「北海道で反社狩り?それ呪術的の仕事じゃなくないですか?」
「多数の呪いの道具を所持している模様です、可能な限り生かして捕らえて頂きます。」
「多数の呪具?」
面倒事だ、流石既に彼岸を渡っている試されざる大地その辺の境界がメチャクチャだ
気付かずに境界を踏み抜いて転びそう...
規模はアイヌの呪術連とやらが、教育機関である高専に支援を要請してくるだけ強いのかね。
...ただの反社が術師相手でそれはあり得ないのでは?
2級以上の呪術師が束になっても勝てないなんて事は無いだろ、余程の手練れが居るのか。
「えっと捕らえる対象は?生かしてとは何ですか?」
「あくまで協力です、総監部からの派遣として
反社とアイヌの呪術連とやらの被害はどうでも良いって事か、つまり任務が終わった後に問答無用で全部接収する。
...何て言うか破壊しても問題なさそう、社会的な弱者の利用している背景を想像するだけで胸糞悪い。
量産できる呪具は私も考えた事はあった、だがその可能性は全て中途半端な代物だった。
酷い可能性しか生み出せない私の頭がイカれてる可能性のが高そうだけど...
「もう一度聞くんですけど反社ですか?呪詛師の排除ではなく?」
「はい」
「「...」」
呪具が量産された場所にカチコミに行くなんて嫌だ。
特級として扱われようとしている私を偵察に出すぐらい切迫してる、状況は無視し難い。
呪霊をブッ叩くのは忌避感無いけれど、人間は経験がない。
私である理由が理解できない、他に任に耐えられる人は居ないのだろうか。
...可能性はやはり捨て駒だろう、だがそれを平然と学生に命じるなんて事はないと思う。だからこそ餌になる反社共を優先して回収させるつもりだ。
これまで上層部からの指名で碌な任務がなかった、どうせ今回も同じ。
改めて実戦で私がどれだけ上等に戦えるか、試す機会には丁度いい気もする。
情報絞って補助監督に開示すらできない情報があるのが不可解だけど、仕方ないかもしれない。
経験の少ない新人以下の学生にさせる任務じゃないと思う、けどそれだけ期待されているって事なのかな。私は五条悟の直接的な武力にビビりまくってる上層部には何も期待していないから見解の相違があるらしい。
呪具の回収が基本の任務なら、2級3級複数人で組み合わされたチームでも十分な気がするけど。
わざわざ私を指名する意味が開示された情報だけでは理解できない...
或いは上層部に呪詛師と繋がりがある奴が居る可能性、疑心暗鬼にはなりたくないがある意味餌を差し出していると私は受け取る事もできる。
もしくはその延長線上か、だからこそ人に相談するのも一つの手か。
いやでもその理論だと宇佐美センコーもこの任務の事は認識してる筈だし...
問題ないと考えてGOサイン出してる筈だ、逆に上層部が呪詛師と組んでるなら直接ボコボコにしても良い訳だし。
或いは自分の知らぬ間に外との折衝と難易度の高い任務を拝命する立場になっていた、そう考えれば普通かもしれない。
「受諾します」
「適任の術師が見つからず、藁にも縋る思いでした。
ありがとうございます!本当に助かります!」
鬼が出るか蛇が出るか、経験より生来の形質が重要視されるらしい。
自分の中にある何かが揺さぶられる様な、嫌な感覚がした。
「貴様が高専から派遣されてきた術師か、若くして一人前と認められたのなら誰であろうと構わん。」
「理解してるな高専の、貴様は呪具の回収を優先しろ。」
想像より共同で動く術師が弱そう、能力や呪力の巡りはいいけど肉体的な不調が激しい。
...弱いというか弱体化している?
目が虚ろだし、まるで呪いの被害を受けた一般人みたい。
今にもバラバラになりそうな境界で、身体を無理矢理縫い付けている様な状況だろう。
「小泉羽恩です、よろしくお願いします。
皆さん体調が悪そうですが、治療を受けた方がいいのではないでしょうか。」
「「あ?」」
「邪魔だとは言いませんよ?
ですが私が助けられるとは限りません、休んだ方がいいのでは。」
「そうか?何も知らんのか?
ならそれでいい、黙ってついて来い。」
「聞いたか?守ってくれるってよ?」
「残念だが守られるのはお嬢さんだな、人に甘いのはいいが呪力はとっておけ。」
山奥の一軒家、このとんでもない異臭がする地下空間が私の仕事場らしい。
何も知らない事が必要な任務って何だろうか、軽口を叩けるぐらいだし罠に嵌めようって感じではないと思うけれど。
「なにもって、安全の為に敵の攻撃方法ぐらい教えてくれたっていいじゃないですか。」
「黙れ、何が起きても呪具の回収を優先しろ。」
四方八方から変な肉が迫ってきた、ヒダ状だったり色々。
エロ触手の見本市で「うわ...」と思ってしまった、うん被害者の末路が何となく分かってしまった。
何を勘違いしている?今回の任務は呪具の回収であって敵を狩る事ではないんだぞ?
式神に肉壁としての任を命令し簡易領域を展開して安全圏を作る、本体の私はいつでも動ける様に一歩後方に控える。
ある程度進んだ結果遭遇したのは、呪霊ばかりで呪詛師も呪具の欠片もない。
だがその先に
悪趣味にも限度がある...
「分かるな?アレだ!」
人が優先で次点が動物、3体分ずつあったが人間が入れられたのは2つ動物と呪霊を1つずつしか奪取できなかった。
...ニューテク術式か?
動きが直線的過ぎるのか持て余している様に思えたが、そんな事なかったらしい。
私が狙い易い様にしていただけだ、恐怖していた様に見えた人間が呪霊と入れ替わってる。
中身を挿げ替える術式効果もある、文字通り自由を奪われ閉ざされた環境という意味での鳥籠だ。
籠の総数は800個以上、中身は蠅頭から1級呪霊相当とバラバラだ。
...そして言葉にするのも難しい強迫観念の植え付け、壊したい贖わせたいという感情が植え付けられる。
「呪具の回収だけを優先するべきだった、中身に騙されたぞ本当に嫌になる。」
領域の使い時が分からん、敵は複数の術式を持っているに等しい。
...籠の呪具と中身をどうこうする術式の2種類だな?
だが相性が良いのは確か、さてこれは迂闊か必要か。
...笑ってくれるな、同じ手で二度は騙されない。
「籠に嬢ちゃんが捕らわれるのは勘弁してくれよ?」
私の肉体を必要としている存在は居ないだろう、なら解明よりも籠の回収の方が重要そう。
破壊はNGで、成立条件は多分凄い繊細だから変に崩して事故になると困る。
堅実な積み重ねを必要とする、落ち着け余計な事をしてる余裕はないぞ私。
「はい、ええその気はありません。」
そもそも、今行動したのは式神だし。
ただ嫌な予感がするのは事実、ただ悪趣味なだけなら良いが。
鮮血、そして肉塊だ。
「息はあるな」
「人質にされたら面倒だ」
「楽にしてやるしかない」
覚悟というか頭がイカれてる、人質もしくは生存者を殺そうなんて普通は考えない。
「リソースには余裕がありますから、私に見せてもらえますか。」
「...この程度余裕か?
心も若いな、羨ましい。」
人みたいだが、魂と肉体のカタチが違う気がする。
...骨がない?
治すのは不可能、骨格の再現は難解を極めるしやってる暇はないな。
グチャグチャと肉塊が暴れてる、ブニブニしていて普通の人間の触り心地じゃない。
「コレは胸糞悪いだけの物体ですね?」
「ああ」
「式神術に領域か、学生らしく守りに特化しているな。」
「見縊っていたが流石は総監部イチオシの術師だ!震えるねぇ3年になる時が楽しみだ!」
急にイキイキし始めた、五条悟とまではいかなくても特級並みの呪術師が味方に居るなら心強いか。
...そうか私はもう普通の学生ではないのか、そうだな二度目の人生いつまでもウジウジしてられない。
「後顧の憂いなく、私も堪忍袋の緒が切れる思いです。」
「心強いな、だが戦闘は任せてくれ。」
決戦戦力は出し惜しむのは双方同じ、敵は軍隊じゃないから殺せば終わりだ。
それからある程度進んだ先で、隻眼のオッサンに静止された。
「待て、罠がある。」
その後彼の簡易展開されたが術式だろうか?
罠に縁が触れた瞬間、次々と呪力にの衝撃よって脅威が次々と排除されていっていた。
「飛ばし過ぎだ、途中で息切れして彼女の力を借りる事になるぞ。」
「まだまだ若いモンには負けられんわ、ほれ急ぐぞ領域を取り替えられたら折角の苦労が無駄になる。」
次は後方や横道から無数の骸骨が強襲してきた
流石は熟練というべきか、私の支援を必要とする前に迅速に排除された。
フィジカルが強い、同じ呪力量だと私も勝てる気がしない。
...年の功か経験か、何であれ手本にはなる。
「チッ」
この敵には見覚えがある、ちょっと前に戦った骸骨の特級呪霊と同じ呪力だ。
攻撃手段も同じで...
つまり本体?アレは分霊か何かだったのか?
分からない、確かに呪霊を祓って呪物が残るのは変な話だ。
コレは呪霊を強くする触媒で、それは最悪特級にまで成長する。
...いや元々これは呪物であって、本質は呪霊化のなごりだろう。
境界の歪み方は骨のない肉塊と骨しかない骸骨は同じ、いや真逆と言うべきか。
敵は徒党を組んで何かを企んでいる...
「気付いたか?」
「呪霊であれ何であれ特級相当が存在する可能性がありますね、被害者の事は諦めて撤退するべきかと。」
「それはできない、人質を優先しないといけない理由がある。」
偉い人の娘でも被害に遭ったのか?
嫌になるな、術式を持った術師がこのザマだ。
認識系の攻撃も受けている、このまま不利な状況に追い込まれるのは嫌。
1秒でも早く目標を捕捉しなければ先に無力化されるのは私達だ、彼等の猶予は3時間未満私の場合は4時間以上6時間未満といったところか?
「役割の変更を進言します、私が捜索と攻撃を行います。」
「ダメだ、それは認められない。」
「このまま損耗をするぐらいなら、驚異の排除を優先するべきと考えます。」
「コレは俺達の問題だ
肉塊になろうが骸骨になろうが、俺達が戦死した時点でお嬢さんには撤退してもらう。」
意固地だ、ただそれを否定する理由は私には人情以外にない。
...それだけではこの人達はきっと動じない、彼等は助からないと理解している。
この領域に付与された術式効果は強烈だ、個としても優れているし骨の物量も肉の性質も脅威だ。
「奴らは戦う気がないですよ?
今見せつけられているであろう何かも、到底辿り着けないであろう領域の果てです。」
「それでもだ!」
力があっても、ただ良心の介在する隙がない...或いは死でもってそれに応えるかだろう。
呪術師として働く上で精神に強い負荷がかかる事にも、経験してきたしそれなりに理解していたつもりだった。
特別1級術師2名と人質1人そしてその他で天秤が釣り合わないなんて事は、認めたくない。
人質は顧みる価値はあっても、現場で行動している人達の命をただ諦めろなんて...そうするしかないのか。
「分かりました、せめてそれまで見届けます。」
「すまないそしてありがとう、私達は君と最後に呪術師として立てて良かったよ。」
そして2時間半後骨となった彼の首にかかるそのペンダント、左側に妻がそして右側に本人含む3人が映る家族と思わしき写真だった。
そしてもう一人の遺品は小物入れで、その中身はサイコロやミニチュアばかりで本人ではない誰かの...いや考えるべきではない。
外に居るか分からないが、それは遺族がするべき事だろう。
私は何も知らないが、ただ理解できる事は敵は救い様がない悪趣味な存在だって事実のみ。
死してまで、そして組織の力を個人利用してまで強行した結果がコレか。
私は二度とこの事案に関係した任に就く事はないだろう、私は今日の事を忘れてもきっと皆に許してもらえる。
...それでもあの肉の子だけでも、できるなら助けてあげたい。