【コント怪談】怪異に突っ込む女とキレる日本人形 作:青日 空
今作では皆さんが一度は聞いたことのある妖怪や都市伝説を怖がるどころかむしろ彼らに自ら突っ込んで関わっていくちょっとおかしな主人公の花子を中心としたお話となっております。
基本的に会話文による漫才のようなコント劇により話が進みますので普段小説を読まれない方や疲れて何も考えたくない方でも楽しめると思います。
それでは長話も終わりにして本編へ参りましょう。
どうぞお楽しみください。
夜の散歩中、それは現れた。
顔は人間、体は犬。
人面犬である。
「うぉーラッキー!人面犬じゃん」
花子の手には犬用の首輪が握られている。
リュックから顔を出す日本人形は呆れるように息を吐く。
「花子……家じゃ飼えないからね」
「いいじゃん変なのが一匹から二匹に増えるくらい」
「その一匹ってあんたの事よね。あたいじゃなくて」
そんな二人のやり取りを聞いて人面犬の率直な感想は一つ。
え……おじさん、飼われそうになってる?。
次の瞬間人面犬は逃げ出していた。四足歩行で。
「あっ待ってー」
当然花子はそれを追う。
「やめてあげなさいって」
人形は更に花子を追う。
夜道の鬼ごっこはどれくらい走ったか分からない。
犬の体を持つ人面犬も流石に足を止める。
「ぜぇ……ぜぇ……。ここまで来れば大丈夫だろ」
安堵も束の間、後ろからブレーキ音が聞こえる。
振り向くとそこにはタクシーが駐車されておりそのドアが開く。
「ふふん。人間様の力を甘く見ない事ね」
今宵の恐怖の元凶、日下部花子であった。
続いて人形も降りていくとタクシーはエンジンを吹かせ、夜道を走り去っていた。
エンジン音が聞こえなくなったあたりで人面犬が声を張る。
「ずりーぞ!」
「いやー流石に犬の足には勝てないからね」
「それでもこれだけのために何千円も使うのは頭おかしいよ」
「そうだそこのお人形さんの言う通りだ。頭おかしいんじゃねーのか」
花子はそんな文句など意にも留めず首輪を握りしめる。
「そんな事はどうでも良いよ。重要なのはあなたが私のペットになる事だけよ」
「いや……勘弁して下さい」
「そうよ!あんな汚いおっさん飼っても何の意味も無いわ」
「君も中々酷い事言うんだね。おじさん泣きそう」
「確かに汚いけど洗えば大丈夫」
「あんたもかよ。おじさんこれでもきれい好きなんだよ」
「私の所に来ればもっと綺麗になれるよ。ていっ」
痺れを切らした花子が首輪とチェーンを投げ縄のように投擲した。
「あぶね!」
首輪は人面犬のすぐ横に外れる。
「たくっ油断も隙もあったもんじゃねぇ」
「花子……あんたは知ってる。人面犬の正体は毛深いだけの人間って説」
人形の突然の発言にその場の空気が凍り付いた。
「そういう説もあるね。それがホントだったら興冷めだね。でも人形ちゃんそういうの知ってるなんて意外」
「ま、まぁあたいだってそういうの見る時だってあるわよ」
「いや、おじさんは人間じゃ……」
言い終わる前に人面犬は人形の手にあるある物を見つけた。
ハサミである。
直感で理解した。
さっきの人形の話はただでっち上げだと。
そして人形からのこれで毛を切れと言う人形からのメッセージだと。
人面犬は小さく頷くと人形は声を張った。
そして上空を指さした。
「あーあんな所にUFOー」
「流石にそんなのにひっかるバカが居る訳……」
「なにー!どこどこ」
「バカだコイツ」
花子の視線が外れたタイミングでハサミを人面犬へと投擲。
それを難なくキャッチした人面犬はすかさず全身の毛を切り裂いた。
「ごめん花子。見間違いだったかも」
「えーしょうがないなー」
花子の視線が再び人面犬に戻る。
そこにいたのは人面犬などではなく全裸のおっさんであった。
「見ちゃいや~ん」
花子はその光景を無言で見つめる。
さっきまで子供のように目を輝かせていた花子の表情は次第に真顔になっていく。
「……つまんない」
そうつぶやくと人面犬の横を通り過ぎていった。
「おじさん助かったんだよな。なのになんでかな心が痛いや……」
「どんまい」
如何でしたか?。
楽しんで頂いたようでしたら幸いです。
それとここで宣伝なのですが、今作は主に「カクヨム」で投稿しております。現在大体10話ほど投稿してます。
ハーメルンでも投稿は続けますが、作者自身が忘れる可能性があるので興味がありましたら是非カクヨムで続きをどうぞ。
最後に次回予告「第2話 雪女」
花子がバイトしているレストラン漢気に現れた雪女らしき女性が現れた。バイト先の後輩の京介も巻き込み今回は何をやらかすのでしょうか。乞うご期待。