スキル“全肯定”を得た俺は、森羅万象に褒めそやされる⁉   作:M.H.

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開いてくださってありがとうございます。
無事に二話目も投稿できました。
明日も投稿する予定なので、気に入っていただいた方や続きが気になる方は明日の夜にも来てください。



第二話:授かった“スキル”は

「“全肯定”です!!」

 

 神官様がおっしゃった。

 

 

 

 ……は? “全肯定”?

 俺の“スキル”か? “剣聖”じゃなくて?

 

 

 ……言い間違いだろ? 言い間違いだよな? 

 なあ神官様、すぐさま慌てた口調で言い直すんだろ?

 コン様の“スキル”は“剣聖”でしたって。はやく言ってくれよ!!

 

 けれども神官様は、発言を訂正することもなく神妙な面持ちでお立ちになっている。口を開く様子はみじんもない。

 俺は、どうやら“剣聖”にはなれなかったらしい。

 

 終わった……

 

 目の前が真っ暗になるとはこういうことを言うのだろう。

 言葉が出てこない。“剣聖”のスキルじゃないなんて。

 

 というか“全肯定”ってなんだ? そんな名称の“スキル”があるなんて聞いたこともないぞ。

 

 怖くて家族たちのほうを見られない。あれだけ俺に期待してくれていたのに、応えることができなかっただなんて……

 俺はどうすればいいんだ?

 

 半ばパニックになりながらあれこれと考えている俺は、声を聴くまで、父上がそばに来ていることに気が付かなかった。

 

「我が息子コンよ。此度、“全肯定”のスキルを授かるとは……

 

 俺は怖くて父上の顔を見ることができなかった。父上はどう思っているのだろう? “剣聖”のスキルを授かれなかった俺のことを。俺は罵倒の言葉を吐きかけられることすら覚悟して続きを聞いた。

 

 

 

 

 

 

  ……見事だ!!! 流石は我が息子だ!!!

 お前こそがプリメント家の誇りだ!!!」

 

 

 

 は?

 

 父上はいきなり何を言い出したんだ? プリメント家の誇りだって?

 “剣聖”じゃなかったんだぞ!!

 

 俺は困惑しながら父上に尋ねた。

 

「父上、俺は“剣聖”じゃないんですよ。父上の跡を継いで立派な“剣聖”になってほしいっておっしゃっていたじゃないですか! なんで、なんでそんなに喜んでいるんですか!」

 

「“剣聖”などどうでもよい。コン、お前はこんなにも素晴らしい“スキル”を手に入れたんだぞ!! “全肯定”と比べたら“剣聖”なんぞ凡百の“スキル”だ。俺の“剣聖”など、剣を振り回すことしかできんわい。コンのような類まれな人物には到底釣り合わん。本当に、“剣聖”じゃなくてよかったわい!!」

 

 父上は満面の笑みで答える。本でも見たことのないような“スキル”と、それを授かった俺をひたすらに褒めている。

 

 父上はどうなってしまったんだ? 俺が“剣聖”でないことを知っておかしくなってしまったのか?

 

 

 ……もしかして()()が俺の?

 

 そんなことを考えていると、

 

「すごいじゃない!! “コン”ならやれると思っていたわ。私にはもったいないくらいの自慢の息子だもの!!」

 

「コン兄さま、おめでとうございます。やっぱ兄さまはすごいですね!!」

 

「立派だ!! これでプリメント家も安泰だな!!」

 

 他の家族たちも、示し合わせていたかのように褒めだした。

 

「コン様のようなお方のお世話を担わせていただけるなんて、メイドとしてこれ以上ない幸福にございます。」

 

「なんちゅう、めでたい!! 今夜は飲み明かすぞう。上質の酒を用意しているんだろうな!」

 

「ほっほっほ。長生きした()()があったわい。我が姪孫(てっそん)ながらあっぱれあっぱれ、のう爺さんや」

 

「そうじゃろうて。儂の孫なら当然じゃ」

 

「いよっ!! 次期当主様に乾杯!!」

 

 家族と使用人たちまで口々に俺のことを褒めだした。こんなに一斉に賞賛を浴びたことなどない。明らかに異常だ。

あと、ちょくちょく()()()()がいるぞ。

 

「みんな、こんなに祝ってくれてありがとう。でも、まだ神官様方がいらっしゃるから、あんまり騒がしくすると失礼──

 

 神官様方の手前、静かにさせようとするが……

 

 

「おお! こんなに優れた“スキル”は今まで見たことがありません。コン様のようなお方しか授かれないでしょう」

 

「コン様のお目にかかることができて僥倖にございます。神ですら、あなたには及ばないと確信しております。」

 

「いやはやいやはや。プリメント家のますますのご繫栄をお祈りするため、わたくしも祝賀会に参加いたしましょう。して、どのような()()が?」

 

 ……神官様方まで俺を賞賛なさるとは。神様より上とか、神官様がおっしゃっていいのか!? 

 あと、こっちにも()()()()がいるじゃないか。神官様はお酒を飲まないと聞いていたはずなんだがな……

 

 

 

 

 

 

 どうやら、これが“全肯定”らしい。周りから()()()()賞賛される“スキル”。いろんな意味ですごい“スキル”のようだ。

 

 

 でも、これからどうすればいいんだろう? “剣聖”がいなければ、貴族の護衛という我が家の食い扶持が怪しくなってしまわないか?

 

 俺は皆に祝われながらも、将来に一抹の不安を抱かずにはいられなかった。

 




次回 第三話:町人たちの“全肯定”
第二話にも目を通していただいてありがとうございました。
読んでいただけてうれしい限りです。
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