盾の勇者と天の聖杯   作:三途豆

11 / 21
難しい


決闘

「いやあ、流石は勇者だ。前回の被害とは雲泥の差にワシも驚きを隠せんぞ!今宵は宴だ存分に楽しんでくれ!」

王が宣言した。

時刻は波が終わった当日の夜。

俺たちは今、城の大きめの部屋にいる。

なんでもこの宴は波を退けたことで祝うために行っているそうだ。

パーティーは立食タイプのパーティーだ。

このパーティーには、勇者パーティに加えて、貴族や冒険者などもいる。

俺とラフタリアは宴で出された食事を食べている。城のパーティーというだけあり、食事はとても豪華だ。尚文は隅のほうにいる。

ラフタリアは食べたことのない料理に目を輝かせている。

「ラフタリア、マスターにも持って行こうよ。こんなに豪華な食事なんてそうそうできないよ」

「そうですね。持って行きましょう」

そう言って、ラフタリアは肉料理やパイのような料理を尚文へ持って行く。

「美味しいですよ、ナオフミ様も食べましょう」

そう言ってラフタリアは尚文に食べ物を食べさせる。

あーんってやつだ。あーん、なんて前の世界ではやってもらった覚えはないからちょっと羨ましいぜ。尚文は喜んでなさそうだけど。

「なぁ、マスター。少し話があ」

「尚文」

俺が話しかけているのを遮って槍の勇者。元康が尚文に話しかける。

そして、手袋のうちの片方を尚文に投げた。

「決闘だ!」

「いきなり何言ってんだお前」

「聞いたぞ!お前と一緒に居るラフタリアちゃんと仲間の青年は奴隷なんだってな!」

………え!?俺奴隷なのか!?てか青年呼び?昨日、名前を名乗ったはずなんだが。

「なにを今更言ってるんだか。この国では奴隷は禁止されていない」

「人は人を隷属させていいものではない!勇者であるのなら尚更だ!」

セリフはすごい勇者っぽいな。それを実践できるその行動力もさることながら。でも、俺奴隷じゃないんだけど。

「あの、俺は奴隷ではな、むぐっ!」

俺が話に入ろうとすると後ろから騎士っぽいやつが俺の口に布をつけ、しゃべれないようにした。見るとラフタリアにも同じことがされている。

無理矢理離れようとするも離れられない!?バカな今の俺は3つの形態でステータスが1番低い人間形態とはいえ資質の強化込みでレベル30近くあるんだぞ。

しかもこの騎士っぽいやつ波では見なかったな。鑑定技能でステータスを見てみたらレベル63と表示されている。

なんでこいつが波の現場に来なかったんだ?もしかしたら来ていたが俺が遭遇してないだけかもしれないが。

「話は聞かせてもらった」

このセリフが聞こえた瞬間、人の道が真っ二つに割れ、割れた先から王が歩いてくる。

「勇者ともあろうものが奴隷を使っているとは…やはり、罪人ということか。モトヤス殿が不服と言うのならワシが命ずる。決闘せよ!」

「おい、話を勝手に進めるな。それに決闘つっても攻撃のできない俺がどうやって戦えってんだ」

「尚文、決闘から逃げるのかこの卑怯者」

槍の勇者が尚文に言う。

その言葉を聞いた瞬間、尚文が人を殺せるのではないかといえるほどの眼光で槍の勇者を睨んだ。

睨まれた槍の勇者は数歩後ろに下がる。

「…俺が勝ったらラフタリアとホムラは返してくれるんだな」

「ああ、勝ったらな」

 

そして俺たちは宴の部屋から移動して城の訓練場のような場所にいる。俺とラフタリアは口を布で塞がれ縄で椅子に拘束されている。

「では、これより槍の勇者と盾の勇者の決闘を開始する! 勝敗の有無はトドメを刺す寸前まで追い詰めるか、敗北を認めること」

「なお、この決闘はメルロマルク国王立ち合いのもとに行なわれる正当なものである」

 

「矛と盾が戦ったらどっちが勝つか、なんて話があるが……今回は余裕だな」

槍の勇者は尚文に向かって言う。尚文はないも言わない。

「では――」

「はじめ!」

「うおおおお!」

始まった瞬間、槍の勇者が雄叫びを上げながら尚文に突っ込む。

槍の勇者の突撃に対し、尚文は盾をライトメタルシールドに変える。

槍の勇者は尚文に突きを放つ。

ガキン!

尚文は、ライトメタルシールドで槍の勇者の突きを完全に防いだ。

「俺の攻撃を防ぐか。腐っても勇者ってことか!」

「元康。お前の負けだ」

「何?」

「これが最強の矛と盾の戦いなら俺の防御を貫けなかったお前の負けだ」

すると、槍の勇者は数歩下がりスキルを放った。

「乱れ突き!」

槍の勇者がスキル名を言った瞬間、槍の突きが無数に分裂した。

尚文は数発は防いだが、全て防ぐのは不可能だったようで尚文の体から血が出る。

だが、尚文は立ち上がった。

尚文は立ち上がると槍の勇者に突っ込む。

槍の勇者は咄嗟に槍を振ったが避けられた。

尚文が槍の勇者の射程の内側に入った。槍は長物であるが故に内側に入られると弱くなる。

内側に入った尚文は、槍の勇者の腹に拳を叩きこんだ。

「往生際の悪いこと。盾の攻撃なんかが、モトヤス様に効くわが」

近くにいたビッチが言うが、次の瞬間槍の勇者の声によって続きの言葉は途切れる。

「痛っ」

痛い。今、槍の勇者から痛いと言う言葉が聞こえた。

「いて、いててててて」

尚文のパンチが効いたのか?

いや、違う。あれは

「バルーン!」

ビッチと周りの貴族や冒険者たちが叫ぶ。

よく見ると尚文に複数体のバルーンが噛み付いていた。

尚文一体いつの間にバルーンを捕まえてきたんだ?

「オラオラオラオラ」

尚文はバルーンを槍の勇者に投げまくる。

「グ……てめえ! 何の真似だ!」

「どうせ勝てないなら、精一杯嫌がらせしてやるよ! ターゲットはモテ男の命である顔と、男の証である股間だ! てめぇなんて面と玉がなけりゃタダのキモイオタクなんだよ!」

「なっ!? やめろおおおおぉぉぉぉ!」

「不能になりやがれれえええぇぇぇ!」

尚文は槍の勇者にのしかかりながら股間を執拗に攻撃する。

ほとんど効いてなさそうだけど。

「オラオラオラ!」

「くっ! このやろおおおお!」

そのまま尚文が槍の勇者を攻撃していると、

「ぐあっ……!」

瞬間、尚文が突然よろめいた。

尚文が槍の勇者から別の方向に目を向けると、ビッチがいた。尚文はビッチを見た瞬間

「てめえええええ!」

尚文は全力にビッチ叫んだ。

 

尚文がビッチに敵意を向けた瞬間、槍の勇者への注意が逸れた。

その一瞬で槍の勇者はバルーンを倒し、尚文の首筋に槍を当てた。

槍の勇者の表示はとても辛そうだ。

「はぁ…はぁ…俺の勝ちだ」

槍の勇者は勝利の宣言をした。

 

「何が俺の勝ちだ、卑怯者!今の決闘に横槍が入った。今の決闘は無効だ!」

「はぁ?何を言ってるんだ」

「お前の仲間が俺に魔法を放ったんだ」

「だから負けたって。負け犬の遠吠えだな」

「違う!」

「周りの奴らだって見ていただろ!?明らかに不自然だったハズだ!」

「…そうなのか?」

槍の勇者が周りの連中を見る。しかし、周りの連中は何も言わない。

だが、表情はなんとも言えない顔をしている者もいれば我関せずって顔をしているやつもいる。たぶん、気づいているやつもいるんだろうな。

「罪人の勇者の言葉など信じる必要は無い。槍の勇者よ! そなたの勝利だ!」

王が大きな声を出す。

「お前たち。盾の勇者の奴隷を解放させよ」

王はそう言ってラフタリアを移動させ、奴隷紋を消した。

俺は建物の後ろに移動させられて縄と布が解かれた。

すぐに尚文が見える位置まで移動した。

「さすがですわ、モトヤス様!」

ビッチが言いながら槍の勇者の元に近づく。そして城の魔法使いが槍の勇者にだけ回復魔法を施し、怪我を治す。

尚文には掛けないようだ。

「ふむ、さすがは我が娘、マルティの選んだ勇者だ」

ああ、そう言えばあのビッチは姫だったな。

尚文はビッチが姫なのを知らかったようで驚いている。

「さあ、モトヤス殿、盾の勇者が使役していた奴隷たちが待っていますぞ」

王は、そう言って俺とラフタリアは槍の勇者の前まで案内された。

「ラフタリアちゃんと…ホムラ君」

槍の勇者は俺の名前がわからないのか一瞬止まったが、すぐに近くにいた兵士が槍の勇者に俺の名前を教えたようだ。

ラフタリアは涙を流しながら槍の勇者の元まで行くと

「この…卑怯者」

そう言いながら槍の勇者の頬を叩いた。

「卑怯な手を使う事も許せませんが、私が何時、助けてくださいなんて頼みましたか!?」

「で、でもラフタリアちゃんはアイツに酷使されていたんだろ?」

「ナオフミ様は何時だって私に出来ない事はさせませんでした! 私自身が怯えて、嫌がった時だけ戦うように呪いを使っただけです!」

「それがダメなんだろ!」

「ナオフミ様は魔物を倒すことができないんです。なら誰かが倒すしかないじゃないですか!」

「君がする必要が無い! アイツにボロボロになるまで使われるぞ!」

「ナオフミ様は今まで一度だって私を魔物の攻撃で怪我を負わせた事はありません! 疲れたら休ませてくれます!」

そう言ってラフタリアは自身が尚文に購入されてからのことを要約して話した。

ラフタリアは尚文の元へ行く。

ラフタリアは尚文元へ行ったので槍の勇者は俺に話しかけてきた。

「君は」

「槍の勇者殿。俺を助けようと行動したのは悪いことじゃない。でもさっきラフタリアも言ったように俺もあなたに助けを求めたか?」

俺がそう言うと槍の勇者。元康は黙る。

俺は元康が黙っている間に尚文の元へ行く。

「ナオフミ様」

「マスター」

俺とラフタリアは尚文を呼ぶ。

「何しに戻ってきた。俺を笑いに来たのか」

「ナオフミさ」

「マスタ」

「裏切り者共に用はないどこへでも行っちまえ」

俺たちが尚文のことを呼ぼうとするが尚文は拒絶した。

「噂を聞きました……ナオフミ様が仲間に無理やり関係を迫った、最低な勇者だという話を」

「俺はやってない!」

尚文はラフタリアの言葉を最後まで聞かずに叫ぶ。

俺とラフタリアは尚文に近づく。

「来るな!」

「どうか私の話を」

そう言いながらラフタリアは尚文に近づき、手を握ろうとする。

「俺に触るな!」

そう言ってラフタリアの手を弾いた。

「慈悲深い元康におかげで自由の身になったんだろ。もう俺に関わるな!」

俺は尚文に話かける。

「マスター」

「お前も俺に、もう関わるな!それに、お前は天の聖杯なんだろ!天の聖杯は勇者の補助をする存在だとお前がこの世界に召喚された時の本に書いてあったんだろう!なら、俺以外の勇者の元にでも行っちまえ!」

確かに俺が召喚される際に読んでいた本、四聖武器と天の聖杯では、天の聖杯は勇者の補助をしている存在だと書かれていた。

だが、俺は尚文の元を離れたくないんだ。尚文は波で顔見知りとは言え、リユート村の人たちを命懸けで守った。俺が防衛線で戦っている時も俺の元へ来ればいいのに、俺に負担をかけないために1人で魔物の足止めと避難誘導をさせていた。村人の避難が完了しても、共闘している村人たちの避難が完了するまで時間を稼ぐと言い実際に村人の避難が終わるまで戦い続けた。俺はそこに大きな勇者としての資質というものを感じ取った。

俺はこの人についていきたいと心から思った。

「マスター。頼む。怒りを沈めてくれ。あなたは逆らえない奴隷しか信用できないのか。それなら俺と、俺たちの2週間は無駄だったのか。」

「みんなで戦い。みんなで野宿をしたり、魔物を解体したり、日本のゲームのことを話あったことも全部無意味だったのか」

「それでも信じることができないのなら俺は、尚文の奴隷になるよ」

「俺はそれだけマスターに信じてほしい」

ラフタリアが尚文の手を取る

「私はナオフミ様を信じています。」

「ナオフミ様は、どうすれば私のことを信じてもらえますか?」

「私はどんなことがあっても尚文様の味方です」

「嘘だ。そう言ってまた俺を騙すつもりなんだ」

尚文は否定する。

「私はナオフミ様が奴隷しか信じることができないのなら、もう一度奴隷になります」

「…私はナオフミ様が噂のように誰かに関係を強要したとは思ってません。アナタはそんなことをするような人ではありません」

「世界中の全ての人がナオフミ様がやったと責め立てようとも、私は違うと…何度だって、ナオフミ様はそんなことをやっていないと言います」

俺もラフタリアに続いて言う。

「マスター。俺はマスターの良いところを知っている。マスターは顔見知りの人たちが死にそうになったら命懸けで助けることができるとても勇敢で優しい良い人だって言うよ」

次にラフタリアが言う。

「ナオフミ様は私の命を救い、剣を与え、生きる意味を教えてくれたのはナオフミ様です」

「私はあなたの剣」

「たとえどんな苦難があろうとも、付き従います」

「私を救ってくれた尚文様を」

「いえ、偉大なる…盾の勇者様を」

「だ、だれ?」

「え?何を言ってるんですか。私ですよ、ラフタリアです」

「いやいやいや、ラフタリアはまだ幼い子供だろ」

ラフタリアは困ったように首を傾ける

「全くナオフミ様は相変わらず私を子供扱いするんですね」

「マスター。亜人は幼い時にレベルを上げると体が最も効率が良いように急成長するんだよ。この特徴のせいで亜人は魔物や獣のようだと言われて迫害されている理由なんだよ」

尚文は俺に顔を向けたあとラフタリアに手を向けた。

「確かにわたしは…精神的にはまだまだ子供ですけど、体はほとんど大人なんですよ」

「でも、どうかそばにいさせて下さい」

「私には、尚文様が必要なんです」

そう言うとラフタリアは尚文を抱いた。

ラフタリアと尚文の左側が空いているので、俺は左側に抱きついた。

すると、尚文は泣き出した。

「つらかったんですね」

「これからは、俺たちにもそのつらさを分けてくれ」

「マスター。俺たちはマスターについていくよ。信じれないのなら奴隷にだってなるよ。奴隷になってでもしがみついてやるからな」

「元康、さっきの決闘お前の負けだ」

「はぁ!?」

その時、剣の勇者が観客室から俺たちの場所までやってきた。見ると弓の勇者もいる。

「上からはっきり見えていたぞ、お前の仲間が魔法を放った。風魔法だったからわかりにくかったが」

「いや、だってみんな…何も」

「王に黙らされているんですよ。目を見ればわかります」

「そうなのか」

槍の勇者は観衆を見るとみんな目を逸らした。

「でもこいつは俺に魔物を」

「尚文には攻撃手段がほぼないんだ。それに無理矢理決闘をさせたんだ。それぐらい許してやれ」

「だけど尚文は俺の顔と股間を集中して」

「勝てる見込みがない戦いを要求したのですから、最大限の嫌がらせだったのでしょう。それぐらいは許してあげましょうよ」

弓の勇者が槍の勇者を咎める。

「今回の戦いは元康お前に非があるんだ、諦めろ」

バツが悪そうに、勇者たちが去ると観衆も去っていった。




バルーンは尚文が城に向かう途中に見つけました。
尚文は3勇者の少し後ろだったので3勇者と遭遇しなかったやつを捕まえてました。
尚文は、魔法防御をほぼ強化してないので、ビッチの攻撃が効いてた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。