未実装・闇落ちキャラに救いはあるのか   作:ねこ

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めちゃくちゃ短いです。ごめんなさい!


幕間 Who am I ?

 夢を見る。比良坂クオンとしての記憶。妹がいて、兄がいる。母が弁護士。父が営業マンで、二人とも忙しくて留守にすることが多かった。兄は専門学校でイラストの勉強をしている。妹は小学生。いつも宿題をさぼって、ゲームばっかりしている。

 

 私は、比良坂クオン。多分高校生? 高校での部活は、なにも入っていなかった気がする。でも、放課後は誰かと結構遊んでいたような……そうだ、留学生。外国語が達者な留学生に、皆がたじたじ。私は得意のボディランゲージで、その子を笑わせたりしていた……ような気がする。

 

 あれ? 留学生は私だったか。そうだ、そう。妹がいて兄がいるのは、私と仲良くしてくれる子の身の上話で。ええっと、そうだったよな。弟と姉だっけ? 母は弁護士じゃなくて司法書士? 父親は営業マンじゃなくて、エンジニア? 

 

 いや、違う。私は日本生まれの日本人。十中八九高校生。比良坂クオン。母は死別していて、私は姉と二人で暮らしてる。姉は探偵事務所を営んでいて、病弱な私のために必死で働いてるんだ。でも、たまに思う。――ありがたいけど、たまには休んでほしい。とか。寂しいなとか。

 でも、仕方ない。あれ、お父さんはどこにいるんだっけ?

 

 ……違った。私は沖縄に住んでいる。人間ですらない。種族は確か、ヤシガニ。太いハサミを持っている大きなヤドカリの仲間。最近は人間が増えてきて、住む場所が圧迫されたり、捕まえて食べられたりしてるんだった。

 こないだも兄弟が食べられてしまって、いよいよ自分も食べられるんだって、恐怖した感情が生々しい。そう。ヤドカリを食べると味覚が少しおかしくなってレモンが甘く感じられるんだ。

 

 ヤシガニがそんな高度な思考をできるわけがないだろう。私は比良坂クオン。闇落ちするドリームキャッチャー。幻月ですべてを失った。

 天を見上げる。青い月が、美しい光を放つ。

 誰かが、耳元で囁く。――まぎれもない、自分の声。

 

「――さっさと起きろ。比良坂クオン。幻月に決着をつけるんだ。まだ、何も終わっていない」

 

 

 

 

 

 

 ベッドから飛び起きる。急いでトイレに駆け込み、げーげーとトイレの中にゲロをぶちまける。最悪な夢だ。私が何なのか、わからなくなっていく夢。まるで薬物を静脈注射されたような感覚と、不快な汗。のろのろと起き上がると、冷蔵庫に入ってある水を一気に飲み干した。

 シャワールームに入る。鏡の中の自分と、目が合った。

 

 長い黒髪。目鼻の整った、美人といっていいだろう。

 

「お前は、誰だ」

 

 小さくつぶやくと、鏡の中の顔はくしゃくしゃになって、涙をこぼした。……比良坂クオン。お前は。ゲームのお前は。どんな気持ちで生きていたのだろう。

 ファントム側に寝返って、指揮官をバカにしていたお前も。こんな風に、苦しんでいたのか? 私は。この疑心暗鬼の闇に、いずれ飲まれるのか?

 そんなはずはない。覆せないものなんてないんだ。

 そうでなければならない。――頭を振る。みんなと、親密にならないといけない。そういうつながりが、きっと私を救ってくれるはずだから。

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