スキル“全肯定”を得た俺は、森羅万象に褒めそやされる⁉ 作:M.H.
「よいか、コンよ。“スキル”とは、手に入れてからが始まりだ。使い続けるうちに、“スキル”は強くなっていくのだ。」
「はい、父上。“剣聖”となっても気を緩めず、倦まず弛まず努力します!」
筋肉のように、“スキル”は使っていくうちに強くなっていく。
何度も聞いてきたことだが、いまさら口にしたのは多分、俺の緊張をほぐすためなのだろう。
俺は深呼吸した。
今日はいよいよ“スキル授与”の儀式を執り行っていただく日である。
もうじき神官様方が家にお着きになるらしい。
めったに着ない正装に身を包んだ俺は、どうか“剣聖”の“スキル”を得られますようにと祈りながらそのときを待っていた。
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俺の名前はコン=プリメント、由緒正しき剣士の家系、プリメント家当主の長男である。そして、今日で
名家の本家という事だけあって広い
こんなに大勢が集まったのは、何も俺の誕生日パーティーを開くためだけではない(もちろん、後でパーティーもする予定だ)
みんなが来た一番の理由、それは、俺の“スキル授与”の儀式を見届けるためだ。
この世界の人々は、18歳になると“スキル”という超能力を扱えるようになる。“スキル”は本当に多種多様で、“スキル”を活かした職に就くことが幸せだと考えられている。
ちなみに、“スキル”は神官様にお祈りをささげていただく“スキル授与”という儀式を経て使えるようになる。神官様がいらっしゃる教会は、都から田舎まで人が一定数いるところには必ずと言っていいほどあるため、18歳になったら最寄りの教会で……、がセオリーとなっている。
プリメント家は、代々“剣聖”という卓越した剣術を操る“スキル”を授かることで貴族の護衛等を務め、ここまで繫栄してきた。つまり、“剣聖”の“スキル”を授かれなければ俺の家は存続が危ういのである。
このようにプリメント家にとって“スキル”は非常に重要であるため、“スキル授与”の儀式を行っていただく際には都の高位な聖職者をお招きして執り行っていたただく
ここまで読んだ人ならなぜ俺が緊張しているのか分かっただろう?
俺は何としてでも“剣聖”を授からなければいけない。家族たちも使用人たちも俺が“剣聖”を手に入れることを信じて疑っていない。その期待を裏切るなんて絶対嫌だ。
それは、俺が冷遇されるかもしれないとかいう話ではない。“剣聖”でなければ追い出されるかもしれないと恐れているわけでもない。
俺に期待してここまでお世話してくれた皆に報いなければプリメント家の人間として顔向けできないという強い思いの表れである。
今日この日まで剣術の修業を欠かしたことはない。当代最強である父、ドン=プリメントをはじめとして、家族たちや父の門弟たちとも幾度となく模擬戦や稽古をつけてもらってきた。
その努力も“剣聖”の“スキル”を得られなければ水の泡になる。“剣聖”を持たないものがどれだけ修行しようとも到底“剣聖”にはかなわない。父上の強さを見てきた俺にはわかる。
もう俺にできることは自分を信じることだけ。無事に“剣聖”となった俺が今夜の誕生日パーティーでみんなから祝福される姿を妄想しながら深呼吸を続けた。
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ついに儀式が始まった。
庭には厳かな空気が漂っている。
家族たちも使用人たちもみんな庭に出てきている。
俺はみんなの期待が視線を受けながら、庭の真ん中で神官様と向き合っている。
真正面の神官様は水晶玉を両手で支えている。彼の両隣の神官様はそれぞれ分厚い
やがて水晶玉がかすかに光り始めた。
神秘的な淡い緑の光は、揺らめきながら徐々に強くなっていく。
水晶の光がまぶしいほどに強くなったとき、唐突に俺の身体も光りだした。皆がどよめきの声をあげる。光は直視できないほどにまぶしくなると、そのうち今度は緩やかに小さくなっていった。
光が完全に消え、庭は静寂であふれていた。
父上が俺たちに近づいて、神妙なまなざしで神官様に聞く。
「神官様、儀式を執り行って下さいまして、プリメント家一同深い感謝を抱いております。
……して、コンの“スキル”は一体?」
神官様も同じく神妙な面持ちで口を開いた。
「はい。コン様が天より授かりし“スキルは”──
頼む!! 絶対“剣聖”であってくれ!!
俺のここまでの日々と、俺の家の将来がかかっているんだ!!
──“全肯定”、です!!」
目を通していただきありがとうございました。全部で10話ほどでの完結を目指しています。
第二話も書き終えてはいるので、推敲等が終わり次第投稿します。
誤字報告等コメント待ってます。