『TOGⅡで戦車道を……?』   作:きのこ大三元

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2026/05/28
本文の調整終えました。
これからはこの感じで進めていこうと思います…
今後とも、よろしくお願いしますm(_ _)m


第7話「戦車道ショップと西住さんの部屋」

 夕方の倉庫前には、まだ少しだけ洗車の匂いが残っていた。

 水で濡れた地面。

 泥を落とされた戦車たち。

 夕日に照らされて、ようやく戦車らしく見え始めた六両。

 Ⅳ号戦車D型。

 八九式中戦車甲型。

 38(t)軽戦車。

 M3リー中戦車。

 III号突撃砲F型。

 そして、TOGⅡ。

 戸郷灯里は、長い車体を夕日に照らされているTOGⅡを見つめていた。

「今日も良い長さでした」

「一日の締めみたいに言うんだね、戸郷さん」

 武部沙織が苦笑する。

 五十鈴華は、手を拭きながら穏やかに微笑んだ。

「ですが、確かに夕日に映えますね」

「分かりますか、五十鈴さん」

「ええ。とても……長いです」

「最高の褒め言葉です」

「褒め言葉なんだ……」

 沙織が小さく呟いた。

 西住みほは、少し離れたところでⅣ号戦車を見ていた。

 昨日までより、表情は少しだけ落ち着いている。

 けれど、まだ不安が消えたわけではない。

 戦車道をやると言った。

 その言葉は、もう生徒会にも、みんなにも伝わっている。

 だが、それで心の整理がつくわけではなかった。

 灯里は、それを分かっていた。

 だから、無理に話しかけない。

 近くにいる。

 それくらいが、今はちょうどいい。

 そんな時だった。

「あ、あの……皆さん」

 秋山優花里が、少し遠慮がちに手を上げた。

 沙織が振り向く。

「どうしたの、秋山さん?」

「もしよろしければ、帰りに少し寄っていきたい場所があるのですが……」

「寄り道? どこどこ?」

 優花里の目が、きらりと光った。

「戦車道ショップであります!」

 沙織が目を丸くする。

「戦車道ショップ? そんなのあるんだ」

 華も興味を示した。

「戦車道に関するお店、ということでしょうか」

 みほも、少し驚いたように顔を上げる。

「戦車道ショップ……」

 灯里は即答した。

「行きます」

 沙織が笑った。

「戸郷さん、返事早っ」

「戦車道ショップですので」

「理由になってるようで、なってるね」

 優花里は嬉しそうに頷いた。

「では、皆さんで参りましょう!」

 こうして、みほ、沙織、華、優花里、灯里の五人は、帰り道に戦車道ショップへ寄ることになった。

 

* * *

 

 戦車道ショップは、想像以上に戦車道ショップだった。

 店内に入った瞬間、灯里は少しだけ足を止めた。

 壁には戦車道用のポスター。

 棚にはグローブ、ゴーグル、工具、整備用品。

 車両別の解説本や戦車道雑誌。

 各校のグッズ。

 砲弾ケース風の小物入れ。

 パンツァージャケット用の補修用品。

 車両別のパーツカタログまである。

「……すごい」

 沙織が素直に声を漏らした。

「戦車道って、こういう専門店まであるんだ」

 華も店内を見回す。

「思っていたより、生活に密着しているのですね」

 優花里はすでに感動していた。

「素晴らしい品揃えであります! 工具、雑誌、部品、模型……まさに戦車道を志す乙女の聖地!」

 灯里も棚の一つ一つを真剣に見ていた。

 戦車道用の安全確認チェックリスト。

 車内清掃用ブラシ。

 履帯ピン風キーホルダー。

 そんなものまで置かれている。

「戦車道ショップ……こんなものまで売っているんですね」

 灯里は真面目に頷いた。

「奥が深いです」

「戸郷さん、目が本気だね」

「本気です」

 灯里は部品コーナーへ向かった。

 優花里もすぐ横に並ぶ。

「戸郷殿、何をお探しで?」

「TOGⅡの部品です」

「なるほど……」

 優花里は一瞬だけ考えたあと、少し申し訳なさそうな顔になった。

「ですが、TOGⅡの部品が普通に置いてある可能性は、かなり低いかと……」

「分かっています。でも、見ずにはいられません」

「そのお気持ち、分かります!」

 二人は棚を確認した。

 Ⅳ号。

 38(t)。

 八九式。

 M3リー。

 III号突撃砲。

 他にもメジャーな車両の整備部品や消耗品はある。

 しかし、TOGⅡの項目は見当たらなかった。

 灯里は店員に尋ねた。

「あの、TOGⅡの部品はありますか?」

 店員は一瞬固まった。

「TOGⅡ、ですか?」

「はい。TOGⅡです」

「ええと……さすがに、在庫は……」

「そうですか」

 灯里は静かに頷いた。

 分かっていた。

 分かっていたが、少しだけ肩が落ちる。

 優花里が励ますように言った。

「戸郷殿、TOGⅡの部品が普通に置いてある方が事件であります」

「それはそうですね」

「むしろ、TOGⅡ本体が大洗にある時点で、すでに事件であります」

「TOGⅡは事件ではありません。長い戦車です」

「長い事件では?」

「戦車です」

 灯里は断言した。

 沙織が少し離れたところから聞いていた。

「戸郷さん、TOGⅡのことになると頑固だね」

 華は小さく微笑む。

「大切に思っていらっしゃるのですね」

「はい」

 灯里は頷いた。

「TOGⅡは、長くて、遅くて、目立って、扱いづらいですが、とても良い戦車です」

「褒めてるのかよく分からないよ」

「褒めています」

 沙織は苦笑した。

 

* * *

 

 店内を見て回っていると、壁に掛けられていたテレビの映像が切り替わった。

 戦車道関連番組らしい。

 画面に映った人物を見た瞬間、みほの動きが止まった。

 西住まほ。

 黒森峰女学園の隊長。

 そして、西住みほの姉。

 灯里も、テレビの前で足を止めた。

 インタビュアーの声が流れる。

『西住選手にお聞きします。戦車道で勝利する秘訣とは何でしょうか?』

 画面の中のまほは、静かに答えた。

『諦めないことです』

 迷いのない声だった。

『そして、どんな状況でも逃げ出さないこと』

 店内の空気が、灯里には少しだけ重く感じられた。

 まほに悪意はない。

 黒森峰の隊長として、戦車道の強さを語っている。

 勝つための姿勢。

 西住流の考え方。

 それを、堂々と口にしているだけだ。

 けれど。

 みほにとって、その言葉はあまりにもきつい。

 灯里は、みほの横顔を見る。

 みほはテレビを見ていた。

 顔色は変わっていないように見える。

 でも、指先が少しだけ強く握られている。

 諦めないこと。

 逃げ出さないこと。

 その言葉が、みほの胸にどう響いているのか。

 灯里には想像できた。

 いや、想像しかできなかった。

 逃げたくて逃げたわけじゃない。

 でも、きっとみほは自分を責めてしまう。

 優花里も、何かを察したように黙っていた。

 沙織が、空気を変えるように明るく言った。

「ねえ、みほ」

「え?」

「このあと、みほの家行ってもいい?」

 みほが驚いて振り向く。

「私の家?」

「うん。せっかくだし、みんなでご飯作ろうよ」

「え、でも……」

「昨日からいろいろあったしさ。こういう時は、みんなで食べるのが一番だよ」

 華も穏やかに頷いた。

「よろしければ、私もお手伝いします」

 優花里は少し緊張しながらも、背筋を伸ばした。

「わ、私もご迷惑でなければ……!」

 沙織が灯里を見る。

「戸郷さんも来るよね?」

 灯里は少しだけ迷った。

 みほの家。

 そこは、かなり個人的な場所だ。

 自分まで行っていいのか。

 けれど、みほは灯里を見て、小さく頷いた。

「戸郷さんも、よかったら」

 灯里は静かに頭を下げた。

「では、お邪魔します」

 みほは、少しだけ笑った。

 

* * *

 

 みほの部屋は、想像していたよりも柔らかい空気だった。

 そして、ボコだらけだった。

 棚にボコ。

 ベッドにボコ。

 机の上にも、小さなボコ。

 傷だらけで、どこか不器用で、それでも立ち上がろうとしているようなキャラクターのぬいぐるみが、部屋のあちこちに置かれている。

 沙織が目を丸くした。

「みほ、こういうの好きなんだ?」

 みほは少し恥ずかしそうに頷いた。

「うん……ボコっていうんだけど」

 華は部屋を見回し、優しく微笑んだ。

「西住さんらしい、優しいお部屋ですね」

 灯里は、近くにあったボコのぬいぐるみを見た。

「可愛いボコたちですね」

 みほが、ぱっと灯里を見る。

「分かる?」

 反応が早かった。

 灯里は真剣に頷く。

「はい。TOGⅡとは違った可愛さがあります」

「TOGⅡとは違った……?」

「ボコは、傷ついても立ち上がる可愛さです。TOGⅡは、撃たれても前に進む可愛さです」

 みほは少しだけ目を丸くした。

 それから、ふっと笑う。

「そういう見方もあるんだ」

「あります」

 沙織が苦笑した。

「戸郷さん、結局TOGⅡに戻るね」

「私の中心にありますので」

「中心なんだ……」

 優花里は、ボコとTOGⅡの共通点を真剣に考え始めていた。

「傷ついても立ち上がるボコ、撃たれても前に進むTOGⅡ……なるほど、精神性に共通項が……」

「秋山さんも真面目に考え始めた」

 沙織が少し呆れたように笑った。

 みほは、自分の好きなものを否定されなかったことが嬉しいのか、さっきより表情が柔らかくなっていた。

 灯里はそれを見て、少しだけ安心した。

 

* * *

 

 夕食作りは、思っていたよりも本格的になった。

 沙織が腕まくりをする。

「よし、今日は私が料理する!」

 華が微笑む。

「お手伝いします」

 優花里が勢いよく手を上げた。

「では、私は飯盒でご飯を炊きます!」

 沙織が首を傾げる。

「飯盒?」

「はい! 野外炊飯ならお任せください!」

「ここ、みほの家だけど」

「炊飯に場所は関係ありません!」

 灯里は食器棚の方を見た。

「私は食器の準備をします」

「助かる!」

 みほは少し慌てながら、調味料や器具を出している。

「えっと、包丁はここで、お鍋はこっちで……」

 沙織は手際よく材料を並べた。

「肉じゃが作ろうかな。得意なんだ」

 華が目を輝かせる。

「それは楽しみです」

 灯里は思わず言った。

「男を落とす料理、というやつですね」

 沙織が得意げに笑う。

「そうそう! やっぱり肉じゃがは基本だからね!」

 華が静かに首を傾げた。

「武部さんは、男の方を落としたことがあるのですか?」

 沙織の動きが止まった。

「こ、これから!」

 優花里が真面目に言う。

「作戦準備段階でありますね!」

 灯里も頷く。

「未実戦投入の主力兵器」

「戦車で例えないで!」

 キッチンに笑いが起きる。

 みほも、少しだけ笑った。

 その笑顔を見て、灯里は胸の奥が少し温かくなった。

 だが、順調だったのは途中までだった。

 華がジャガイモを手に取り、包丁で皮をむこうとした時。

「あ……」

 小さな声。

 華の指先に、うっすら血が滲んでいた。

 大きな怪我ではない。

 ほんの少し切っただけだ。

 だが、みほが慌てた。

「五十鈴さん、大丈夫!?」

「はい、大丈夫です。少し切ってしまっただけですので」

 華は落ち着いている。

「普段は、花しか切りませんので……」

「絆創膏、絆創膏……!」

 みほが部屋の引き出しを慌ただしく探し始める。

 沙織はその時、コンタクトを外していた。

「ちょ、ちょっと待って、今よく見えない!」

「武部さん?」

「料理する時はコンタクト外す派なの! メガネ、メガネ……!」

 優花里は飯盒炊飯に集中している。

「お米の水加減が……!」

 みほは絆創膏を探してあたふたしている。

 華は負傷中。

 沙織は視界不良。

 優花里は飯盒。

 灯里は一瞬、状況を確認した。

 そして、鞄から小さなケースを取り出した。

「五十鈴さん、こちらを使ってください」

 差し出したのは、絆創膏だった。

 ただし、普通の絆創膏ではない。

 TOGⅡのシルエットが描かれている。

 長い車体が、かわいくデフォルメされていた。

 沙織がメガネを探しながら叫ぶ。

「なんでTOGⅡ柄の絆創膏持ってるの!?」

 灯里は真顔で答えた。

「TOGⅡに関係していることだったら、だいたいできます」

「絆創膏まで!?」

「はい。なぜか治癒力も少し上がる仕様です」

「なぜか!?」

 華は少し驚きながらも、礼を言った。

「ありがとうございます。可愛らしいですね」

「TOGⅡですので」

 みほは絆創膏を見て、少しだけ笑った。

「戸郷さん、本当にTOGⅡが好きなんだね」

「はい」

 灯里は即答した。

 沙織はようやくメガネを見つけ、かけ直した。

「よし、見える! ここからは私がやる!」

 メガネ姿の沙織は、少しだけ雰囲気が変わった。

 灯里は食器を並べながら言う。

「すみません。TOGⅡに関係していることだったら何でもできるのですが、料理は万能ではありません」

「食器お願い!」

「了解です」

 そこからは、沙織の独壇場だった。

 手際よく材料を切り、鍋を火にかけ、味付けを整えていく。

 華は絆創膏を貼った指を気にしながら、盛り付けや飾りを手伝う。

 優花里は飯盒でご飯を炊き、みほは味噌汁や配膳を手伝う。

 灯里は食器を並べ、箸を用意し、時々TOGⅡ柄の絆創膏ケースをしまい忘れて沙織に突っ込まれた。

 

* * *

 

 食卓は、思った以上に豪華になった。

 飯盒で炊いたご飯。

 唐揚げ。

 味噌汁。

 刺身。

 貝の小鉢。

 そして、沙織の肉じゃが。

 真ん中には、華が飾った一輪の花が置かれていた。

 それだけで、食卓が少し華やかになる。

「わあ……」

 みほが小さく声を漏らした。

 沙織は得意げに胸を張る。

「どう? けっこういい感じでしょ」

「すごいよ、沙織さん」

「ふふん。家庭的でしょ?」

 華は花を整えながら言う。

「武部さんのお料理、とても良い香りです」

 優花里は飯盒を見て満足そうだった。

「ご飯も無事に炊けました!」

 灯里は食卓を見て、真面目に頷いた。

「これは勝てる食事です」

「何に?」

「空腹に」

「それは勝てるね」

 五人は手を合わせた。

「いただきます」

 最初の一口。

 灯里は肉じゃがを口に入れた。

 甘辛い味。

 ほくほくのジャガイモ。

 よく染みた肉と玉ねぎ。

 うまい。

 思わず、素直にそう思った。

「美味しいです」

 灯里が言うと、沙織は嬉しそうに笑った。

「でしょ? 肉じゃが得意なんだ」

 華も頷く。

「とても優しい味ですね」

 優花里はご飯と一緒に食べながら感動している。

「飯盒ご飯とも合います!」

 みほも、少しずつ食べていた。

 その表情は、戦車道の話をしている時よりずっと柔らかい。

 沙織が得意げに言った。

「男を落とすんだったら、やっぱり肉じゃがだからね」

 華が静かに聞く。

「武部さんは、男の方を落としたことがあるのですか?」

「だからこれから!」

 沙織が顔を赤くする。

 優花里が真面目に頷く。

「訓練を重ね、実戦に備えるわけですね」

 灯里も続ける。

「肉じゃがは決戦兵器」

「二人とも、戦車っぽくしないで!」

 みほが笑った。

 小さな笑い声だった。

 けれど、確かに笑っていた。

 灯里は、その声を聞いて少しだけ目を伏せる。

 戦車道ショップで見たまほのインタビューが、頭の中に残っている。

 諦めないこと。

 どんな状況でも逃げ出さないこと。

 強い言葉だ。

 でも、灯里は思う。

 逃げることだけが悪いとは思わない。

 逃げた先で、こうして笑える場所を見つけられたなら。

 それも、きっと大事なことだ。

 みほは戦車道から逃げてきた。

 でも、そのおかげで沙織と出会い、華と出会い、優花里と出会い、自分とも同じ場所にいる。

 そのことまで、否定される必要はない。

「戸郷さん?」

 みほに声をかけられ、灯里は顔を上げた。

「どうかした?」

「いえ」

 灯里は首を横に振った。

「肉じゃがが美味しいと思っていました」

「ほんと? よかった」

 沙織が嬉しそうに笑う。

 それでよかった。

 今は、それくらいでいい。

 

* * *

 

 食事のあとは、みんなで片付けをした。

 沙織は手際よく食器をまとめ、華は花を崩さないように片付け、優花里は飯盒を丁寧に洗った。

 灯里は食器を拭き、みほはそれを棚へ戻していく。

 外はすっかり暗くなっていた。

 帰る時間になると、みほは玄関まで見送ってくれた。

「今日はありがとう」

 みほが言う。

 沙織が明るく手を振った。

「また来るね、みほ!」

「うん」

 華も丁寧に頭を下げた。

「ごちそうさまでした、西住さん」

「こちらこそ。手伝ってくれてありがとう、五十鈴さん」

 優花里は少し緊張しながらも深々と頭を下げた。

「大変勉強になりました!」

「何が?」

 沙織が聞くと、優花里は胸を張った。

「飯盒炊飯と、ボコと、肉じゃがであります!」

「戦車じゃないんだ」

「今日は戦車以外も学びました!」

 灯里は最後に言った。

「ボコ、可愛かったです」

 みほの顔が少し明るくなる。

「本当?」

「はい。TOGⅡとは違う方向性ですが、かなり良いです」

「またTOGⅡと比べてる」

 沙織が笑う。

 みほも笑った。

「でも、ありがとう」

 灯里は小さく頷いた。

 五人は手を振って別れた。

 帰り道。

 少し歩いたところで、灯里はふと足を止めかけた。

 遠くから、小さな声が聞こえた気がした。

「……やっぱり、転校してきてよかった」

 みほの声だったのか。

 聞き間違いだったのか。

 はっきりとは分からない。

 でも、灯里には聞こえた気がした。

 灯里は振り返らなかった。

 ただ、少しだけ微笑んだ。

 西住さんは、まだ戦車道を好きになったわけじゃない。

 怖さも、不安も、きっと消えていない。

 でも、少なくともこの学校には、あの子がそう思える時間がある。

 それだけで、今日の寄り道には意味があった。

 灯里は夜の道を歩きながら、明日のことを思い出した。

 明日は、教官が来る。

 大洗女子学園の戦車道が、いよいよ本格的に動き出す。

 その時の灯里たちは、まだ知らなかった。

 翌日、砲弾よりも強烈な教官が、大洗にやって来ることを。

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