ポケットモンスター カロス大家族記   作:空念

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第75話: 溜息が出るほど愛おしい! ふれあい広場の「猫可愛がり」大会

 

歴史ある木造建築が情緒を醸し出すクノエシティ。その一角にあるポケモンセンターの奥には、旅の疲れを癒やすための広大な「ふれあいコーナー」が広がっている。柔らかな芝生に木漏れ日が降り注ぐその場所に足を踏み入れた瞬間、ミソラは大きく息を吸い込んだ。

カルムとの激闘を支え抜いたブラッキー、そしてその背中で炎を操るリザードン、ルカリオ、マフォクシー、アブソル、マリルリといった精鋭たち。さらに、ボックスの中で帰りを待っていたプラスル、マイナン、ピカチュウ、ラプラス、ガルーラ、クチート、オタチ、アマルス、エモンガ、デデンネ、リーシャン、ニャスパー兄妹、ヒノヤコマ、エネコロロ、ヌオー……。

「よしっ、みんなお待たせ! 今日はたっぷり甘えていいからね!」

ミソラがすべてのボールを解き放つと、広場は一瞬にして賑やかな大家族の楽園へと変貌した。手持ちの6匹に加え、ボックスで出番を待っていた仲間たちも全員が芝生の上で羽を伸ばす。

「ブラッキー、本当にお疲れ様。カルム戦のあの粘り、あなたがMVPよ!」

ミソラが両腕を広げて呼ぶと、漆黒の相棒がトコトコと駆け寄ってきた。ミソラはその耳の付け根や輪紋を「よしよし」と撫で回し、ブラッキーも満足そうに目を細める。

その横では、頼もしい男の子チーム――リザードン、マフォクシー、ヒノヤコマがミソラに寄り添う。大きな翼を持つリザードンとマフォクシーのふさふさした体毛に顔を埋め、肩に乗ったヒノヤコマの頬を指でそっと撫でるミソラの顔は、もう完全に母親のそれだった。

 

そんな中、アブソルの周囲は最も賑やか、かつ「過酷な(?)」状況になっていた。

プラスルとマイナンの兄妹、メスのピカチュウ、エモンガ、デデンネといった電気袋組が、「アブソル、遊ぼうよ!」とばかりに一斉に飛びつく。

「あ、アブ……っ!?」

アブソルが短い悲鳴をあげる暇もなく、小さな妖精たちはアブソルの白い毛並みに容赦なく「ほっぺすりすり」を開始した。

(またか! またほっぺスリスリかよ……っ!!)

アブソルは心の中で絶叫する。可愛い妹弟たちの猛攻を断るわけにもいかず、じっと耐えるアブソルだったが、今回はみんなのテンションがいつも以上に高かった。

パチパチパチパチッ! と、嬉しさのあまり電気袋から一斉に可愛い火花が炸裂する。

(痺れるる……っ! ああ、身体が、身体が言うことを聞かない……っ!!)

限界突破した愛の電撃に、アブソルは完全に白目を剥きそうになりながら、くすぐったさと微弱な電気ショックでガタガタと小刻みに震え、助けを求めるようにミソラへと視線を向けた。だが、小さな子供たちを振り払うような真似は決してしないのが、この普段はクールツンデレながら優しいお兄ちゃんの悲しい性(さが)である。

「あぁ……もう、アブソルが可愛すぎて息が止まりそう……!」

ミソラはその光景を両手で頬を押さえながら悶絶していた。シビれてプルプルしているアブソルを助けるどころか、あまりの尊さに耐えかねて、デデンネを抱き上げ、ピカチュウを頭に乗せ、震えるアブソルの首回りに自分もまとめてぎゅーっと抱きついた。

 

「ガルーラもおいで! 今日は子供と一緒にのんびりしてね」

ミソラが呼びかけると、大きくて優しいガルーラが、お腹の袋の子供と一緒に嬉しそうに近寄ってくる。ミソラはその大きなお腹をポンポンと叩き、袋の子供の頭をそっと撫でた。

その足元では、大きなアゴを持つクチートが、ミソラに甘えたいのかツンツンしているのか、少し照れくさそうにモジモジしている。ミソラは「クチートも可愛いわねぇ!」と、その小さな身体を後ろからぎゅっと抱きしめ、おでこをすり寄せた。

水溜まりの方では、ヌオーとマリルリがのんびりと日向ぼっこをし、ラプラスのふかふかした背中の上では、ニャスパー兄妹とオタチが仲良く並んで座り、長いしっぽをパタパタと揺らしている。

さらに芝生の上では、アマルスが嬉そうに首を長く伸ばし、隣でリーシャンがチリンチリンと綺麗な音を響かせてステップを踏んでいた。その様子を、優雅な毛並みのエネコロロが、気品溢れるおっとりとした目で見守りながら、のんびりとあくびを噛み殺している。

 

「みんな、本当にありがとう。……私には、この大家族がいれば、どんな困難も乗り越えられるわ」

22匹の個性豊かな仲間たち。戦いだけでなく、こうして芝生の上で互いの温もりを感じ合い(アブソルにとっては少々過酷だったが)、愛を注ぎ合うこの時間こそが、旅の本当の宝物だとミソラは確信していた。

賑やかな笑い声と、リーシャンの奏でるチリンチリンという涼やかな音、そして時折混ざる「アブ、アブブブ……」という微かな震え声が響くクノエの午後。大家族全員に等しく愛を注ぎながら、ミソラはクノエジム戦への鋭気を最高な形で養っていた。

 

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