――間桐邸・地下工房
蝋燭の火が揺れていた
地下は静かだった
もう虫はいない
壁を這う音も
どこかから聞こえる老人の笑い声も
何もない
慎二が全部消した
ここはもう
間桐臓硯の工房じゃない
桜の工房だった
「……」
桜は魔法陣の前に立っている
右手は少し震えていた
令呪
手の甲の赤い紋様を見る
本当に
本当に戦争なんだ。
怖い
戦いたくない
殺し合いたくない
普通に学校へ行って
先輩と話して
兄さんとご飯を食べて
そんな日常が続くと思っていた
「兄さん」
「ん?」
壁にもたれかかっていた慎二が顔を上げる
「失敗したらどうなりますか?」
少し考える
慎二は嘘が下手だ
優しい嘘はもっと下手
だから
「失敗のリスクは高いが」
「……はい」
「でも」
慎二は近づく。
桜の頭を撫でようとして
少し止まる
迷う
昔なら自然にできた
今は分からない
でも
ゆっくり頭に手を置いた
「大丈夫」
「俺がいる」
桜は目を見開く
少しだけ笑った
「はい」
深呼吸
魔法陣へ魔力を流す
桜はきちんと詠唱する。
震える声で
「其は銀と鉄」
「礎は石と契約の大公」
「降り立つ風には壁を」
「閉ざす四方には門を」
「王冠より出でて」
「三叉路に至るまで循環せよ」
空気が変わる。
地下室が軋む。
風が吹く。
桜は目を閉じる。
「告げる」
「汝の身は我が下に」
「我が運命は汝の剣に」
「聖杯の寄るべに従い」
「この意、この理に従うならば応えよ」
「誓いをここに」
「我は常世総ての善となる者」
「我は常世総ての悪を敷く者」
「汝三大言霊を纏う七天」
「抑止の輪より来たれ」
「天秤の守り手よ」
魔法陣が光る
眩しい
桜は思わず目を閉じた
風
魔力
そして
静寂
目を開けるとそこには
一人の女性がいた
紫色の綺麗で長い髪
両目を覆う眼帯
手に持つ鎖鎌
「サーヴァントライダー 真名メデューサ」
「聖杯の寄り辺に従い召喚に応じ参上しました」
そして
「問います 貴女が私のマスターですか?」
「は、はい間桐桜です」
「よっ、よろしくお願いします」
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慎二side
慎二の視線の先には桜とライダーが話をしている
やっぱり召喚されるのはライダーのメデューサか
令呪が桜に現れた時点で察したがこれも
それにしても伝説上とは違いやっぱり優しいな
静かな声
落ち着いた雰囲気
怖がらせないように
威圧しないように
そう気を遣っているのが分かる
桜とライダーのほうは大丈夫そうだ
そう思って俺は桜に声をかけた
「桜、無事にサーヴァントも召喚できたし俺は今日は寝るから」
「はい、兄さんおやすみなさい」
「あぁおやすみ 桜」
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桜が召喚するサーヴァント
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メデューサ
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ヒッポリュテ
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アストルフォ
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牛若丸
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ケツァルコアトル