ゑるると俺の夢小説(つまりこれは公開処刑)   作:サンシャインWest

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 さてさて何故か前後編に分かれてしまいました...
 中途半端にしたくなかったからね。しょうがないね。


NTRシチュ 第6話 Merry BAD END 前編

 

 結局俺は、この家から出ていく事が出来なかった...

 自分でも、女々しく気持ち悪いとは思う。

 でも、全てを捨ててまで得た幸せをこんなあっさりと失ってしまった事が、未だ受け入れられなかった。

 寝て起きれば、あれは全て質の悪い悪夢だった事になっていないかと、そんなありもしない期待に縋りながら日々を送っていた...

 

 数日後、この家にうみくんが来た。

 そして俺の生活空間は新しく出来た地下へと移された。

 俺の立場は夫から住み込みの家政夫へと変わり、ゑるるとうみくんを「奥様」「旦那様」と呼ぶ事になった。

 パートは出勤日数と勤務時間を大きく減らす事になったが、店長の好意で続けられる事になった。

 

 苦しかった。悲しかった。辛かった。惨めだった。

 

 それでも、俺がゑるるを支える一助になっているのだと、そう思う事で何とか自分を保ち、新たな傷を心に増やしつつも、少しずつ心の整理をつけていった。

 

 しかし、世界は残酷だった。

 

 きっかけは、ゑるるの妊娠だった。

 ゑるるとうみくんの子供。

 俺にとっては絶望の象徴でもあったが、これで親子睦まじい姿を見れれば、今度こそ自身の心へ決着をつけれる気がしていた。

 しかし、俺という存在は、彼ら彼女らにとって不安と恐怖の種でしか無かったらしい。

 ゑるるの妊娠が発覚してから数日後、俺は就寝直前に呼び出された。

 不思議に思いつつリビングへと赴いた俺を待っていたのは、大量の拘束魔法。困惑する俺へ2人が放ったのは「出て行って欲しい」との言葉。

 確かに夫婦の空間に部外者となった俺が居るのは健全では無い。その要求も当然ではあるものの、俺としては納得出来なかった。

 接触は必要最低限だったし、基本は地下で過ごして居た。あれ以来奥様に不用意に近づく事もせず、何かあれば旦那様へまず声を掛けるよう努めていた。

 何より、もうすぐ俺の心に決着がつくかもしれないのだ!このまま放り出されたとしても、俺は一生今日までの事を引き摺る事だろう。

 故に、恥も外聞もなく頼み込んだ。「せめて奥様が無事出産されるまではここに置いて欲しい」と。

 それを聞いた2人は、俺にとある魔法を受け入れる事を条件として出してきた。

 2人を、そしてその子供を害する事を禁止する旨の契約魔法を。

 俺は1も2もなく了承し、契約書にサインをした。

 その瞬間、俺の意識は身体から弾き出された...

 

 何が起きたのか分からなかった。

 身体へ戻ろうとしても、何か弾力のある壁のようなものに跳ね返されて戻れない。

 結局、俺はそのまま勝手に動く自分の身体を見続ける事になった。

 身体に戻れないだけではなく、その身体から一定以上に離れられないのも苦痛だった。

 正に、見えない牢獄。

 誰も俺を認識できない。誰も俺に気付いてくれない。

 何にも触れられず、何も感じれず、何処へも行けない。

 ひと月もすれば、心は徐々に擦り切れ、その内...俺は...考えるのを、止めた...

 

 そこから、世界への関心を失ったのを機に、世界の時間の進みが早く感じれるようになった。

 数か月は先だった出産予定日もあっという間に迎え、幸せそうに赤ん坊に微笑みかける2人を壁際で無言無表情で眺める俺の身体。

 その身体の横で、同じく無言無表情でその光景を見る俺。

 とっくに諦観に支配された俺の心は、その光景を見ても何も感じなかった...

 そこからは物質をすり抜け何にもぶつから無い事を利用して、視界を閉じ、思考を放棄して宙を只々漂うようになった。

 次に俺の意識に思考が戻ってきたのは、まるで自身に触れられているかのような感覚を覚えた時だった。

 

 俺が思考を取り戻したのは、あれから15年後らしい。

 ゑるるとうみ君の間には5人の子供が生まれたらしい。上から15歳の長男、13歳の長女、10歳の次女、6歳の次男、4歳の三女。

 全員が俺の身体に随分と懐いているらしい。

 両親よりも面倒を見る時間が長かったとかが理由だろう。

 この時既に、俺はあの身体を俺のモノとは思えなかった。

 アレの中に、俺じゃない意識が、思考が、魂とも呼べる何かが感じられてしまったのも一因だ。

 アレは既に独立したひとつの命だ。

 さて、それは最早どうでもいい。問題は、俺の感じた触れられたかのような感覚の原因だ。

 いっそこのまま消えてしまう事を望んでいる俺には、鬱陶しく感じられてしまうあの感覚。

 あれを排除しなければならない。

 

 暫く観察して気付けた。この感覚は、あの身体(以降の呼称はアレ)が触れられた感覚が中途半端にこちらへフィードバックされる事で齎されている。

 逆にこちらからアレに干渉する事も少しだけ出来るようになっていた。

 更に原因を探っていけば、俺とアレを縛っている契約に綻びが出来ている事が解った。

 一方的かつ無理のある契約だった為に、長い時間の中で少しずつ綻んでいったらしい。

 契約の対象である俺やアレにはどうしようも無いが、あの時の契約書に何かあれば、その瞬間この契約は無効化されるだろう。

 俺は自身の身体に戻れるチャンスを得た訳だ...

 でも、やはり。俺はアレと一体になる事を望めなかった。

 アレの中に生まれた俺で無い命。俺がアレの中に戻った時、それと融合する事になるのか、はたまたアレを押しのけて今度はアレが俺のようになるのか。

 どちらにしても、俺もアレも元の状態では居られないだろう。

 そうなった時、あの5人の子供たちはきっと悲しむ。

 ゑるるとうみ君への感情は正負共に疾うに無くなっているし、あの子供たちはそんな彼女らの実子な訳だが、子供たちにもアレにも、何も責は無い。

 そんなアレらに不利益を与えるのは、少し...違う気がする。

 

 だから、俺は、こうする事にした・・・

 

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 僕らの家には、僕が生まれた頃からずっと一人の家政夫さんが居る。

 無口で無表情で声も常に平坦。何を考えてるのかは全く分からない、不思議な人。

 それでも僕ら兄弟姉妹の身の回りの世話をずっとしてくれている。

 洗濯・掃除・料理に勉強の指導。あの人のお世話にならない日は無かった。

 なんなら料理はお母さんたちの作る物よりおいしいし、僕らがねだれば遊びの相手にもなってくれた。

 僕ら兄弟姉妹はあの人が大好きで、暇さえあれば構って貰おうとした。

 そんなあの人は、欲が無い。

 まず、お給料を貰っていない。これは本人に聞いた結果だから間違いない。

 僕らを遊びに連れて行ったり、買い物に行く時は勿論お金を持っているのだが、あの人自身の為に使っているところを見た事が無い。

 そして、あの人の部屋には最低限の衣服と寝具、そして僕らがプレゼントしたものが入った箱があるだけだ。

 趣味の品も何もない。本当に必要最低限の部屋。

 聞けば、必要ないから持っていないとの事。

 そうして思い返せば、僕らはあの人の事を何も知らない事に気が付いた。

 あの人が休んでいるとこを見た事が無い。あの人が何かを楽しんでいるとこを見た事が無い。あの人の誕生日を知らない。あの人の好きなものも、嫌いなものも知らない。

 あの人がいつからここで働いていて、両親といつから・どんな関係なのかも...

 あの人に聞いても、「分からない」「言えない」とだけしか返してくれない。

 両親に聞いても言葉を濁して教えてくれない。

 むしろ、あの人の事が嫌になったのならすぐに辞めさせるから遠慮せずに言うようにと言われた。

 僕らがあの人を嫌いになる事なんて無いのに...

 そりゃあ、偶に「嫌いだ!」って言ってしまう事はあるけど、それだって本心じゃない。

 もし言ってしまった場合でも、その時はすぐに謝っている。

 何かあるんだ。僕らの知らない、あの人の秘密が...

 僕らはそれを知りたくなった。だから、両親の部屋とあの人の部屋を徹底的に調べる事にしたんだ...

 

後編へ続く




 ゑるるの夢小説なのにここまで殆どゑるるが出てきていないという...
 ま、まあね!ゑるるの出番は純愛編やギャグ編が本番だから...
 後編は近いうちに出したいなぁ...
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