ゑるると俺の夢小説(つまりこれは公開処刑) 作:サンシャインWest
さあ、俺の駄文をおあがりよぉ!
ゑるるの子供らが俺と彼らの両親の間にある秘密を知りたがっていた。
だから俺は賭けに出てみる事にした。
寝ているアレの中へとそぉ~っと入り込み、その身体を動かす。
アレの意識には蓋をして、俺の行動に気付かれないようにする。
そうして机に向き合い、数枚の紙に文字を綴り、その紙を家のあちこちに隠していく。
それが終わればベッドへと戻り、意識の蓋を外して、身体からまたそぉ~っと抜け出す。
久し振りの自身の身体だったが、やはり違和感しかなかった。
筆記の癖も違うらしく、その違和感のせいで書くのにも苦労した。
それにまだ契約が残っているせいで、たったこれだけの事で俺は疲労困憊だ。
しかし、種は仕込み終えた。あとはあの子供たち次第だ。
さて、それじゃあ、俺はゆっくりさせてもらいますかね...
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今日は両親は夫婦水入らずで旅行。あの人も今は買い物で居ない。
調べるなら今しかない...
「さて、ここからは時間との勝負だ。みんな、手分けして家の中を隅々まで調べよう。場合によっては庭まで調べる事になるかもだけど...」
僕の言葉に皆頷く。そうして調査が始まって、最初にそれが見つかったのはあの人の部屋だった。
机の引き出しの奥、そこにあった1枚の紙。それに記載されてる内容は、僕らを驚愕させるに十分だった...
”はいはい、はじめまして。オレはこの家に昔からいる「せいれい」みたいなもん、とりあえずシュレディンガーとでも呼んでくれ。
きみたちが知りたがってることも、オレはもちろん知っている。
教えてあげてもいいけど、知るには正しい方法がだいじなんだ。
だからじゅんばんにあんないしてあげる。
まずは......”
この家にずっと昔から居る知らない存在。その存在からの手紙。
とても怪しいけど、何も手がかりの無い状態で闇雲に探すよりは可能性があると思い、とりあえずはこの手紙の通りにしてみる事にした。
手紙は家のあちこちに隠されてるらしく、1つ見つけたらそこに次の隠し場所が書かれていてまたそこへ...と僕らは家中を周ることになった。
その道中で行う意味がよく分からない行動もいくつか指示されたけど、とりあえず言われたとおりにやってみた。
そして最後、両親の寝室で、指示のあった場所を探ると床下の隠し金庫を見つけた。
魔力の痕跡から、金庫のあった場所には物隠しの魔法、金庫自体には防犯魔法が掛けられていた。でも、それらは全てここまでの指示にあった行動で解除されていた。
シュレディンガーさんは僕らに正しい手順を教えてくれていた。僕らの中に、シュレディンガーさんを疑う心はもう無かった。
そして、シュレディンガーさんの手紙によれば、この金庫の中にある書類に、僕らが知りたがっていた事が書かれているらしい。
僕らは互いに顔を見合わせ、一度頷くと金庫を開け、そこにあった紙を取り出した。
それは魔法的拘束力を持つ「契約書」だった。
そして、そこに書かれている文章を読んでみたけど、内容が難しくて全部は分からなかったから、結局、シュレディンガーさんが用意してくれた契約内容が簡単にまとめられたメモを見る事にした。
メモがあるなら最初から見せてくれればとも思ったけど、手紙内で「さいしょからメモを見せてもしんらいできないだろう?」「じぶんで見てはんだんするのがだいじだからキチンとホンモノじたいも見るべき」と前もって指摘されていた。
実際、見比べてみて初めてその内容に差異が無い事を確信できる。僕らはシュレディンガーさんを既に信頼してるけど、これまで会った事も無い人なのは間違いないのだから、本来はこれくらい警戒するべきなんだと思う。
さて、メモと見比べて、改めてあの人の現状を知る事が出来た...
今のあの人は心と行動を縛られている...
何とかしてあげたいと思う心と、あの人が僕らを恨んでいたらどうしようという不安が入り混じる...
どうするか決められない僕らは、とりあえずシュレディンガーさんの最後の手紙を見る事にした。
シュレディンガーさんが言うには、最期の紙はこれまでの手紙とメモをまとめて燃やす事で出て来るらしい。魔法で僕らの心を読み取り、その結果で出てくる内容が変わるんだとか...
子供だけで火を扱う事も怖いけど、他に出来る事も無いのでとりあえずやってみる事にする。
家の中の半ば装飾と化している暖炉に手紙とメモを重ねて入れて、上から火のついたマッチを落とす...
すると手紙たちは一瞬で燃え上がったかと思うと灰も残さず消え、次の瞬間にはその場に1枚の便箋だけが残されていた...
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子供たちの様子をずっと見ていたが、随分と警戒心が薄くて心配になる...
いくら俺が契約書を見つける手伝いをしてやったからって、ここまですぐに信用するなんて将来悪い輩に騙されないだろうか...
まあ、それに関してはアレに教育含め任せるとして...さて、始めますか...
手紙には魔法で心を読んで~なんて書いたが、実際は違う。
手紙の魔法は、俺のこれから発する魔力付きの言葉を転写するものだ。
ここまでの子供たちの様子から、俺が勝手に判断して、綴る最後の手紙だ。
騙して悪いがこれが俺の出来る限界なんでな...心を読んで内容を変化させるなんて高い技術は他所をあたってくれ...
じゃあ、送りますか...
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便箋を拾うとそれは最初白紙だった。
それに兄弟で首をかしげていると、突然便箋に文字が綴られ始めた。
”まずはおめでとう。きみたちはしりたがっていたしんじつをしることができた。
さて、ここからさらにおどろきのじじつをおしえてあげよう。
きみたちをみちびいていたオレことシュレディンガーは、じつはおまえらのかせいふをしているユウヒのたましいみたいなもんなんだ。
せいかくには、ケイヤクのきのうふぜんでカラダからはじきだされたのがオレだ。
ほんらいはオレはカラダのなかでしばられるはずだったからな。
さて、おまえらがしっているユウヒは、オレがはじきだされたあとにつくられたじんかく。いわばあたらしいオレみたいなもんだ。
それでもオレではあるから、アイツのこころはオレにもわかる。
アイツはおまえらをにくんでなんていない。それはオレがほしょうする。
オレもおまえらをうらんでなんかいない。そんなかんじょうはとっくにきえちまったからな。
だから、あんしんしろ。アイツをかいほうしても、おまえらをきらうことはないさ。
さて、ほんだいにはいろうか。おまえらはアイツをかいほうしてやりたい。そうだな?
オレからもおねがいする。じつはオレはケイヤクのせいでここにしばられているんだ。
いまさらアイツからからだをうばいかえすキもない。してもまともにうごかせないしな。
オレのいまののぞみはひとつ。じゆうになりたい、それだけだ。
ケイヤクをかいじょすれば、オレはじゆうになれる。どこにでもいけるようになるんだ。
ユウヒにかんしては、いままでとあまりかわらないかもだが、そこはおまえらがささえてやってくれ。
さて、ケイヤクのかいじょほうほうだが、かんたんだ。そのけいやくしょにおまえたち5にんのけつえきをつけて、「けいやくをはきする」ってぜんいんでいえばいい。
それではれてケイヤクはかいじょされる。
ただ、まあ、きめるのはおまえたちだ。むりをしいるきはないさ。
それじゃあな。こうかいのないみらいをえらべ”
「シュレディンガーさんが、ユウヒさん?」
あまりの衝撃の事実に、全員が固まってしまった...
あの人が僕らを嫌わないという言葉、シュレディンガーさんが僕らを恨まないという言葉。その両方に安堵し、安堵している事実に自己嫌悪したくなる。
でも、今はそんな自分の気持ちなんて後回しだ。
シュレディンガーさんがこの契約書のせいで、多分、僕らが生まれる前からここに縛られ続けている...
シュレディンガーさんは無理を強いる気は無いって言ってたけど、僕らの気持ちは決まっている。
「契約を、解除しよう。」
「「「「うん!」」」」
物置から裁縫箱を持ってきて、待ち針を取り出す。
僕は自分で指を刺し、契約書に血を付ける。
下の子達が自分でやるのは危ないから、他の子が押さえて僕が刺す。そうして全員の血が契約書に付いた。
そうして...
「「「「「契約を破棄する」」」」」
声を揃えて宣言した瞬間、契約書が急激に風化して消えていった...
その瞬間、部屋の入り口から声が聞こえた。
「お坊ちゃま方?」
「「「「「!?」」」」」
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どうやらあの子たちは契約を解除してくれたらしい。
俺を縛り付けていたものが消えて、今は霊体が軽い気がする。
そして、丁度アレも戻ってきたみたいだし、最後の仕上げと行きますか...
ちょっくら失礼しますよっと...
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入口に立っていたのはあの人だった。
僕らを不思議そうに見ている。
そうしてあの人が1歩進んだその時、急に体を硬直させたかと思うと、突然崩れるように座り込んでしまった。
「ユウヒさん!!」
慌てて駆け寄ろうとしたけど、手で制されてしまった。
そして顔を上げたあの人は、いつもとは違う感情の見える顔で話し始めた。
「こうして言葉を交わすのははじめましてだな。」
一瞬、何を言われたのか分からなかったけど、直ぐに理解した。この人は...
「シュレディンガーさん!?」
「お、直ぐに気付けて貰えて嬉しいよ。そうだ。俺がシュレディンガーだ。」
「まずは、安心して欲しい。今こうして身体を借りているのは俺の知識・記憶をユウヒに共有するついでにお前たちに感謝とお別れを言う為だ。それが済めば直ぐにこの身体から出ていく。」
「それじゃあ、改めて。ありがとう、俺を、コイツを解放してくれて。これで俺らは自由になれた。」
「それでなんだが...俺は直ぐに出ていくが、コイツはそうもいかない。だから、コイツの事は任せた。お前らになら託しても大丈夫そうだ。」
「もしもコイツが外の世界を知りたいって言ったら、この封書を持っていつものスーパーの店長に掛け合ってくれ。きっとあの人なら助けてくれる。」
「さて、そろそろ共有も終わる。それじゃあ最後に、ありがとう。さようなら。お前たち、幸せになれよ...」
僕らが唖然としている間に、シュレディンガーさんは言いたい事を言って、そしてまた崩れ落ちた。
慌てた様子で直ぐに起き上がった時には、既にあの人に戻っていた。
結局、僕らはシュレディンガーさんに何も伝える事も出来ず、一方的にお別れとなってしまった。
それだけが心残りだけど、とりあえず今は...
「ユウヒさん、これからは僕らが支えます!」
「私たちはまだまだ子供だけど、それでも力になりたいの!」
「もし必要ならお母さんたちの説得もしてみせるよ!」
「ユウヒさんはすきにいきていいんだよ?」
「でもでも、たまにはわたしたちとあそんでほしいな!」
” この人と、きっと幸せを見つけて見せるよ ”
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おやおや、モテモテだねぇ~。
これなら大丈夫そうだ。
さて、アレにもあの子たちにも伝えていない事がある。
それは、契約解除の瞬間から感じている事。
俺は、多分このまま消える事になる。
どうやら、肉体を失った存在に、この魔界は優しく無いらしい。
おそらく俺の魂が人間だった頃に戻ってしまっているからだろう。
俺の魔族としての要素はアレに全部渡しちまってるからなぁ...
ま、悪霊にならないだけマシと思おう。
まさか、あの世に行く事も出来ずに消えるとは思わなかったが、まあ、そこも、もう、いいや...
そろそろ...休みたい...と...思って...た...し...な......
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~~~数年後 人間界~~~
「ユウヒさ~ん、行ってきま~す!」
「お弁当は持ちましたか?」
「あっ、いっけね!ありがとう!」
「お兄ちゃんはおっちょこちょいなんだからも~。」
「おや、そういうお嬢様も髪に寝癖がついておりますよ。」
「えっ!嘘っ!ユウヒさん直して~!」
「ふふっ、はいはい。」
「あ、お姉ちゃんずるい!わたしもわたしも~!」
「順番にしてさしあげますから、少々お待ちを...」
「みんなしてユウヒさんに甘えて...」
「何?お兄、羨ましいの?」
「そうだけど?」
「えぇ...そこで肯定されるとは思ってなかった...」
「お二人とも~。小学校と幼稚園への送迎は今しばらくお待ちを~。」
「「は~い」」
日本のとある田舎の村で、子供5人に世話係の大人1人の奇妙な家庭があった。
最初は訝しんでいた村人たちも、彼らの純粋さに絆され、今では村の名物となっている。
人々は彼らの正体を知らない。
しかし、それでいいのだ。
彼らは、ただ、幸せに暮らす家族。
それで間違いはないのだから...
「ユウヒさん...」
「どうかなさいましたか?」
「今、幸せ?」
「ええ、とても...」
NTR編 全end complete
終わったぁ!これでNTR編は全て終わりました。
後はギャグ編と純愛編となります。
エピローグ系は、トゥルーとメリバの長編でそれぞれ入れる予定です。
長編は流石に別小説として書くか...
設定も書かなきゃ...
うん!やることいっぱい!
最期の手紙に関しまして、平仮名ばっかりで読みづらいかと思いますが、演出とあと小さな子ども向けの文と考えてこうなりました。
何卒ご容赦を
さて、ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
これからも時間はかかりますが、もうしばらく俺の妄想小説は続きますので、宜しければお付き合いくださいませ。
それでは、暫しのお別れを。あでゅ~