神秘的な日時計が街の中心にそびえ立つ、エスパータイプの聖地――ヒャッコクシティ。
いよいよ7つ目のジムバッジを賭けた決戦の日を迎え、ミソラは相棒たちと共にヒャッコクジムの扉をくぐった。
手持ちの布陣は、アブソル、ルカリオ、マリルリ、ブラッキー、そして豪雪地帯での一時お留守番を経てフルパワーを取り戻したリザードンとマフォクシーの炎コンビという、万全の精鋭たちだ。
ジムの中に足を踏み入れた瞬間、ミソラは思わず「わぁ……!」と声を漏らした。
目の前に広がっていたのは、床も壁もなく、どこまでも続く満天の星空と、宇宙空間に浮かぶ神秘的なワープゾーンの数々。まるで銀河の中を歩いているかのような、完全に現実離れした不思議空間だった。
「すごい……まるで宇宙を散歩しているみたい。みんな、足元に気をつけて進みましょうね」
「ブラァ……」
「ルカ!」
ミソラの左右を固めるブラッキーとルカリオが、周囲の空間から漂う独特のサイコパワーを警戒しつつも、頼もしくうなずく。
この幻想的なジムの最大の難所は、その独特な構造にあった。
「ええっと、あっちのワープに入ると……あれ、さっき通った通路に戻っちゃった!?」
次の瞬間、足元の星の足場がスルスルと移動し、ミソラたちは別の区画へとぽんと放り出される。上を歩いているのか下を歩いているのか分からない無重力のような感覚に、後ろを歩いていたマリルリやリザードンたちも「ま、マリルッ!?」と目を回しそうになる。
「うう……なんだか目が回る空間ね……。でも、負けないわ!」
しかし、右往左往と迷路のような不思議空間に翻弄されたのは最初のうちだけだった。この迷宮に待ち受けるトレーナーたちとのバトルは、ミソラたちの圧倒的な独壇場と化していたからだ。
「現れたわね、ジムトレーナー! リザードン、マフォクシー、まとめて焼き払ってやりなさい!」
「グオォォォッ!!」
「マフォッ!!」
リザードンの放つ凄まじい熱風と、マフォクシーが操るサイコキネシスをも焼き切るほどの炎の奔流が、空間の歪みを一気に吹き飛ばす。エスパー使いのトレーナーたちが繰り出すニャオニクスたちは、圧倒的な火力と手持ちたちの絶妙な連携の前に、なすすべもなく次々と戦闘不能に追い込まれていった。
さらに、空間のあちこちに潜む不意打ちの念力や罠も、あくタイプであるアブソルとブラッキーが「ふんっ」と冷ややかに無効化していく。ルカリオの波導は、空間の歪みの向こうにある正しいワープの気配を正確に捉え、マリルリは持ち前の怪力で障害物を豪快に弾き飛ばしていった。
「みんな、すごい調子よ! この調子でどんどん進みましょう!」
不思議空間の迷宮を、持ち前のチームワークと圧倒的な実力で文字通り「あっさりと」攻略していくミソラたち。右往左往させられていたはずが、気づけば迷宮の最深部、満天の星々が最も美しく煌めく神聖なフロアへと飛び出していた。
そこに待っていたのは、数々の予知夢を司る神秘的なジムリーダー・ゴジカだった。
彼女は静かに目を開き、宇宙の真理を見通すような優雅な足取りでミソラたちへと歩み寄る。
「……星々の導きを抜け、迷うことなくここまで辿り着いたか。見事ですね、旅のトレーナーよ」
星空の宇宙空間を舞台にした、7つ目のジムバッジを賭けた最終決戦の幕が、いま静かに上がろうとしていた。