TOGⅡで戦車道を……?』   作:きのこ大三元

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また最終章の予告が出てましたね!
新キャラも居るみたいで楽しみです…!



第25.5話「共犯の食卓」

 全国大会抽選会から戻った日の夜。

 

 大洗女子学園艦の上には、いつも通りの灯りがともっていた。

 

 寄宿舎の窓。食堂の明かり。部活動帰りの生徒たちの声。どこか遠くで鳴る船内放送。誰かが笑いながら廊下を走り、別の誰かがそれを注意する声が続く。

 

 それらは、普段と何も変わらない。

 

 けれど、戸郷灯里には少しだけ違って見えた。

 

 全国大会の初戦の相手は、サンダース大学付属高校に決まった。強豪校。十両まで出場可能な一回戦。資金力も、戦車の数も、人員も、大洗とは桁が違う学校。

 

 それだけでも十分に重い。

 

 だが、大洗女子学園に乗っている本当の重さは、それだけではなかった。

 

 灯里は、給食部専攻の調理スペースに立っていた。

 

 今日は、TOGドッグではない。

 

 TOGエクレアでもない。

 

 TOGⅡスイーツでもない。

 

 温かいスープ。小さめのおにぎり。焼き魚。卵焼き。少しだけ甘い煮物。そして、胃に優しそうなルイボスティー。

 

 大きな皿に盛るようなものではない。派手な見た目でもない。けれど、夜遅くまで資料と向き合う人たちには、たぶんこういうものの方がいい。

 

 灯里は並べた盆を見て、静かに頷いた。

「今回は、TOGⅡ要素を控えました」

 

 隣で手伝っていた火野まどかが、少しだけ目を細める。

「控えたんですね」

「はい。箸袋に小さく描こうか迷いましたが、やめました」

「正しい判断です」

 

 まどかは淡々と言った。

 

 呼子かなえは、湯呑みの数を確認しながら首を傾げる。

「今日は生徒会の皆さんへ差し入れ、でしたよね」

「はい」

「何か、あったんですか?」

 

 灯里は一瞬だけ黙った。

 

 言うべきではない。

 

 まだ、言うべきではない。

 

 だから、少しだけ答えをずらす。

「今日の抽選会で、少し顔色が悪かったので」

「河嶋さんですか?」

「小山さんもです」

「会長は?」

 

 小走すずが聞く。

 

 灯里は、盆の端を整えながら答えた。

「会長は、顔色の悪さを干し芋で隠すタイプだと思います」

「分かるような、分からないような……」

 

 早見りんが苦笑する。

 

 米倉ちとせは、おにぎりを包みながら言った。

「でも、食べてもらえるといいですね」

「はい」

 

 灯里は、湯気の立つスープを見た。

「今日は、食べてもらうために持っていきます」

 

 それは、差し入れだった。

 

 けれど、それだけではない。

 

 今夜、灯里は生徒会と話すつもりだった。

 

 大洗女子学園の、いちばん重い秘密について。

 

* * *

 

 生徒会室の明かりは、まだついていた。

 

 夜の校舎は、昼間より音が少ない。そのぶん、扉の向こうから聞こえる紙をめくる音や、椅子を引く音や、誰かが小さくため息をつく声がよく響いた。

 

 灯里は盆を乗せたワゴンを押し、扉の前で立ち止まる。

 

 深呼吸を一つ。

 

 それから、軽くノックした。

「戸郷です」

 

 中で少しだけ動きが止まった。

 

 すぐに、小山柚子の声が返ってくる。

「どうぞ」

 

 灯里が扉を開けると、生徒会室には三人がいた。

 

 角谷杏は、机の端に座るようにして干し芋を持っている。小山柚子は、資料をまとめながら無理に笑っている。河嶋桃は、腕を組んだままトーナメント表を睨んでいた。

 

 机の上には、全国大会の資料。サンダースの情報。戦車道連盟からの書類。そして、大洗女子学園の戦車道チームの名簿。

 

 紙の上には、ただの文字と数字しかない。

 

 けれど、その一枚一枚が、今の三人には重すぎるものに見えた。

 

 桃が顔を上げる。

「戸郷? こんな時間にどうした」

「差し入れです」

 

 灯里はワゴンを押して入った。

 

 杏が少しだけ目を丸くする。

「お、夜食?」

「夕食を食べ損ねているように見えましたので」

 

 柚子が苦笑した。

「そんなに顔に出てたかな」

「小山さんは、無理に笑う時に少し眉が下がります」

「えっ」

 

 柚子が思わず眉に手を当てる。

 

 桃は少し気まずそうに咳払いした。

「我々は忙しいのだ。夕食くらい後で――」

 

 そこで、腹の音が鳴った。

 

 桃の顔が固まる。

 

 杏がにやっと笑った。

「河嶋ー、説得力ゼロ」

「か、会長!」

 

 灯里は何も言わず、盆を机に並べていく。

 

 スープ。おにぎり。焼き魚。卵焼き。煮物。ルイボスティー。

 

 杏が湯呑みを見て、少しだけ首を傾げた。

「紅茶じゃないんだ」

「今日は、胃に優しそうなものにしました」

 

 桃が眉を寄せる。

「胃に優しい?」

「はい。皆さん、胃が痛そうでしたので」

 

 その言葉に、三人の動きが微妙に止まった。

 

 杏だけは、すぐにいつもの調子で笑う。

「いやー、戸郷ちゃんはよく見てるねー」

「見ています」

 

 灯里は、静かに答えた。

「戦車道のことも、この学園艦のことも」

 

 桃は、何かを感じ取ったのか、少しだけ表情を硬くした。

「……戸郷」

「まずは食べてください」

 

 灯里はそう言って、自分も向かいの椅子に座った。

 

 生徒会室に、しばらく箸の音だけが響いた。

 

 杏はいつも通りに見える。だが、食べる速度はいつもより少し遅かった。柚子は、スープを両手で包むように持っている。桃は最初こそ強がっていたが、一口食べると、ほんの少しだけ肩の力が抜けた。

「……うまいな」

「ありがとうございます」

「べ、別に褒めたわけではないぞ」

「はい」

 

 灯里は頷いた。

「栄養補給は重要です」

 

 杏が、おにぎりを持ったまま笑う。

「給食部専攻っぽいねー」

「私は給食部専攻ではありませんが、いぬさんチームには給食部専攻の専門家がいます」

「専門家」

「はい。補給と段取りの専門家です」

 

 少しだけ空気が緩んだ。

 

 けれど、それも長くは続かなかった。

 

 灯里は、ルイボスティーの湯呑みに手を添えた。

 

 そして、何気ない声で言った。

「……負けたら、廃校ですもんね」

 

 箸の音が止まった。

 

 柚子の指が、湯呑みの縁で止まる。

 

 桃の目が見開かれる。

 

 杏だけが、ほんの少しだけ目を細めた。

 

 生徒会室の空気が、音を立てずに凍った。

「戸郷」

 

 桃の声は、低かった。

「なぜ、それを知っている」

 

 灯里は、逃げなかった。

 

 三人をまっすぐ見る。

「どこで知ったかは、教えられません」

「そんな曖昧な話で済むと思っているのか」

「済まないと思います」

 

 桃が言葉を詰まらせた。

 

 灯里は続ける。

「だから、今ここで言いました」

 

 柚子の顔色が、はっきりと変わっていた。

 

 いつもの柔らかい笑顔は消えている。

 

 杏は干し芋を机に置いた。

「よく知ってるねー」

 

 声は軽い。

 

 けれど、目は笑っていなかった。

「どこまで知ってるの?」

 

 灯里は少しだけ息を吸った。

「戦車道で成果を出せなければ、大洗女子学園は廃校になること」

 

 柚子が息を呑む。

「全国大会で優勝しなければ、その可能性が高いこと」

 

 桃の拳が震える。

「そして、その事実を、今は生徒会の皆さんだけが抱えていること」

 

 生徒会室に沈黙が落ちた。

 

 外から、遠い船内放送の音が聞こえる。

 

 何も知らない生徒たちの声が、廊下の向こうを通り過ぎていく。

 

 それが、かえって重かった。

 

 桃が立ち上がった。

「だったら何だ」

 

 声が荒い。

 

 怒っている。

 

 いや、怒ろうとしている。

「お前は、それを西住たちに言うつもりか」

「言いません」

 

 灯里は即答した。

 

 桃が言葉を止める。

「今すぐ全員に言うべきだとは、思っていません」

 

 灯里は静かに言う。

「西住さんたちには、まだ普通に戦ってほしいです。全国大会に出られることを喜んで、サンダースの強さに驚いて、それでも勝つ方法を考えてほしい」

 

 柚子が、少しだけ目を伏せる。

「でも」

 

 灯里は続けた。

「生徒会の皆さんだけで、抱え込むものではありません」

 

 桃が唇を噛む。

「抱え込むしかないだろう!」

 

 その声には、悲鳴のような響きがあった。

「今、全員に言えばどうなる。戦車道を始めたばかりの連中に、学園の命運まで背負わせるのか。西住はただでさえ――」

 

 桃はそこで言葉を止めた。

 

 みほのことを言いかけたのだろう。

 

 黒森峰から来た少女。西住流の名を持つ隊長。今日、抽選会場で姉と会い、また傷ついた少女。

 

 そのみほに、さらに廃校の重さを乗せるのか。

 

 桃は、それができなかった。

 

 柚子が小さく言う。

「私たちだって、言えるなら言いたいよ」

 

 その声は震えていた。

「でも、言ったら皆が怖がるかもしれない。戦車道をやめたいって言う子が出るかもしれない。西住さんが、自分を責めるかもしれない」

 

 杏は、何も言わない。

 

 ただ、机の上のトーナメント表を見ていた。

 

 灯里は、三人の前に置かれた食事を見た。

 

 冷め始めたスープ。半分残ったおにぎり。湯気の薄くなったルイボスティー。そして、資料の上に置かれた大洗女子学園の名前。

「この学園艦には、普通科も、船舶経営科も、商業科も、農業科も、給食部専攻もあります」

 

 灯里は静かに言った。

「甲板の上だけでも、何千人もの人が暮らしています。艦全体で見れば、もっと多い」

 

 柚子が顔を上げる。

「ここは、戦車道チームだけの学校ではありません」

 

 桃は、何か言おうとして、言葉を飲み込んだ。

 

 灯里は続ける。

「だからこそ、生徒会の皆さんが抱えているものは、重いです」

 

 それは、理解しているつもりだった。

 

 原作知識としてではない。

 

 今、この学園艦で暮らしている一人として。

 

 TOGⅡで走る一人として。

 

 給食部専攻の仲間と、戦車道チームの仲間と、自動車部の人たちと関わってきた一人として。

 

 灯里は、ようやくその重さを少しだけ実感し始めていた。

「でも」

 

 灯里は、杏を見た。

「一人で持つには重すぎます」

 

 杏は、まだ笑わない。

 

 桃も、柚子も、何も言えない。

 

 灯里は、少しだけ考えた。

 

 そして、不器用に言った。

「これで、私も共犯ですね」

 

 桃の眉が跳ね上がった。

「共犯とは何だ、共犯とは!」

「秘密を知ってしまったので」

「だから共犯なのか!?」

「はい」

 

 灯里は真面目に頷く。

「生徒会の皆さんだけの荷物ではなくなりました」

 

 柚子の目が、少しだけ潤んだ。

 

 杏がようやく口を開く。

「……重いよ、この荷物」

「TOGⅡよりは軽いと思います」

「比べるな!」

 

 桃が即座に突っ込んだ。

 

 その声はまだ荒かった。

 

 けれど、さっきとは少し違っていた。

 

 灯里は真剣な顔で続ける。

「TOGⅡも、一人では動かせません」

「戦車と一緒にするな」

「長くて重いものは、役割を分けないと動きません」

 

 杏が、ふっと笑った。

「戸郷ちゃんらしいねー」

「はい」

 

 灯里は頷いた。

「私は、私にできる場所で支えます」

 

 柚子が小さく息を吐いた。

「支えるって……どうするの?」

「まず、皆さんが食事を抜かないようにします」

 

 桃が目を瞬かせる。

「そこからなのか」

「はい。倒れたら、指示も隠し事もできません」

「隠し事を前提にするな」

「ですが、今はまだ隠すのでしょう」

 

 桃は、言い返せなかった。

 

 灯里は、今度は少しだけ声を低くする。

「いつかは、言わなければいけません」

 

 杏の表情が、わずかに変わる。

「その時、生徒会の皆さんだけが悪者にならないようにしてください」

 

 柚子が唇を噛む。

「大洗のために動いた人たちが、大洗から責められるだけで終わるのは、嫌です」

 

 桃は、黙っていた。

 

 杏は、椅子の背にもたれた。

「いつか、ね」

「はい」

 

 灯里は頷く。

「今はまだ、勝つために動く時です」

 

 その言葉に、杏は少しだけ目を閉じた。

 

 柚子は、ようやく湯呑みを両手で持ち直した。

 

 桃は椅子に座り直し、冷めかけたスープを見た。

「……戸郷」

「はい」

「このことは、絶対に他言するな」

「はい」

「西住にもだ」

「はい」

「Aチームにも、いぬさんチームにも、誰にもだ」

「はい」

 

 桃はしばらく灯里を睨んでいた。

 

 だが、その目には、怒りだけではないものが混ざっていた。

「その代わり」

 

 灯里が先に言った。

「生徒会の皆さんも、無理をしすぎないでください」

「我々は生徒会だ。無理くらいする」

「無理と無茶は違います」

「む……」

 

 桃が言葉に詰まる。

 

 杏が小さく笑った。

「桃ちゃん、言われてるよ」

「会長もです」

「私も?」

「はい」

 

 灯里は杏を見る。

「笑ってごまかすのは、かなり高度な技術だと思います。でも、ずっとは無理です」

 

 杏は、少しだけ目を丸くした。

 

 それから、ゆっくり笑った。

「ほんと、よく見てるねー」

「見ています」

 

 灯里は繰り返した。

「戦車道のことも、この学園艦のことも」

 

 柚子が、少しだけ涙を拭うように目元へ手をやった。

「ありがとう、戸郷さん」

「私は、食事を持ってきただけです」

「ううん。それだけじゃないよ」

 

 柚子は、少しだけ笑った。

 

 その笑顔は、さっきよりも自然だった。

 

* * *

 

 食事が終わる頃には、スープもおにぎりも、ほとんどなくなっていた。

 

 杏は最後の干し芋ではなく、灯里が持ってきた煮物をつまんでいる。桃は不本意そうな顔をしながらも、卵焼きをきれいに食べ終えていた。柚子は、空になった湯呑みを両手で包んでいる。

 

 生徒会室の空気は、完全に軽くなったわけではない。

 

 廃校の事実が消えたわけではない。

 

 サンダースに勝たなければならないことも、全国大会で優勝しなければならないことも、変わらない。

 

 けれど、たった三人だけで抱えていた秘密に、もう一人だけ触れた。

 

 それだけで、ほんの少しだけ呼吸がしやすくなったように見えた。

 

 灯里は、食器をワゴンに戻す。

「明日から、サンダース戦の準備ですね」

「そうだな」

 

 桃は資料を手に取る。

「敵は十両。こちらは六両。戦力差は大きい」

「資金力も、人員も、経験も違います」

 

 柚子が続ける。

 

 杏は干し芋を一本だけ手に取り、いつもの笑みに戻った。

「でも、勝つしかないよねー」

 

 灯里は頷いた。

「はい」

 

 そして、少しだけ考えてから言う。

「サンダースは、きっと正面から強い学校です」

「分かるのか?」

「資料と、少しだけ勘です」

「勘か」

「はい。ですが、強い学校ほど、強い戦い方をしてきます」

 

 灯里は、トーナメント表のサンダースの名前を見る。

「大洗は、普通に戦っても勝てません」

 

 桃が眉を寄せる。

「はっきり言うな」

「事実です」

 

 灯里は静かに続けた。

「だから、西住さんが必要です」

 

 杏が灯里を見る。

「そして、戸郷ちゃんも?」

「私は、TOGⅡを必要な場所に置きます」

「またそれか」

 

 桃が呆れたように言う。

 

 灯里は真剣だった。

「TOGⅡは速くありません。でも、必要な場所に先に置ければ、役に立ちます」

 

 杏は、どこか楽しそうに頷いた。

「じゃあ、頼むよ。共犯さん」

 

 灯里は一瞬だけ固まった。

 

 桃が叫ぶ。

「会長まで共犯と言わないでください!」

「だって本人が言ったし」

「言いました」

「戸郷も認めるな!」

 

 少しだけ、笑いが生まれた。

 

 重い秘密の上にある、小さな笑い。

 

 それは、この場には必要なものだった。

 

* * *

 

 生徒会室を出ると、廊下は静かだった。

 

 夜の学園艦。

 

 窓の外には、甲板の明かりが見える。

 

 遠くで、誰かの笑い声がした。

 

 明日になれば、また普通の日常が始まる。

 

 授業があり、部活動があり、食堂があり、戦車道の練習がある。

 

 みほたちは、サンダース戦に向けて考える。

 

 沙織は不安がりながらも通信を頑張る。

 

 華はきっと、落ち着いて砲手席に座る。

 

 優花里はサンダースの資料を山ほど集める。

 

 麻子は朝の早さに文句を言う。

 

 いぬさんチームの五人も、TOGⅡの中で自分たちの役割を果たそうとする。

 

 誰も、まだ知らない。

 

 負けたら、この学園艦がどうなるのかを。

 

 でも、灯里は知っている。

 

 生徒会も知っている。

 

 だから、今夜からは四人になった。

 

 秘密を抱える人数が、ひとり増えた。

 

 それだけのこと。

 

 けれど、灯里はそれを軽いことだとは思わなかった。

「共犯、ですか」

 

 自分で言った言葉を、もう一度小さく呟く。

 

 良い言い方ではない。

 

 でも、今の自分にはそれくらいがちょうどいい気がした。

 

 生徒会の隣に立つ。

 

 みほたちには、まだ言わない。

 

 それでも、何も知らないふりもしない。

 

 できることをする。

 

 食事を運ぶ。

 

 情報を整理する。

 

 TOGⅡを動かす。

 

 必要なら、重い秘密の横に座る。

 

 灯里は廊下の窓から、夜の学園艦を見た。

 

 この場所には、たくさんの人が暮らしている。

 

 戦車道チームだけではない。

 

 生徒会だけでもない。

 

 皆の場所だ。

「負けられませんね」

 

 声は小さかった。

 

 けれど、確かだった。

 

 全国大会一回戦。

 

 相手はサンダース大学付属高校。

 

 大洗女子学園はまだ、学園の本当の危機を知らない。

 

 けれど、その裏側で。

 

 小さな共犯の食卓は、静かに片付けられた。

 

 そして、大洗の明日は、また少しだけ重くなった。




【次回予告】

全国大会一回戦。

相手は、サンダース大学付属高校。

資金力、車両数、補給体制。
何もかもが大洗より大きい相手を前に、みほたちは作戦を立てるための情報を必要としていた。

優花里:
「相手の編成が分かれば、作戦も立てやすいであります!」

灯里:
「では、確認しに行きましょう」

沙織:
「えっ、今なんて言った!?」

みほ:
「優花里さん、戸郷さん、無理はしないでね……?」

優花里:
「はい! 偵察任務であります!」

灯里:
「必要な情報を得て、無事に帰還します」

麻子:
「言い方が完全に任務だな」

サンダースの学園艦へ向かう、優花里と灯里。

そこに待っていたのは、大量のシャーマン。
広すぎる格納庫。
巨大な食堂。
そして、アメリカンサイズの補給体制だった。

灯里:
「ここは食堂ではありません。補給拠点です」

優花里:
「戸郷殿、偵察の視点が独特であります!」

果たして二人は、無事に情報を持ち帰ることができるのか。

次回、第26話。

「偵察任務、二人であります」

情報戦も、戦車道であります。
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