某剣客浪漫世界で私は趣味に憩う。   作:SUN'S

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斎藤一にエレキテル 急

北海道の肌寒い夜風に「へくちっ」と、小さくくしゃみを出すしとりの事を優しく腕の中に包み、私の着ている半纏を着せてあげる。

 

ここ数日の変な事件や果物の騒動は鳴りを潜め、ようやく終わりを迎えたと安堵したのも束の間、ドンドンドンと激しく玄関の戸を叩く音に、パチクリと湯タンポ代わりに私の核鉄を仕込んだ籠の中で眠っていたひとえも起きてしまった。

 

「こんな時間に誰だ?」 

 

「左之助さん、危ないですよ」

 

「大丈夫だ。行灯の火、借りるぞ」

 

そう言うと手持ちの蝋燭台を手に取った彼は暗い廊下に出ていき、暫くすると左之助さんは帰ってきた。その後ろには防寒着を着た斎藤一が居ます。

 

……こんな時間に来るのは不誠実です。

 

少しだけ不満を抱きながら寝間着の襟元を正して、個魔の方に姉妹の事を頼み、薄暗い居間に行灯を持っていき、暗くてもお互いの顔は見えるようになる。

 

ただ、本当に緊急性の高い話をするために来たのなら私も左之助さんのために頑張るつもりです。しかし、本当に何も無かったら深夜訪問です。

 

「先日の光の剣の事件を覚えているな?」

 

「? はい。覚えています」

 

「何の話だ?」

 

左之助さんに薬売りに扮して芸を行っていた親子の事を伝えると「……ああ、清のヤツが何人か混ざった雑技団のあれか」と直ぐに理解してくれた。

 

しかし、その光の剣の事件がまたなにか?

 

「蝦蟇油の公演で本当に光の剣を出したそうだ」

 

「は、はあ……」

 

そう言うと斎藤一は行灯の一つをちゃぶ台に近づけ、ゴトンと金属製の筒────日本刀の柄を模造した金属を机の上に置き、私の事を見つめています。

 

どうせ、またお前関連だろう?という眼差しにショックを受けつつ、寝間着の袖を襷で纏め上げ、金属製の刀柄を手に取って確かめる。

 

鍔もハバキも一体化した刀の柄。

 

「(煤の臭いもしない……いえ、僅かに柄の中に油の臭いがしますね)」

 

耳元に近づけ、軽く振る。

 

ちゃぷちゃぷ(・・・・・・)、と、微かに水音が聴こえる。

 

「(日本各地を移動する雑技団なら入手することは可能でしょうが、よく個人の技術だけで作り上げましたね)斎藤さん、此方はブンゼンバーナーの簡易版ですね」

 

「ぶんぜん?」

 

「ほんの少し前にドイツの科学者の作った実験道具の名前……コホン、まあ追々分かると思いますけど。目貫の部分にゼンマイ式の点火器を仕込んでいるので、握るときに擦って、ハバキの部分を絞って調整すれば……」

 

そう説明しながら私は襖を開け、月明かりに照らされた中庭に移動し、ガリッと親指を目貫に擦り付けると同時に金属製の柄は、私も前世でもテレビや授業で見たことのあるガスバーナー(・・・・・・)のように青白い炎を噴射した。

 

「こうなります」

 

「成る程、お前の話していた『焼きと斬る』を同時に行う道具は実在していたということか」

 

私の手の中で燃え盛る光の剣に煙草を近づけ、一回だけ煙草の副流煙を吐いた斎藤一は携帯用灰皿で煙草を揉み消し、ガス切れを起こした刀の柄を持って帰っていく。

 

「景、今のはどこで覚えた?」

 

「何処って、本ですよ?」

 

 

 

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