ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第49話: 驚愕のシャラジム!漆黒の翼の一撃無双と、目覚める大黒柱!

 

「いくわよ、シャラジム! うちの新エースの力、とくと見なさい!」

シャラシティのジム。そびえ立つ格闘の聖地に足を踏み入れたミソラは、最初から最後まで、モンスターボールを1つしか握りしめていなかった。

フィールドに呼び出されたのは、不敵な笑みを浮かべる漆黒の巨躯――リザードンだ。

ジムの門下生たちが次々と繰り出す、鍛え上げられた格闘ポケモンたち。だが、この日のリザードンは次元が違っていた。

「リザードン、技はそれだけよ! 『つばさでうつ』っっ!!」

「リザァァァッッ!!」

突撃してくるワンリキーも、素早いアサナンも、リザードンが強靭な両翼をただ一振りするだけで、暴風を伴った圧倒的な質量に叩き潰され、一撃でフィールドの壁へと沈んでいく。

相性有利という言葉すら生ぬるい。ただの「翼の一振り」のみで、リザードンは前座の門下生たちを文字通り全員、瞬く間にぶち抜いてみせたのだ。

 

「――面白い。そこまで圧倒的な挑戦者を待っていたよ!」

満を持して現れたジムリーダー・コルニが、不敵にローラーブレードを滑らせながら前線に立つ。彼女が絶対の自信と共に繰り出したのは、切り札のルカリオ。そしてコジョフーだ。

「ルカリオ、パワーで押し切るよ! 『ボーンラッシュ』!」

「関係ないわ、リザードン! 突き抜けなさい、『つばさでうつ』!!」

光の骨を構えて超スピードで肉薄するルカリオに対し、リザードンは微動だにしない。眼前に迫ったその瞬間、限界まで研ぎ澄まされた白い光を纏う翼が、横一文字に一閃した。

ドガァァァァァンッッ!!!

「ル、ルカリオ――!?」

コルニの驚愕の悲鳴。カウンターを合わせる隙すら与えず、ルカリオの身体は翼の衝撃だけで文字通り一撃でぶち抜かれ、戦闘不能となった。続くコジョフーも、恐怖に目を見張る間もなく同じ翼の餌食となり、完全にワンサイドゲームのまま、ミソラはシャラジムをリザードン1体で完全制覇してしまったのだ。

 

「嘘……信じられない。完璧な一撃無双。……私の負けだよ、ミソラ」

唖然とするコルニからファイトバッジを受け取り、ジムを後にしたミソラ旅団。

その日の夕暮れ、海岸線。

リザードンのあまりに圧倒的な戦いぶりを間近で見ていた大家族の仲間たちは、興奮を隠せずにいた。マリルリやエネコロロが新エースの周りで大はしゃぎする中、ただ1体、じっと自分の手元を見つめているポケモンがいた。

テールナーだ。

 

(……リザードン、お前、そこまで遠くへ行っちまったのか)

先日に砂浜で、リザードンにまだビビっていた自分を、身を挺して守ったあの大きな背中。今日のバトルの背中は、それ以上に大きく、高かった。

いつも大家族の大黒柱として、頼れる兄貴分としてみんなを引っ張ってきたプライドが、テールナーの胸の奥で静かに、しかし激しく燃え上がる。

(俺だって……いつまでも、お前の背中に守られてるだけじゃねえッ!!)

「テール……ナッッ!!」

テールナーが手にした枝を強く握り締め、天に向かって咆哮したその瞬間、彼の身体から猛烈な、まばゆい純白の進化の光が噴き出した。

「えっ!? テールナー!?」

ミソラが驚いて駆け寄る。

光の中で、テールナーのシルエットが急速に巨大化していく。耳の毛並みはさらに大きく燃え盛る炎のようになり、腰回りにはまるで魔法使いのローブのような、堂々たる毛並みが形成されていく。そして、ずっと大切に持っていた「枝」が光を放ち、まるで杖のように大きく進化していく。

光が弾け飛ぶ。

そこに立っていたのは、圧倒的なサイコパワーと炎の気配を纏った、気高き魔導士――マフォクシーだった。

 

「マフォ……ッッ!」

進化したマフォクシーは、杖の先からパッと鮮やかな炎を吹き出すと、ニヤリと不敵に笑い、隣にいるリザードンを振り返った。

リザードンもまた、フンと鼻から満足そうに炎を吹き出し、マフォクシーの正面に立つ。

マフォクシーは、大きな杖をカツンと地面に打ち鳴らすと、リザードンに向かってグッと拳を突き出した。

(これからは、並び立つエースとして、お前と一緒にみんなを守ってやる)

言葉はなくても、オスのプライドをかけた熱い意思が伝わってくる。リザードンも今度は一切バツ悪そうな顔をせず、堂々とその太い拳をマフォクシーの拳へと「コツン」とぶつけ返した。

「マフォクシー……! 格好いい、最高に頼れる兄貴分ね!」

ミソラが飛びついて抱きしめると、守護神アブソルも満足そうに目を細め、マリルリたち大家族が新しい大黒柱の誕生に大歓声をあげる。

リザードンの一撃無双、そしてテールナーの熱き進化。

メガシンカの力を手に入れる前に、ミソラ旅団の兄貴たちが、ここに完全なる覚醒を果たしたのだった。

 

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