スキル“全肯定”を得た俺は、森羅万象に褒めそやされる⁉   作:M.H.

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第七話:宇宙からの謁見者

 

 

「コン様、ご無沙汰しております!!

やはり神々しい立ち振る舞いですな。

これでまだ19歳にすらなっていないというのだから、将来はますます立派になるのでしょうなあ」

 

「ありがとうございます。ジョン様も貫禄にあふれておられますよ

私も、将来はジョン様のような威厳にあふれた大黒柱になりたいものです」

 

 開口一番の賞賛を受け流す。この1年間で自然に身についた技能だ。とりあえず、こちらも相手を褒めるようにすると、あまりむず痒い思いをせずに済む。誰かと会うときには俺からも相手を褒めることが日常になった。おかげで褒め言葉に特化した語彙が形成された。

 

 ……この処世術は、しばしば俺に褒められたことに感激してしまい、さらなる賞賛の声(カウンター)を放ってくる者がいることが玉に瑕である。その場合、こちらが気合を入れて賞賛すればするほど、向こうからのカウンターも強くなる。八方塞がりとはこのことか。

 

 

 ジョン様が世間話を切り出した。

 

「コン様は当然知っておられるでしょうが、“光る円盤”の噂が広まっているでしょう? 

実は私、昨日この目で見ました」

 

 ここ数日、近所では“光る円盤”の話で持ち切りである。

 事の発端は1週間前、この街に向かっていた商人たちが緑色に光る円盤状の何かが空を飛んでいるのを見たんだとか。しかも、この街の近くの山に止まったように見えたんだと。

 

 それからというもの。昼夜問わず目撃例が散発し、人々の関心が向けられている。

 

 ある人は、道に迷った精霊の類ではないかと言い、またある人は、“スキル”によって生み出された物体が何らかの理由で制御不能になったのではないかと言っていた。他にも蛍の群体だとか飛行する乗り物だとか様々な憶測が飛び交っている。

 いずれも未知の現象という捉え方をしており、以前見たことや聞いたことがあるといった話はなかった。

 

 

 それをジョン様も見たのか。俺は俄かに好奇心を刺激され、詳しく話を聞くことにした。

 

 

「へえ、音を立てて飛んでいたんですか。声ですかね?」

 

「ううむ、声には聞こえませんでしたね。どちらかというと無機質で、等間隔にピピピと鳴っていました」

 

 

 ジョン様がみた“物体”はかなり低空で移動していたそうだ。おかげで“物体”の見た目もよく見えたらしい。

 

「ジョン様はずばりなんだとお考えですか?」

 

「そうですね、見た目や音からいうと生き物という気はしませんが……

動きからはまるで意思があるように感じたんですね……」

 

 生き物らしくない外観なのに、挙動からは意思を感じたと。そこから考えるなら、

 ()()()()()()()()()()()()()()とかか?

 

 2人であれこれ話していると、遠くから謎の音が聞こえてきた。

 

「あれ、何か音がしてません? ピピピピって、ジョン様?」

 

「この音です!!」

 

「? 

  ……!! 昨日の“物体”の!?」

 

「はい。まさしくこんな音でした。昨日よりも大きいので近くに来ているかもしれません。見に行きましょう!!」

 

 

 

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 俺たちは屋敷の中庭に出た。と同時に中庭上空に緑色に光っている“円盤”が浮いているのが目に入った。円盤というより、円盤の上にドーム状の半球をつけたような形だな。大きさは直径10メートルといったところか。確かに、生物のようには見えない。

 

 など観察をしていると、突然“円盤”が下に向かって青白い光を発した。

 俺たちはまばゆい光に息をのむ。

 

 ……コレ危なくないよな?

 “全肯定”があるから大丈夫だとは思うが……

 

 

 

 光は20秒程度で消えたが、光の跡には()()がいる。

 2()のようだ。形は俺たちに似ており、顔と思しき場所には目と口のようなパーツがついている。

 

 あ、1人と目が合った。こちらに歩いてくる。

 

 俺たち2人に加え、いつの間にか庭に出てきた家の人たちの目線が彼らに集中する中で、目があった人(?)が口を開いた。

 

 

 

 

「コン様、ヨウヤクオ目ニカカレテ光栄ノ限リニゴザイマス。

我々ハコン様ニオ会イスルタメ、ハルバルコノ星ニヤッテキマシタ」

 

 

 ……どうやら、俺のお客さんだったらしい。

 

 

 

-------------------------- 

 

 

 

 ……今まで一番度肝を抜かれたかもしれない(この台詞も何回も言った気がするが)。

 あの後父上も混ぜて、この星への訪問者を名乗った2人、ロウタとアルグから話を聞くことにした。しかし、彼らが話すことはあまりにも俺たちの常識を逸脱していたため、整理するのにかなりの時間を要した。

 

 まず、彼らは地球とは別の星からあの“円盤”に乗ってきたらしい。月に住む兎の童話などは聞いたことがあるが、まさか地球以外にも生物がいて、さらに地球にやってくるとは。

 

 次に俺たちは2人が地球にやってきた理由を聞いたが、先に言っていた通り俺に会うためだったらしい。

 

 

 何でも、彼らの先祖は3万光年(初めて聞く単位だな)先の星に俺の存在を予見し、そこにいずれ向かって俺に謁見することを決めたのだとか。それ以来、なんと1000年に及ぶ技術革新の末に“宇宙飛行船”──あの円盤を開発し、星中から選抜した2人に託したそうな。

 

 とりあえず、“全肯定”が1000年間遡って影響したっぽいことについては触れるまいよ。その程度、いまさらツッコんでたらキリがないだろ?

 

 それよりも気になるのは2つの星の距離だ。3万光年離れているといっていたが、到底移動は現実的じゃない距離なんだろ?

 そう思って尋ねたところ、

 

「ハイ。3万光年トイイマスト、光ノ速サデモ3万年カカル距離デス」

 

「デスノデ、ドウシテコレタノカト疑問ニ思ワレルノハ自然ナコトデショウ

我々ガコレタ理由。ソレハオソラク──

 

 

 

 

 

 

 

 ──他ナラヌコン様ニ会ウタメダカラデス!!!

コン様ノタメナラ空間モ捻ジ曲ガッテクレマス!!!」

 

 

「そうはならないだろ!!!」

 

 

 

 “全肯定”

 来るところまできたって感じがするな……

 もうツッコむのがしんどくなってきた。

 

 いろいろ規模がでかすぎる。

 

 

 2人がくれたお土産に舌鼓を打ちながら、壮大な話に頭を抱えることになった。

 

 

 




 次回 第八話:闇の大魔神、復活
 5月30日土曜日 22:00投稿予定
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