スキル“全肯定”を得た俺は、森羅万象に褒めそやされる⁉   作:M.H.

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 今日は、あと一話投稿する予定です。


第三話:町人たちの“全肯定”

 俺はベッドの上で目を覚ました。まだ腹には食べ物が残っている感覚がある。

 

 昨晩のバースデイパーティーは大盛況だった。たくさんのごちそうに加えて多種多様な高級そうなお酒が並んでいた(もちろん俺はまだ飲めないが)

 そして、パーティーの最中も親戚たちは皆俺のことを褒めまくっていた。酔っぱらった父上は「明日からコンが当主だ!!!」なんて言い出すし、みんなも止めるどころか父上に賛同しだす始末である。流石にいきなり当主になることは断った。

 

 あと、何故だか参加していた神官様もお酒を飲んでいて、真っ赤な顔で腹踊りを見せびらかしていた。

 ……後で思いっきり怒られません? 

 下手すりゃ破門になるのでは?

 

 そんなことを考えながら朝食(胃にやさしいおかゆ)を食べ終えた俺は、着替えて街を散歩することにした。

 

 

 

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「コン様じゃないですか!! 見違えるようにご立派になりましたね!!」

 

()()というものを感じます!! さぞかし良いスキルを手に入れたと見受けられます」

 

「キャー!! コン様カッコいい!!」

 

「コン様、今朝市場から仕入れた野菜です! ぜひ持って行ってください。

 お代? コン様から頂くわけにはいきません! 

 むしろこっちが払いたいくらいですよ」

 

 そうだった。今の俺は全肯定されるんだった。この“スキル”にはオン・オフがないらしい。普通の“スキル”はその都度発動するのがセオリーだから、発動し続ける(と思われる)“全肯定”はなかなか異質だろう。

 

 “スキル”を切れない俺はあっという間に通行人たちに囲まれて、全方位から俺を褒めたたえる声を聴くことになった。そしてお店の人からは大量の品物を次々にわたされた。しかも無料とのことだ。流石に申し訳ないので荷物がいっぱいだからと断ろうとしたのだが、

 

 

 

「でしたら俺がお持ちいたします!! 

 コン様のお荷物を預かれるなんて夢みたいです!!」

 

「コン様を歩かせるわけにもいきません。一人乗りで恐縮ですが、この馬車に乗っていってください。」

 

()()()()!! ()()()()!!」

 

「なっ!? あの気難しい()()が!? ニンジンあげてないのにこんなやる気になるなんて!!」

 

 荷物を持つばかりか、俺を乗せる馬車まで用意してくれた。馬もとてもうれしそうに()()()()()()()。どうやら癖の強い馬が一瞬で俺になついたらしい。

 “全肯定”って動物まで対象なのか? どこまで効く“スキル”なのかな?

 

 俺は、馬車に揺られながら家まで帰ることになった。

 

 

「わおおん、わおおん」

「かああ、かああ」

「にゃあああ、にゃああああ」

「げこげこっ、げこ」

 

 動物たちが俺をたたえるかのように鳴いている。ちらりと馬車の外に目をやれば、犬があおむけになっているのが見えた。噴水の淵ではカエルたちが整列していた。

 

 

 

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 そんなこんなで家に帰ってきた。馬車をおりて来た道を振り返れば、荷物を持ってくれている人だけでなく、百人は優に超える町人たちがついてきており、まるで貴族の外出のような様相を呈していた。ハーメルンの笛吹き男かな?

 

 さらに後ろには動物や鳥たちもいっぱい来ている。

 ……ブレーメンの音楽隊だったかもしれない。

 

 

 家族たちは迷惑してるかもな。散歩しにいった家族がいきなり大名行列を引き連れて帰ってきたから。

 しかし、そんな心配は無用だった。

 

「おお、街の方々よ。よくぞお越しいただいた。

 コンはこの上なく立派で、まるで太陽のようであろう? 

 なんと“全肯定”の“スキル”を授かったのだ!!」

 

 出迎えた父上は、屈託ない笑顔で皆を歓迎した。

 

「せっかくだ。皆に何かお土産を……

 

 そうだ!! コンのサインなんてどうだ!?  

 色紙もコンに見合った最上級の紙を使おう!!」

 

 父上が提案した。サインとか書いたことないぞ。

 それでもいいかと聞いてみたが、

 

 

「なんと!! 世界初のコン様のサインがいただけるとは」

 

「我が家の家宝に決定だ」

 

「めえええ、めええ」

 

 皆ノリノリだった。家宝にするとか大げさな。

 あとヤギ君、君は色紙ごと食べちゃうんじゃないか?

 

 

 その後は、みんなにサインを書いて、お決まりのように褒めちぎられてからお昼ご飯を食べた。100枚以上もサインを書いたことで腕はパンパンだったが、喜んでもらえたので良かった。

 

 

 

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 その夜。

 

 俺は夜ご飯を食べ終わり、ソファーに座ってくつろいでいた。今日は午後から曇っているせいか、外は星一つ見えずとても暗い。

 

 

 俺は縁側に移動し、闇にのまれた庭を眺めている。

そこへ父上がやってきた。俺は姿勢を正す。

 

「コンよ、2週間後に出かけようと思うのだが、良いか? 

もし無理なら遅らせてもよいが、なるべく早いほうがよいだろうと思ってな」

 

「全然問題ありませんよ。どこに出かけるんですか?」

 

「ああ。コンの“スキル”も分かったことだしな。

 ご報告に窺わなければ……

 

 

 

 

 我々プリメント家が護衛を任されている貴族様──

 レッドイーグル家に!!」

 

 

 

-----------おまけ---------------

 

「せっかくの庭も暗いと殺風景だな

 

 ……そうだ!!

 コンならなんとかできるのではないか?」

 

「父上、流石に無理ですよ」

 

 思わず苦笑いして答える。

 俺を買いかぶりすぎだよ。

 

「ううむ、コンならと思ったのだが……」

 

 試しもせず否定するもはよくないか。

 まあ、どうせ無理だけど一応、

 

 

「光あれ、て感じですか? 

 

ほら、何も起こらないじゃ──」

 

 

 

──なんと、庭がまばゆい光に包まれたではありませんか(唖然)

 

「うむ。美しい光だ。流石はコン」

 

「?  何? 何が起こったの??」

 




次回 第四話:貴族家面談 礼儀正しき甲冑
今日22:30投稿予定
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