あの夏のギアフォース   作:鳳菊之助

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夏休み編②ギアフォース対決!

「相変わらず、お前のギアフォースはめちゃくちゃだな」

 

 俺は呆れながら、ユウヤのギアフォースを見下ろした。

 

 右腕には、蛇の装飾が施された日本刀型アーマー。

 

 左腕には大型ガトリング砲。

 

 右足は妙に細く跳躍向きなウサギ型パーツなのに、左足だけは重厚な甲冑みたいな重量級アーマー。

 

 頭部は獅子を模したライオンヘッド。

 

 そして胸部には、なんと俺のサンライザーと同じ黄金の胸部アーマーが装着されていた。

 

 統一感なんて欠片もない。

 

 いわゆるカスタマイズ体――それも、かなり無茶苦茶な構築だ。

 

「カッコいいだろー?」

 

 ユウヤは得意げに笑った。

 

「世界で一つだけの、オレだけのギアフォースだぜ!」

 

 そう言って、自慢げに機体を俺の目の前へ突き出してくる。

 

 右足の装甲部分には、黒いサインペンで雑に『YUYA』と名前が書かれていた。

 

 子供っぽい落書きみたいな文字。

 

 でもユウヤは、それを誇らしそうに見せつけてくる。

 

「いや、バランス悪すぎるだろ」

 

 俺は思わずツッコんだ。

 

「ノーマルタイプの素体にはノーマルタイプのアーマー使わないと、本来の性能出ないんだぞ? 見ろよ、足なんかチグハグすぎて立ってるだけでグラついてんじゃん」

 

 実際、ユウヤのギアフォースは微妙に重心がズレていた。

 

 右足と左足の重量差が激しすぎるのだ。

 

 まともに戦える構成じゃない。

 

 ……普通なら。

 

「好きなもので勝つ! それがオレのポリシーなんだよ!」

 

 ユウヤは胸を張って言い切った。

 

「ガキかよ……」

 

「ガキで悪いか!」

 

 対する俺のギアフォースは、正真正銘の王道機体。

 

 サンライザー。

 

 主人公・歯車廻の愛機であり、太陽エネルギーを力へ変換する伝説のギアフォース。

 

 無駄のない黄金の装甲。

 

 完成されたシルエット。

 

 強い機体とはこうあるべきだ――そんな理想そのものみたいなギアフォースだった。

 

 俺は歯車廻に憧れている。

 

 だから当然、余計なカスタマイズなんてしない。

 

 アニメみたいに本当に太陽エネルギーで無限に動くわけじゃない。

 

 現実のギアフォースはもっと地味だ。

 

 それでも。

 

 俺はサンライザーが好きだった。

 

 だから使い続ける。

 

「サンライザー! SET ON!」

 

 俺はギアシューターを構えながら、アニメと同じ決め台詞を叫ぶ。

 

 するとユウヤが盛大に吹き出した。

 

「どっちがガキだよ!」

 

 腹を抱えて笑いながら、俺を指差す。

 

「現実のギアシューターは個別認識できないから射出は出来ても喋んねぇよ!」

 

「うるせぇ! お前もやれよ!」

 

「あぁ、もう!」

 

 ユウヤは照れ臭そうに頭を掻いた後、わざとらしくギアシューターを構えた。

 

「ええと……ギアフォース! SET ON!」

 

 俺達は同時にギアフォースを射出する。

 

 小型の金属音が部屋へ響いた。

 

 熱気で揺れる夏の日差し。

 

 セミの鳴き声。

 

 汗ばんだ畳。

 

 笑い声。

 

 熱い真夏の、熱いギアバトル。

 

 あの頃の俺は信じていた。

 

 こんな日々が、ずっと続くんだと。

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