双子との心地よいバトルの余韻を残しながら、ミソラたちは5番道路の並木道をさらに奥へと進んでいた。
進化したばかりのテールナーは、尻尾に差したお気に入りの小枝を誇らしげに整え、ヒノヤコマは青空を気持ちよさそうに旋回している。ピカチュウ、ルリリ、エネコ、ヒトカゲも、二匹の頼もしい姿に刺激を受けたのか、どこか誇らしげな足取りだ。
そんな大家族の賑やかな行進を、並木道の生け垣の陰から、じっと見つめる二つの小さな影があった。
「プ、プラル……」
「マイ、マイ……」
草むらがかすかに揺れ、そこからひょっこりと顔を出したのは、一匹のプラスルと一匹のマイナンだった。
先ほどバトルした双子のポケモンよりも少し小柄で、プラスルの方が少しだけ前に出てマイナンをかばうように立っている。その佇まいから、ミソラは直感的に、彼らが深く信頼し合っている兄妹なのだと察した。
二匹は、ミソラの後ろを楽しそうについていくピカチュウやルリリたちの姿を、どこか羨ましそうに、そして憧れに満ちた瞳で見つめている。
「あら、こんにちは。貴方たち、ずっと私たちを見ていたのね」
ミソラが優しく声をかけて微笑むと、マイナンはお兄ちゃんのプラスルの背中にきゅっと隠れて恥ずかしそうに身を縮めた。プラスルは妹を守るように両手を広げながらも、ミソラの穏やかな瞳を見て、すぐに警戒を解いていく。
世間の効率を重視するトレーナーなら、「もうさっき進化したばかりのテールナーたちがいるし、電気タイプはピカチュウがいるから、今さらプラスルとマイナンを捕まえてもタイプが被るだけだ」と切り捨てるかもしれない。
けれど、ミソラの胸に去来するのは、そんな冷たい計算ではない。
この森の片隅で、お互いを支え合って生きてきた小さな兄妹。彼らが、自分たちの大家族の温かさに惹かれて、勇気を出して姿を現してくれた。その健気な心に、全力で応えたい。それこそが、ミソラが何よりも大切にしている『筋』だった。
「私たちはみんな、家族なの。もしよかったら、貴方たち兄妹も、私たちの家族にならない? 寂しい思いなんて、もう絶対にさせないわ」
ミソラがそっと両手を広げると、テールナーが優しく小枝を振って歓迎の意を示し、ピカチュウも同じ電気タイプとして「ピカピカ!」と嬉しそうにステップを踏んだ。
その温かい歓迎の輪を見て、兄妹の瞳がパッと輝いた。
プラスルが「プラッ!」と力強く鳴いてマイナンの手を引くと、二匹は一緒にトコトコと駆け寄り、ミソラが差し出した二つのモンスターボールへ、同時にぽんと小さな前足を乗せた。
カチリ、カチリ。
二つの静かな電子音が美しくハモり、プラスルとマイナンは、ミソラの新しい家族となった。
すぐにボールから呼び出してあげると、二匹は嬉しさのあまり、お互いの手を繋いでクルクルと回りながら、パチパチと可愛い火花を散らして踊り始めた。
「ふふ、とっても可愛い応援団ね。よろしくね、お兄ちゃん、妹ちゃん」
手持ちの枠が満タンの6匹を超えたため、二匹のボールは自動的に転送されていくが、ミソラの心の「大家族」の席には、何一つ変わりなく二匹の場所が作られていた。
頼もしいお兄ちゃんお姉ちゃんの進化に続き、愛らしい兄妹の加入。
ミソラの大家族は、カロスの空の下で、さらに賑やかに、どこまでも温かくその絆を広げていくのだった。