未実装・闇落ちキャラに救いはあるのか   作:ねこ

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短いです。ごめんなさい。


妄想を紡ぐ心身

 目を開く。力が、みなぎっているのを感じた。相変わらず私の身体はぼろぼろで、リンの意識はあいまいだが。それもこれまで。私たちのターンだ。

 そうか、こういう感覚が指揮下に置かれるということなのか。

 

 ――現実に錨を下ろし、自由に舞う。ドリームキャッチャーの本領。リンの腹の中に無理やり手を突き刺していく。なんでだろうか。頭の中に浮かび上がる言葉を、口ずさむ。

 これって中二病とかじゃなくて、必要なものだったんだな。

 

「――偽りを吐きし人形。流転を繰り返す破滅。影に怯え、灯を拒む群衆。楽園を拒み地獄へと身を投げる大衆。私はその先導を担うもの。かりそめの救済を与える――妄想神経」

 

 できた。失った血管。破れた筋組織。ずたずたの内臓組織。その組成を、偽りの組織で再構築する。リンは私の世界に必要な人間だから。ゆっくりと、体の中に仮想の肉体を構築して、――その構成定義を、妄想力からタンパク質やリン酸カルシウムといった、実在の元素に書き直す。これでリンの肉体はリン自身の恒常性(ホメオスタシス)によって維持される。

 

「――かの、ん?」

「残念。私はお前の救い主じゃありません。――助けてくれてありがとね、あと……」

 

 私の身体を見下ろす。焼け焦げとズタボロ。幻想力で体を無理やりに補っていく。焦げた足は、焦げたまま。――クソ、面倒だ。

 私が夢をあたかも現実であるように動かせるのならば。私自身の肉体を。現実を、夢に置き換えることもできるはずだ。

 しおりのほうを見ると、かなりひっ迫した様子で槍を振り回している。見た感じかなり損耗している。おそらく、このままいけば負けてしまう。

 

「リン、しおりの支援をしてあげて」

「ぁ、うん! 任せて」

 

 リンはすぐに切り替えたのか、剣を作って投擲を始める。模倣はその攻撃に小さく舌打ちをしているが、しおりがリンへの対応を許さないといわんばかりに猛攻をしている。うん、かなりいい感じだ。

 ――指揮官とのつながりで強くなれるなら。私にも、「人間側(こっちがわ)」に立つ資格はある。そうでないと、私は――。

 

「夢幻の最果て。偽りを吐く人形。歌劇は終幕に至り、咎人は三度首を繋げる。星を廻す金烏。夜を統べる玉兎。夢を統べるは■■■■。我は、我こそは――妄想身体」

 

 体が、青い炎で燃えていく。肉体をくべて、力を獲得する。骨がむき出しになっていく。だが、不思議なことに。動くはずのない部位が。今までよりもはるかに、開放的に動くのだ!!!

 炎が、私の推進力のように私を吹き飛ばす。模倣の前に、体を焼きながら肉薄する。

 

「――貴様、その姿は――!」

 

 何か、驚くような言葉を一つ二つ吐いていたが、知ったことか。全力の拳を模倣に突き刺し、炎を噴出させる。火炎が逃げ道を探して噴出し、模倣の体内で暴れ狂う。その勢いのままに、模倣はぶっ飛んでいく。

 

「――逃がさない」

 

 その体を一気に追いかけ、踏み込む。熱が、地面をゆっくりと溶かしていく感じがする。肉の焦げる香りはしない。不思議なことだが。私の身体が純粋なエネルギーに消費されていくような感覚。誰かが、何かを言っているような音が聞こえる。

 何を言ってるのか、わからない。

 模倣を追いかける。

 

 その顔は、恐怖に引きつっていた。

 

 知ったことか。こぶしを、顔面にたたきつける。――骨だけの身体には、ちんけな刃も何一つ効かない。いい感じだ。――ああ、このまま――。

 

「なんで、なんで――ッ! おま、お前も! お前もおんなじはずなのに――!!!」

 

 か細い声を聴いた刹那。私の意識が、ぷつんと途切れた。

 

 

 

 

 

 指揮官と原風景でつながったクオンは、圧倒的な力を示した。しおりの力とは違う、普段とは根本的に異なる異能を行使する。肉体を燃やして、爆発して墜落する飛行機をほうふつとさせる姿。死へと疾走するような、薄暗い恐怖をもたらす姿。

 まるで、虚影のような姿で、執拗に虚影を追い回す。やみくもに振り回す斬撃は通らず、腕をつかみ、へし折った。ごきり、という姿と周囲に響く絶叫。

 

 そして――クオンは、その腕を口に放り込み、咀嚼する。虚影を、食らうなんてことが。人間にできるのだろうか。

 

「――クオン」

 

 そして、模倣をすべて食らって、肉体を取り戻していく。幻想力を、無理やり補給したというのだろうか。そんなことが、人間にできるのだろうか。

 クオンは、焼け焦げていた部位も含めて、完全に再生させて――ゆっくりと立ち上がった。

 

「……まだ、まだ、まだ。違う、私は――」

 

 クオンが、私たちを見た。その目に映っていたのは。否。その目は、何一つ映していない。伽藍堂。ぽっかりと穴が開いたような、虚無であった。




妄想神経 スキル発動時、チームのHPを4秒ごとに自身の攻撃力*70%回復、90秒持続。味方に【幻想】状態を付与する。幻想状態の味方のHPが0になったとき、HPを80%で回復し、幻想状態を解除する。

妄想身体 スキル発動時、自身のHPを1秒ごとに自身の攻撃力*15%消費し、攻撃力を25%、全属性ダメージブーストを30%、クリティカル率25%上昇。120秒持続。
10秒ごとに無慈悲な月光を獲得する、最大6スタック。無慈悲な月光1スタックごとにクリティカルダメージを50%ブーストする。無慈悲な月光は敵からのダメージを受けるごとに1つずつ失う。
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