ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第65話: 荒ぶる13番道路! 砂塵のメンバー交代と、沈黙のミアレゲート

 

ヒヨクジムでの激闘を終え、プラントバッジを手にしたミソラが次に見据えるのは、カロスの中心にして5つ目のバッジが待つミアレシティだった。

しかし、その行く手に立ち塞がったのは、13番道路――別名、ミアレ荒野。

容赦なく吹き荒れる砂嵐と、肌を焦がすような乾燥した熱気が、彼女の行く手を拒むように吹き荒れていた。

ミソラはノートを片手に、荒野の環境データを見つめていた。その表情には、以前のようなおっとりとした甘さは一切ない。腰のベルトに並ぶモンスターボールは、厳格なルールに基づいた6つ。

「……ヒノヤコマ」

ミソラは、ベルトから一つのボールを取り出し、その赤い鏡面をそっと見つめた。

「ごめんなさい。この先の砂漠エリア……そしてフクジさんとの戦いを見て痛感したわ。今のあなたをこの過酷な前線に出すのは、私の『無策』と同じ。これ以上の実力不足は、あなたをただ傷つけるだけになる」

フクジに突きつけられた「命を預かる指揮官の責任」。愛するからこそ、実力不足の家族を無謀な戦場に立たせてはならない。それが、泥をすすって知略を掴んだミソラの、冷徹で最も優しい「決断」だった。

ミソラは近くの簡易転送端末を操作し、ヒノヤコマを留守番のピカチュウやデデンネたちのいる宿へと転送した。配置を換える。そして代わりに、新たな6体目のピースをベルトへとカチリと装着した。

「おいで、マリルリ」

光と共に現れたのは、水色の丸い身体をしたマリルリだった。荒野の熱気を打ち消すような、瑞々しくも強固な生命力を放っている。

現在の手持ちは、アブソル、マフォクシー、リザードン、ルカリオ、ブラッキーと、陣形を補強する新戦力のマリルリ。これこそが、新生・ミソラ旅団の精鋭6体だった。

「(……あいつ、本当にボスらしくなってきたな)」

大家族のエースであるアブソルが、砂嵐の中で漆黒の角を揺らしながら、新入りのマリルリと、ミソラの引き締まった横顔を静かに見つめていた。

 

水とフェアリーの力を宿すマリルリの防壁に守られながら、ミソラたちはなんとかミアレシティへの入り口である「ゲート」へと辿り着いた。

しかし、重厚な電子ロックの扉は完全に閉ざされ、赤く不気味な警告灯が点滅していた。

「……何、これ? 開かない?」

ミソラがゲートのインターホンに触れると、中から酷く焦った様子の警備員の音声が流れてきた。

『だ、駄目だ! 今はミアレへの立ち入りは全面的に禁止されている! ミアレ荒野にある「カロス発電所」が何者かに占拠され、街全体の電力が完全にストップしているんだ! ゲートの電子ロックも非常電源でアクセス不能、解除コードが受け付けない!』

「発電所が、占拠……?」

背後で、マフォクシーやブラッキーが不穏な空気を感じ取って身を固くする。

以前のミソラであれば、このような理不尽なアクシデントを前に、どう動けばいいのか分からず、ただゲートの前で茫然と立ち尽くすことしかできなかっただろう。しかし、今の彼女は違う。

カロス発電所が落とされれば、留守番の可愛い電気袋たち(ピカチュウやデデンネ、プラスル、マイナン)への健康状態にも悪影響が出るかもしれない。何より、自分の大切な大家族の路を塞がれたままで引き下がるわけにはいかない。

 

「……待っているだけじゃ、盤面は動かない」

ミソラは編み込まれた金髪をバサリと揺らし、鋭い青い瞳を発電所がある方角へと向けた。

「みんな、行くわよ。行き先はカロス発電所。私たちの路を塞ぐ障害(バグ)を、今から取り除きに行くわ」

「マフォッ!」

「ブラッ!」

主人の頼もしい大号令に、手持ちの精鋭たちが即座に呼応する。ルカリオが波導を研ぎ澄まし、リザードンが不敵に喉を鳴らした。

お飾りと呼ばれた美少女が、自らの意志でトラブルの渦中へと突き進む。大家族を守る真の頭領(ボス)となったミソラの大反撃は、この荒れ狂う砂漠の中で、さらに加速していく。

 

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