ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第70話: カロスの中心で炎が舞う! 絆を紡ぐ二大エースの共演

 

「ジムリーダーのシトロンです。満身創痍でありながら、その瞳の輝きは失われていませんね。僕の科学の力と、どちらが上か……全力でいかせてもらいます!」

シトロンが掲げたモンスターボールから、エレザードが躍り出た。襟巻きを大きく広げ、発電機のような駆動音を鳴らす。

ミソラはノートをしっかりと脇に抱え、腰のベルトから最も信頼を置く2つのボールに触れた。

(ルカリオとアブソルが繋いでくれたシトロンへの道。ここから先は一歩も引かない。私の最初の旅を支えてくれた、最高の2体で駆け抜ける!)

「行って、リザードン! フィールドを私たちの熱量で支配するわよ!」

「グオォォーーーッ!!」

咆哮と共に現れたリザードンが、力強く羽ばたき、ジムの無機質なフロアに熱風を吹き込ませる。

「エレザード、先手必勝です!『10まんボルト』!」

「リザードン、持ち前の機動力でいなして!『つばめがえし』!」

空中へと飛び上がったリザードンは、容赦なく放たれる電撃を鋭い宙返りで紙一重で回避。そのまま急降下し、加速を乗せた鋭い一撃でエレザードを捉えた。

「エレッ!?」

「今よ、『かえんほうしゃ』!」

至近距離から放たれたリザードンの烈火が、エレザードを容赦なく包み込む。エレザードはたまらず後退し、そのまま戦闘不能となった。

「やりますね。ですが、僕の真の相棒はここからです。――呼び覚ませ、電気の磁場! 行け、レアコイル!」

シトロンの切り札、レアコイルが磁力を放ちながら浮遊する。鋼・電気タイプ。リザードンにとっては炎技が抜群で通る相手だが、同時に電気技を弱点とされる、互いに一撃必殺の緊張感がフィールドに張り詰めた。

「レアコイル、『かみなり』です!」

ジムの天井から、これまでにない質量の大放電がリザードンを襲う。

「リザードン、上空へ回避して……しまっ!」

先ほどまでの連戦の疲労か、リザードンの上昇が一瞬遅れた。激しい雷光がその大きな翼を直撃する。

「グッ……!」

巨体を震わせ、苦痛に耐えながらも、リザードンは最後の力を振り絞って炎を吐き出し、レアコイルに大きな負担を与えてからボールへと戻った。

「持ちこたえてくれてありがとう。……あなたの役目は十分に果たしたわ。ゆっくり休んで」

ミソラはリザードンを優しく戻すと、満を持して最後のボールを握りしめた。

「私たちの最高の輝きを見せなさい。――マフォクシー!」

赤いローブのような毛並みをなびかせ、マフォクシーが静かにフィールドへ降り立つ。その手には、新たな絆の証明である一本の木の枝が、誇らしげに握られていた。

 

「炎とエスパーの複合タイプ。ですが、僕のレアコイルの頑強さは侮れませんよ!『10まんボルト』!」

「レアコイルの次の一手の軌道、もう脳内に描けているわ。マフォクシー、一歩も動かずに『サイコキネシス』!」

マフォクシーの瞳が怪しく青く輝く。放たれた電撃がマフォクシーに届く直前、見えない念動力がレアコイルの身体を完全にロックした。強力なサイコパワーに、レアコイルの電撃の軸が強制的に逸らされ、明後日の方向へと霧散していく。

「なっ、技の発動ごとサイコキネシスで抑え込むなんて……!」

シトロンが目を見開く。ミソラは不敵に微笑み、マフォクシーと視線を交わした。マフォクシーの超能力をどこでどう作用させれば相手の動きを「封じる」ことができるか、今のミソラには完全に理解できていた。

「これで終わりよ。進化したあなたの、本当の力を見せてあげて。――マフォクシー、『マジカルフレイム』!!」

マフォクシーが掲げた枝の先から、これまでにないほど幻想的で、かつ圧倒的な熱量を持った特殊な炎が渦を巻いて放たれた。空間を美しく揺らしながら突き進むその魔術的な劫火は、念動力で身動きの取れないレアコイルを完全に包み込んでいく。

ゴォォォォッ!!!

レアコイルの特攻を削ぎ落としながら、その鋼の身体を溶かすような一撃。激しい熱波が収まったとき、満身創痍だったレアコイルは完全に力を失い、床へと落下した。

「レアコイル、戦闘不能! 勝者、挑戦者ミソラ!」

レフェリーの声が響き渡り、ジムの幾何学模様の照明が、挑戦者の勝利を称えるマゼンタ色へと変化していく。

 

「……負けました。データを超えた、素晴らしい連携と戦術です」

シトロンは清々しい笑みを浮かべ、ミソラのもとへと歩み寄った。その手には、5つ目のバッジである『ボルテージバッジ』が光っている。

「ありがとう。本当に、良いバトルだったわ」

ミソラはバッジを受け取り、それを大切にポケットに仕舞い込むと、隣で誇らしげに木の枝をクルクルと回してみせる、頼もしいマフォクシーの頭を優しく撫でた。

 

満身創痍の逆境から始まったミアレジム戦。ルカリオの不屈、アブソルの意地、リザードンの奮闘、そしてマフォクシーの華麗な一撃。21匹の大家族の絆が、また一つ、ミソラを本物の『指揮官』へと押し上げた。

 

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