コルニとの熱いバトルを終え、リザードの確かな成長を感じながら11番道路の緑豊かな一本道を進むミソラ一行。
新入りのイーブイもすっかり旅の歩調に慣れたようで、エネコと競い合うように楽しそうに草むらを駆けている。
「リザードがあれだけ頑張ってくれたんだもの。私も負けていられないわね。次のジム戦に向けて、みんなで気合を入れていきましょう!」
ミソラが手持ちの仲間たちに声をかけると、大黒柱のテールナーが「テール!」と力強く応じ、マリルリも短い腕を突き上げてやる気を見せる。
そんな時だった。
「デネ……ネェ……」
前方の茂みから、なんとも情けない、消え入りそうな鳴き声が聞こえてきた。
ミソラたちが足を止めると、草をかき分けて姿を現したのは、丸っこい体型に長い尻尾、そしてアンテナのようなヒゲが特徴的な、小さな電気ネズミポケモン――デデンネだった。
「あら、デデンネ! かわいい……って、なんだか元気がない?」
そのデデンネは、大きな丸いお腹を「きゅ〜う」と鳴らしながら、ふらふらと千鳥足で歩いている。どうやら完全にエネルギー切れ、つまり「お腹ペコペコ」の状態のようだった。
デデンネはミソラの足元までたどり着くと、すがるような目でミソラを見上げ、そのままコテン、と芝生の上にひっくり返ってしまった。
「大変、完全にバテちゃってるじゃない! 待ってて、今おやつをあげるからね」
ミソラは慌ててリュックを下ろし、中からおなじみの『きのみ』をいくつか取り出した。
「ほら、これ食べられる?」
差し出されたオレンのみを見た瞬間、デデンネの小さな目がカッと見開かれた。
「デネッ!?」
ものすごい瞬発力で起き上がると、ミソラの手から引ったくるようにきのみを奪い、両手で大事そうに抱えて「モグモグモグモグ!」と猛烈な勢いで食べ始めた。口いっぱいにきのみを詰め込むその姿は、まるでリスのようでたまらなく愛らしい。
「ふふ、そんなに急いで食べなくても誰も取らないわよ」
ミソラが優しく微笑みながら見守っていると、手持ちの仲間たちも興味津々で集まってきた。
エネコが「にゃ〜お?」と首を傾げてデデンネの長い尻尾をつつこうとし、新入りのイーブイは「ブイ?」と鼻を近づけて匂いを嗅いでいる。アブソルは少し離れた場所から、野生のデデンネが妙な行動を起こさないか静かに見守っていた。
オレンのみを2個綺麗に平らげ、ようやくお腹が満たされたデデンネは、「ぷはぁ」と満足そうなため息をついた。そして、自分の丸いお腹をぽんぽんと叩くと、命の恩人であるミソラに向かって満面の笑みを浮かべた。
「デデンネッ! デネネー!」
すっかり元気を取り戻したデデンネは、お礼を言うようにミソラの靴の周りを嬉しそうにくるくると走り回り、そのままミソラのふくらはぎをトコトコと登ってきた。
そして、ミソラの肩の上にちょこんと飛び乗ると、頬の電気袋を「ピリッ」と小さく光らせて、親愛の情を込めてミソラの首筋にすりすりとおねだりをしてきたのだ。
「きゃあ! ちょっとピリピリするけど……もう、懐っこい子ねぇ!」
ミソラが指先でデデンネの顎の下を撫でてあげると、デデンネは気持ちよさそうに目を細めて「デネ〜」と声を漏らす。その様子を肩の反対側から見ていたテールナーは、「またミソラの悪癖(親馬鹿)が始まりそうだ」とばかりに、やれやれと小さくため息をついた。
「これだけ可愛いんだもの、放っておけないわ。……デデンネ、もしよかったら、私たちの大家族の仲間にならない? 賑やかで楽しいわよ!」
ミソラが腰の空いているモンスターボールを差し出すと、デデンネは少しも躊躇うことなく、自分の手でボールのスイッチをぽちっと押した。
カシャッと小気味いい音を立ててボールに吸い込まれ、手の中で数回揺れたあと、星のポップと共にロックがかかる。
「やったわ! デデンネ、ゲットよ!」
これでミソラ旅団の電気タイプはさらに増強され、大家族の賑やかさは天井知らず。
新しくデデンネをシステム(ボックス)へ転送し、ふれあいコーナーで待つピカチュウやエモンガたちとの「電気タイプ大集会」を楽しみに想像しながら、ミソラ一行は笑顔で11番道路をさらに突き進んでいくのだった。