某剣客浪漫世界で私は趣味に憩う。   作:SUN'S

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ススハムとチタタプ 序

北海道の山中。

 

私はススハムのチセ(家や住居を意味するアイヌ語)にやって来ています。何でも時鮭並みに脂の乗った鮭を釣り上げたらしく、リスと鹿肉のチタタを使ったオハウをするそうです。

 

「ほら、相楽カッケマッもやりなさい。ちゃんとチタタプって言うのよ」

 

「チタタプ、チタタプ、チタタプ……」

 

トントンと持参していた新井青空作の出刃包丁と薄刃包丁を使って鹿肉を刻み、大きな鮭の骨を正確に一本残らず取り出して、ミンチ状に仕上げる。

 

その様子に感心する声も聞こえるけど。

 

遠巻きに聞こえるのは「顔が怪しい」や「なにか企んでいそう」というアイヌ語ばかり。ススハムのおかげで、そこそこ聞き取れるんですよ?

 

そう言いたい気持ちを押さえながら、静かに溜め息を吐いてしまう。しかし、溜め息を吐く私のおでこにコツンとススハムがおでこを当ててきました。

 

「……熱はないわね。アタシが呼んだとはいえ無理してるなら寝転んでいていいのよ?」

 

「フフ、ありがとうございます。私は大丈夫ですから、ムカル君と遊んでいるしとりを見ていて貰えますか?お鍋は私が見ていますから」

 

「ムカルなら慶一郎の仕事を手伝っているわよ。まあ、和人とアイヌの混血は珍しいんでしょうね。それに転生者の中で青い目をしているのは、アタシと相楽カッケマッぐらいでしょう?」

 

確かに、青い目は私とススハムだけですね。

 

────以前、彼女の話していた転生する際に『特典』を渡してきた神様の恩恵は瞳の色に出るという考察は興味深くてワクワクしました。

 

もっとも、危険な相手を見分けるという意味では分かりやすいのかも知れませんね。ひとえはサンピタラカムイ様の神酒や時代樹様の加護、異常稼働して過剰稼働していた『特典』の影響を受け、僅かに瞳の色は赤い。

 

しかし、お父様や姿お兄様の瞳は紅い。

 

『火』のモヂカラを宿す家系ということもあり、赫奕(かくえき)のごとく鮮やかな赤色です。

 

「相楽カッケマッ、あーん」

 

「あ、あーん……?コリコリしてますね」

 

何のお肉だろう?と首を傾げていたとき、ススハムは「シマエナガよ」と当たり前のように告げてきたことにショックを受けてしまう。

 

ウソ、そんな、アイドルなのに?

 

「ウソに決まっているでしょうが、慶一郎が捕まえては眺めることがあるから、アタシが押さえつけて逃がしているのよ」

 

シマエナガ、食べていないんですね。

 

良かったと喜ぶべきなのでしょうが、あからさまに、わざとシマエナガだと私に言いましたね。

 

 

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