ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第40話: セキタイタウンの救急劇!解けた緊張と大家族総出の幸福時間

 

「ジョーイさん……! お願いします、みんなを診てください……っ!」

セキタイタウンのポケモンセンターに駆け込んだミソラは、切迫した声で受付へと飛び込んでいた。息は上がり、額からは大粒の汗が流れ落ちている。

フロントのトレイに並べられたのは、毒の痛みに耐えるリザードとアブソル、そして麻痺の痺れで身体を強張らせているテールナーのボールだ。

「あらあら、大変! すぐに処置しますから、安心してくださいね」

ジョーイさんはミソラのただならぬ様子から状況を素早く察し、タブンネたちと共に手際よく奥の診察室へと運んでいった。

ロビーのソファにどさりと腰掛けたミソラは、自分の両膝がガタガタと震えていることに気づいた。一刻を争う道中は必死だったが、今になって恐怖が押し寄せてくる。

そんなミソラの膝に、トコトコと近づいてきたイーブイがそっと前脚を乗せ、エネコが「にゃ〜ん」と足元に身体をすり寄せてきた。

「……ありがとう。私、しっかりしなきゃね」

二匹をそっと抱きしめ、祈るような気持ちで待合室の時計を見つめ続けた。

 

それから、どれほどの時間が経っただろうか。

静かな電子音が響き、ジョーイさんが優しい笑顔でロビーに戻ってきた。

「お待たせしました。みんなすっかり元気になりましたよ!」

「――っ、良かった……!」

ミソラは弾かれたように立ち上がり、受付へと駆け寄った。ボールから現れたリザードとアブソルは、毒の気配など微塵も残っておらず、いつもの健康的な皮膚と美しい白毛を取り戻している。テールナーも「テール!」と元気よく鳴き、軽やかにステップを踏んでみせた。

みんなの無事な姿を見た瞬間、ミソラの胸を占めていた張り詰めた緊張が、一気に解けていった。溢れそうになる涙をグッとこらえ、ミソラは優しくみんなを抱きしめた。

「テールナー、リザード、アブソル……本当に頑張ってくれてありがとう。怖い思いをさせてごめんね」

ひとしきり手持ちのメンバーを労ったミソラは、この安心した気持ちを旅団の全員と分かち合いたいと思い、ジョーイさんに声をかけて、奥にある緑豊かな「ふれあいコーナー」を借りることにした。

 

「みんな、お待たせ。全員一緒に過ごそうね」

システムを操作すると、白い光が次々と芝生の上に溢れ出し、ボックスでお留守番をしていた仲間たちが姿を現した。

ヒノヤコマ、ガルーラ親子、クチート、アマルス、エモンガ。

愛らしい電気袋を震わせるピカチュウ、応援団コンビのプラスルとマイナン。

並んで座るニャスパー兄妹に、長い尻尾をパタパタさせるオタチ。

そして手持ちのテールナー、マリルリ、エネコ、アブソル、リザード、イーブイ。

総勢16体の大家族が、一斉にミソラの周りを取り囲む。

「みんな、ただいま。留守番させてごめんね」

ミソラは芝生の上にそっと座り込み、集まってきた仲間たちを順番に、丁寧に抱きしめていった。

 

まずは一番寂しがっていたヒノヤコマを腕に乗せて優しく羽を撫で、肩に飛び乗ってきたエモンガとピカチュウの頭を交互に指先でなぞる。

久々の実戦で怪我を負ったリザードの元へ歩み寄ると、その逞しい首筋をそっと撫でた。「よく耐えてくれたね、ありがとう」と語りかけると、リザードは少し照れくさそうに顔を背けながらも、嬉しそうに尻尾の炎をパチパチと揺らした。

そして、イーブイを護ってくれたアブソルの前にしゃがみ込む。

「アブソル、イーブイちゃんを護ってくれて、本当にありがとう。あなたのおかげで、誰も欠けずにここにいられるわ」

ミソラが心からの感謝を込めてフサフサの体毛に顔を埋めると、アブソルは「……フン」と少し呆れたように鼻を鳴らしつつも、拒むことなくその温もりをミソラに預けた。

その横では、プラスルとマイナンが嬉しそうに小さな火花を散らし、ニャスパー兄妹とオタチ、エネコ、そして新入りのイーブイが、一緒になって芝生の上をコロコロと転げ回ってじゃれ合っている。アマルスとクチートはガルーラの大きな足元に寄り添って、満足そうに目を細めていた。

大騒ぎするわけではなく、ただお互いのぬくもりを確かめ合うように、静かで温かい時間がふれあいコーナーを満たしていく。これだけの大家族に囲まれ、全員の無事を感じることこそが、ミソラにとって何よりの幸せだった。

「やっぱり、みんなが一緒じゃなきゃ、私の旅は始まらないね」

手持ちも、ボックスの仲間も関係ない。全員の強い絆をもう一度胸に刻み、ミソラは心の底から穏やかな笑顔を浮かべた。

激動のトラブルを乗り越え、セキタイタウンの夜は、大切な大家族の優しいぬくもりに包まれながら、静かに更けていくのだった。

 

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