セミナーを襲撃して手に入れた『鏡』を使い「G.Bible」を解読して表示された言葉
『ゲームを愛しなさい』
を見て、アリス以外のゲーム開発部は落胆していた。
落胆していた皆を励ますためか、アリスはテイルズ・サガ・クロニクルをプレイした感想を伝えた。
それを聞き、やる気を取り戻したゲーム開発部一同は提出期限に間に合わせる為に寝る間を惜しんで作製した。そのお陰か、締め切り数秒前にテイルズ・サガ・クロニクル2を提出できた。
ミレニアムプライスが発表されるまで待つのみになったが、それまでに世間の反応を見るためwebにアップロードした。
レビューがつくが、アップロードした後すぐだったのでプレイしていないと思いそれまで待つ構えだったが直後、部室が狙撃される。
「この砲撃は13.97㎜砲……カリン先輩の!」
「遠距離攻撃を確認、部室正面に対して11時の方角!距離、約1㎞……!」
このままでは部室が壊れると判断したゲーム開発部は、先生の指示でカリンがリロードしている間に部室を出て、我武者羅に逃げた。
「な、何とか逃げ切れた?」
「こ、これからどうする……?」
「とりあえず結果が出るまで、このまま逃げ続けよう!」
「逃げ切れるとでも思ったか?」
一先ず生徒会からの追っ手から逃げ切れたと思い足を止めた時、背後から声が聞こえ全員警戒体勢をとり声のした方向を見ると、メイド服に東洋の龍をプリントされたスカジャンを羽織った少女と、耳の高さに頭の周りを囲う羽とそこから若干角が見える青年――ロゴスがいた。
スカジャンを羽織ったメイド服の少女――美甘ネルは暫く考えると口を開いた。
「なるほどな。アカネが調査した、噂の【先生】……噂は大げさじゃなかったみたいだな」
「ふむ。調査資料にもかいていたが、戦闘指揮は卓越していると見るべきか」
二人が話している間に、逃げ出した先生とゲーム開発部は二人が追ってこないことを疑問に思いつつ廊下を曲がり角に差し掛かろうとしたとき――
『ッ!!先生!皆さんを止めてください!!』
"わかった!皆止まって!"
先生が皆に声を掛けると、モモイが「ネル先輩が追ってきてない今のうちに逃げないとボコボコにされちゃうじゃん!!」とこちらを向いて反論しながら走り続けた。
そんなモモイを、アリスが引き留める。
「モモイ、気を付けてください!トラップです!」
アリスが告げると、モモイの目と鼻の先に黒く染まったナニカが床に突き刺さった。
「うわぁぁぁあ!ア、アリス、ありがとう」
「はい!パーティーメンバーを助けるのも勇者の役割です!」
「お姉ちゃん……アリスちゃんが止めてくれなかったら串刺しになってたよ……」
モモイ達が頭上から降ってきたナニカに当たらず安堵している。
その間、先生は降ってきたものの正体を探ろうと接近していく。あと数歩で触れる距離になると、通路を塞いでいる黒い物体の隙間からこちらを覗いている少女と、目が合った。
"……フロストノヴァ?"
「あぁ。確かに私はフロストノヴァだが、どうした?」
"えっと、急に目の前にあるようなものが降ってきたけど、フロストノヴァは大丈夫だった?"
「これのことか?それなら大丈夫だ。なにせ、私が起こしたからな」
"……え?"
困惑して固まってしまった先生の周りにゲーム開発部が集まってくる。皆も先ほどの会話が聞こえていたのか、フロストノヴァに文句を口々に言っている。
「なんでこんなことするのさ!このままじゃ今もゆっくりこっちに近付いてくる二人から逃げれないじゃん!!」
「私達としては、君たちに戦ってほしいからしているのだが……」
「よし、チビ共!そろそろ心の準備はできたろ!」
その声を聞いて絶望するゲーム開発部だったが、ここでモモイの脳裏に電撃が走る。
「……!アリス!あれに出力100%で撃って!」
「わかりました!!」
モモイが出した指示を受けて、アリスは《光の剣:スーパーノヴァ》をチャージし始めた。
ネルはそれを中止させるために動きだそうとして、ロゴスに片腕を捕まれて引き戻された。そんな事をされれば、ネルは不満を顕にする。が、それを言葉にする時間は残されてなかった。
「光よ!!」
そんな言葉と共に《光の剣:スーパーノヴァ》から射出された弾が黒い障害物に向かって飛んでいき、目が眩むほどの火花と少し離れていたネルとロゴスまでを覆う白い煙が発生した。
「これで道を塞ぐ障害物は消えた……はず。今なら向こうからも見えないだろうから、さっさと行こう!」
「だ、大丈夫かな……?」
"逃げるなら今しかないね……"
障害物があった方向へ向かうゲーム開発部と先生は、煙で見えなかったから分からなかったが壊れたと思っていた。
しかし現実は非情だ。
きっと先程の攻撃を耐えたであろう障害物が、命中したと思われる箇所に罅があるだけで変わらず鎮座していた。
先生達が呆然と立ち尽くす中、煙が発生したが故に自動的に稼働した換気システムにより換気され、呆然としている先生達が周りから見えるようになった。
「……フロストノヴァの氷に罅を入れるか」
「え!?これが氷!?黒いのに!?」
「黒いのは私の神秘による影響だ」
「てか、あれに罅入れるのそんなすげぇのか?ただの氷だろ?」
「ロドスで調べたときは対戦車ミサイルで今と同等の罅が入った位だ。その他の携行型重火器は罅すら入らなかった」
「「「「「"……え?"」」」」」
驚愕の事実に先生とゲーム開発部だけでなく、ネルですら声を上げている。アリスの出力100%を耐えたことからも、先程の言葉に嘘はなく、あの氷を壊すことは個人で携行できる銃ではほぼ不可能であると告げられているのと同じであった。
「……ま、まぁ。これでてめぇらの逃げ道は今度こそねぇぞ」
「うぅ……きっとこのままじゃ捕まって廃部にされるんだ!」
「あぁん?そんなことのためにわざわざ私がおめぇら追いかけねぇよ。私は無駄にでけぇ武器持ったあんたに用があんだよ」
「……?もしかしてアリスのことですか?」
「そうだよ」
「え?じゃあなんで部室に攻撃仕掛けてきたりしたんですか?」
「それは部屋の外で準備してたセミナーのロボにおめぇらぶつけて先生の指揮を見るためだ」
"……えっと、ロゴスはなんで私達を追ってきたのかな?"
「我は、王女……天童アリスを除くうぬらがどれ程戦えるかを調べに来ただけにすぎん」
「そ、そんなこと調べて、あなたたちに何の得になるの?」
「確かに我等に得はない」
「じゃあ戦う必要なんて――」
「我等には無いだけで、うぬらには得がある」
ロゴスは言葉を続ける。要約すると、「今のアリスは善良な存在だが、いつ本来の役割である世界を滅ぼす兵器になるかわからない。だからアリスが兵器になった時に、応援が来るまで足止め出来るかをテストしに来た」その様なことを言われた。
ロゴスがそこまで説明し終わると、ロゴスの背後から大量のAMASが姿を表した。
ゲーム開発部とロゴス、天童アリスと美甘ネルの戦闘が始まった。