サイバーパンク地方都市のある女探偵の記録 ――A Ghost, Almost Touching 作:飛白玄
「やはり、あなたでしたか」
声は穏やかだった。まるで取引先で偶然会った相手へ挨拶するみたいに。
外はまだ騒がしいが、剣呑な連中は散っていない。だが、ここで力づくに押し込めば騒ぎが大きくなる。だから榊は、確認と交渉の手順に切り替えている。
「どうも」
和佳も同じくらい平板に返した。こういう種類の人間に怒りを見せると、こちらが感情に落ちたぶんだけ相手が有利になる。
榊は室内へ半歩だけ入ろうとした。玄関前の和佳が譲らないのを見て、下がって二歩分の距離で止まる。戦えない人間の距離の取り方だ。自分が安全で、しかしこの場の責任者に見える位置を知っている。
「外部の方が、これ以上関わる話ではありません」
「よく言う」
「本当です。事故個体の処理と、関係者保護の問題です」
事故個体。つまりノクスのことだ。榊は、手前の和佳を無視して、その背後に声をかけた。
「神崎さん。黎さん。会社として、お二人の安全を考えています」
和佳は笑いそうになった。笑えない種類の合理主義者だ。
こいつは怒って来たのではない。焦って来たのでもない。
説得できると思って来たのだ。
一年前、真琴が最後には沈黙を選んだように、今回も同じ場所へ戻せると信じている。人を黙らせた記憶を、説得の成功例として保存している男だった。
「神崎さん。あなたは以前も、最後には正しい判断をした」
奥の部屋の気配がわずかに強ばるのが分かる。だが顔は出さない。
「感情ではなく、ユナさんの安全を選んだ。正しい選択です。守るべきものの優先順位を間違えてはいけません」
「ええ。あの時、私は黙りました。ユナを守るためだって、自分に言い聞かせた。……でも、黙った結果、私は夫を失いました」
和佳の後ろから言い返すその声は、静かな玄関前に届いた。
榊は明快な答えを提示する教師の口調で言った。
「告発者の離職率と、その後の再就職率を知っていますか。世間の同情は三日で消えますが、あなたと娘さんの生活は何十年も続くんです。よく考えて、心から納得できる選択をしてください」
仮に、損得勘定だけに従うことを納得と定義するのなら、この男の言う通りなのだろう。罵声をこらえた和佳に向けて、榊は提案してきた。
「お引き取りを。貴方のような当事者以外の方が背負うべき話ではない」
「部外者扱いしてくれるんだ」
「完全な部外者でもないでしょう」
榊は和佳を見た。
「あなたも最初から、弊社に用があった。黎ユナさんの依頼は、都合がよかった。猫探しの顔で、こちらの周辺を嗅げますから」
和佳は即答しなかった。
「違いますか」
「違わない」
背中に真琴とユナ、二人の視線を感じた。ノクスの浅い呼吸だけが、部屋の中で擦れている。
「私だって身綺麗じゃない。でも、あの子を餌にしたつもりもない」
「つもり、ですか」
「そう。つもり」
嘲笑を滲ませる榊の瞳を、和佳は見返した。
「だから今は、結果の話をしよう。ここで一番邪魔なのは、私じゃなくてあなた」
榊の表情は変わらない。
「私は事態を解決しに来ただけです。今回のことは、私も無念でした」
その瞬間、和佳の中で何かがきれいに冷えた。怒りより前に来る、見切りに近い冷たさだった。
こいつは最後までこの調子で行く。
悪意は見せない。
見せる必要がないからだ。
「ノクスをどうする気」
「回収します。必要なら安定化処置を」
「まだ使い道があるって?」
榊の目が、ほんのわずかに細くなった。そこまで言葉にされるとは思っていなかったのかもしれない。だが、それでも崩れない。
「価値のある異常は、むやみに捨てません」
正直だった。企業のエリートとしては。
和佳は肩をすくめた。
「娘の前でよくそれ言える」
「だからこそです。未成年の心の保護は優先されるべきだ」
正しい言葉で、一番大事なものを奪う。最悪の部類だった。この世界ではありふれている。だからこそ強い。
榊はもう一歩だけ視線を奥へ向けた。
「神崎さん。あなたも分かっているはずだ。闇雲に動いても、苦しむ人が増えるだけです。これ以上の負担は避けるべきだ。黎さんのためにも」
奥から、真琴の声が返った。強くはない。だが決して震えてもいない。
「証拠がなければ、でしょう」
榊はそれに答えなかった。答えないことが、答えだった。
沈黙を割ったのは悠理だった。
「最善手ではないと思うのですが」
「合理的ってのは言い訳のためにある言葉じゃない」
榊はその短いやり取りを表情ひとつ変えずに見ていたが、やがて言った。
「話し合いが済んだのなら、結論を」
「済んでない」
和佳は榊へ向き直った。
「あなたに渡す結論はない」
榊の目が、初めてわずかに冷えた。怒りではない。計算が予定どおりでなくなった時の冷たさだ。
「残念です」
「……私も」
そこで奥の部屋から、ノクスを抱いたユナが出てきた。
真琴が止める前に、一歩だけ前へ出た。
和佳は反射的に止めかけたが、ユナの顔を見てやめた。半歩横にずれて、壁に背を預けた。
「今の話、聞いてました」
榊がその声に向き直る。表情が一段だけ柔らかくなる。腹が立つほど手慣れていた。
「黎さん。あなたがこれ以上、気に病む必要はありません」
榊は穏やかに言った。
「お父様のことは、会社として責任をもって扱います。ノクスにも適切な処置を受けさせます。会社に任せてください。あなたは気にしなくていいんです」
「その言い方、父にもしましたか」
部屋が静まった。榊は数秒、答えない。否定できない問いに対する沈黙だ。
ユナは続けた。
「ノクスを研究所に戻しても、父は戻らないんですよね」
真琴が息を呑む。和佳も、ほんの少しだけ肩を固くした。そこを、先に言葉にするのかと思ったからだ。
榊は声の温度を変えずに答えた。
「今は、その確認が必要です」
ユナは首を振った。
「嘘です。もう、分かってます」
言ってから、ユナは自分の言葉に少しだけ怯えたように目を伏せた。
「でも……じゃあ、何も言わなかったら」
そこで一度、喉が詰まる。
「秘密にすることもできますか」
和佳は一瞬、言葉を失った。延命、秘匿、告発。まだ選択肢の並べ方は整い切っていなかったのに、ユナはすでにその核心に手が届いている。
「できる」
和佳は正直に言った。
「そうしたら、ノクスは生きられますか」
「補助脳の負荷のせいだから、それが無くなれば回復するでしょうね」
ユナは頷いた。分かっていたというより、そうでなければいいと思っていた顔だった。彼女は母のほうを向いた。母は目をそらさなかった。
「お父さんは、このままだとどうなるの?」
「……わからない。あと数日なら、意識が残る、かもしれない」
再び、ユナは頷いて、そのまま目を伏せた。
「でも、その代わり、お父さんはあの晩にいなくなった。……そういうことになるんだよね」
誰も答えなかった。答えられない、のほうが正確かもしれない。
ユナが指先を差し出すと、ノクスは少しだけ鼻先を寄せた。
昔からそうだった。
泣いたあと、ユナが黙って手を出すと、ノクスは決まってそこへ鼻をつけた。
父が中にいると知らなかった頃から、そうだった。
だから今の仕草が、父の返事なのか、猫の習慣なのか、ユナには分からなかった。
分からないことが、いちばん苦しかった。
「ユナが決めなくてもいいんだよ」
ユナが口を開く前に、真琴は遮るように言った。
その声には、技術者ではなく母親の響きがあった。
「これは大人が失敗した結果です。この子に選ばせる話じゃない」
正しい糾弾だった。和佳は黙って受け止めた。
本当なら、その通りだった。
けれどこの事件は最初から、本当なら、で済む場所を外れていた。
黎志遠を見つける仕事は、もう失敗している。大人同士の取引で済むはずだった話は、猫の呼吸と、子どもの手の中にまで落ちてきている。
ユナが顔を上げる。
「でも、ノクスを探してって探偵さんに頼んだのは、私だよ」
真琴の表情が止まった。
ユナと和佳の目が合った。
「依頼人はあなただから。どちらを選んでも私は力を貸す」
大人に対するような和佳の言い回しは、できる限りの誠意の表れだった。
「ただ、どっちを選んでも、半分も助けられないと思う」
ユナはすぐには頷かなかった。
依頼人なんて仰々しいものになりたかったわけではないだろう。
彼女はただ、ノクスを探して欲しかっただけだ。
ユナはノクスの補助脳をそっと撫でていた。小さな身体に似合わない熱が、そこだけ残っていた。
「ノクスを助けたいです」
榊が口を開きかけた。
口にしかけた提案か何かを、ユナの言葉が切り裂いた。
「助けたいに決まってます」
ユナは補助脳を撫でていた手を止めた。
「でも、このお父さんがいなかったことになるなら、それは嫌です」
ユナは手を胸元近くに寄せ、ぎゅっと握りこんだ。
「……お父さんは、あの晩からずっと、私たちを心配してたなら」
ノクスが短く鳴いた。以前のような導きの声ではなく、空気が抜けただけの音に聞こえた。
「お父さんの、この数日が、なかったことになるなら」
ユナは唇を噛み、一度だけ息を整えた。
真琴は何か言おうとして、娘の表情に口を噤んだ。
言葉にする前から、もう引き返さないとわかる。それでも、唇の端はまだ震えていた。
「本当の……ことが……はっきりするように、してください」
和佳の瞳を見つめていた。
見続けていないと、途中で言葉が落ちてしまいそうだった。
それでも、途切れ途切れに告げられた少女の言葉が、周囲の全員にはっきりと届いた。
真琴が目を閉じる。悠理はもう何も言わなかった。
和佳はノクスを見る。猫の中から、父が自分の死を見ていた。自分の妻と娘を見ていた。自分にできることがあるはずだとあがいていた。その事実と、少女の選択が、ようやく同じ一点に落ちた。
榊はそれでも口を開いた。
「一時の感情で判断すべきではありません」
「――じゃあ、合理の話をしましょう」
和佳は即答で割り込んだ。声は荒げない。怒りを見せただけ相手が人間になる。この手の連中は、人間に落とした時点で楽になる。そんな義理はない。
視界の端で、投影の層が一段だけ増えた。悠理が深く潜った時にだけ出る、意味になる前の光だ。白く、薄く、うるさい。和佳は榊から目を切らなかった。
真琴は何も言わず、ユナに寄り添うような姿勢のまま、そっとノクスへ手を伸ばした。撫でるように見える角度で、耳の後ろの埋設痕へ指先を当てる。爪の縁で保護膜を一段だけずらし、緊急医療ポートの読取制限を外す。ほんの一作業。悠理が欲しいのはそこだけだ。
和佳は、榊と視線を合わせたまま言った。背は壁に預けたままだ。そろそろ立っているのが辛くなってきた。
「いくつか聞かせて」
「答える義務は……ないですが、構いません」
榊は答えを切ろうとして、すぐに保護の顔を被り直す。
一瞬だけ母娘の表情を確認してから、彼は和佳に微笑を向けた。
「あなた、今日は何の権限で来たの」
「事故個体の回収と、関係者の保護です」
和佳の質問に、榊は淀みなく答えた。
「家族も?」
「未成年を含みます。会社として当然の配慮でしょう」
「兵隊を連れて、統括者が現場へ直接来るの?」
「必要と判断しました。今は、あなたを当局に通報すべきか考えています」
和佳は笑わなかった。
「このやり取り、全部記録してるから」
「構いません」
榊は平然としていて、口調も姿勢も崩れなかった。
「当社の社員とそのご家族を、外部の人間が不当に拘束している記録にしかなりませんよ」
言うと思った。和佳はその言い方を待っていた。
「ノクスは?」
「回収します」
「事故個体として?」
「価値のある異常は、適切に管理されるべきです。異常と危険は違う」
「家族も、その枠の一部?」
「先ほども申し上げた通りです」
正しい顔をしたまま、全部を一つの棚へ並べる。和佳は内心だけで頷いた。こいつは今日もいつものこいつだ。だから使える。
真琴がそこで、初めて顔を上げた。
「このこと、上の許可が取れていませんよね」
榊の目が真琴へ向く。ほんのわずか、それだけで場の温度が変わった。
「プロジェクトの統括管理者が、保護の目的で家族へ直接接触するには、監査を通した上で、書面による事前通達が必要です。もちろん私は受け取っていない」
真琴の声は低い。震えていない。研究所の会議室で、仕様の誤りを一行だけ指摘する時の声だった。
「今あなたがやっているのは、隠蔽です。保護じゃない」
数秒の沈黙が落ちる。
榊はようやく、真琴の手元を見た。
ノクスの耳後ろ。ずらされた保護膜。薄く点いた診断表示。
榊の視線が、診断表示の上で止まった。
ほんの一拍だけ、処理が遅れた。
「何を――」
している、と言いかけたところで、和佳が手を上げて制した。
「遅いよ」
榊がその一語を処理するまでの一拍は、外側では一秒に満たなかった。
しかし、和佳と悠理の間ではその一拍が何層にも割れる。間延びした体感時間の中で、和佳は悠理にデータを渡した。
「悠理、これも使って。あの夜、ノクスと会った時のログ」
「起点の一つにはなりますが……和佳さんも、ただでは済まないかもしれませんよ?」
「知ってる。入れて」
声はない。二人の間だけで閉じた返事が、ノクスの知覚ログの外縁へ、和佳自身の最初の足跡を縫い込んだ。
その手には、仮想ウィンドウがあり、ログの激流がある。
時間は十分に稼げたし、おまけまでついた。
投影の中で、知覚ログの層が一枚ずつ形を変えていた。欠けていた起点整合に、補助脳の残留反応、事故ログ、そしてあの夜の外部接触ログが縫い足されていく。
悠理の仕事が終わりを迎えていた。
完璧なオリジン証明ではない。
だが、今の映像もついている。まだ生きているノクスを、必要なら完全な証明へ使える。その事実を示す映像が。Witnessで噂が立ち始めている外の様子が。不当な手続きで回収しているアクシオム社管理職の映像が。
もう榊はノクスを奪っても放置しても、証拠保全妨害の疑いは避けようがない。
「はい、これ」
和佳は気楽な、ボールでも放り投げるような仕草で、網膜投影された仮想ウィンドウを榊と共有した。
「神崎さん」
和佳は榊から目を逸らさずに言った。
「良いですね」
真琴は頷いた。
榊が見たのは、社内の事故調査特例窓口の通報画面だった。名義は神崎真琴。元主任研究員。現場当事者。被害者家族。研究棟事故の内部告発を行うには妥当な立場と言えた。
榊が一歩出る。真琴を向けた視線をわずかに鋭くした。
「外部の人間の口車に乗らないでください。あなたの立場が悪くなる」
「内部通報だよ」
和佳は平板に返した。
「あなたが止めるのは、コンプライアンス違反ってやつ。さっきのやり取りもつけといたから」
真琴の指が、「承認」の二文字の上で一瞬だけ止まる。
止まるのは迷いではない。重さを知っているからだ。
その一拍のあいだに、ユナがノクスを見る。ノクスは目を開けたまま、もうどこへも導かない。ただ、ここにいる全員を見ている。
「神崎さん。ここだけは、あなたが選んで」
真琴は今度こそ迷わなかった。
榊がポケットに手を伸ばす。何か手札を切るつもりだったのだろう。あるいは、もっと上の誰かへ先に話を通すつもりだったのかもしれない。
「早まらないで、もう少し相談を」
榊が初めて語尾を強くした。とっくに手遅れだった。
和佳はあっさりと告げた。
「あなた、企業の人ってわりに喋りすぎだ」
――最初に鳴ったのは、短い通知音だった。
乾いていて、ひどく事務的で、機械の停止音のようだった。
アクシオムは人を守るのは遅いが、火元を切る時だけは速い。何せ事故調査特例窓口はAGIの監査に直結している。人間の判断など待ちはしない。
レッドライン・コンプライアンス処理。
死亡事故。内部通報。証拠保全妨害。通報妨害。利益相反未申告。
統括管理者の適格性喪失に伴う正式権限の即時凍結。
榊は、ポケットから古臭い社給端末を取り出した。画面を見下ろし、初めて完全に無表情になった。表情を崩したのではない。表情を作る必要がなくなった。
「……そうですか」
和佳は訊かない。訊かなくても分かる。
榊は端末を閉じた。顔をあげたときには、もう柔和な笑みが戻っていた。
「切り替えが早い」
和佳が若干の呆れを込めて言うと、榊はわずかに口元を動かした。
「会社では、早さが重要な評価基準ですから」
「今の貴方は?」
「その一部でした」
それだけだった。恨みも怒りも見せない。最後まで、自分が何の側にいたかを自覚した人間の言い方だった。
榊はいつもの仕草でスーツの前を整えようとした。途中で止めて、ほんの少しだけネクタイを緩めた。
「では、私はここで降ります」
「自分で?」
「その程度の分別はあります」
和佳は道を塞がなかった。塞ぐ意味がない。ここから先は、もう彼個人の話ではなくなる。会社が切る。会社が守る。会社が残る。その一部としての榊は、そこで終わるのだろう。
榊は数歩進んでから一度だけ足を止め、振り返って真琴とユナを見た。
「神崎さん。黎さん。あなた方の安全が、少なくとも今朝までは念頭にありました」
真琴は冷たく言った。
「その言い方で、たくさん壊してきたんでしょうね」
榊は答えず、出て行った。足音は整っていた。最後まで、歩き方ひとつ乱さなかった。
ドアが閉まる。
部屋に残ったのは、頭痛と、疲労と、夜明けだけが知っているような静けさだった。外ではどこかの配達ドローンが低く唸っている。
世界は普通に次の時間へ滑っていく。人が死んで、父が猫の中からそれを見て、企業が幹部を切り捨てても、街は朝をやめない。
ユナが小さく言った。
「終わったんですか」
和佳は少し考えてから答えた。ずるずると座り込む。
「どうにか終わらせた。って言うほうが近いかな」
真琴は長く息を吐いた。泣かない。崩れもしない。ただ、一晩で何年分か老けたように見えた。
ノクスが、また短く鳴いた。
和佳はその声に振り向く。もう強引に何かへ導こうとはしない。鳴き声には、役目を一つ終えたあとの空洞があった。
父の数日間の意味を残したい。だから、ノクスが消える方へ手を伸ばす。
それを選択と呼んでいいのか、和佳にはまだわからなかった。
少しばかり反則してノクスを残せたが、あくまで結果論だ。
和佳は目を閉じ、短く息を吐いた。救えたのは、たぶん命じゃない。だが、まだそこまで考えるのは早かった。早すぎる総括は、だいたい嘘になる。
今はただ、誰も勝っていない夜明けが来ただけだった。