ススハムの作ったリスと鮭のチタタプは美味しかったですが、脳みそをしとりに食べさせようとするのは止めてほしいです。
本当、順応性の高さも羨ましいです。
「景、今日は泊まっていきなさい」
「良いんですか?」
「えぇ、慶一郎も今日は斎藤と永倉と仕事を詰めると言っていたし。それに、アンタは放っておくと死にそうだから見ておきたいわ」
「ん!母さまはしなない!」
「知っているわよ。単なる確認だけ」
ワシャワシャとしとりの頭を撫でたススハムは笑っているけれど。その目は本気で私の身体の事を確かめるつもりらしく、ひとえを抱っこする腕が、ほんの少し重く感じてしまっている。
けど、私はお友達ですからね。
ちゃんと信じています。
「雑魚寝になるけど。いいかしら?」
「フフ、修学旅行を思い出しますね」
「あー、アタシはずる休みしてたわ」
「えっ」
「ウソに決まっているでしょうが」
そ、そうですよね。
流石に学校の行事をサボるなんていう事をススハムがするわけないですよね。いえ、自分の理想を相手に押し付けるのはとても悪いことです。
そう言う時は何かしらの理由がある。
ムカル君は「パポ、先に風呂の用意をしてるぞ」と言って、大きな水桶を手に取ると川に向かっていく。川の水を使って、お風呂を用意するのでしょうか?
しとりも彼を追い、歩いていってしまう。
大丈夫でしょうか?
「フッ、露天風呂に決まっているでしょう」
「天然の露天風呂って珍し……くはないのかな。温泉街も近くにありますし。山中でも涌いているところは幾つもありますよね」
「まあ、其処は追々話してあげるわ」
「フフ、楽しみにしてますね♪︎」
ススハムの言葉に頷きながら、ひとえを抱っこしながら囲炉裏の傍に座り直し、ススハムの差し出す両腕にひとえを預け、半纏の帯を解き、床に敷いて、そこにひとえを寝かせて帯を締める。
「健やかに育って下さいね」
「いつも言ってるわね。それ」
「……母親がこれですからね」
申し涌けなさげに笑うと、むぎゅうっと顔を両手で挟み込まれ、突然の事にビックリする私の目を見据えるススハムの青い目は怖かった。
「アンタ、自分を卑下しすぎ。次に自分の事を卑下したら公共の面前でアンタの尻をブッ叩くわよ」
「ひぃんっ」
「ひぃんじゃない。着物も捲って素肌に直接手のひらを叩きつけるから覚悟しておきなさい。分かったら、頷くか答えなさい」
そう私に言い寄るススハムの言葉に、コクコクと頷いてしまった。うう、お尻を叩かれるなんて恥ずかしくて絶対にイヤです。