ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第41話: 巨石の街の不穏な影!再会のルカリオとリザードの意地

 

セキタイタウンの朝は、どこか肌寒かった。街のあちこちにそびえ立つ巨大な石柱が、長い影を落としている。

ポケモンセンターのふれあいコーナーで大家族全員との温かな時間を過ごしたミソラは、ボックスの仲間たちを再びシステムへ預け、選別された手持ちの6体――テールナー、マリルリ、エネコ、アブソル、リザード、そして新入りのイーブイを連れて、清々しい朝の街へと歩き出していた。

 

だが、そんな穏やかな空気を破るように、一瞬、巨石の路地の向こうに、昨日10番道路で見かけたあの「真っ赤なスーツ」の背中が横切った。

「――っ、フレア団!?」

ミソラはハッとして駆け出したが、入り組んだ巨石の影に紛れ込んだのか、彼らの姿は綺麗に消え去っていた。

「……一体この街で何を企んでいるの?」

胸に残る不穏なモヤモヤを抱えながら歩いていると、広場で遺跡の解説看板の前に立つ、熱心な観光ガイドの若い女性に出会った。女性は並び立つ巨石を愛おしそうに見上げながら、ミソラに気さくに語りかけてくる。

「不思議な景色でしょう? このセキタイの石はね、数千年も昔からここにあると言われているの。一説には、ポケモンのエネルギーを吸収し、また増幅させる力があるとも言われていてね。……過去には、この強大すぎる石の力を悪用しようとした、哀しい歴史もあったと伝えられているのよ」

若い女性ガイドの真剣な言葉に、ミソラはふと先ほどのフレア団の影を重ね、背筋に冷たいものが走るのを感じた。あの悪党たちがこの石の力を狙っているのだとしたら、ただごとではない。しかし、今の段階ではこれ以上手がかりもなかった。ミソラは警戒を強めつつも、次の目的地であるシャラシティへ向かうため、11番道路側のゲートへと足を向けた。

 

「おーい! ミソラじゃん! やっと追いついたぞーっ!」

街の出口へ差し掛かったその時、前方から聞き覚えのある元気な声が響いた。

インラインスケートを軽快に滑らせながらやってきたのは、あのローラースケーターの少女・コルニだ。そしてその背後には、彼女の頼もしい2体の相棒――ルカリオたちが静かに付き従っていた。

「コルニ! それにルカリオたちも、久しぶり!」

「へへ、ザクロさんを破ったって聞いてさ、どうしてもミソラの旅団とまたバトルしたくて追いかけてきちゃった! うちのルカリオたちも、ミソラのリザードと戦いたくてウズウズしてるんだよね!」

コルニはニカッと笑い、グローブをはめた手を突き出す。

「どう? シャラシティに行く前に、ここで勝負いってみない?」

その挑戦に、ミソラのベルトにある1つのモンスターボールが、激しくカタカタと揺れた。

リザードだ。最終進化を目前に控え、自分の力を試したくてたまらないらしい。その熱い闘志を感じ取ったミソラは、不敵に微笑んだ。

「いいよ、コルニ。うちはリザードで、そのルカリオ2体に順番に立ち向かわせてもらうわ!」

「へえ、勝ち抜き戦(連戦)ってわけね! 面白いじゃん、いくよ、まずは1体目!」

 

セキタイの出口の荒野を舞台に、熱いタイマン勝負の幕が上がった。

まずはコルニの1体目のルカリオが前に飛び出す。

「ルカリオ、『ボーンラッシュ』!」

光の骨の棍棒を振り回し、猛烈なスピードで斬りかかってくるルカリオ。だが、リザードの集中力は極限まで高まっていた。

「リザード、見切って! 動きの止まった隙に『ほのおのキバ』!!」

リザードは鋭い棍棒の軌道を紙一重でかわすと、一気に間合いを詰めて、激しく燃え盛る牙でルカリオの腕をガブリと深く噛み砕いた!

ドカアンッ!!

抜群の威力を誇る炎の追加ダメージ。まともに熱い牙を喰らった1体目のルカリオは、たまらず後方へ吹き飛び、一撃でノックアウトとなった。

「嘘、一撃!? やるじゃん……でも、うちの相棒たちはここからが本番だよ! 2体目、いきなさい!」

コルニが悔しそうに笑いながら、もう1体のルカリオを前線へ送り出す。

 

2戦目。1歩も退かないリザードだったが、1体目を仕留めた直後のわずかな隙を、コルニは見逃さなかった。

「連続でいくよ! 『グロウパンチ』!」

2体目のルカリオが拳に光を纏い、凄まじい神速でリザードの懐へと潜り込んだ。一撃、二撃と、殴るたびにルカリオ自身の攻撃力が高まっていく、容赦ない怒涛の拳の嵐がリザードの身体を捉える。

「リザ、ァ……!」

連撃をまともに浴び、さすがのリザードも重い打撃のダメージに苦悶の声を上げて大きく後退し、膝をつきかける。

フィールドの端では、テールナーや新入りのイーブイたちが「リザード!」と声を限りに応援している。

だが、その瞳の奥の炎は消えていなかった。むしろ、強敵とのギリギリのタイマン勝負に、リザードンへの進化を促すかのような圧倒的な闘志が爆発していた。

「リザード、あなたの底力はそんなものじゃないはずよ! 全エネルギーを集中させて、最大の『ほのおのキバ』!!」

「リザァァァァァーーーーーーッッッッ!!!!」

リザードが咆哮とともに、口内から溢れんばかりの凶暴な烈火を爆発させた。さらに『グロウパンチ』で仕留めにかかろうと肉薄してきた2体目のルカリオに対し、リザードは渾身の力でその肩口へと深く、激しく、燃え盛る牙を突き立てた!

ゴォォォッと凄まじい炎の渦がルカリオを包み込む。

炎が晴れたとき、そこにはススまみれになりながらも、目をぐるぐる(@_@)と回して倒れるルカリオの姿があった。これにて見事な2タテ、完全勝利だ。

 

「……すごいや。完敗、完敗! 1体でうちのルカリオ2体を順番にのしちゃうなんて、ミソラもリザードも、本当に強くなったんだね!」

コルニは清々しい笑顔でルカリオたちをボールに戻した。

リザードは勝利の咆哮を上げ、その身体から一瞬、白い進化の光の片鱗が小さく火花のように弾けた。最終進化へのカウントダウンは確実に始まっている。

「ありがと、リザード。本当に格好よかったわ」

ミソラが駆け寄り、その逞しい背中をポンと叩くと、リザードは嬉しそうに鼻からフンと煙を吐いた。

 

フレア団の不穏な影は気になるものの、リザードの圧倒的な成長とコルニとの熱い再会バトルを経て、手持ち6体の士気は最高潮に達していた。大家族の次なる舞台は、メガシンカの秘密が眠るシャラシティ。新たな決意を胸に、ミソラたちは11番道路への一歩を踏み出すのだった。

 

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