ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第43話: 洞窟に響く鈴の音!新入りリーシャンと、嵐の前の静けさ

 

11番道路を抜けたミソラ一行を待ち受けていたのは、壁面が鏡のように周囲を映し出す、奇妙で広大な「映し身の洞窟」だった。

ひんやりとした空気が漂う、壁一面がまるで鏡のように磨き上げられたこの奇妙な洞窟を、ミソラ旅団の大家族は賑やかに進んでいた。

 

「見てテールナー、鏡の中にテールナーがいっぱいいるわよ!」

「テール、テェル……」

オスのテールナーは、壁に映る無数の自分の姿に少し居心地悪そうに腕を組み、フイと顔を背けている。その後ろでは、マリルリが鏡に映る自分に向かって楽しそうにステップを踏み、リザードとアブソルは相変わらず「負けなしのエース」としての絶対的なプライドを漂わせながら、堂々と先頭を歩いていた。

チリリン、チリリン……。

その時、洞窟の奥から、水晶を転がしたような、涼やかで愛らしい鈴の音が響いてきた。

「ん? 何の音かしら……?」

ミソラが足を止めると、鏡の壁の向こうから、一匹の小さなポケモンがふわふわと浮きながら姿を現した。

黄色い丸っこい体に、赤い紐のような美しい飾り。それは、チリーンに進化する前のポケモン、リーシャンだった。しかも、その仕草や佇まいにはどこかお淑やかで、女の子らしい気品が漂っている。

 

「あ、可愛い……! リーシャンね」

「チリリ〜ン♪」

リーシャンはミソラたちを見つけると、警戒するどころか、嬉しそうに体を揺らして綺麗な音色を響かせた。どうやら、大家族の賑やかな雰囲気が気に入ったらしい。

「私たちの仲間になりたいの? ……テールナー、ちょっとだけお相手してあげて!」

「テール!」

テールナーが前に出ると、リーシャンは小さく飛び跳ねながら、サイコキネシスのエネルギーを纏った愛らしい攻撃を仕掛けてきた。だが、頼れる兄貴分のテールナーはそれを華麗にいなし、手にした枝から手加減した炎を放って、リーシャンの動きを優しく止める。

「いまだわ、モンスターボール、お願い!」

ミソラが投げたボールは、リーシャンを吸い込むと、鏡の光を反射しながら数回揺れ、すぐにカチリと音を立てて静止した。

 

「やったぁ! リーシャン、ゲットだわ!」

ボールから飛び出したリーシャンは、すぐにミソラの肩のあたりへとふわふわと寄り添い、「チリン♪」と嬉しそうに鳴いた。新しく入った可愛い妹分を歓迎するように、マリルリやイーブイたちも周りに集まって大はしゃぎだ。

「ふふ、これでまた大家族が賑やかになったね。リザードも、新しい仲間よ!」

ミソラが声をかけると、リザードは「フン」と鼻から小さく炎を吹き出し、頼もしい背中を見せながら、さらに洞窟の奥へと歩き出した。その足取りには、これまですべての戦いをねじ伏せてきた絶対的な自信と、余裕が満ち溢れている。

リーシャンの奏でる心地よい鈴の音が、暗い洞窟に優しく響き渡る。

新しい仲間が増え、旅団の絆はさらに深まったかのように見えた。

 

――だが、ミソラたちはおろか、無敗のエースであるリザード自身も、まだ気づいていなかった。

この穏やかな鈴の音のすぐ先、洞窟の出口の目と鼻の先で、リザードのプライドを完璧にズタズタに引き裂く「あの最悪の青い影」が、不気味に待ち構えているということを。

嵐の前の静けさを乗せて、ミソラ旅団は運命の分岐点へと一歩を進めるのだった。

 

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