一時間ほどヘルメットを装着し、居間の四方を囲って暗室を作るとドクトル・バタフライは先程まで私の被っていたヘルメットの頭頂部のスイッチを、カチリと押し込んだ瞬間、懐かしい歌が聴こえてきた。
とても懐かしく勇気を貰えた『武装錬金』のオープニングテーマを聴き、なにより二十数年ぶりに脳内情報ではなく視覚情報として『武装錬金』を鑑賞しているという事実に自然と涙を溢してしまう。
武藤君と津村さんの出会う瞬間、命を懸して女の子を守るために飛び出す姿を見るのは、やはり感動しますけど。この世界線だとどの様に出会い、あのように仲睦まじく寄り添えるようになったのでしょうね、
『武装錬金!!』
『まひろとオレの命を返してもらうぞ!』
真夜中の校舎裏を駆け抜け、まひろさんを助けるために武装錬金を起動した武藤君は
しかし、まだ完全に破壊し切っていなかったホムンクルスの身体を四本の
「やはり、素晴らしい
「……ドクトル、静かにして下さい」
ひとえの耳を塞ぎながら苦言を呈する。
「すまない。しかし、しかしだ!もう見ることの出来ないと思っていた物を見ることが出来るというのは本当に素晴らしいことなのだよ!」
そう言って燦々と輝く少年のような目を向けるドクトル・バタフライにビックリしながら、真っ暗な部屋の壁をスクリーン代わりに使って観賞する『武装錬金』は確かに心踊るものは感じますけど。
どこまでも作品を愛するドクトル・バタフライだからこそ、あそこまで興奮冷めやらぬままに話すことが出来るのでしょうね。
『貫けええぇぇーーーーっ!!!!』
猛々しく吼える武藤君の構えた突撃槍の飾り布は発行し、
三十分の上映時間を終えて、興奮の冷めないドクトル・バタフライは絶叫したい気持ちを抑えるように腕を組み、ニヤニヤと笑みを浮かべ、私の方を見つめる。
知っていますよ、カッコいいですよね。
だから、そんな子供のような眼差しを向けるのは止めて下さい。なんだか反応というべきか、貴方の行動に困ってしまいます。